チェックシート作成でわかる!あなたの蔵の「お客さんはどこにいる?」
※2022年6月23日更新
『おいしさには自信がある!もっと売れてもいいはずなのに…』
『この先、このまま続けていて大丈夫だろうか?』
『そもそも、コロナ前から売上は落ちていたような......』
『宴会需要に固執してないで、新しい売り先みつけるか!』
蔵元経営者なら誰しも、このような悩みや不安をお持ちではないでしょうか。
こんなときは、少し立ち止まって、あなたの会社を客観的に分析することが、解決への道しるべとなります。
そこで今回は、解決への道しるべの一助となりうる「お客さんはどこにいる?チェックシート」の作成方法をご紹介しましょう。これはあなたの蔵がどんな課題を抱えているのか、どんな解決策があるのかを整理するためのものです。以下の6つのステップで自社の情報を書き出してみると、きっと「次の一手」が見えるはず。問題を解決したい、目標を達成したいけど、そのためにどうしたらいいかわからないという方は、ぜひ参考にしてみてください!
まずは、お手元に、紙とペンを用意してください。
1.自分たちの周りにいるのは誰?
これから自社のことについてじっくり考えるわけですが、その前段階として、「自分たちの周りには誰がいるんだろう?」ということを整理してみましょう。これはつまり「業界における自社の立ち位置」を明らかにするということです。
先ほど用意した紙をチェックシートとし、自社の名前を書き、そのほか業界全体の関係する人・企業の名前を書きましょう。そして、仕事の流れも盛り込みます。自社の商品はどういう流れで動いているのか、他社はどうなのかなどを書くことによって整理します。また、これからチャレンジしたい商流や、もっと伸びそうだと思う新市場についても、アイデアとしてメモしておきましょう。
2.どんなお客さんがいる?
現在よりも事業規模を拡大時に、自分たちの商品を買ってくれるお客さんについて書きだします。酒蔵では主に、酒販店(卸・小売)、飲食店、そして個人のお客さんなどがいるでしょう。ここでは、酒販店など「自分たちのお酒を誰かに売るために買ってくれる人」を「直接顧客」と呼び、「実際にお酒を飲むために買ってくれる個人や団体」を「最終顧客」と呼びます。
この2つを整理することで、それぞれのお客さんに対して、自社がどんな課題を抱えているかが分かります。例えば、以下の3つのようなポイントが考えられます。
- 直接顧客が最終顧客から見放されているケース
酒販店に卸しているが、その酒販店はお客さんに「わざわざここで買わなくても、ネットで買えばいいや」と思われている、など。
- 直接顧客が最終顧客への販売ルートを持っていないケース
酒販店の店舗へのお客さんが減少しており、売上があがっていない、など。
- 最終顧客の市場が先細りのケース
「レストランでお酒を楽しむのではなく、食事も宴会も家でやろう」という風潮が強くなっている、など。
こういった厳しい状況のなかでどうすればいいかを考えるため、チェックシートには最終顧客と直接顧客について、以下の情報を書きこんでください。
【最終顧客(消費者)】
- 顧客の特徴(個人客:年齢、性別、居住地、年収、行動パターンなど。企業:地域・規模など)
- 顧客の要望(デイリーでリーズナブルに楽しめるお酒がほしい、SNS映えするお酒を探している、など)
- 顧客の現在の数と、これまでどう増減してきたか
- 利用する小売の種類(地酒専門店、スーパー、コンビニなど)
【直接顧客(取引相手)】
- 特徴(地域・規模・社長の年齢など)
- 要求(和食専門飲食店だから、和食に合うお酒がほしい。高所得者の住むエリアで酒屋をやっているから、大吟醸などの高級酒が欲しい。など)
- 経営状況・年間売上と増減
- 最終顧客に関する情報伝達態様
3.お客さんがあなたの日本酒を買う理由は?
あなたは服を買う時、どんな基準で選んでいますか?
かっこよさ?値段の安さ?縫製のクオリティ?セールになっているかどうか?
これらはそれぞれ「品質」と「価格」を表していますが、人によってどちらをどのくらい重視するかはそれぞれです。お客さんが日本酒を買う時も、品質と価格のバランスを考えているはずです。
そして、蔵元の数は年々減っていますが、それでも日本全国でたくさんの方が少しでもおいしいお酒にするべく、日々、酵母や品質を安定するために尽力しています。お客さんにとってはお酒のクオリティが上がるので喜ばしいことですが、蔵元さんからすれば、ライバルが日々増えてくることになります。
どの蔵元さんも、そしてあなたも、「うちのお酒は、ここがこだわりなんだ。これだけはどこにも負けない!」という気概で造っているはず。
その「負けない!」と思う理由を書き出してみましょう。
チェックシートには、最終顧客と直接顧客各々がお酒を購入する際、どの点をどれくらい重視すると思うかについて、以下の要領で記載します。
チェックシートに書くのは、下記の3つのポイントです。
- あなたのお酒のリピーターがお酒を選ぶ時、「価格」と「品質」をどのくらい重視していると思いますか。
それぞれ100点満点で表してください。 - あなたが今つくっているお酒は、どのくらいの価格感ですか。
10年前に作っていた商品の価格を100とすると、5年前の商品、一昨年の商品、去年の商品、今の商品はいくつになりますか。
また、他社の5年前の商品、一昨年の商品、去年の商品、今の商品はそれぞれいくつですか。 - あなたの蔵のお酒と他社のお酒を比較すると、自社のものはどのくらい優れていますか。
味、お得感、ブランドイメージ、ラベルのデザイン、納期、入手しやすさ、要望への対応などについて、自社を100とすると他社はいくつになりますか。
4.自社の商品はどうやってできている?
絞ったお酒ができ、ラベルを貼って出荷するまでには、複雑かつ多くの工程、大小のタスクがあり大変ですよね。その流れを、具体的に書き出してみましょう。
そして、「お客さまからの感想はいつ、どうやって得ている?」「お客さまからもらった情報をどの段階で検討している?」などを確認します。
また、「自分たちにはヒットする新商品を生み出すための企画力があるのか?」「より適切な価格で販売できるだけの交渉力があるのか?」といった点も考えてみましょう。
5.商品をつくってから売るまでに無駄はないか?
蔵元さんでの無駄といえば、例えば何年もタンクに置いて、結果熟成酒となってしまったお酒は在庫と捉えることができます。この在庫を処理するための時間や費用は、本来不要なもののはずです。また、小ロットでしか発送ができないクール宅配便などをもっと高効率にできたらよいのに、と思っている蔵元さんも多いことでしょう。
チェックシートには、以下の手順でメモしましょう。
- 先ほど書いた仕事の流れを表したサイクル図で、自社を二重線で囲み、取引先など関係が深い企業をグループとみなして点線で囲む
- 自社もしくはグループ企業で抱えているお酒を在庫と捉え、在庫の金額、在庫処理にかかる時間、加工される場合はその時間などを記入する
これからどうすればいい?
ここまでで、チェックシートにはたくさんの情報が集まりました。
改めて書き出してみると「意外と無駄が多いな」「もっと最終顧客を増やさなきゃ」など、次にすべき行動が見えてきませんか?
それらを整理して、シートの最後に書いておきましょう。
次の行動を決めかねている方のために、具体的な例をご紹介します。
- 材料費や人件費、在庫処理費などの無駄をなくす
- 直接顧客を変更・拡大する
- 他社やグループ企業と連携して、販売に繋げやすい新商品を開発する
- 商品の別の使用方法を考え、新たな最終顧客を得る
- 商品も直接顧客(取引先)も変更する
まとめ:漠然と考えるのではなく、一つひとつの要素をわけて考える
チェックシートを作ることで、市場や業界全体を広く見渡し、「自分たちの強みは何か」「どんなお客様がいるのか」などを改めて整理することができます。
課題を明らかにして次にどうするか、マーケティング戦略を考えることが、チェックシート作成の目的です。
チェックシートを作ると、自社の商品を誰にどうやって売ればいいのかという、ターゲティングができるようになります。「ターゲティング」とは、顧客層を限定してマーケティング戦略を立てることです。
単に市場を分析して顧客を絞り込めばいいというものではありません。あなたの会社の立ち位置を把握すること、あなたの会社のお酒やあなたの会社の仕事のやり方、強みや優位性を客観的に分析すること、顧客層を細分化し、対象顧客層を限定することができるようになります。
それをもとに、ターゲットとして選定した顧客層に最適なアプローチ方法で、最大限にあなたの会社のお酒の魅力をアピールしていくことが重要になります。
そうはいっても、
「この解説だけでは、チェックシートを作れない」
「どうやって顧客層を絞り込んだらいいのかわからない」
など疑問や不安をお持ちのかたもいらっしゃるのではないでしょうか。
そういった方のために、アンカーマンでは、ターゲティングのポイントをまとめ、簡単にこのチェックシートが作成できるセミナーを準備しています。セミナーは、以下のような内容となっております。
- お酒を売るためのマーケティング戦略におけるターゲティングの重要性やターゲティングとは何かについて丁寧に解説します。
- 正しくターゲティングを行うためのポイントやフレームワークについてもご紹介しており、あなたの会社でもターゲティングをどのように行ったらよいのかがわかります。
- あなたの会社のお酒のターゲット顧客を絞り込むターゲティングのコツを習得するために、実際にワーク形式で、チェックシートを作成します。
どのように顧客を絞り込んでアプローチしたらいいのかわからないと頭を悩ませている問題を解決したいあなたは、ぜひご視聴ください!
ターゲットを絞り込んでアプローチしたい方向け
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