酒ディプロマとは?受験資格や試験の内容、難易度と効果的な勉強法を解説
「酒ディプロマってなに?」
「酒ディプロマ(SAKE DIPLOMA)」とは、「唎酒師」などと同様の日本酒や焼酎に関する認定資格です。
まだ誕生して間もない資格なので、冒頭のような疑問を持たれる方も多いかもしれません。
酒類事業に携わるのであれば、取得しておいたほうがよい資格の1つです。
今回は、酒ディプロマという資格に関して、どのような資格なのか、どのようにすれば資格取得ができるのか、試験の内容、難易度や合格率、勉強方法などを解説します。
日本酒や焼酎に関する資格についてくわしく知りたい方は「日本酒の資格の種類とは?取得するメリットや効果的な勉強方法を解説」をご覧ください。
- 1. 酒ディプロマとは
- 1.1. 日本酒と焼酎のプロフェッショナルを認定する資格
- 1.2. 世界に通用する日本酒の知識を証明できる
- 1.3. 専門性が高く国際的な評価がある
- 2. 酒ディプロマの受験資格
- 2.1. 年齢制限
- 2.2. 申し込み方法
- 2.3. 費用
- 3. 酒ディプロマの一次試験の内容
- 3.1. CBT方式で約100問、制限時間60分の選択式問題
- 3.2. 日本酒の製造方法や歴史、焼酎の知識が重要
- 3.3. 教本を繰り返し読んで過去問を解くのが効果的
- 4. 酒ディプロマの二次試験の内容
- 4.1. テイスティング試験と論述試験
- 4.2. 日本酒4種と焼酎2種のテイスティングと特徴分析が求められる
- 4.3. 繰り返しの練習と専門用語の習得が重要
- 5. 酒ディプロマの難易度や合格率
- 5.1. 2023年の合格率は35.2%で、近年は難易度が上がっている
- 5.2. 一次試験の合格率は60.6%、二次試験は56.9%
- 6. 酒ディプロマ取得のための効果的な勉強法
- 6.1. 独学なら教本と過去問題集を活用する
- 6.2. スクールを利用すれば短期間で効率的に学ぶことができる
- 6.3. 日常生活で日本酒を味わう習慣をつけることも大切
- 6.4. 3~6ヶ月集中して学習する
- 6.5. 毎日1〜2時間の学習を継続する
- 6.6. 過去問などの頻出問題を分析し、テーマごとに知識を整理しておく
- 7. 酒ディプロマのまとめ
酒ディプロマとは
まずは、酒ディプロマがどのような資格か知るところからはじめましょう。
ここでは、酒ディプロマとはどのような資格なのかを解説します。
【酒ディプロマとは】
- 日本酒と焼酎のプロフェッショナルを認定する資格
- 世界に通用する日本酒の知識を証明できる
- 専門性が高く国際的な評価がある
日本酒と焼酎のプロフェッショナルを認定する資格
「SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)」とは、一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A.)が主催する日本酒と焼酎のプロフェッショナルを認定する資格です。
2013年、「和食」のユネスコ無形文化遺産登録をきっかけとして、世界的な「日本酒」ニーズの拡大を背景に、日本酒・焼酎に関する深い知識を持つ人材の育成、日本の食文化のさらなる普及を目的として、2017年に酒ディプロマが誕生しました。
世界に通用する日本酒の知識を証明できる
酒ディプロマの資格を取得すれば、世界に通用する日本酒の知識を証明できます。
たとえば、「SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)がいるお店」というように、ワインでいうところの「ソムリエ」に匹敵する、日本酒であれば「SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)」というように、世界的には有名な日本酒の資格の1つです。
「SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)」の国際的評価は、世界的にも急速に波及しつつあるので、酒類関連事業に携わり、国内外を問わず説得力のある活躍を志すのであれば、取得しておきたい資格の1つでしょう。
専門性が高く国際的な評価がある
酒ディプロマという資格は、一夜漬けで勉強すれば取得できるような簡単な資格ではありません。
日本酒や焼酎に関する広く深い知識が必要で、専門性や難易度が高く、国際的にも評価されている資格です。
2018年には、ロンドンで英語による国際資格「SAKE DIPLOMA INTERNATIONAL」の試験も開催され、今後も資格試験の開催国を増やしていくことが想定されています。
酒ディプロマの受験資格
国際的に評価の高い酒ディプロマの資格を取得するためには、日本ソムリエ協会が主催する試験を受験して合格する必要があります。
ここでは、酒ディプロマの試験に関して、受験資格や申し込み方法、費用などについて解説します。
【酒ディプロマの受験資格】
- 年齢制限
- 申し込み方法
- 費用
年齢制限
酒ディプロマ試験を受験するためには、特段の受験資格は必要ありません。
「SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)」の試験は、20歳以上であれば誰でも受験可能です。
申し込み方法
酒ディプロマ試験の申し込み方法は、「Web出願」となります。
具体的な申し込み方法については、以下のとおりです。
一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A.)のホームページにアクセスして、募集要項の内容を確認して、出願フォームに必要情報を入力します。
その後、受験料など必要費用の支払いをして、協会から「教本」と「会場予約ID・パスワード」の送信がされますので、一次試験日時および会場を選択して、インターネットから予約するといった流れです。
費用
酒ディプロマ試験は、一次試験、二次試験と2段階になっています。
まずは一次試験に合格し、続いて二次試験というステップです。
受験料など受験に関する費用(税込)は以下のとおりです。
【一次試験から受験される方向け(一次試験・二次試験込みの金額、教材付き)】
会員 | 一般 | |
1回受験 | 20,380円 | 29,600円 |
2回受講 | 25,220円 | 34,440円 |
費用は、「日本ソムリエ協会の会員か非会員(一般)か」「受験する回数が1回か2回か」などで異なります。受験回数ははじめに決める必要があり、後から変更することはできません。
日本ソムリエ協会の会員になり、 2回受験に申し込めば、費用が割安になりますので、少し自信のない方は、会員・2回受験をおすすめします。
なお、 2回受験を申し込んで、1回目で合格して、 2回受験をしなかったとしても返金不可です。
協会への入会と同時に受験料を支払う場合には割引され、入会時期(月ごと)によって金額が異なります。
受験料についてくわしく知りたい方は「2024年度 J.S.A. SAKE DIPLOMA認定試験」をご覧ください。
なお、試験免除制度(一次試験合格後、翌5年間のうち3回まで一次試験免除)を利用して二次試験から受験する方の費用(税込)は以下のとおりです。
【二次試験から受験される方向け(教本なし)】
会員 | 一般 |
7,300円 | 14,210円 |
なお、合格後、別途認定登録料20,950円が必要となります。
酒ディプロマの一次試験の内容
酒ディプロマになるためには、日本ソムリエ協会主催の2つの認定試験(一次試験・二次試験)に順番に合格する必要があります。
ここでは、酒ディプロマの一次試験の内容について解説しましょう。
【酒ディプロマの一次試験の内容】
- CBT方式で約100問、制限時間60分の選択式問題
- 日本酒の製造方法や歴史、焼酎の知識が重要
- 教本を繰り返し読んで過去問を解くのが効果的
CBT方式で約100問、制限時間60分の選択式問題
酒ディプロマの一次試験はコンピューターで解答する「CBT 方式」です。
制限時間60分の選択式問題で、合否は画面上で即時発表されます。
試験会場は、全国47都道府県内に指定された会場です。
ちなみに、2024年度の認定試験募集要項を見る限り、一次試験には受験票がなく、指定された身分証明書を持参とありますので注意しましょう。
なお、認定試験募集要項は、毎年変更される可能性がありますので、受験前には受験する年度の募集要項を必ず確認することをおすすめします。
日本酒の製造方法や歴史、焼酎の知識が重要
酒ディプロマの一次試験の試験内容について、日本ソムリエ協会のホームページや認定試験募集要項などを見る限り、「J.S.A. SAKE DIPLOMA教本(Third Edition/初版)より出題」としか記載されていません。
過去問などから推察すれば、日本酒の歴史や製造方法、生産地の特徴や料理との相性、テイスティングや論述など、優れたサービスを提供するために必要な知識が問われます。
特に一次試験では、日本酒の製造方法や歴史(兵庫県など各県の状況や、山田錦関連など)、焼酎、日本酒と食べ物との相性などの知識が重要でしょう。
教本を繰り返し読んで過去問を解くのが効果的
酒ディプロマの一次試験の問題は、申込み後に協会から送られてくる教本(J.S.A. SAKE DIPLOMA)からの出題です。
教本には、原材料や醸造方法、醸造過程が解説されているだけでなく、各国(日本、フランス、イタリア、スペイン、中国など)の食事別に、相性の良い日本酒の種類や提供温度などの説明があります。
とにかく広い範囲から出題されますので、教本を繰り返し読んで過去問を解くのが効果的です。
酒ディプロマの二次試験の内容
酒ディプロマの二次試験に合格して、認定登録をすれば、晴れて酒ディプロマになることができるので、二次試験は最後の関門です。
ここでは、酒ディプロマの二次試験の内容について解説します。
【酒ディプロマの二次試験の内容】
- テイスティング試験と論述試験
- 日本酒4種と焼酎2種のテイスティングと特徴分析が求められる
- 繰り返しの練習と専門用語の習得が重要
テイスティング試験と論述試験
酒ディプロマの二次試験は、テイスティング試験30分と論述試験20分となっています。
一次試験は、2回まで受験可能ですが、二次試験は1回しか受験できないため、きちんとした対策が必要です。
二次試験を受験する際には、一次試験と異なり、受験票が送付されてきますので、受験票を忘れないようにしましょう。
もし、二次試験が不合格だったとしても、一次試験に合格すれば、合格した翌年から5年間に3回まで一次試験が免除されますので、免除期間は二次試験のみの再試験が可能となります。
ちなみに、酒ディプロマの二次試験の試験会場は、全国主要都市16箇所のいずれかの会場で行われ、受験票に指定会場が記載されて送付されます。
論述試験は、日本酒に関するテーマについて説明し、テイスティングは、日本酒と焼酎からの出題です。
日本酒4種と焼酎2種のテイスティングと特徴分析が求められる
酒ディプロマの二次試験のテイスティング試験は、日本酒4種と焼酎2種のテイスティングです。
テイスティングでは、特徴分析が求められ、アルコール添加の有無や酒母の種類、使用した酒米など、特定の製法に該当するお酒を選んで回答します。
繰り返しの練習と専門用語の習得が重要
酒ディプロマの二次試験対策としては、 テイスティングスキルを磨く必要があるので、繰り返しの練習が欠かせません。
繰り返しの練習により、アルコール添加の有無の判断ができるようになれば、それぞれの特定名称種の特徴をつかむことも可能となるでしょう。
日本酒の判別基準の1つである「香り」については、毎年試験で頻出する「セルレニン耐性酵母」の香りについて理解し、吟醸香の「カプロン酸エチル」と「酢酸イソアミル」の判別などもできるように対策しておきます。
酒母の主な造りである速醸と生酛、山廃の違いを学習し、試験頻出の「速醸との生酛・山廃系の見極め」などが判別できるような対策が必要です。
専門用語の習得も重要なので訓練しておきましょう。
酒ディプロマの難易度や合格率
酒ディプロマは簡単に合格できる試験ではありません。
ここでは、酒ディプロマの難易度や合格率について解説します。
【酒ディプロマの難易度や合格率】
- 2023年の合格率は35.2%で、近年は難易度が上がっている
- 一次試験の合格率は60.6%、二次試験は56.9%
2023年の合格率は35.2%で、近年は難易度が上がっている
酒ディプロマ試験は、ソムリエ資格を持つプロの方も受験するので、近年、難易度が上がっていると言われています。
酒ディプロマ試験の合格率は、以前は5年平均 41%程度と言われていましたが、2023年の合格率はたったの35.2%。
100人受験したら、 35人程度しか合格しないという計算です。受験会場に10人いたら、6~7人は不合格になってしまいます。
それだけ難しい資格ということです。
一次試験の合格率は60.6%、二次試験は56.9%
酒ディプロマ試験の合格率を、一次試験、二次試験ごとに見てみると、一次試験の合格率は60.6%、二次試験は56.9%となります。
二次試験のほうが、論述やテイスティングがあるからか、合格しにくいようです。
また、一次試験に合格した同じ年に、二次試験に合格する、いわゆる「一発合格」が難しい試験と言えるでしょう。
酒ディプロマ取得のための効果的な勉強法
酒ディプロマ試験に合格するためには、どのように勉強すればよいのでしょうか。
ここでは、酒ディプロマ取得のための効果的な勉強法について解説します。
【酒ディプロマ取得のための効果的な勉強法】
- 独学なら教本と過去問題集を活用する
- スクールを利用すれば短期間で効率的に学ぶことができる
- 日常生活で日本酒を味わう習慣をつけることも大切
- 3~6ヶ月集中して学習する
- 毎日1〜2時間の学習を継続する
- 過去問などの頻出問題を分析し、テーマごとに知識を整理しておく
独学なら教本と過去問題集を活用する
酒ディプロマ試験の試験対策としては、「独学」と「試験対策スクールの活用」の2種類があります。
コストをかけずに独学で対策する場合には、教本と過去問題集を活用するとよいでしょう。
独学で重要なのは、インプットとアウトプットをバランスよくこなすことです。
はじめのうちは、知識が増えていくので、インプットが面白くなり、知識を詰め込むだけで試験対策としてのアウトプットに割く時間が少なくなってしまう傾向があります。
インプットした知識は、過去問や練習問題でのアウトプットをすることにより定着していくので、インプット・アウトプットのサイクルを繰り返すことが効果的です。
スクールを利用すれば短期間で効率的に学ぶことができる
試験対策スクールでは、過去の出題傾向などを分析して独自のカリキュラムに沿って対策してくれるので、コストをかけた分、合格率が上がるでしょう。
スクールを利用すれば短期間で効率的に学ぶことが可能です。
試験対策にコストをかけられる方は、はじめからスクールを活用することも効果的な対策でしょう。
日常生活で日本酒を味わう習慣をつけることも大切
酒ディプロマの試験対策としては、日常生活で日本酒を味わう習慣をつけることも大切です。
二次試験のテイスティング対策として、日常生活から日本酒を味わっておけば、分析的なテイスティングができるようになるまでに、そう時間はかからないでしょう。
日常生活で日本酒を味わう習慣を身につけた方にとっては、試験対策としてポイントを押さえた反復訓練をすれば、さらにテイスティングの質が上がることが期待できます。
3~6ヶ月集中して学習する
試験対策として最も重要なことは、試験前に3〜6ヶ月集中して学習することです。
はじめのうちだけ集中して学習しても、人が覚えておける期間には限りがあります。
試験前に3〜6ヶ月集中して学習することにより、試験当日に充分な実力が発揮できるように対策しておくことが可能です。
毎日1〜2時間の学習を継続する
「継続は力なり」
毎日1〜2時間の学習を継続することで、知識が徐々に増えていきます。
3日間集中して学習して、 3日間何もせず休むことを繰り返しても、知識は定着しません。
毎日コツコツと積み上げていく学習方法が、試験対策としては効果的です。
過去問などの頻出問題を分析し、テーマごとに知識を整理しておく
一次試験、二次試験ともに、過去問などを分析し、頻出問題を抑えて、テーマごとに知識を整理しておくことも重要な対策の1つです。
たとえば、以下のような内容を参考にまとめておきましょう。
【酒ディプロマ試験対策として押さえておきたいテーマ】
- 課税移出数量や海外輸出数量
- 酒米の収穫量ランキングや誕生年、掛け合わせ品種
- 県ごとの清酒全体や特定名称酒のランキング、酒造場数、生産品種、酒米タイプ(自給自足など)、日本酒製造の歴史、銘柄の味の特徴
酒ディプロマのまとめ
ここまで、酒ディプロマという資格に関して、どのような資格なのか、どのようにすれば資格取得ができるのか、試験の内容、難易度や合格率、勉強方法などをご紹介させていただきました。
日本酒や焼酎の資格には、「唎酒師」のように、日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)が認定する資格と、今回の記事でご紹介させていただいた「酒ディプロマ」に代表される一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A.)が認定する資格があります。
どちらの団体の資格も、酒類関連事業に従事している、あるいは従事したいと考えている方にとっては、できれば取得しておいた方がいい有益な資格です。
特に今回ご紹介した「酒ディプロマ」は、世界で注目されている日本酒を世界に向けて紹介できる資格ですので、国際的な評価も高く、今後、世界を舞台に活躍することも考えているのであればぜひチャレンジしておきたい資格でしょう。
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