酒類事業者の採用計画の作り方~手順やポイント、ひな形までご紹介

※2024年11月20日更新

「造りの人員が足りない…」 

「得意先回りの人材がいれば…」 

などなど、酒蔵や酒販店などの酒類事業者が、ときに頭を悩ませるのが「人材の採用」ではないでしょうか。 

人材の採用・育成など、「ヒト」という経営資源の問題は、酒類事業の安定経営を図る上で解決しなければならない重要課題の1つ。 

酒類事業者が、失敗しない採用活動を行うためには、「採用計画」の作成が必要不可欠です。 

今回は、酒類事業者の採用計画の作り方について、酒類事業者の採用計画とはどのようなものか、採用計画立案の準備や具体的な作成方法、採用計画書のひな形や作成時のポイントなどについて解説します。 

酒類事業者の採用計画とは

酒類事業者が、採用活動を成功させるために、作成したほうがいいと言われている「採用計画」とはどのようなものでしょうか。 

ここでは、酒類事業者の採用計画とは何かについて解説します。 

【酒類事業者の採用計画とは】

  • 採用計画ってなに?
  • 酒類事業者の人材採用に採用計画って必要?
  • 酒類事業者の採用計画はいつ作るの?

採用計画ってなに?

「採用計画」とは、事業者が採用活動を行う前に作成する採用活動の指標となる計画のことです。

具体的には、「いつまでに」「どの部署に」「どんな人材を」「何名」「どのような方法で」採用するのかを明示した計画のこと。

もちろん、酒類事業者の事業内容や事業規模、事業の状況によって内容は変わりますが、一般的には次のような項目を含みます。

【採用計画の項目】 

いつまでに 採用スケジュール 
どの部署に 採用部署 
どんな人材を 採用ターゲット・ペルソナ 
何名 採用人数 
どのような方法で 採用コスト・採用方法 

酒類事業者の人材採用に採用計画って必要?

酒類事業者の人材採用を成功させるためには、なぜ採用計画が必要なのでしょうか。 

採用計画が必要な理由には、以下のようなことが考えられます。 

【採用計画が必要な理由】 

  • 自社に適した人材に効果的にアプローチし、確実に採用するため 
  • 計画的な採用活動を行うことにより、コストや期間を想定の範囲内に納めるため 
  • 採用計画を作成する上で、事業計画に基づく要員計画や人員計画などを作成する必要があり、自社の人材のリソースの問題点を客観的に見直せるため 
  • 就業後のミスマッチを防止し、定着率を高めるため 

酒類事業者の採用計画はいつ作るの?

酒類事業者が採用活動を行う際に、採用計画の作成時期はいつがベストでしょうか。 

採用計画を作成するタイミングは、新卒・中途の別や、事業者の態様や状況によって変わりますが、新卒採用の場合には、少なくとも選考開始時期よりも半年前以上、中途採用の場合には、採用時期よりも3~4ヶ月前以上に作成しましょう。

【注意事項】 

 25年卒採用以降の採用スケジュールに関して、「インターンシップからの選考直結」が実現するようになったため、実質的な選考解禁が前倒しされる可能性が高まっていることから、採用スケジュールが今よりも早まることも考えられます。 

新卒採用をお考えの酒類事業者さまは、新卒の場合の採用計画の作成時期を早めに考えておきましょう。 

酒類事業者の採用計画立案の準備

酒類事業者が採用計画を立案する前にはいくつかの準備が必要です。 

ここでは、酒類事業者の採用計画立案の準備について解説します。 

【酒類事業者の採用計画立案の準備】

  • 準備① 要員計画や人員計画の作成
  • 準備② 採用市場や競合他社の調査
  • 準備③ 自社の採用活動の分析および課題の把握

準備①要員計画や人員計画の作成

「採用計画」を作成するには、「事業計画」に基づいた「要員計画」※や「人員計画」※を作成するなどの準備が必要です。

※【要員計画と人員計画とは】

「要員計画」とは、事業計画実施するためには各部署に何名の人員が必要かという計画(主に人材の「量」に関する計画)

「人員計画」とは、各部署に必要な人数と人材要件など人員配置に関する計画(主に人材の「質」に関する計画)

具体的には、事業計画に基づき、人件費や予算、業務量、現場や経営層のニーズ、自社の従業員の過不足に関する現状分析との比較などから、部署ごとの「要員計画」を作成します。

作成した要員計画に基づき、各部署に必要な人数と人材要件、数年先までの退職予定や人事異動、採用予定などを考慮して「人員計画(人員配置計画)」を作成しましょう。

人員計画に基づき採用計画を作成することになります。

準備②採用市場や競合他社の調査

採用計画作成の準備として、採用市場の動向や競合他社の採用方法等を調査することは、自社の採用方法を客観的に分析する上で必要です。

採用市場の動向に関しては、自社がターゲットとしている人材に関して、地域、職種、業種ごとの求職者の母集団数や就業率、就業ルートなどを調査します。

また、競合他社の採用方法等の調査に関しては、同じ地域で同規模の競合する酒蔵(酒販店)や他の業態の会社などで、採用条件や待遇などが酷似している企業などの、求人票や求人広告を自社と比較するなどしてみましょう。

準備③自社の採用活動の分析および課題の把握 

採用計画を作成する準備として、自社の採用活動の分析や課題の把握も重要です。 

自社の採用活動に関して、求人や就職説明会への応募人数、選考通過率、採用目標達成率、入社後の定着率などの自社の採用活動に関する客観的なデータを集めて、自社の採用活動が成功しているのか、課題は何かなどを洗い出しましょう。 

具体的には、採用活動のフローの中で、どのプロセスで離脱している人が多いのかを分析することで課題が明確になります。 

採用フローごとの課題例や主な原因は以下のとおりです。 

【採用フローごとの課題例】 

採用フロー 課題事例 主な原因 
採用準備・計画 採用目標を達成できない ・採用活動を分析していない 
・採用計画を作成していない 
説明会・求人 説明会の参加者や応募者が少ない 求人媒体や訴求内容がターゲットが使用している媒体や求めている条件とずれている 
選考・内定 内定辞退者が多い フォローやコミュニケーションが不十分 
離職 早期離職者が多い ミスマッチが起きている 

酒類事業者の採用計画の作り方

酒類事業者が採用計画を作成したい場合、具体的にはどのようにして作成すればいいのでしょうか。 

ここでは、酒類事業者の採用計画の作り方について解説します。 

【発酵を管理するための酒造技術】

以下のステップを踏んで、最終的には採用計画書に落とし込みます。

    1. 採用目標の明確化および採用計画の準備の完了
    2. 人材要件の決定およびペルソナの設定
    3. 採用チャネルの決定
    4. 選考方法・採用スケジュールの決定

採用目標の明確化および採用計画の準備の完了 

採用計画書を作成する上で、採用目標を明確にすることはとても大切です。期日、採用部署、採用人数などの採用目標を明確にしておかないと、採用活動をしているうちに、自社の要員計画や人員計画にマッチしない採用をしてしまうリスクがあるからです。 

具体的には、要員計画や人員計画の作成、採用市場や競合他社の調査、自社の採用活動の分析および課題の把握などの「採用計画立案の準備」を完了することが必要となります。 

人材要件の決定およびペルソナの設定 

ターゲットする人材の質やレベルといった人材要件を決めておきましょう。 

人材要件には、採用時に絶対に必要な「Must要件」と、あればいいなといった程度の「Want要件」があり、優先順位を決めておきます。 

人材要件とは別に、必要としている人物像を明確にするために、年齢・性別・職業・年収・・生活エリア・ライフスタイル・家族構成・趣味などを詳細に設定した「ペルソナ(ターゲットとなる人材のリアルな人物像)」も必要です。 

ペルソナを設定することで、求人広告の作成や訴求内容の具体化に役立ち、面接時に注視する点も明確になり、入社後の現場のニーズと獲得した人材のミスマッチも防止できます。 

ペルソナを設定するには、採用したい部署の現場の声をヒアリングしたり、経営陣の意見を集約したりして、具体的な人物像を洗い出しましょう。 

たとえば、造りの人員を募集する際に、「普段は寡黙だが、必要があれば周囲とのコミュニケーションも取れる。頼まれた仕事は黙々とこなし、力仕事も積極的にこなす男性。醸造に興味があり、将来は責任者のポストも任せたい。」などの詳細な人物像がペルソナです。 

採用チャネルの決定 

ターゲットとなる人材が決定したら、採用チャネルを決定します。 

さまざまな採用チャネルがある中で、各チャネルのメリット・デメリットを把握し、自社の採用ターゲットに効果的にアプローチできるチャネルを選ぶことが大切です。 

具体的には、ターゲット人材が利用している採用チャンネルを選ぶことが、効果的なアプローチにつながります。 

主な採用チャネルのメリット・デメリットは以下のとおりです。 

【主な採用チャネルのメリット・デメリット】 

採用チャネル メリット デメリット 
ハローワーク ・コストがかからない 
・地域の求人に対応 
・若者の応募が少ない 
・自社で対応 
知人からの紹介 ・信頼が持てる ・件数が少ない 
求人広告 ・多くの人に訴求できる ・ターゲット人材の応募確率が低い 
・コストがかかる 
人材紹介 ・ターゲット人材の採用確率が上がる 
・担当者の業務負担軽減 
・コストがかかる 
・自社に採用ノウハウが残らない 
自社ホームページ ・自社に採用ノウハウが残る 
・ブランディングにも効果あり 
・担当者の負担が大きい 
・訴求できる人が限定的 
ダイレクトリクルーティング(スカウト型採用、SNS採用など・ターゲットに直接アプローチできる 
・運用次第でコスト削減 
・担当者の負担が大きい 

選考方法・採用スケジュールの決定 

採用チャネルが決定したら、選考方法や採用スケジュールを決めましょう。 

採用チャネルによって、どのような選考方法にするのか、書類選考や筆記試験の有無、面接の回数や形態、面接担当者などを決定します。 

採用スケジュールに関しても、新卒・中途によって、選考開始、内々定、内定、採用の時期などを具体的に決定する必要があるでしょう。 

特に、新卒採用のケースでは、インターンシップの有無、いつから選考を開始して、いつ頃内定を出すかなど、規制やルール、他者への流出なども考慮しながら注意して決定することが重要です。 

酒類事業者の採用計画書のひな形 

【新卒採用のケース】 

○○酒造 採用計画書(○年度新卒採用のケース) 

募集職種(人数) 製造職(正社員2名) 営業職(正社員1名) 
採用時期 ○○年○月末まで ○○年○月末まで 
人材要件①Must要件 学歴:大卒以上、醸造知識 学歴:大卒以上、業界知識 
人材要件②Want要件 日本酒に関する資格 日本酒に関する資格 
ペルソナ 大学生活における日本酒との関わり方から日本酒愛が伝わってくる人。杜氏を目指す夢のある人。 大学生活で何か1つに打ち込んだ経験のある人。ホスピタリティのある人
採用チャネル 自社ホームページ、求人サイトA社、人材紹介B社 自社ホームページ、求人サイトA社、人材紹介B社 
採用チャネル ○万円 ○万円 
選考方法(担当者) 書類選考(A氏)、筆記試験、1次面接(B氏)、2次面接(B氏・社長) 書類選考(A氏)、筆記試験、1次面接(C氏)、2次面接(C氏・社長) 
採用スケジュール 2月:採用計画の作成 
4月~9月:就職説明会・書類選考スタート、選考・筆記試験・面接・合否連絡(内々定) 
10月:内定 
2月:内定者研修会 
2月:採用計画の作成 
4月~9月:就職説明会・書類選考スタート、選考・筆記試験・面接・合否連絡(内々定) 
10月:内定 
2月:内定者研修会 

【中途採用のケース】 

○○酒造 採用計画書(中途採用のケース) 

募集職種(人数) 製造職(正社員1名・ アルバイト1名) 営業職(正社員1名) 
採用時期 2025年9月末 2025年9月末 
人材要件①Must要件 基礎体力、ビジネスマナー 営業経験、ビジネスマナー 
人材要件②Want要件 醸造知識、コミュニケーション力 業界知識、コミュニケーション力 
ペルソナ 継続力がある人。醸造に興味がある人。杜氏を目指す夢のある人 明るい人。物事に取り組む姿勢が前向きな人。人のために自分を犠牲にできる人。 
採用チャネル ハローワーク、求人サイトA社、求人サイトB社 ハローワーク、求人サイトA社、転職エージェントB社 
採用チャネル ○万円 ○万円 
選考方法(担当者) 書類選考(A氏)、1次面接(B氏)、2次面接(B氏・社長) 書類選考(A氏)、1次面接(C氏)、2次面接(C氏・社長)  
採用スケジュール 6月:採用計画の作成 
7月:採用活動スタート 
8月:選考・面接・合否連絡 
9月:内定・入社前フォロー・入社 
6月:採用計画の作成 
7月:採用活動スタート 
8月:選考・面接・合否連絡 
9月:内定・入社前フォロー・入社 

酒類事業者の採用計画作成時のポイント 

酒類事業者が採用計画を作成する際には、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。 

ここでは、酒類事業者の採用計画作成時のポイントについて解説しましょう。 

【酒類事業者の採用計画作成時のポイント】

  • 採用業務を効率化しよう
  • 採用チャネルの選択は特に慎重に
  • 酒類事業特化の人材紹介サポート活用のすすめ

採用業務を効率化しよう 

内閣府「令和4年版高齢社会白書」のデータによれば、今や、労働人口の2人に1人が45歳以上、酒類事業者がもっとも採用したい「25~34歳の若手の労働人口」は全体のわずか16.8%といった状況です。 

少ないパイを、大企業も含めた求人サイドで分け合うというより奪い合う状況下では、採用活動において、コストを投じて何かしらの対策を打ち出していかなければなりません。 

採用計画の立案からはじまり、求人広告の作成、書類選考、筆記試験や面接の実施、応募者との連絡など採用担当者に過度の負担がかかる中で、採用までのスピード感、応募者との丁寧なコミュニケーションなどは時を待ってはくれません。 

採用担当者が膨大な事務に忙殺されている間に、優秀な人材は競合他社に流出し、ターゲットの人材の採用が思うように進まないというリスクが発生してしまいます。 

対策の1つとして考えられるのは、以下のような採用業務の効率化です。 

【採用業務の効率化の事例】 

  • 応募者との連絡や求人データの取込などを自動化できるITツールの導入 
  • オンライン面談の実施 
  • 人材紹介サポートなどの採用業務の一部アウトソーシング 

採用業務を効率化することで、事業計画に基づいた要員計画や人員計画、採用計画の作成など、自社に適した優秀な人材に効率的にアプローチできる採用目標の明確化に注力できるようになります。

採用チャネルの選択は特に慎重に 

採用計画の中で、もっとも大切なことは、採用チャネルの選択です。 

採用チャネルの選択を誤ると、いたずらに採用活動の期間が伸び、自社がターゲットにしている人材が競合他社へ流出し、余分な採用コストもかかってしまうリスクがあります。 

採用チャネルの選択は特に慎重に行いましょう。 

自社のターゲット人材に効果的にアプローチするための採用チャネルを選択する際には、ターゲット人材が活用している採用チャネルを選択することです。 

たとえば、地方の酒蔵さんなどがよく利用している「ハローワーク」を例にとってみると、ハローワークの年代別利用者は、40歳以下が約40%、20代以下は約15%(独立行政法人労働政策研究所・研究機構のデータを引用)となっていて、若者はあまり利用してないことがわかります。 

さらに、若者が転職する際に利用しているツールは、「求人・転職サイト」が8割以上、「転職エージェント」が5割以上、「スカウトサービス」が2割以上(若者しごと白書2024のデータを引用)となっていて、若者は「求人サイト」や「人材紹介サポート」で転職することがわかるでしょう。 

酒類事業者が、若手の人材をターゲットするのであれば、若年層が利用している採用チャネルを選択することが正しい選択と言えるのではないでしょうか。 

酒類事業特化の人材紹介サポート活用のすすめ 

「若年層を人材採用のターゲットにするのであれば、若年層が利用している採用チャネルである『人材紹介サポート』を選択することが望ましい」とはいうものの、酒類事業に特化した人材紹介サポートが見受けられないのも事実。 

ということで、アンカーマンが立ち上げた新サービス、酒造業・酒販事業など酒類事業に特化した人材紹介サポート酒蔵エージェントを活用することをおすすめします。 

「酒蔵エージェント」は、酒蔵や酒販店など酒類事業に携わりたい人と酒類事業者をマッチングするサービスです。 

酒類事業者さまには、酒類事業に興味のある求職者を紹介し、酒類企業への就職・転職希望者には、求人企業を紹介するだけでなく、職務経歴書の作成支援や面接対策など各種フォローで手厚く就職・転職をサポートします。 

酒類事業者さまにとっては、「酒蔵エージェント」に集まる求職者は、酒類業界に興味があり、酒類事業に携わりたい人ばかりなので、一般的な人材紹介サポートとは異なり、酒類業界を志向する母集団が形成されるため、酒類事業者さまとのマッチング率が高くなるのです。 

「酒蔵エージェント」にかかる採用コストは、初期段階(求人情報掲載)では無料です。報酬形態は、完全成功報酬型であり、応募者の採用決定までは、一切コストが発生しない料金システム。 

業界初の酒類事業特化の人材紹介サポート「酒蔵エージェント」を活用して、あなたの蔵や店のターゲットなる人材に効率的にアプローチしましょう。 

酒類事業者の採用計画のまとめ 

ここまで、酒類事業者の採用計画の作り方について、酒類事業者の採用計画とはどのようなものか、採用計画立案の準備や具体的な作成方法、採用計画書のひな形や作成時のポイントなどをご紹介させていただきました。 

採用計画を作成することで、酒類事業者さまが採用したいターゲット人材への効率的なアプローチが可能になるだけでなく、想定した採用期間やコストの範囲内で採用活動が実施でき、採用目標の達成率もアップすることが期待できます。 

今回の記事でご紹介した採用計画作成時のポイントを押さえつつ、テンプレートも参考にしながら、採用計画を作成してみましょう。 

採用計画の作成において、ご不明な点などはアンカーマンまでお気軽にご連絡ください。 

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