耳が痛い...でも重要な「マネジメント」の極意!


一族で代々受け継がれてきた家業である造り酒屋。

「親父にやり方を教わった」
「子供の頃、蔵で遊んでいるうちになんとなく覚えた」

など、造りや経営の方法に関しても世襲し、詰めが終わった瓶を運んだり、放課後に直売所の店番をしたり、掃除をメインで担当するところから始まって、できる人の後ろをずっとついて歩いていた、などのようにして仕事を覚えたという蔵元さんも多いのではないでしょうか?

令和の日本においては、醸造機械の技術革新、コロナ禍における業界全体の混乱、デジタル技術へのパラダイムシフトなど、あらゆるものが目まぐるしいスピードで変化し、短期的に結果を出すことが求められるようになっています。そのため、「我流で試行錯誤して習得する」や「見て覚えろ」などといった旧来の方法が遠回りになってしまっている恐れがあります。

とくに、製造業である酒蔵においては、「造り」「おいしさ」の方が優先度が高く、重要視されがちな印象です。

一つの要素だけでは成果の上がりづらいこのご時世。
「おいしい」×「販路」=「売上アップ」
のように、
「あなたの蔵の得意分野」×「マネジメント」=「成長」
となるべく、
成果を出す経営のための、「マネジメントの極意」をお伝えします!

【極意1】スピーディな仕事のために「3回待つ」

経営者として杜氏に打診をしても、なかなか動いてくれなくて困った、という経験はないでしょうか。なぜが動いてくれないかという理由はいくつか考えられますが、「やらされ仕事だととらえ、自分ごとだと思っていない」という点が最大の問題でしょう。

誰しも、人から言われたことには積極的に取り組めません。小学生が宿題をやろうとした瞬間に、お母さんから「宿題やったの?」と言われると、途端にやる気が失せる構造と同じです。

自分ごとにするテクニックとして、「3回待つ」という方法があります。例えば、あなたが「新商品として木桶で生酛造りを始めたい」と話しても、「そうですね...(また社長がなんか言い出した...)」などと思われ、その真剣度合いはなかなか伝わりません。そこで少し時間を置いて「やっぱり、うちのラインナップには生酛が必要だと思う」と話します。

2回言われたことで、杜氏も「もしかして、生酛は本気なのかもしれない」と思います。すると、「じゃあ、もしうちで生酛を始めるとしたらどんなものになるだろう」と、ぼんやりと考え始めます。また時間が経ってから「やっぱり、生酛やろう」と言うと、「実は私もこういうものを考えていて……」と提案が生まれます。

相手から企画を出した瞬間、それは杜氏の「自分ごと」になります。一見、時間がかかるように見えますが、人は自分ごとの仕事に取り組む時、最速スピードを出せます。初めにあえて「待ち」の時間を作ることで、取り掛かってからの速度を上げることができるでしょう。

【極意2】年配者には「命令」でなく「相談」をする

ご自身の過去の経験を振り返ってみてください。誰かに相談されると「自分のことを信頼してくれた」「頼りにされている」という喜びから、一生懸命考えてあげたり、何か行動をしたりしませんでしたか?相談という行為には、相手に好感を持たせて行動させる効果があります。

特に、年上のメンバーとのコミュニケーションに役立ちます。「これをやってください」と命令すると反発を生みやすいですが、「実はこういうことをやろうと思っているんですが、どう思いますか?」と相談すると、前向きに考えてもらいやすくなります。その後、この考えが別の方に否定された時、自分の代わりに戦ってくれることさえあるでしょう。

経験豊富なベテランの方は「自分は長年、蔵を支えてきた」という自負があります。そのため自分の知らないところで物事が決められると、それが間違っていないと思っていてもつい反対してしまうこともあります。そういった無駄なトラブルを防ぐためにも、「命令」を「相談」に変換してみてください。

【極意3】「あの人が言うなら」というポジションを得る

ナポレオンは「吾輩の辞書に不可能という文字はない」という名言を遺しました。この言葉が後世まで受け継がれているのは、フランス革命後の混乱を収めてヨーロッパ大陸の大半を支配下に置いたという圧倒的な実績があるためです。もし彼がうだつの上がらないその日暮らしだったら「いいから働け」と一蹴されただけでしょう。

つまり、結局は「何を言うか」より「誰が言うか」の方が大切です。これは裏を返せば「あの人が言うなら間違いない」というポジションさえ取ってしまえば、あとは何を言っても大抵のことは受け入れられることを意味しています。マネジメントをする上で、こうしたポジションを得られるかどうかは非常に大きなポイントです。

そして「あの人が言うなら」と思われるために必要なものは、派手な何かではありません。「一つひとつの仕事に真摯に向き合う」ことです。社員からついていきたいと思われるような理想の経営者像を固めて、そこに少しずつ近づいていけば、「社長が言うなら」と動いてくれる社員に変わっていきます。

【極意4】「データが足りない」と言い訳せずに決断する

最後に、耳が痛いけれども、最も重要なことをお伝えします。

独立・起業などによって自らの意志で経営者となる人が世の中に存在する一方で、蔵元さんの場合は、心のどこかに「自分が継ぐのかな」という想いを抱えながら、人生を歩んできた方も多いでしょう。また、「絶対に継がない」と別の道を歩もうとしたが、先代の病気や早逝、家族会議やケンカの結果により思いがけず、従業員や蔵人の人生に責任を持つことになってしまった方もいます。

突然、家業という事業の経営者となり、蔵の人間関係、先代のやり方と違うといった反発、組合の会合に始まる横の付き合い、先祖代々受け継いできた環境への失望...今までに経験したことのない様々な困難が降りかかってきたことでしょう。このあたりの、スタッフと上手に仕事を進めるマネジメントの極意については、先の【極意1~3】でお伝えしました。急な就任の場合、経営者になる準備も整わず、必要となる決断力の基盤を整える時間もなかった、仕方なかったといえるかもしれません。

しかし、日本のサラリーマン組織といった環境下では、「自身には責任と権限がないから何もできない」と思っている若手や中堅が多いのが実情です。だから自分が出世して偉くなれば、組織をマネジメントできると信じています。ですが実際は、権限と責任が増えるほど、何もできなくなるケースが驚くほど多いのです。

組織のトップである社長にもなれば、基本的にはすべてを自分の判断で決められるはずです。

ところが多くの人は最終決裁をする立場になった途端、怖じ気づき、「データがないから決められない」と言い訳をし、「新規に取引する会社の場合は、もっと詳しい情報が必要だ」「この販売数量の分析が甘いからやり直せ」と部下に命じて、決断を先送りにするのです。周囲との合議制で意見のすり合わせや集約しか実施してこず、上の人間が判断してくれることに慣れきった人が、いきなり「今日から自分で最終的な意思決定を」と言われても、その重圧に耐えることができないのです。

経営者には決断すべきタイミングがあります。

データが整った結果、「わが社において清酒事業は100%勝ち目がない」と知った後には、何が待っているでしょうか?

最悪の場合、倒産、リストラ、事業再生、役員解任、M&A...あなたが蔵を、先祖から受け継いだ家業を、蔵人の人生を守ることができなかったという未来です。そうなる前に先を予見し、早い段階で意思決定するからこそ、経営を維持できるのです。未来のことを決める「意思決定」=「経営判断」であり、経営者における最も重要な役割です。

共通点は「他責」ではなく「自責」

4つの極意をご紹介しましたが、すべてに共通するのは「他責」ではなく「自責」の目線で考えることです。「トップである社長の指示を、きちんと聞かない社員が悪い」と相手の責任にするのではなく、「指示を聞いてもらうには、自分はどう変わればいいのか」と自分の責任として考えています。

マネジメント能力は生まれ持ったものではなく、自分自身で磨くしかありません。常に経営者という一番上の立場にいることを忘れず、高い目線を持つことが大切です。全体を統括する立場として、一つの案件や部門にとらわれず包括的に会社を見ていきましょう。

酒造業に特化したアンカーマンでは、コーチャーとしてあなたのマネジメントに伴走します。

新たな取り組みへの二人三脚でメンバーのやる気を引き出し、自発的な課題解決のための仕組みづくりによってコロナ禍における変革への一歩を踏み出したクライアント様の事例をご紹介します。

来期の造りが始まる前に、あなたの蔵も、経営基盤を整えましょう。

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