「重要度」「緊急度」で仕事に優先順位を付ける時間管理法とは?

※2022年4月10日更新


「いつも雑務に追われている」
「いたずらに日々の仕事が積みあがってしまう」
「どの仕事を優先すべきか悩む」
といった経験はありませんか?

そうした状況にあればこそ、仕事に優先順位をつけ、本当に自分がやるべき仕事に集中する必要があります。本記事では、蔵元様の経営者層を対象に、「重要度」「緊急度」で仕事に優先順位を付ける時間管理法について解説します。

アイゼンハワーマトリックスという時間管理法

アイゼンハワーマトリックスをご存じですか?アイゼンハワーマトリックス(Eisenhower Matrix)はアイゼンハワーボックスとも呼ばれ、ドワイト・D・アイゼンハワー第34代アメリカ合衆国大統領が考案した時間管理法です。アイゼンハワーマトリックスの仕組みは至ってシンプルです。仕事をクワドラント(四分割)に分類し、「重要度」「緊急度」に応じて仕事に優先順位を付けるのです。

具体的には、「重要かつ緊急な仕事」「重要だが緊急ではない仕事」「重要ではないが緊急な仕事」「重要でも緊急でもない仕事」の4つに分類します。以下に、それぞれ見てみましょう。

第1クワドラント「重要かつ緊急な仕事」

第1のクワドラントは「重要かつ緊急な仕事」です。きわめて大切で、今すぐやらなければならない、いついつまでにやらなければならないといった類の仕事をこのクワドラントに分類します。「重要かつ緊急な仕事」の例としては、「欠品を解消するため生産量を増やす」「クレームに対応する」「製造設備のトラブルに対応する」などが挙げられます。

ここでの重要なポイントは、「重要かつ緊急な仕事」の中でも、特にあなたにしかできない、または、あなたがやらなければならない仕事を優先的に分類することです。「重要かつ緊急な仕事」であっても、あなた以外の人でもできる、またはあなた以外の人がやるべき仕事は、後述する第3クワドラント「重要ではないが緊急な仕事」に分類してください。

そして、第1クワドラント「重要かつ緊急な仕事」に分類された仕事に対する行動指針は、「今すぐやる」です。この第1クワドラントに分類された仕事こそ、あなたが最優先でやらなければならない仕事です。

第2クワドラント「重要だが緊急ではない仕事」

第2クワドラントは「重要だが緊急ではない仕事」です。企業経営においては様々な課題があります。「造りに携わる次世代の人材を育成する」「新商品を企画・開発する」「オンラインによる新たな取引先を開拓する」等々、枚挙にいとまがありません。多くは企業にとって重要な仕事ですが、必ずしも緊急性がない仕事が「重要だが緊急ではない仕事」です。

ここでのポイントは、第1クワドラントと同様に、「重要だが緊急ではない仕事」の中でも、特にあなたにしかできない、またはあなたがやらなければならない仕事を優先的に分類することです。あなた以外の人でもできる、またはあなた以外の人がやるべき仕事は、部下などあなた以外の人の仕事として取り扱うべきです。

そして、第2クワドラント「重要だが緊急ではない仕事」に分類された仕事に対する行動指針は、「スケジュールを立てる」です。例えば、上述した「造りに携わる次世代の人材を育成する」という仕事については、いつを期限にいつ何を行うか具体的に決めてしまうのです。

「新商品を企画・開発する」「オンラインによる新たな取引先を開拓する」についても、アクションプランを具体的に決めてしまいましょう。

第3クワドラント「重要ではないが緊急な仕事」

第3クワドラントは「重要ではないが緊急な仕事」です。上述したあなた以外の人でもできる、またはあなた以外の人がやるべき「重要かつ緊急な仕事」がここに分類されます。例としては、「かかってきた電話をとる」「消耗品を買いに行く」「請求書を作成して送付する」「急な出張の手配をする」等々、特別なスキルや経験がなくてもできる仕事の多くが「重要ではないが緊急な仕事」に分類されるでしょう。

そして、第3クワドラント「重要ではないが緊急な仕事」に分類された仕事に対する行動指針は、「人にまかせる」です。上述した「かかってきた電話をとる」「消耗品を買いに行く」といった仕事は部下などにまかせてしまい、自分はできるだけやらないようにしましょう。

経営学者のピーター・ドラッカーは、「経営者の重要な仕事として、ミッション、ビジョン、バリューを作り上げることがあるが、それ以外のすべての仕事は他人にアウトソースすることができる」という旨の主張をしています。経営者としては、本当に自分がやるべき仕事以外の仕事は、どんどん積極的に人にまかせてゆくべきです。

第4クワドラント「重要でも緊急でもない仕事」

第4クワドラントは「重要でも緊急でもない仕事」です。これは文字通りで、例としては「社内のサークル活動に参加する」「接待ゴルフのための練習をする」「インターネットサーフィンをする」等々、客観的に見て仕事とは言えない仕事と言ってもいいかもしれません。

そして、第4クワドラント「重要でも緊急でもない仕事」に分類された仕事に対する行動指針は、「捨てる、またはできるだけ避ける」です。「重要でも緊急でもない仕事」のほとんどがその通り「重要でも緊急でもない仕事」なので、やっても時間の無駄になるだけです。経営者の貴重な時間を浪費してしまうばかりか、他のやるべき仕事をする機会を逸失させるリスクも生んでしまいます。可能であれば「重要でも緊急でもない仕事」は完全に捨ててしまい、できるだけ第1クワドラント「重要かつ緊急な仕事」に集中すべきでしょう。

アイゼンハワー氏について

ところで、アイゼンハワーマトリックス生みの親のアイゼンハワー氏とは、どのような人物だったのでしょうか。アイゼンハワー氏は、1890年10月生まれのドイツ系アメリカ人です。高校卒業後苦労してアメリカ陸軍士官学校へ入学、以後軍人としてのキャリアを積んでゆきます。陸軍では順調に出世して1935年にマッカーサーの副官に就任します。その後第二次世界大戦でノルマンディー上陸作戦などを担当し、やがて連合国軍最高司令官に着任しています。戦後は1948年にコロンビア大学学長に就任、そして1952年に第34代アメリカ合衆国大統領に選任、大統領を2期務めました。

大統領としてはNASAの設立、全米高速道路網の整備、国際原子力機関(IAEA)の立上げなどの多くの功績を残しましたが、一方でゴルフと油絵の名手で、特にゴルフは外交の武器として大いに使っていたようです。ゴルフの練習は、アイゼンハワー氏にとっては決して「重要でも緊急でもない仕事」ではなかったのでしょう。

「本当にやるべき仕事」を明確にし、それに集中しよう

以上、アイゼンハワーマトリックスという時間管理法につき、4つのクワドラントに分けてそれぞれ解説しました。アイゼンハワーマトリックスの要諦をひとことで言うと、「本当にやるべき仕事」を明確にし、それに集中する」になるでしょう。世の多くの経営者は、えてして「本当にやるべき仕事ではない仕事」に拘泥してしまい、いたずらに時間を浪費してしまいがちです。「本当にやるべき仕事」を明確にし、それに集中することで、アイゼンハワー氏のように大きな仕事をいくつも行うことが可能になるでしょう。

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