トップ5%の営業はやっている!

※2018年1月23日更新

“顧客の顧客”を理解せよ!!

あなたにとっての顧客とは、直接やり取りする卸問屋や小売店の営業担当かもしれません。しかし、最終的にあなたの会社の商品を購入しているのは、さらにその先にいる、“顧客の顧客”。彼らのニーズをつかむことが、最も大事なのです。前川製作所の事例を参考に見てみましょう。

~ 前川製作所の事例 ~

前川製作所は産業用冷凍機や食品加工装置を製造するメーカーである。直接の顧客はゼネコン、プラント施工会社、設計事務所であり、顧客の先にいる食品メーカーや物流会社と意見交換をする場は少なかった。そうした業界特性がある中、前川製作所は顧客の顧客となる食品メーカーや物流会社とダイレクトに結びつくことで、自社製品の価値を引き上げ、大きな成果を上げてきた。顧客の顧客との交流で生まれた代表的な製品が、食品メーカーに導入されたチキン骨付きもも肉全自動脱骨ロボット「トリダス」である。トリダスが開発されるまで、チキン骨付きもも肉の脱骨作業は100%人の手に頼っており、長期間作業をしていた作業員の中にはその後腱鞘炎になってしまい、現場を離脱する者もいる状況であった。
トリダスの開発当初は肉と骨を切り分けることを考えていた。しかし食品メーカーの現場での職人は包丁で肉と骨を切るのではなく、引き.がす作業を行っていたのだ。
前川製作所の開発メンバーは従来の機械が持つ“切断する”という機能の延長で開発を行っていたが、新たな“引き剥がす”という機能がなければ、脱骨作業の自動化は成功しないことに気づき、その後の開発スピードは飛躍的にアップした。
いまでは全世界16か国で使用されるトリダスだが、「ユーザーにとって、本当にこれで良いのか。これがうまくいけば、導入する意思があるのか」については各開発プロセスで確認していた。求めているものとイメージが違う、と言われるときは大抵「開発メンバーの判断だけで作ってしまったから」という原因が多い。
顧客の、さらにその顧客が求めているものは何か。社内または小さな枠組の中で満足していないか。
日本酒業界においても、前川製作所に学ぶべきものは多いかもしれない。