睡眠不足で脳が老化?!「寝ずの番」なしでもおいしいお酒を造るコツ
※2025年1月23日更新

酒蔵の仕事では、昔から「麹担当の寝ずの番」が当たり前でした。
働き方改革が注目される昨今、日本酒の醸造工程における睡眠不足を招く働き方がどうなのかという議論があります。
「良質のお酒を造りたい」という蔵元、杜氏や蔵人たちの想いがある反面、睡眠不足によるさまざまなリスクも考えなければなりません。
今回は、酒蔵での働き方を考える上で、酒造工程における睡眠不足を引き起こす仕事のことや睡眠不足が引き起こすさまざまなリスク、酒蔵における働き方改革の必要性、「寝ずの番」なしでもおいしいお酒を造るコツなどを解説します。
- 1. 酒造りは睡眠不足との戦い
- 1.1. 酒の質は麹(こうじ)と醪(もろみ)の温度管理で決まる
- 1.2. 良質な酒を造りたいなら寝ずの番が当たり前
- 2. 睡眠不足のリスク
- 2.1. 睡眠不足で脳が老化
- 2.2. 睡眠不足が人間関係を悪化させる
- 3. 酒蔵における働き方改革の必要性
- 3.1. 労働環境の改善
- 3.2. 効率的な生産体制の構築
- 3.3. 人材確保と育成
- 3.4. 企業の持続可能性
- 4. 「寝ずの番」なしでもおいしいお酒を造るコツ
- 4.1. 働き方改革による労働環境の改善
- 4.2. 自動管理システムの導入により夜間労働の廃止
- 4.3. 酒類事業特化人材紹介サポートの活用による人材の確保
- 5. まとめ
酒造りは睡眠不足との戦い
酒造りは、冬場の早朝から作業を行い、重労働も多いことから、「きつい仕事」だと言われています。
中でも、一部の工程では、 「24時間管理」が求められるため、何人かで交代で作業を担当する「寝ずの番」が発生し、睡眠不足になりがちです。
ここでは、酒造りの工程における睡眠不足を引き起こす仕事について解説します。
【酒造りは睡眠不足との戦い】
- 酒の質は麹(こうじ)と醪(もろみ)の温度管理で決まる
- 良質な酒を造りたいなら寝ずの番が当たり前
酒の質は麹(こうじ)と醪(もろみ)の温度管理で決まる
「酒の質は麹と醪の温度管理で決まる」と言われるほど、酒造りの工程において、麹と醪の温度管理は重要です。これら2つの要素が、酒の風味や香り、アルコール度数に大きな影響を与えるからです。
麹室の平均室温は34度に保たれ、他の菌が入らないよう厳重に管理されています。
麹菌の繁殖による発熱で温度が変わるため、杜氏(とうじ)や蔵人(くらびと)は、温度計で頻繁に麹の温度を点検し、発酵の調整を行います。発酵が進むと麹自身が発熱するため、温度管理を怠ると品質に影響を与えるからです。
醪の温度も重要で、発酵の進行具合や酵母の活動に影響を与えます。
温度が高すぎると発酵が急激に進みすぎ、低すぎると発酵が遅れてしまうからです。適切な温度管理により、安定した発酵が進み、理想的なアルコール度数と風味を持つお酒が醸し出されます。
良質な酒を造りたいなら寝ずの番が当たり前
麹づくりには48時間かかり、その間、杜氏や蔵人は2〜3時間ごとに温度を確認し、ほとんど寝ずの番をします。
麹は酒造りの工程で頻繁に使われ、毎回この工程が繰り返されるのです。
醪に関しても、発酵が進むと温度が上昇するため、夜間でも頻繁に温度を確認し、調整を行わなければなりません。
酒蔵では、酒造りが本格化する冬場に、何日も交代で「寝ずの番」を行うことになるため、杜氏や蔵人の睡眠時間が不足しがちになってしまうのです。
醸造現場において、良質なお酒を造るためには、「麹と醪の温度管理」が重要であり、「寝ずの番が当たり前」として考えられている酒蔵が少なくありません。
睡眠不足のリスク

「睡眠不足は体に悪い」ということは、誰もが知っているはず。具体的には、睡眠不足になると、どのようなリスクがあるのでしょうか。
ここでは、睡眠不足が引き起こすさまざまなリスクについて解説します。
【睡眠不足のリスク】
- 睡眠不足で脳が老化
- 睡眠不足が人間関係を悪化させる
睡眠不足で脳が老化
睡眠不足は、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
睡眠不足になると、脳の機能や代謝、内分泌の機能が低下したり、自律神経の活動が弱まったりします。また、血圧や血糖値が上がりやすくなるため、糖尿病や心疾患などの病気にかかりやすくなるといった心配も。
睡眠不足の症状が現れるのは、睡眠時間が2時間以上不足した状態が2日以上続いた場合などで、個人差があり、6時間未満で元気な人もいれば、8時間以上の睡眠が必要な人もいます。
たとえば、最近の欧米の研究では、「1日眠らないだけで脳年齢が1〜2歳も老化する」ということが判明しました。
睡眠不足になると、「怒りっぽくなる」「記憶力が低下する」「判断力が鈍る」など、脳の老化現象が体現されてしまいます。
ちなみに、脳の老化現象は一晩しっかりと眠れば回復するとのことですが、継続的な睡眠不足は、さらなる老化を招くので注意が必要です。
睡眠不足が人間関係を悪化させる
睡眠不足は、健康に害を及ぼすだけでなく、人間関係を悪化させる原因にもなるということが研究により判明しています。
睡眠不足は孤独や社会的孤立とも関係があると言われ、睡眠不足の人は他人との接触を避ける傾向があり、社会的関与も減少するといった研究結果も報告されているほどです。
継続的な睡眠不足になると、職場での人間関係もうまくいかなくなり、円滑に仕事をすることが困難になってしまう可能性があります。
適切な睡眠を確保することは、脳を若々しく保ち、社会的な繋がりを維持するためにも重要です。
酒蔵での仕事においても、睡眠を大切にすることで、より良い生活と健康を手に入れ、円滑に酒造りを行うことができ、結果として良質な酒を造ることにつながるでしょう。
酒蔵における働き方改革の必要性

「働き方改革」とは、労働環境や労働条件を見直し、従業員がより働きやすい職場を実現するための一連の取り組みや政策のこと。
酒蔵では、過重労働や長時間労働が問題視されており、働き方改革はこれらの問題を解決するための手段として重要視されています。
ここでは、酒蔵における働き方改革の必要性について解説しましょう。
【酒蔵における働き方改革の必要性】
- 労働環境の改善
- 効率的な生産体制の構築
- 人材確保と育成
- 企業の持続可能性
労働環境の改善
杜氏や蔵人が寝ずの番を続ける酒蔵では、長時間労働や夜勤が常態化しているため、労働者の健康や生活の質に悪影響を及ぼし、さまざまなリスクが生じる可能性があります。
労働環境を改善しないまま放置していると、従業員の健康問題、労働生産性の低下による作業ミスや事故の増加、離職率の増加、法的リスク、ブランドイメージ低下といったさまざまなリスクが心配です。
働き方改革によって、適切な労働時間の管理、休息の確保、健康管理、効率的な作業プロセスの導入を通じて、良質な労働環境を構築することが求められます。
効率的な生産体制の構築
酒造りには高度な技術と経験が必要ですが、働き方改革を実施し、最新の技術を取り入れることで、作業効率の向上が期待できます。
たとえば、温度管理や発酵プロセスを自動化するシステムの導入により、労働負担を軽減し、品質の安定化を図ることが可能です。
人材確保と育成
若い世代の酒造りへの興味を引き、酒蔵の後継者を育てるためには、働き方改革が不可欠です。
現代の若者は、「仕事と生活のバランス」を重視する傾向があるため、より良い労働環境を提供することで優秀な人材を確保することができます。
また、教育や研修の充実により、次世代の杜氏を育成することも重要です。
酒蔵の重要な経営リソースの1つである「人財」を確保するためには、働き方改革が必要となる場合もあります。
企業の持続可能性
働き方改革は、企業の持続可能性にも寄与します。
働き方改革により構築される健全な労働環境は、従業員のモチベーションや生産性を高め、離職率の低下にもつながるからです。
働き方改革により、労働関係の改善をすることで、長期的な視点で安定した酒蔵の経営を実現することができます。
酒蔵の持続可能性を高める上でも、働き方改革が不可欠です。
「寝ずの番」なしでもおいしいお酒を造るコツ
「睡眠不足は体に悪い」
「しかし、良質な酒を造る造るためには、睡眠不足になったとしても仕方がない」
何かいい解決方法はないのでしょうか。
ここでは、「寝ずの番」なしでもおいしいお酒を造るコツについて解説します。
【「寝ずの番」なしでもおいしいお酒を造るコツ】
- 働き方改革による労働環境の改善
- 自動管理システムの導入により夜間労働の廃止
- 酒類事業特化人材紹介サポートの活用による人材の確保
働き方改革による労働環境の改善
酒蔵の働き方改革により、労働環境を改善することで、「寝ずの番」なしでもおいしいお酒を造ることが可能です。
たとえば、醸造工程の順番や作業の見直しなどにより、早朝の始業時間を繰り下げたり、業務マニュアルの作成により、職場環境を整備したりといった工夫が考えられます。
労働環境の改善には、自社の業務フローを客観的に見直し、他社の製造現場を見学したり、これまでの手法が当然だという固定概念を捨てたりといった大規模な改革が必要です。
酒蔵の将来のために、聖域なき改革を行うことをおすすめします。
自動管理システムの導入により夜間労働の廃止
「寝ずの番」なしでもおいしいお酒を造る方法の1つとして、「酒蔵のDX化」も選択肢として考えられます。
たとえば、麹と醪の温度管理を自動化するために、自動温度管理機能を備えたシステムを導入することにより、タンクに設置されたシステムによる温度の遠隔監視が可能になり、深夜労働を廃止することが可能です。
「酒蔵のDX化」により、酒蔵における業務効率化だけでなく、従業員のモチベーションアップも図られ、時代に即した働き方改革が実現できます。
酒類事業特化人材紹介サポートの活用による人材の確保
「寝ずの番」をなくすためには、人材リソースを増やすという選択肢も解決策の1つです。
夜間勤務の人員を増やせれば、小まめに交代して、各人が睡眠時間を確保することも可能になります。
自社に適した優秀な人材を確保するためには、酒類事業に特化した人材紹介サポートの活用がおすすめです。
労働人口の2人に1人が45歳以上、ハローワークの年代別利用者も40歳以下が約40%、20代以下は約15%となっている現状がある中で、希少な若手人材を獲得するためには、大手酒造メーカーなどとも競合相手として捉えなければなりません。
今時の若者は、「求人・転職サイト」や「転職エージェント」を活用する傾向がある中で、もはやハローワークや無料の求人サイト中心の採用活動で人が集まらないといった状況です。ハローワークや一般の求人サイトなどでは、他業種に埋もれて酒類事業に就業したいという若手人材とのマッチングの機会を損失するリスクがあります。
その点、酒類事業に特化した人材紹介サポートを活用することにより、ピンポイントで自社に適した酒類事業に興味のある人材を確保することが可能です。
ぜひ、前向きにご検討ください。
まとめ
ここまで、酒蔵での働き方を考える上で、酒造工程における睡眠不足を引き起こす仕事のことや睡眠不足が引き起こすさまざまなリスク、酒蔵における働き方改革の必要性、「寝ずの番」なしでもおいしいお酒を造るコツなどをご紹介させていただきました。
酒蔵における働き方改革は、労働環境の改善、生産効率の向上、人材確保と育成、そして企業の持続可能性を実現するために重要です。
伝統を守りながらも、現代のニーズに応じた改革を進めることで、酒造業界全体の発展に寄与することができるでしょう。
「寝ずの番」なしでもおいしいお酒を造るコツとして有効なのは、設備導入をして酒蔵の「酒蔵のDX化」を図ること、酒類事業特化人材紹介サポートを活用して人材確保に努めることなどです。
アンカーマンでは、「地方の酒蔵でも、優秀な若手人材を確保したい」といった酒造業者さまの切なる願いを実現するため、酒類事業特化人材紹介サポート「酒蔵エージェント」を立ち上げました。
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