「JAPANブランド育成支援等事業費補助金」の採択事例と実施事業概要を一挙公開!

※2022年6月14日更新

「グローバル市場」と言われて久しく、日本は島国気質からか、どうしても市場の目線も内へ内へと向かいがちですが、今や日本のアニメに代表されるように、商品の市場も国内だけではありません。日本酒が海外でも注目されている今、蔵元さんが海外展開を図るのにうってつけの補助金をご紹介しましょう。
その名も「JAPANブランド育成支援等事業費補助金」です。

このタイミングで、もうすぐ公募がはじまろうとしていますので、しっかりとチェックしておきましょう。というわけで、今回は、令和4年度当初予算「JAPANブランド育成支援等事業費補助金」に関して、採択事例と実施事業概要を一挙公開します。

JAPANブランド育成支援等事業費補助金とは

JAPANブランド育成支援等事業費補助金は、海外展開やそれを見据えた全国展開、インバウンド需要獲得に向けて、新規販路開拓等を目指す中小企業者等へ経費の一部を支援する補助金です。

この補助金は、中小企業庁が、「人口減少局面にある日本の国内市場だけでなく海外市場へ進出する重要性」と「海外展開を行う企業の生産性の高さ」を紹介し、海外での販路拡大を目指すあらゆる業種の中小企業者への支援事業を実施する一環として行っているものになります。

この補助金の申請の際に注意すべき点は、日本国内のみで販路開拓を目指す案件は補助対象外であるということです。国内の販路開拓に取り組む案件は、今後3年以内の海外展開を見据えたものに限り採択される可能性があるということを押さえておきましょう。

また、1社につき上限500万円の交付が期待できる補助金ですが、1社ごとにかさ上げして、同一グループなどで申請すれば最大で2,000万円の補助上限になり、次年度以降に再度申請すれば、同一の事業内容で最大3年間補助を受けることもできます。海外展開をしようとする事業者にとってはとてもありがたい補助金ですよね。

さらに、補助率も原則として経費の3分の2ですので、少ない自己資金で海外への挑戦が可能です。あなたのお酒を、海外の人にも知ってもらえるいい機会ではないでしょうか。しかも、いきなり海外への挑戦では不安だから、海外展開を見据えた全国展開からはじめたいという場合でも補助の対象となるから安心です。

「一度、海外に向けてお酒を売り出すことを考えたけれど、うまくいかなかったんだよなあ…」
「海外バイヤーって、みんなどこでどう知り合うのかな?」
「海外展開を前提として国内展開から先に始めたいのだけれど…」
「輸出事業を始めたいけれど、知識やノウハウもないし、相談できる相手もいないからなぁ…」

こんなお悩みを抱えている人には、持って来いの補助金なのです!

現在、公募の事前段階である支援パートナーの公募がはじまっていますが、実際の公募に関しては、6月から7月頃と言われています。申請はjGrantsでの電子申請になり、GビズIDプライムアカウントの取得が必要となりますので、まだ取得されていない方は、この機会に取得しておくことをおすすめします。

GビズIDプライムアカウントは、補助金の申請だけでなく、さまざまな行政手続きがオンラインで行えるようになりますので、取得しておくと何かと便利ですよ。GビズIDプライムアカウントの取得には、代表者の印鑑証明書などが必要で、作成には2〜3週間程度かかりますので、早めに準備しておくとよいでしょう。

「JAPANブランド育成支援等事業費補助金」制度概要はこちらをご覧ください

採択事例

補助金申請に関して、過去の採択事例を見ることで、事業計画書の作成要領や自身の補助金申請に参考になる気づきやコツを掴んだりといったことが可能です。

ここでは、過去のアンカーマンのJAPANブランド育成支援等事業費補助金に関するサポート実績として、5つの採択事例をご紹介させていただきます。事業計画のストーリーの作り方など参考にしていただければ幸いです。

採択事例①「地元の米と水を使った地酒の海外展開」

採択事例の1つめは、以下のとおりです。「地元の米と水を使った地酒の海外展開事業」に関する採択事例は、事業計画に、海外展開していく対象国、具体的なアクション、中期スパンでの入念な事業計画や効果などを盛り込み、一連のストーリーを持たせたことが功を奏した事例です。

(交付申請額)140万円
(事業計画の概要)
地域で生産された米や水を使った日本酒生産と、それを支える酒米生産の技術力を活かし、拡大する海外の日本酒市場での輸出促進の基盤を築いていく。事業計画には、市場獲得を目指す具体的な対象国を絞り込み、事業を取り巻く環境や活用しようとする素材や技術の可能性を客観的に分析し、明確なブランディング戦略を立案するための定性的・定量的目標を設定した内容を盛り込む。具体的には、対象国に赴き、現地でのアンケート調査・嗜好性分析などのマーケティングや現地飲食店や流通業者との商談などを実施する。また、売上拡大・新規顧客の獲得その他の事業効果や成果見込、次年度以降の事業計画なども網羅する。
(主な経費/補助対象経費)合計:149万6千円/140万円
以下、内訳旅費:海外市場調査のための宿泊費・航空券(32万4千円/30万円)マーケティング調査費:現地調査のための調査員手配(20万円/20万円)謝金:事業遂行のための専門家への謝金(64万8千円/60万円)委託費:外国語アンケートの作成費用(32万4千円/30万円)
採択事例②「新商品開発・ブランドサイト構築による商品競争力強化で全国に販路拡大」

採択事例の2つめは、以下のとおりです。「新商品開発・ブランドサイト構築による商品競争力強化で全国に販路拡大事業」に関する採択事例は、今後3年以内の海外展開を見据えた全国展開および国内のインバウンド需要に向けた取組みとして、新規販路開拓や新商品開発、ブランドイメージの確立等を目指した採択事例です。いきなり海外展開に向けた取組みでなくとも、事業計画のストーリーによっては、この補助金の採択の対象となるということがわかる事例なのでご参考にしてください。

(交付申請額)213万3千333円
(事業計画の概要)
新商品開発及び自社ブランドサイトの立ち上げによって、「中高年向け」「飲みづらい」等の焼酎業界特有のマイナスイメージを一新させ、商品競争力強化によって拡大する家飲み需要を獲得し、コロナ禍の影響を乗り越える。具体的には、既存webサイトのイメージ刷新および自社商品の紹介に特化したブランドサイトの立ち上げなど、「ブランディングの強化」に注力する。また、自社内でサイトの管理・更新などが可能なシステム「CMS」を導入したり、スマートフォンでも適度な大きさの画面で消費者が商品を閲覧できるようなwebサイトに改良したり、「web機能の強化」も推進する。これらの取組みにより、商品競争力の強化を図り、併せて実施する新規顧客への営業、試飲会・講習会への参加などによる販路開拓などで顧客ニーズの掘り起こしを図る。全国への販路拡大を模索するとともに、ブランドサイトの立ち上げによる明確なブランドイメージの構築と伝達を図り、今後3年以内に、web経由で世界の顧客とも取引したり、国内のインバウンド需要を掘り起こしたりできる。
(主な経費/補助対象経費)合計:499万4千円/454万円
以下、経費内訳(補助対象経費の内訳除く)広報費(440万円)ブランディング・webサイト作成支援(374万円)web広告運用支援(66万円)原材料等費(59万4千円)
採択事例③「酒蔵ツーリズムの促進」

採択事例の3つめは、以下のとおりです。この「酒蔵ツーリズムの促進事業」に関する採択事例は、過去に同じ補助金の採択を受け、既に海外展開に成功している蔵元さんの事例です。新たなプロジェクトを計画し、2回目の採択に成功したことに着眼してもらえればと思います。事業計画にストーリーがあれば、複数回の採択が受けられる可能性があることがわかるでしょう。

(交付申請額)500万円
(事業計画の概要)
現地小売価格の高騰という日本酒輸出の構造的課題を解決すべく、海外現地での嗜好性調査とクラウドファンディングによる商品開発力を活かして、インバウンド需要を切り口に外需獲得の仕組みを構築する。自社の複合的な直売施設を活用し、「日本酒テーマパーク」として、観光拠点化を目指し、酒蔵ツーリズムを促進させ、インバウンド需要に応えていく。事業計画では、自社の現状の事業を取り巻く環境および日本におけるインバウンド需要の獲得を目指すときの現状と課題ならびに活用しようとする素材や技術の可能性などを客観的に分析し、自社ホームページの刷新などインバウンド需要に向けた取組みに関する具体的な定性・定量目標を設定する。具体的には、自社ホームページへの予約や多言語対応などの機能追加・多言語パンフレットの作成・販路開拓の取組みなどの計画を事業計画に盛り込む。さらに、売上アップ・新規顧客の獲得といった自社の利益、顧客のニーズを満足させ、取引先にも利益をもたらすといった自社以外の利益、国内の観光資源の増加、雇用の創出、地域の魅力発信といった社会の利益などの事業効果や過去の取組みとの相違点、中期的なスパンでの事業計画なども記載する。
(主な経費/補助対象経費)広報費:950万円/750万円
以下、広報費内訳(補助対象経費の内訳除く)全体ディレクション費(90万円)ワイヤーフレーム設計(30万円)原稿作成費(40万円)WEBデザイン調整(260万円)デザインパーツ作成(250万円)多言語対応(60万円)撮影費(45万円)コーティング費(65万円)企画構成案・パンフレットデザイン(80万円)パンフレット印刷(20万円)ライティング費(10万円)
採択事例④「中国家飲み需要の獲得を目指した地酒の販路拡大」

採択事例の4つめは、以下のとおりです。「中国家飲み需要の獲得を目指した地酒の販路拡大事業」に関する採択事例は、コロナ社会での蔵元さんの新たな販路開拓のヒントとなる事例かもしれません。というのも、かつて日本へ旅行に来て日本食や日本酒に興味を持ったインバウンド客が、自国へ戻り、コロナの影響で来日できなくても、越境ECで日本酒を楽しめるビジネスモデルだからです。

(交付申請額)298万261円
(事業計画の概要)
市場獲得を目指す対象国を中国に絞り、コロナの再拡大などで増加している中国の家飲み需要獲得を目指し、中国向け越境ECモールへの新規出店や販促強化、輸出展示会出展による新規取引先の開拓などを模索する。事業計画には、中国向け市場の安定成長やプレミアム性の高い商品を求める中国の消費者動向など市場概況や自社を取り巻く事業環境などを客観的に分析し、さらに、中国では越境ECが活況であることなどから、中国の家飲み需要を獲得していくことに特化したビジネスモデルとすることを盛り込む。また、自社のお酒の高い醸造技術力と国際的な品質評価、さらにそれらに基づいたブランディングや企画開発などの強みを活かすこと、これまでの取組みからの課題なども踏まえ、具体的な取組みを定性・定量目標と照らして記載する。今後の中期的な目標と次年度以降の事業計画、各種事業成果の見込なども併せて事業計画に盛り込む。
(主な経費/補助対象経費)合計:491万7千432円/447万392円
以下、内訳旅費:展示会出展のための出張旅費(30万5千円/27万7千272円)広報費:越境ECサイトにおけるWeb広告の出稿(121万円/110万円)マーケティング調査費:中国ECS市場におけるマクロデータの取得と分析(110万円/100万円)展示会等出展費:展示会等出展費・サンプル商品輸送費(109万2千432円/99万3千120円)委託費:越境ECサイトへの新規出店のための各種外注費用(121万円/110万円)
採択事例⑤「越境ECサイトの構築と地酒のブランディング強化による海外販路拡大」

採択事例の5つめは、以下のとおりです。「越境ECサイトの構築と地酒のブランディング強化による海外販路拡大事業」に関する採択事例は、過去の同一補助金の支援で獲得した海外販路を見直し、コロナ社会に対応した新たな販路を拡大するといった蔵元さんの事例となります。海外展開を検討している蔵元さんにとっては、とても参考になる事例でしょう。ご参考にしてください。

(交付申請額)200万円
(事業計画の概要)
市場獲得を目指す対象国を香港・フランスに絞り込み、越境ECサイトを構築して、ブランディング強化に注力して、海外への販路拡大を図る。具体的には、越境ECサイト構築による香港・フランスの家飲み需要の獲得、自社Webサイトの抜本的なリニューアル(多言語化、イメージ刷新、レスポンシブWEBデザイン等の機能追加)によるブランディング強化などを実施する。これまで、香港・フランスの現地飲食店や酒販店に輸出しているが、コロナ社会において、日本同様海外でも外食の機会は減少し、家飲み需要が増えている背景から、新たな販路を探るべく越境ECによる販売展開をしていく。事業計画には、事業の成果見込や人員体制・資金体制なども盛り込む。
(主な経費/補助対象経費)広報費:330万円/300万円
自社Webサイトの多言語強化と機能追加以下、補助対象経費内訳全体ディレクション・デザイン費(80万円)CMS開発費(70万円)CMSコンテンツ・記事・商品登録費(20万円)デザインパーツ作成(40万円)コーディング費(90万円)

まとめ

今回は、もうすぐ公募予定の輸出に活用できる「JAPANブランド育成支援等事業費補助金」について、実施事業概要と採択事例をご紹介させていただきました。補助金の採択を勝ち取るには、公募要領どおりの手続きで申請することと、事業計画にストーリー性を持たせることが何より重要です。

今回の採択事例をご覧になって、
「うちもチャレンジしてみようかな…」
「そろそろコロナも落ち着いてきたし、インバウンド需要も取り込めるかも…」
「ホームページのリニューアル気になってたんだよねぇ…」
などお考えの蔵元さん!ぜひ、一度アンカーマンに相談してみては、いかがでしょうか。

アンカーマンには、「もの補助(ものづくり補助金)」だけでなく、「JAPANブランド育成支援等事業費補助金」についても数多くの採択サポート実績があります。海外展開やインバウンド需要の獲得に少しでもご興味ある蔵元さんは、お気軽にアンカーマンにご連絡してください。

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