マイクロブルワリーの開業方法を徹底解説!必要な資格や許可、資金調達方法も紹介
近年、クラフトビールが人気を博し、マイクロブルワリーが注目されています。
クラフトビールの人気の波に乗ってマイクロブルワリーを開業したいと思っている人は多いはず。
街中でも見かけるようになったマイクロブルワリーを開業するためには、どのような準備をすればよいのでしょうか。
今回は、マイクロブルワリーの開業について、メリット、必要な資格や許可、必要な資金や調達方法、成功させるためのポイントなどを解説します。
- 1. マイクロブルワリーとは
- 1.1. マイクロブルワリーの定義
- 1.2. マイクロブルワリーの特徴
- 1.3. マイクロブルワリーの歴史
- 1.4. マイクロブルワリーの現状
- 2. マイクロブルワリー開業のメリット
- 2.1. 独自のクラフトビールを醸造できる
- 2.2. 地域コミュニティとの結びつきを深められる
- 2.3. ビールを通じて喜びを提供できる
- 3. マイクロブルワリー開業に必要な資格や許可
- 3.1. 酒類製造免許の取得
- 3.2. 食品衛生法に基づく営業許可ほか
- 4. マイクロブルワリー開業に必要な資金
- 4.1. 物件取得費・内装費
- 4.2. 醸造設備費
- 4.3. 免許や許可の取得費用
- 4.4. 運転資金
- 5. マイクロブルワリー開業のための資金調達方法
- 5.1. 日本政策金融公庫等の融資
- 5.2. 補助金
- 5.3. クラウドファンディングや投資
- 6. マイクロブルワリー開業を成功させるポイント
- 6.1. 立地や周辺環境を調べる
- 6.2. 賃料や初期費用を計算する
- 6.3. スペースの広さや設備を考える
- 7. マイクロブルワリー開業のまとめ
マイクロブルワリーとは
まずは、マイクロブルワリーとは何かを知るところからはじめましょう。
ここでは、マイクロブルワリーの定義や特徴、歴史や現状について解説します。
【マイクロブルワリーとは】
- マイクロブルワリーの定義
- マイクロブルワリーの特徴
- マイクロブルワリーの歴史
- マイクロブルワリーの現状
マイクロブルワリーの定義
マイクロブルワリーとは、クラフトビール(多様で個性的なビール、別名「地ビール」)を醸造する小規模な醸造所のこと。
ビールを醸造する場所を「ブルワリー(ビール醸造所)」と呼ぶことに対して、、クラフトビールを醸造する小規模なブルワリーという意味で、マイクロブルワリーと呼びます。
なお、マイクロブルワリーの定義に関して、日本ではアメリカ(年間生産量15,000バレル以下)のように明確に定まってはいません。
ちなみに、マイクロブルワリーよりも小規模なビール醸造所のことを「ナノブルワリー(ピコブルワリー)」と呼びます。
マイクロブルワリーの特徴
クラフトビールは、モルト(麦芽)・ホップ・水・酵母の4種類の基本原材料に、職人技を駆使してフルーツその他さまざまな副原料を合わせ、品質・風味・醸造技術などに違いを持たせた一般的なビールとは違った多様で個性的なビールのこと。
味へのこだわりが強いクラフトビールファンを主な顧客層とするマイクロブルワリーは、こだわりを説明しながら提供できるように、「ブルーパブ(店内で醸造・提供するパブ)」併設スタイルも多いようです。
マイクロブルワリーの歴史
マイクロブルワリーの歴史は、ビール製造免許に必要な年間最低製造量の大幅引き下げ(2000㎘から60㎘に緩和)が実施された1994年酒税法改正をきっかけとして、小規模なビール醸造所の開業が可能となったことからスタートします。
町興し目的とも相まって全国的な「地ビール」ブームとなり、全国に数多くのマイクロブルワリーが誕生したのです。
しばらくすると、ブルワリーの技術不足もあり、ブームも下火となりますが、生産技術の向上や消費者ニーズの変化などにより、2017年頃より第2次ブームとして、近年のクラフトビールブームへとつながります。
マイクロブルワリーの現状
クラフトビール業界における重要な存在となったマイクロブルワリーの数は増え続け、2024年3月現在では、全国に800箇所以上あると言われています。
日本のビール市場におけるクラフトビールの販売シェアはまだまだですが、それでもマイクロブルワリーを訪れて、クラフトビールを楽しむクラフトビール愛好家は増えていますし、大手ビールメーカーも、一部クラフトビール市場に参入してきました。
今後、クラフトビール市場は、さらに競争が激化していくと予想され、マイクロブルワリーは、商品開発力やマーケティング戦略において、さらなる差別化が必要になってくるでしょう。
クラフトビールについてくわしく知りたい方は「クラフトビールの製造に必要な設備投資を徹底解説!ブルワリー開業費用や資金調達方法とは?」をご覧ください。
マイクロブルワリー開業のメリット
マイクロブルワリーを開業するのは、簡単なことではありません。それでも、近年、マイクロブルワリーが増えている背景には、マイクロブルワリー開業のメリットがあるからでしょう。
ここでは、マイクロブルワリー開業のメリットについて解説します。
【マイクロブルワリー開業のメリット】
- 独自のクラフトビールを醸造できる
- 地域コミュニティとの結びつきを深められる
- ビールを通じて喜びを提供できる
独自のクラフトビールを醸造できる
なんといっても、マイクロブルワリー開業の一番のメリットは、独自のクラフトビールを醸造できるといった点でしょう。
醸造家として、自身の追い求めるクラフトビールを製造することは、マイクロブルワリーを開業してこそできるからです。
地域コミュニティとの結びつきを深められる
マイクロブルワリーを開業すれば、地域コミュニティとの結びつきを深められます。
マイクロブルワリーは、地域に根ざした事業です。マイクロブルワリーで行われるクラフトビール製造事業は、大手メーカーが製造する一般的なビールのように全国に向けて広く販売する形態よりも、地域の顧客に向けて販売していく形態を想定しています。
地域イベントへの参加、地域の特色・文化を取り入れたクラフトビールの開発などを通じて地域住民との絆を深め、地域コミュニティとの結びつきを強固なものにしていく必要があるでしょう。
ビールを通じて喜びを提供できる
マイクロブルワリーを開業して、おいしいクラフトビールの提供を通じて、喜びも一緒に提供できるといったメリットがあります。
特に「ブルーパブ」を併設すれば、製造したばかりのビールを顧客に提供し、喜んでもらえる様子を直接見ることも可能です。
また、新商品のフィードバックを受けたり、クラフトビールのこだわりを説明して、ファンを増やしたりする機会も増えるでしょう。
マイクロブルワリー開業に必要な資格や許可
マイクロブルワリーを開業するためには、いくつかの資格や許可が必要です。
ここでは、マイクロブルワリー開業に必要な資格や許可について解説します。
【マイクロブルワリー開業に必要な資格や許可】
- 酒類製造免許の取得
- 食品衛生法に基づく営業許可ほか
酒類製造免許の取得
マイクロブルワリーを開業するためには、酒税法で定められているクラフトビールを製造するための「酒類製造免許(酒造免許)」を所管の税務署長から取得する必要があります。
酒造免許の種類は、自身が作りたいクラフトビールの内容によって、以下のとおり「ビール製造免許」と「発泡酒製造免許」の2種類があるので注意しましょう。
年間製造量 | 麦芽使用率 | 副原料使用率 | |
ビール製造免許 | 60㎘以上 | 原料の50%以上 | 5%以下(認められた副原料のみ) |
発泡酒製造免許 | 6㎘以上 | 原料の50%未満 | 5%以上 |
なお、酒類製造業者が製造した酒類を製造場内で販売する場合には、酒造免許以外は不要なので、マイクロブルワリーでクラフトビールを製造・販売するケースでは、酒造免許のみの取得で事足ります。
酒造免許についてくわしく知りたい方は「酒類製造業とは?始めるために必要な免許や許可を取るための手続きを解説」をご覧ください。
食品衛生法に基づく営業許可ほか
マイクロブルワリーを開業するためには、酒造免許を取得するほか、食品衛生法に基づく「酒類製造業の営業許可」の取得も必要です。
また、「ブルーパブ」などを併設する場合には、さらに保健所から飲食店の営業許可も必要となるので注意しましょう。
さらに、飲食店の営業が午前0時を超える場合には、所管の警察署に「深夜酒類提供飲食店営業届」の提出も必要となります。
マイクロブルワリー開業に必要な資金
マイクロブルワリーを開業するためには、どのような資金が必要なのでしょうか。
ここでは、マイクロブルワリー開業に必要な資金について解説します。
【マイクロブルワリー開業に必要な資金】
- 物件取得費・内装費
- 醸造設備費
- 免許や許可の取得費用
- 運転資金
物件取得費・内装費
マイクロブルワリー開業に必要な資金として、物件確保のための物件取得費と内装費があります。
物件取得費は、広さや立地条件、取得形態(購入・リース・レンタルなど)により異なり、たとえば、飲食スペース併設物件を賃貸する場合には、初期費用として、契約金・保証金(賃料の数ヶ月分)のほか、前家賃、敷金、礼金、仲介手数料などが必要です。
内装費として、醸造設備設置のための内装工事の各種費用があり、工事内容、物件態様、飲食スペース併設の有無などにより異なりますが、一般的には、数百万円から数千万円程度でしょう。
醸造設備費
マイクロブルワリー開業資金として重要な醸造設備費用があります。
マイクロブルワリーの醸造設備は、麦汁を作るためのマッシュタン、麦汁を煮沸するためのボイラー、発酵を行うためのファーメンターなどです。
ほかにも、麦汁製造用タンクやアルコール発酵用タンクなどのステンレス製タンクや、冷蔵庫、樽洗浄機、モルト粉砕機などの醸造設備機器や、清掃用具、品質管理用機器なども必要となります。
醸造設備費用は、規模や品質で違いますが、一般的には数百万円から数千万円程度です。
免許や許可の取得費用
マイクロブルワリー開業資金としては、免許や許可の取得費用もかかります。
酒造免許取得費用は、自身で申請手続きをする場合、免許1件につき 15 万円の登録免許税だけですが、行政書士に申請代行委託の場合には、さらに委託費用10万円〜20万円前後が必要となります。
そのほか、食品衛生法に基づく営業許可の取得費用は、新規であれば1万6,000円、更新であれば12,800円の申請手数料が必要です。
運転資金
マイクロブルワリー開業資金として、開業後の運転資金(ランニングコスト)も必要です。
ランニングコストとしては、原材料費、瓶・ラベル・栓代等、運搬費、販売手数料、人件費、マーケティング・広告費用、保険料、水道光熱費、通信費、旅費交通費、消耗品費、外注費などが挙げられます。
ちなみに、月間750ℓ製造の原材料費は、約50万円程度です。
マイクロブルワリー開業のための資金調達方法
マイクロブルワリーの開業資金はどのように調達したらよいのでしょうか。マイクロブルワリーの開業を検討している方にとっては気になるところです。
ここでは、マイクロブルワリー開業のための資金調達方法について解説します。
【マイクロブルワリー開業のための資金調達方法】
- 日本政策金融公庫等の融資
- 補助金
- クラウドファンディングや投資
日本政策金融公庫等の融資
マイクロブルワリーの開業資金の調達方法の1つに、金融機関からの融資があります。
融資は、返済しなければならず、利息も発生するので、きちんと事業計画や資金計画を立てた上で、借入期間や借入金額を決定しましょう。
マイクロブルワリー開業資金で融資を検討する場合、他の事業などで取引がない銀行等との取引は難しいことからすると、日本政策金融公庫や自治体の制度融資などの活用がおすすめです。
補助金
マイクロブルワリーの開業資金として、補助金という資金調達方法もあります。
専門的かつ煩雑な申請手続きがある補助金ですが、融資のように返済の必要がないので活用しやすい資金調達方法といえるでしょう。
マイクロブルワリーの開業資金に活用できる主な補助金としては、「ものづくり補助金」「小規模事業者持続化補助金」「国税庁補助金」などがあります。
くわしくはアンカーマンまでお気軽にご連絡ください。
補助金診断はこちらをご覧ください。
クラウドファンディングや投資
マイクロブルワリーの開業資金をクラウドファンディングや投資で調達するという選択肢もあります。
クラウドファンディングは、インターネットで不特定多数の人々に呼びかけ、プロジェクトや目標額、条件を提示して、購入・寄付・金融などの形態で少額ずつ資金を調達する方法です。
「手軽」「拡散性が高い」「テストマーケティングにも使える」などのメリットがある反面、「寄付型(返礼品の有無)」「融資型」「購入型」「ファンド型」「株式投資型」など形態がさまざま、目標金額に到達しないリスク、委託業者への成功報酬が高額となるなどのデメリットもあります。
他方、投資は、補助金と同様、返済が不要というメリットがある反面、投資家を探すのか大変、投資家への配当などきちんと契約で投資条件を明確にしておかないと、後々トラブルになるリスクなど、デメリットもあるので注意しましょう。
マイクロブルワリー開業を成功させるポイント
マイクロブルワリーを開業して成功させるためには、いくつかのポイントがあります。
ここでは、マイクロブルワリー開業を成功させるポイントについて解説しましょう。
【マイクロブルワリー開業を成功させるポイント】
- 立地や周辺環境を調べる
- 賃料や初期費用を計算する
- スペースの広さや設備を考える
立地や周辺環境を調べる
マイクロブルワリー開業のポイントとして、事前に立地や周辺環境について入念な調査が不可欠です。
自身が製造するクラフトビールのターゲットなる顧客層が足を運んでくれる環境かどうかを見極めて、開業場所を選定しましょう。
賃料や初期費用を計算する
マイクロブルワリーを成功させるためには、マーケティング戦略や事業計画、資金計画をきちんと練ることが必要です。
事業計画や資金計画を考える際には、安定経営できるように、損益分岐点を計算する前提として、開業時のイニシャルコストだけでなく、開業後のランニングコストを含めて、賃料や初期費用を計算しましょう。
スペースの広さや設備を考える
マイクロブルワリーを開業する際には、開業後の業務効率化、生産性向上などを考えて、スペースの広さや設備を考える必要があります。
特に設備に関しては、独自の味わいや風味で差別化を図るクラフトビールを製造するためには、どのような設備を導入するかは非常に重要です。
マイクロブルワリー開業のまとめ
ここまで、マイクロブルワリーの開業について、メリット、必要な資格や許可、必要な資金や調達方法、成功させるためのポイントなどをご紹介させていただきました。
マイクロブルワリーを開業するためには、事業計画や資金計画など入念な準備が必要です。
特に、開業資金の調達に関しては、開業時のイニシャルコストだけではなく、開業後のランニングコストも含めて余裕を持って調達しましょう。
本記事でご紹介した資金調達方法を組み合わせて調達することも必要です。
アンカーマンでは、マイクロブルワリーを開業を検討している方に向けて、開業資金の調達に関する補助金申請サポート、開業後のマーケティングサポートやブランディングサポートなどさまざまなサポートをご用意しています。
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