解説!自社の「強み」と「弱み」の見つけ方

※2022年9月6日更新

「今ある自社の強みと弱みは何ですか?」

そんな質問を投げかけられた時、あなたはいくつ思いつきますか?

「弱みはすぐ思いつくけど、強みというとなかなかね・・・。」なんて方もいるのではないでしょうか。

すでに多くの方が認識されているかと思いますが、自社のことを正確に理解し、評価することは企業の成長のために重要な要素の一つです。

自社の強みと弱み、正しく理解できていますか?

なぜ、自社分析が必要なのか

自社分析は、今後の経営計画を策定していくための出発点です。

顧客から継続的な発注があるという状況は、その会社・商品に魅力があり、競合よりも勝っているからです。
また、自身では当たり前だと思っているようなことであっても、市場から評価され、選ばれていることは、客観的に見てそれは商品・サービス価値の一つであり、強みになります。

自社を正しく理解することで、その強みを強化していくのか、または、弱みをどう補完していくのかなど、今後の方向性や取り組むべきことが見えてきます。

例えば、スターバックスは1995年に日本に進出していますが、その前に自社の強みと弱みについて分析を行い、日本進出を検討しています。

分析で見えた強みは

・高級感がある
・おしゃれな雰囲気、空間
・コーヒーのおいしさへのこだわり
・居心地のよさ
・丁寧な接客サービス
など。

一方、弱みは「他社にくらべて価格が高く、庶民的ではない」こと。
競合であるドトールコーヒーの強みは「庶民的」であること。
そのほか、ファミリーレストランやコンビニエンスストアなども、間接的な競合にあたります。

スターバックスの顧客ニーズの中には、「ゆっくりと過ごしたい」「おしゃれなお店でおしゃれな時間を過ごしたい」という声があったため、「価格勝負ではなく、居心地の良さやサービスの質」を優先し、現在のポジションを確立したのです。

このように、客観的な事実を正しく捉え、整理することで、

・自社にとって有利なポジションは何か
・競合と差別化ができるポイントは何か
・解決すべき課題は何か

が明確になり、効率的に勝てる戦略を作り出すことができるのです。

強み・弱みの見つけ方(3C分析)

自社分析を行う代表的な方法の一つとして「3C分析」があります。

3C分析とは、3つのC、「顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」のそれぞれをデータとして徹底的に抽出していく方法です。
この3Cは”戦略”の3つの要素ともいわれています。

戦略とは・・・

・自分の会社の持てる強さというものが、競争相手に対して相対的に最も優位になるような形で、お客さんの求めているものを持続的に提供すること

・顧客の求めているものを競争相手は提供しにくいが、自分の会社は提供しやすい、あるいは提供したときに自分の会社のほうがコスト的に優位であり、こういった相対的に優位なものを継続的に提供すること

※「ストラテジック・マインド ─ 変革期の企業戦略論」(1982年、翻訳本は1984年、プレジデント社)/大前研一 著より

「3C分析」を行う手順

ここからは、どのように掘り下げていくか、手順についてお伝えします。

顧客(Customer)

まずは市場や顧客を知るところからはじめていきましょう。
ここでは、「自社の商品もしくはサービスを購入している顧客、または今後の可能性がある潜在顧客を把握すること」を目的としています。市場・顧客をしっかりと把握することで、どんな人に向けて売るべきなのか、どんな市場で戦うべきなのかを決める指標になります。既存の商品でも、訴求の仕方を変えることでターゲットを変えることも可能です。

・市場規模はどれぐらいか
・市場の成長性はどうか
・顧客の期待(欲求)は何か

同じ業界、市場の中でもターゲットの欲求は細かく分かれています。同じ商品・サービスを購入するとしても、そこにある目的や求めることは様々です。
どういった環境下で、どんなものを求めているのかを、顧客の目線で考えていくことが重要です。

競合(Competitor)

つづいて、競合について考えてみましょう。
競合分析の中で、大事なポイントは以下の2つです。

・特に気を付けるべき競合企業はどこか
・各競合の特徴は何か

まずどこが競合にあたるのか、というところから考えてみましょう。
競合の中でも「直接競合」と「間接競合」があります。
「直接競合」は同じサービスを提供している企業になります。
「間接競合」は販売しているサービスは違っても、ターゲットの同じ悩みを解決できるものや、同じような価値があるサービスを提供している企業になります。

たとえば、日本酒の蔵元であれば、同じように日本酒を製造している蔵元が「直接競合」になります。
一方、「間接競合」はビールや焼酎、ワインといった酒類全般はもちろん、顧客ターゲットによっては、ノンアルコール飲料を製造している企業も該当します。
競合が選定ができたら、各社の商品の概要や特徴をまとめてみましょう。

・どんな商品を売っているのか
・ターゲットに対してどんな価値を提供しているか
・どんな売り方でアプローチしているのか
・いくらで売っているのか

他の企業を細かく分析することで、「他の企業に負けない」ためのヒントを探っていきます。

自社(Company)

最後に自社について、考えていきましょう。
サービスの優位性や売り出し方などを分析していきます。その中で押さえておくべきポイントは下記です。

・あなたのサービスで解決できる悩みや欲求は何か
・どんな価値、未来を与えることができるのか
・どんな売り出し方をしているのか、そしてその結果はどうだったのか
・いままでの実績はどうか
・他社にはない特徴や、これだけは負けない!というものは何か

「それほどすごくない・・・」と、思っていることでも、他の企業でやっていないことならそれは1つの特徴になります。
「そういっても、特に思いつかないな・・・」という場合は、競合分析の内容と照らし合わせて、違いなどをさぐってみましょう。
普段、当たり前と感じていることも、切り口や見る角度をかえてみると、「すごい!」となることもあるかもしれません。

例えば、
・創業350年の歴史がある
・酒蔵が国の「登録有形文化財」に指定されている
・酒米はすべて地元の農家から買い付けを行っている
・使用している水は美味しいと定評があり、県外から求めて汲みにくる人もいる
・酒造りはすべて昔ながらの製法のまま変わっていない
など…

「それって、うちだけじゃないよね…」というものでも、まずは特徴として挙げられるものをピックアップしてみましょう。

それでも「なかなか出てこない!」という方は、下記の質問を参考にしてみてください。

・商品を作るときに大切にしていることは何か?
・サービスでこだわっていることは何か?
・創業からどのくらい経っているか?
・なぜこの価格にしているのか?
・他社ではやっていないが、自社がやっている事は何か?
・逆に、敢えて自社ではやっていないことは何か?
・継続している事柄は何か?
・どのような客層が多いか?
・最近お客様に喜ばれたことはどんなことか?
・お客様が困っていることで、自社が解決の助けになっていることは何か?
・社員やメンバーがやる気になる瞬間はどんな時か?
・トラブルを防ぐために工夫していることは何か?

これらの問いに答えていくと、当たり前に行っている業務の中に、工夫やこだわり、心を込めていることなどが見えてきます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。3C分析に正解はありません。
まず、ここで大事なのは、客観的な事実を洗い出して、自社の特徴は何なのか、市場の中でどういった位置にいるのかをしっかりと把握することです。
そして、何を強化すべきか、または解決すべき課題は何かを明確にし、これから進むべき道、採るべき戦略を明らかにしていきましょう。

「でも、分析って具体的にどう進めたらいいの?」
「ちょっと難しそうだな…」

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