画期的!!「キッズメニュー」で「お子様」を蔵のFANにするメリット

※2022年9月11日更新

今回のコラムのタイトルをご覧になって、「あれ?」と思われている方もいらっしゃるかもしれません。

「酒蔵の経営でキッズメニュー?」
「アルコールの飲めないお子様を蔵のファン(FAN)にする?」

一見、不可思議に思えるこれらのキーワードや考え方が、酒蔵の経営をさらに進化させるかもしれません。

今回は、酒造業以外の飲食業界でも、既に取り入れられている目からウロコの画期的なマーケティング戦略をご紹介させていただきます。

マクドナルドが『ハッピーセット』を販売する理由とは

まずは、マクドナルドが「なぜハッピーセットを売るのか?」ということから紐解いていきましょう。
ここに答えが隠されているのです。

子どもをターゲットにしたさまざまな戦略

マクドナルドは、創業当時から、子どもをターゲットにしたさまざまな戦略を仕掛けています。
現在でも残っている子どもをターゲットにした戦略の主なものは以下のとおりです。

  • ハッピーセット(本やおもちゃがおまけ)
  • おもちゃリサイクル
  • 子ども用の遊び場やアトラクション『プレイランド』(現在はコロナ禍で店舗によって一時閉鎖)
  • マスコット(ピエロ)『ドナルド・マクドナルド』
  • お仕事体験『マックアドベンチャー』(現在はコロナ禍で一時休止)
  • お店でお誕生日会『バースデーパーティー』
  • バースデープレゼント『バースデーキッズ』

ハッピーセットは利益が少ない

子どもをターゲットにした戦略では、目の前の利益はあまり期待できないかもしれません。
ハッピーセットは、ハンバーガー・ドリンク・サイドメニュー・おまけ(本やおもちゃ)のセットで、価格は500円前後です。
原材料費その他の経費(人件費、光熱費、消耗品費、輸送費、広告宣伝費など)を考慮すると、利益が少ないことが予想できます。

なぜハッピーセットを売るのか?

利益が少ないにもかかわらず、なぜマクドナルドはハッピーセットを売るのでしょうか?
それには、先を見据えたマクドナルドの驚くべき経営戦略があるのです。

理由①親がターゲット

子どもは、ハッピーセットのおまけ目当てにマクドナルドへ行きたがります。
当然、親が子どもと一緒に来店するので、ある意味、「子どもは親を連れてくる」という見方ができるでしょう。
ハッピーセットは薄利ですが、親をターゲットにして、大人向け商品で利益を上げることができます。
子どもをターゲットにすることで、その向こう側の親をターゲットにできることが、マクドナルドがハッピーセットを売る理由の1つなのです。

理由②ブランドの刷り込みで将来の見込客を確保

「味覚は幼少期で決まる」と言われていますが、味覚には、本能的に好む味と経験で好きになる味があるのです。
食経験が少ない味は、「食べ慣れない味=嫌い」と判断し、逆に子どもの頃によく食べたものは、「なじみの味=好き」に変化します。
また、人間は子どもの頃に楽しい体験をしたことは、大人になっても覚えていて、楽しい体験とともに、そのときの場所や食べた物を覚えていることも事実です。
子どもの頃から、「家族と一緒にマクドナルドへ行って、楽しく過ごした体験を積み重ね、食べ慣れたハンバーガーやサイドメニューの味を知らぬ間に好きになること」こそが、マクドナルドが薄利と引き換えに獲得しようとしている「ブランドの刷り込み」「将来の継続的な消費者としての見込客の確保」なのでしょう。
ハッピーセットの販売には、マクドナルドの重要な顧客管理(CRM)としての「顧客囲い込み」というマーケティング戦略の1つとして、3才~14才までを対象とした「フードの味の記憶づけ」という明確な目的があるのです。

理由③顧客ロイヤルティの向上

顧客ロイヤルティとは、忠誠心「Loyalty」から派生した概念で、企業に対する信頼や愛着を表す指標です。
顧客が商品やサービスを受けるとき、顧客の期待を上回る感動体験を提供することで、顧客満足度が高まり、顧客ロイヤルティが向上します。
顧客ロイヤルティが高まると、リピート率や顧客単価が向上し、口コミによる宣伝効果が期待できるなどのメリットがあるのです。
ハッピーセットは、安いのに、おいしいハンバーガーやドリンク、サイドメニューだけでなく、話題のアニメやキャラクターのおまけまで付いてくるといった、子どもにとっては夢のような商品。
マクドナルドが、利益が薄くてもハッピーセットを売る理由は、親も含めて顧客ロイヤルティを高められるからです。

『すき家』はなぜ『吉野家』を追い越せたのか?

大手牛丼チェーン3社といえば、『すき家』『吉野家』『松屋』ですが、かつて国内シェアNO.1の座は長年『吉野家』が守っていました。
『すき家』が『吉野家』からトップの座を奪ったのは2008年のこと。
今でも首位の座を明け渡していません。
なぜ、『すき家』は絶対王者の『吉野家』を追い越せたのでしょうか?
その理由を探ることが、酒蔵の経営にも役立つのです。
さっそく解明していきましょう。

『すき家』が行ったポジショニング戦略とは

『すき家』がとった重要な施策の1つに「ポジショニング戦略」があります。
市場における自社商品(またはサービス)のポジションを、戦略的に決定するのが「ポジショニング戦略」です。
どのように自社のポジションを決定するのかといえば、自社商品(またはサービス)が優位性を持てるポジションを作って、ターゲット顧客に他社と差別化されたイメージを植え付けるマーケティングを行います。
ポジショニング戦略のメリットは、既に成熟していて自社のシェアを伸ばせないと思える市場でも、ターゲット顧客(潜在顧客も含む)のニーズを正確に把握し、かつ競合商品(またはサービス)を分析することで、さらなる売上拡大チャンスに到達できる期待ができる点です。

「男飯」から「ファミリー向け」へイメチェン成功!

かつての牛丼屋といえば、学生や働く男たちが「さっと入店して、ちゃっちゃっと飯をかき込んで、さっさと退店していく」イメージではないでしょうか。
いわゆる「早い・うまい・安い」の「男飯」。
このファストフードの市場では、『すき家』はライバル『吉野家』に長年勝てませんでした。
『すき家』は、なんとか「学生や働く男性」がターゲットの「男飯」のイメージからの脱却・新たな顧客層の開拓を図るために、緻密な市場分析を行いました。
そして、まだ当時、どの牛丼屋も開拓していなかった「ファミリー層」「女性客」をターゲットにしたポジション変更を試みたのでした。
結果として、このチャレンジは成功します。
「男飯」から「ファミリー向け」「女性や子どもが気楽に外食を楽しめる牛丼屋」へのイメージチェンジに成功したのです。

『すき家』はどう戦ったのか?

『すき家』がイメチェンをどのように成功させたのかといえば、1つは戦う場所の変更。
当時、牛丼屋は、「早い・うまい・安い」を実現するために、価格競争が激しく、薄利多売商法でした。
そのため、店舗の立地も駅前や繁華街など人の往来が多く、回転数が上がる立地にあったのです。
しかし、ターゲットを「ファミリー層」に向けるなら、家族が車で来られる大型駐車場を備えた郊外型店舗である必要がありました。
そこで、郊外型店舗の出店に注力したのです。
さらに店内環境の整備も同時に行いました。
カウンター中心の回転数を意識した店舗の内装から、テーブル席の増設や子ども用チェアの設置、女性や子ども向けのメニューの開発などにシフトチェンジしたのです。
結果的には、これらの戦略とともに、価格戦略や期間限定商品の提供戦略などあらゆる戦略が功を奏し、幅広い顧客層が来店するようになり、顧客単価もアップし、ライバル『吉野家』を逆転できました。

『すきすきセット』で子どもをファンに!

今では、当たり前のようになっているファミリー向けの牛丼チェーン『すき家』。
『すき家』がファミリー向けにイメチェンできたのも、女性や子どもをターゲット顧客としてメニュー改定などさまざまな戦略を行ってきたからです。
その中でも、子どもをターゲットにした戦略の1つにおもちゃなどのおまけで子どもを囲い込む戦略があります。
『すき家』にも、マクドナルドのハッピーセットと似たような子どもを虜にするセット商品があるのです。
その名も『すきすきセット』。
牛丼やカレーにジュースやくだもの、さらにおもちゃ(子どもが好きな話題のアニメキャラクター関連商品)が付いて、価格は500円前後。
おもちゃの種類もたくさんあるので、子どもを『すき家』のファンにすることができます。

酒蔵でお子様をファンにする企画

マクドナルドやすき家の事例を参考にして、お子様をファンにすることが、マーケティング戦略において効果が期待できる戦略の1つであることがわかっていただけたと思います。
酒蔵でも、お子様を蔵のファンにすることで大きなメリットが期待できます。
そこで、酒蔵では、どのような企画でお子様をファンにすることができるかを考えていきましょう。
いわば、「キッズメニュー」で「お子様」を蔵のファンにする企画です。
酒蔵でお子様をファンにする主な企画は以下のとおりです。

  • 酒蔵見学
  • 学校とコラボした工場見学
  • 蔵開き
  • お祭り
  • 甘酒等のアイテム

以下、順に解説します。

酒蔵見学

1つめは、ファミリーをターゲットにした酒蔵見学です。
酒蔵を見せるだけでなく、親向けに試飲会の企画、ひな祭りや端午の節句などに絡めて子ども向けに甘酒の試飲会やイベントの企画などを盛り込んで、家族で楽しく酒蔵を見学できるイベントにすれば、参加者も増え、お子様を酒蔵のファンにできるかもしれません。

学校とコラボした工場見学

2つめは、学校とコラボした工場見学です。
学校では、職業体験の課外授業の一環として、工場などの見学があります。
見学する工場に、お酒造りの工場である「酒蔵」を盛り込んでもらうのです。
学校の課外授業の一環として、子どもが酒蔵に足を運ぶ絶好の機会が得られます。
子どもたちにお酒造りを見てもらい、将来のターゲット顧客として体験をしてもらうことが大切です。
学校の授業などでお酒の詳しいことを知れば、日本酒に興味が湧き、最低限の知識を得てもらえるだけでなく、甘酒などを試飲することにより、子どもでもお酒に対する抵抗をなくしてもらい、おいしいと思ってもらえる体験をしてもらうことで将来の潜在顧客化が期待できます。
日本酒離れしていると言われている若者の生の声でも、「学生時代に日本酒のことを学べる学習機会があればよかった」などの意見も聞かれます。
あなたの蔵の伝統を、蔵元さん自身が堂々と講義をしてください。それが一番、効果があるのです。

蔵開き

3つめは、家族で参加できる「蔵開き」イベントです。
1月の「蔵開きイベント」として、家族で参加できるイベントの企画もファミリー層を囲い込むにはいい機会となるでしょう。
「鏡開き」体験会や甘酒や日本酒の試飲会や催し物などを企画すれば、家族で楽しく時間を過ごしてもらえるイベントとなるはずです。
子ども向けに簡単なお仕事体験として、お酒造り体験会などの企画もおもしろいかもしれませんね。

お祭り

4つめは、家族で参加できる「お祭り」の開催です。
「家族で参加できる」「女性や子どもが楽しめる」イベントの企画として、「お祭り」は欠かせないのではないでしょうか。
「地元のお祭り」「日本酒の日のお祭り」「季節ごとの暦に合わせたお祭り」などを企画して、事あるごとにファミリー層を新たなターゲット顧客として関係づくりができる機会を増やすことが大切です。

甘酒等のアイテム

5つめは、子どもをターゲットにした甘酒等のアイテムを活用した試飲会などの体験会です。
若者の生の声では、日本酒を好きになったきっかけが「子どもの頃に飲んだおいしい甘酒」という声もあります。
子ども向けに甘酒の試飲会などのイベントを企画するのも、子どもをターゲットにして親を連れてくる機会にもなるのでおすすめです。
もちろん、親など大人向けの日本酒利き酒試飲会なども一緒に開催するとさらに盛り上がること間違いなしではないでしょうか。

まとめ

「キッズメニュー」で「お子様」を蔵のFANにするメリットはご理解いただけたでしょうか?

次世代につながる画期的なアイデアだとは思いませんか?

「若者の酒離れが…」
「愛飲するアルコールの多様化が…」
ということもありますが、他の業界では、ずいぶん以前から、顧客満足度を高め、顧客ロイヤルティを高め、世代を超えて、ずっとブランドのファンでいてもらうための努力をしてきているのです。
酒造業界でも、今まさにリブランディングをして、支持され続ける「お酒」「ブランド」「蔵元」を再構築するときなのかもしれませんね。

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