ホワイト企業に学ぶ「求人アピール」あなたの蔵はできている？ 

※2025年3月31日更新

現在の採用市場は、求職者に有利な「売り手市場」です。求人企業は、パイ（若く優秀な人材）を奪い合う環境で採用活動を行わなければなりません。 

求人企業が、欲しい人材を獲得したいなら、求職者の動向を把握し、それに応じた効果的な採用戦略を立てて、採用活動を行うことが求められています。 

効果的な採用戦略の中でも、求人広告や求人票で企業の魅力や強みを伝えて応募者を惹きつける「求人アピール」が重要です。 

求職者の多くは、「ブラック企業を避け、ホワイト企業に就職したい」と考えている昨今。 

ホワイト企業を研究すれば、応募者を惹きつける求人アピールが行えるということになります。 

今回は、ホワイト企業とは具体的にどういう企業かを考察することにより、求人アピールのポイントを探求していきましょう。 

 ホワイト企業とは 

求職者に関心の高い「ホワイト企業」。 

「給料が高い？残業が少ない？福利厚生が充実している？」 

「何がブラック？何がホワイト？」 

皆さんは、「ホワイト企業はどんな企業？」という問いにすぐに答えられますか。 
ここでは、ホワイト企業とは具体的にどのような企業かについて解説します。 

【ホワイト企業とは】

• ホワイト企業の定義 
• ホワイト企業認定制度 

ホワイト企業の定義

「ホワイト企業」とは、2010年（平成22年）頃から、労働環境の善し悪しをホワイトとブラックに分けランク付けしたり、2013年の新語・流行語大賞のトップ10に選ばれ、長時間労働やパワハラが横行する、働きたくない企業の代名詞とされた「ブラック企業」の対義語としても使われたりしてきました。 

「ホワイト企業は○○の企業」という明確な定義はありませんが、一般的には、労働条件や職場環境が良好で従業員が安心して働ける企業のことであると理解されています。 

しかし、ホワイト企業の捉え方は人それぞれです。 

たとえば、「残業時間が少ない」ことを、ワークライフバランスが取りやすいのでいいことと捉える人もいれば、稼ぎたいのに残業できないから悪いことと捉える人もいます。 

ちなみに、最近では、働き方改革の推進やパワハラ防止法（改正労働施策総合推進法）の施行などにより、長時間勤務やパワハラが常態化している「ブラック企業」が大幅に減少してきた反動で、残業が少なく労働環境は整っているものの、職場がゆるすぎて成長できないと感じている「ゆるブラック」というキーワードも聞かれるくらいです。 

このように、人によって働きやすい環境や重視する社内制度は異なり、ホワイトかブラックかは個人の主観によるということも押さえておきましょう。  

ホワイト企業認定制度 

厚生労働省や経済産業省などの各省庁は、従業員の福利厚生や職場環境の改善などについて、一定の基準を満たした企業を認定する「ホワイト企業認定制度」を設けており、「ホワイト企業」を判断する1つの指標となっています。 

ホワイト企業認定制度にはいくつかの種類があり、代表的なものは、以下のとおりです。 

種　　　類	所　官　庁	概　　　要
安全衛生優良企業認定 （ホワイトマーク）	厚生労働省	労働者の安全や健康を確保するための取り組みを高い水準で維持している企業を認定する制度
健康経営優良法人認定制度	経済産業省	地域の健康課題や健康増進の取り組みを積極的に実施している企業を顕彰する制度
ユースエール認定制度	厚生労働省	若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況が優良な中小企業を認定する制度
ホワイト企業認定	一般財団法人日本次世代 企業普及機構	企業のビジネスモデル、生産性、ダイバーシティ＆インクルージョン、ワーク・ライフバランス、健康経営、人材育成、リスクマネジメント、労働法遵守の7つの指標に基づいて評価される

求職者から見るホワイト企業の特徴 

求職者が就職・転職活動を行う際に、ホワイト企業かどうかを見極めるために注目しているポイントがあります。 
ここでは、求職者から見るホワイト企業の特徴について解説します。 

【求職者から見るホワイト企業の特徴】  

• 働く人のことを考えているか  
• 真摯な姿勢で情報開示を行っているか
•  仕事にやりがいが持てるか 

働く人のことを考えているか 

求職者が求人企業を見極める際に、「働く人のことを考えてくれている企業か」＝「従業員の心身の健康を大切にする制度や仕組みがあるか」ということを重視しています。 

「従業員の心身の健康を大切にする制度や仕組みの有無」に関する判断基準の主な具体例は、以下のとおりです。 

活躍機会が平等である データを活用することをおすすめします。 

• 残業が少ない
• 有給休暇を取得しやすい 
• 福利厚生が充実している
• 安定した給与・賞与制度がある
• ワークライフバランスを大切にできる制度がある 
• 女性の活躍の場がある
• 社員の定着率が良い 
• 教育制度・評価制度が充実している 
• 活躍機会が平等である   

真摯な姿勢で情報開示を行っているか 

採用活動において、求人企業が「真摯な姿勢で情報開示を行っているか」という点も、求職者が重視しているポイントの1つです。 

採用活動における求人票公開や面接の時点で、働く上での良い面、悪い面の両方を、嘘やごまかしをせずに正確な仕事情報として事前開示しているかということが見られています。 

求人企業側が、「これを言ったら、うちに来てくれなくなるのではないか」ということを隠して採用できたとしても、入社後のミスマッチにより、最終的には離職につながるなどの不幸な結果を招かないためにも、求人アピールにおける正確な情報開示は重要です。

仕事にやりがいが持てるか

求職者がホワイトかどうかを見極める上で、「仕事内容に対して自分なりのやりがいを感じられるか」という点を重視している傾向が見られます。 

「仕事にやりがいが持てるか」に関する判断基準の主な具体例は、以下のとおりです。 

• 仕事内容が想定しているキャリア目標と一致しているか 
• 仕事内容が自身が持つ原動力と一致しているか 
• 組織に貢献したいと思えるような社風や仲間か、社風が自身とマッチしているか 

ホワイト企業から学ぶ求人アピールのポイント 

求職者が求めるホワイト企業の特徴を理解した上で、欲しい人材を獲得するために有効な求人アピールを行うためには、どのような点に気をつければいいのでしょうか。 
ここでは、ホワイト企業から学ぶ求人アピールのポイントについて解説します。

【ホワイト企業から学ぶ求人アピールのポイント】 

• 独りよがりにならずに求職者のニーズに応える
• ターゲットを明確にし自社の強みをアピールする
• 前向きな姿勢で情報を開示する 

独りよがりにならずに求職者のニーズに応える  

求人企業から見た自社の強みを、ただいたずらにアピールしても、独りよがりになってしまい、求職者にスルーされてしまう可能性もあります。 

独りよがりにならず、求職者が重視する項目を把握し、ニーズに応えることが大切です。 

求職者が求めるホワイト企業の特徴を、自社の強みに変換して、アピール内容を考えるようにしましょう。

ターゲットを明確にし自社の強みをアピールする 

自社の魅力や強みを伝えて、応募者を惹きつける「求人アピール」を作成するためには、以下のようなステップで考えることが重要です。

• 採用したい人物像を具体化する＝経験・能力などのスキル面、年齢・性格、志望理由など 
• 自社の強みや魅力をリストアップ 
• 求職者にとってのメリットを探す 
• 自社の強みをストーリーにして表現する 

採用したい人物像を思い浮かべながら、ホワイト企業の特徴を踏まえて、自社の魅力や強みをターゲット人材に語りかけるつもりで求人アピールを作成するとよいでしょう。 

前向きな姿勢で情報を開示する 

ホワイト企業をイメージさせるためには、前向きな姿勢で情報を開示することも必要です。 

求職者に伝えたいことを理解してもらうためには、誰が読んでも理解できるように書くことや、入社後のイメージがわかるような内容にすることを意識しましょう。 

たとえ、求職者にとってマイナスイメージを与えるかもしれないといった情報でも、嘘やごまかしをするのではなく、前向きな表現にして情報開示することも必要です。 

たとえば、酒造りの仕事は、「冬場の寒い時期に朝早くから作業しなければならないこと」や「繁忙期にはなかなか休みが取れないこと」などについても、「温度管理をしやすい『寒造り』により飲み手の笑顔を想像することがやりがいにつながる」など、前向きな表現への転換をするなどの工夫を考えましょう。

まとめ

ここまで、ホワイト企業を考察することにより、求人アピールのポイントについてご紹介させていただきました。 

欲しい人材を獲得するためには、あなたの蔵や店の魅力を伝え、求職者を惹きつける「求人アピール」が必要であり、求職者のニーズに応えなければ効果的な「求人アピール」は作成できないということがおわかりいただけたと思います。 

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