酒屋が大手小売りチェーン店に対抗する方法とは?売り場づくりのポイントも解説

百貨店、食品スーパー、ドラッグストア、コンビニ、家電大型専門店、ホームセンター、ディスカウントストア、酒類専門量販店など酒類を取り扱う大手小売りチェーン店の業態はさまざま。

大手小売りチェーン店とは、同じ屋号・ブランドで、県や市町村をまたいだ広い地域で多店舗展開している酒販事業者のことです。

一定規模の集客が見込めるさまざまな地域には、大手小売りチェーン店が進出しています。

地域に根ざす酒屋としては、競合相手となる大手小売りチェーン店にどのように対応したらよいか悩むところではないでしょうか。

今回は、酒屋が大手小売りチェーン店に対抗する方法について、売り場づくりのポイントなどと併せて解説していきましょう。

酒屋ではなくチェーン店に人が集まる理由

自分のお店ではなく、なぜチェーン店に人が集まるのか、ついつい気になってしまいますよね。

酒屋ではなくチェーン店に人が集まる理由としては下記5要素が考えられます。

  • 駐車場の大きさ
  • 交通の利便性
  • 価格
  • 長時間営業
  • 効率的な経営

それぞれについて見ていきましょう。

駐車場の大きさ

チェーン店は、大きい駐車場を備えた店舗が多いようです。お酒は重いので、商品の持ち帰りに車で来店するお客さまにとっては、駐車場の大きさは店選びの重要な要素の1つ。

大きい駐車場のあるチェーン店は、それだけで人が集まる要素を持っています。

交通の利便性

チェーン店は、新規出店する際に、どれほどの集客が見込めるのか、事前に周到なマーケティング調査を行った上で出店地域を決定するので、交通の利便性が良いところに出店する傾向があります。

駅前や自宅から近いといった交通の利便性も、チェーン店の人気の理由の1つ。

仕事の帰りに駅前でお酒を買ったり、休みの日に自宅から近いチェーン店に車でお酒を買いに行ったりと、消費者にとって交通の利便性はお店選びの重要なポイントだからです。

価格

お酒の価格に関しては、皆さんもご存じのとおり、中小小売店の利益保護や酒税による税収増加などの趣旨で、2017年6月から施行された「改正酒税法」と「改正酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律」によって、「酒の安売り規制」があります。

著しく低い価格(仕入・製造原価+人件費=「総販売原価」を下回る価格)での安売り販売が禁止されている(規制に従わなければ、行政指導の対象となり、最悪、販売免許が取消)ので、一昔前のようなお酒のディスカウントがされることはありません。

それでも、大手小売りチェーン店は、「マスマーチャンダイジング(不特定多数の消費者を相手に効率的・効果的に大量販売)」というビジネスモデルにより、「仕入れの集中化による仕入価格低減」と「店舗経営の標準化」を強みとして、消費者にとって魅力的な価格での販売もチェーン店に人が集まる理由の1つです。

長時間営業

チェーン店にいけば、好きなときにいつでもお酒が買えるという利便性が人気を博している理由の1つでしょう。

豊富な人的リソースを活用し、早朝や深夜など長時間営業を行うことで、多様な生活スタイルを送っている一定の消費者からの指示を集めているのです。

効率的な経営

チェーン店に人が集まる理由として、効率的な経営ということも挙げられます。

マニュアルでの従業員教育による質の高いサービスの提供、本部と店舗の経営と販売の機能分担、集中化による各種経費の削減、情報の一元管理による分析活動などにより店舗ごとに均一な価格や接客等のサービス提供が可能となっている点も、人気の要員の1つでしょう。

酒屋の廃業が増加した大手小売りチェーン出店の背景

酒屋の廃業が増加したのは、大手小売りチェーン店が出店したからだということが言われています。

この章では、下記2点について説明します。

  • 酒類販売に関する規制と緩和の経緯
  • 規制緩和による酒類小売業態への影響

酒屋の廃業増加と大手小売りチェーン出店の関連性について探っていきましょう。

酒類販売に関する規制と緩和の経緯

酒販事業に関しては、酒税法により所管税務署長の免許が必要となっています。酒販免許を受ける要件としては、従来、大型店は特例は別にして、既存の酒類小売売り場との距離(距離基準)や、周囲の人口(人口基準)などに規制がありました。

この規制には、中小の酒類小売店舗を保護する目的があったのですが、2001年1月に距離基準の廃止、2003年9月に人口基準の廃止と、酒類販売免許の取得に関する規制が緩和され、免許が取得しやすくなったのです。

そもそも、1989年6月から酒類小売の規制緩和がはじまり、2006年8月、緊急調整区域の撤廃により、実質的にすべての地域で、酒類小売が原則自由化されました。

酒類価格に関しては、 1980年代後半から1990年代前半にかけて、酒類量販店や総合スーパーによる値引き販売がはじまり、規制緩和と同時期に価格競争も激化の一途をたどっていったのです。

他方、年間酒類販売数量や成人1人あたり年間酒類販売数量は、一定時期のピークから徐々に減少傾向をたどり、酒類の需要停滞下で規制緩和がされたことから、競争が激化するにいたりました。

規制緩和による酒類小売業態への影響

酒類需要が停滞している状況下での規制緩和は、酒類小売業態の構造に大きな影響を与えていきました。

規制緩和により、大手小売りチェーン店が進出し、シェアを伸ばしていく中で、厳格な規制と希望小売価格制度によって保護されてきた中小酒販店は、シェアを大幅に減少させたのです。

中小酒販店は、酒類だけでなく、酒類以外の食品等も販売するなどの兼業化を進め、何とか経営を続けていく中で、大手小売りチェーン店との競争に敗れ、廃業していく酒屋も増えていきました。

酒屋がチェーン店に対抗するために必要な要素

酒屋がチェーン店に対抗するためには、どんなことをすればよいのでしょうか。

ここでは、酒屋がチェーン店に対抗するために必要な下記の3要素について、ご紹介していきます。

  • オリジナル=オンリーワンショップ
  • 売り場づくり
  • 専門知識+フレンドリー

オリジナル=オンリーワンショップ

酒屋がチェーン店に対抗するための方法を考える上で、根幹となるのは、どのように差別化を図っていくかということでしょう。

「酒屋はこんな感じだ」という昔からの概念や型にはまらないことが重要です。自身の店にしかない独自性を活かして、オリジナルな地域でのオンリーワンショップを目指していきましょう。

具体的には、マーケティングの手法を駆使して、自身の店のお客さまのニーズに沿ったお店づくりをしていくことが大切です。

たとえば、お店のコンセプトを、リピーターのお客さまのライフスタイルに合わせて、「大人の遊園地」と設定したとします。

あなたが最初にディズニーランドやUSJに行ったときのことを思い出してください。

仕事で疲れて帰ってきてお客さまが、お店に立ち寄り、自分の好みのお酒をその日の気分に合わせて選べる、この店に来るといつも見たことのないようなお酒が並んでいる、なぜかワクワクして元気が出る、非日常を味わえるなどのお店づくりができるはず!

来店したお客さまが、

「これはここでしか買えないからな」とか、

「そうそう、この感じ、しっくりくるなぁ」とか、

「なんだか知らないけれど、このお店、ワクワクするんだよね」とか、

言ってもらえるお店づくり…、そこに正解があるはずです。

売り場づくり

オンリーワンショップを目指すために、具体的な売り場づくりとしては、チェーン店と同じ土俵には乗らず、違った売り場にすることがポイントです。

「マス販売(大量仕入・大量販売)」を前提にした陳列棚の売上効率を重視した品揃えや陳列方法をとっているチェーン店とは違った方法での売り場づくりを目指しましょう。

専門知識+フレンドリー

地域に根ざしたオンリーワンショップでは、お客さまとの距離感も大切です。

フレンドリーな会話でお客さまと家族や友達のように接し、時にはお客さまに必要だと思われるお酒に関する専門知識や情報を享受するといったようなサービスを提供しましょう。

小回りの利く中小店舗だからこそのメリットを最大限に活用して、かゆいところに手が届く店づくりを目指すのはいかがでしょうか。

酒屋がチェーン店に対抗するための売り場づくりのポイント

最後に、酒屋がチェーン店に対抗するための売り場づくりのポイント4つについて、解説します。

  • 品揃えか商品特化か
  • POPづくりか店頭説明か
  • お客さまへの提案
  • ワクワクする売り場づくり

チェーン店に対抗するための売り場づくりとは、どのようなところに気をつけるべき売り場づくりなのかを学んでいきましょう。

品揃えか商品特化か

一般的な酒屋では、チェーン店のように広い陳列棚があるわけではありません。限られた陳列スペースの中で、「品揃え」を優先するのか、リピーター客の好みの「商品に特化」するのかは、悩ましい選択です。

たとえば、お客さまをワクワクさせるという観点から、世界各地の珍しいビールを揃えるとします。当然、有名な国内ビールの陳列スペースは減ることになるでしょう。さて、この場合、「品揃え」か「商品特化」か、どちらを優先させるべきなのでしょうか。

この選択が、あなたの店を、チェーン店と差別化する、チェーン店に対抗するための売り場づくりのポイントの1つになります。

この選択の答えは、あなたのお客さまの中にあるはず…しっかりとリサーチしてお店のコンセプトを決めることです。

POPづくりか店頭説明か

チェーン店に対抗するための売り場づくりとして、「POPづくり」か「店頭説明」かということについても考えていきましょう。

先に結論から言えば、地域のオンリーワンショップを目指すならば、「POPづくり」も「店頭説明」もどちらも行うことをおすすめします。

一般的に、チェーン店では、人的リソースの関係から、あまり店頭説明は行われません。また、POPに関しても、店舗によっては、ほとんど見られないところもあるようです。

地域の酒屋では、マス販売をしなくてもよいので、1人のお客さまの接客に時間を割くことが可能でしょう。

お酒選びの方法や商品ごとの特徴といった情報だけではなく、酒屋の店主やスタッフの経験やお酒に関する豊富な知識をお客さまにお酒のストーリーと織り交ぜて、「POP」や「店頭説明」で伝えていくことがチェーン店に対抗するポイントの1つです。

お客さまへの提案

お客さまへの提案も、酒屋独自の売り場づくりとして有効です。

たとえば、「このお酒はこんな料理やおつまみが合いますよ~!!」として、料理の写真やレシピをPOPや店頭説明で提案したり、おすすめのおつまみを横に置いて売ったりすることもありでしょう。

また、お酒の陳列方法として、お店オリジナルの「飲み比べセット」や「ギフトセット」の提案などもお客さまのお酒選びの参考となって喜ばれるのではないでしょうか。

手間と時間をかけた「おせっかい」がお客さまにとっては時には嬉しい情報になるはずです。

ワクワクする売り場づくり

お客さまにとって、 ワクワクする売り場づくりもチェーン店との差別化にはもってこいではないでしょうか。

チェーン店では、棚ごとの売上効率を重視して、売れ筋のお酒を決められた陳列方法で整然と並べていくという陳列スタイルが多く見受けられます。

しかし、お客さまをワクワクさせたいなら、どこにでもあるような陳列スタイルではチェーン店とは勝負できません。

ここのお店でしか購入できない商品、季節やイベントに合わせた売り場づくり、いつ行っても新鮮な売り場などなど、お店のオリジナルを前面に押し出して、地域のオンリーワンショップならではの売り場づくりを心がけましょう。

まとめ

ここまで、酒屋が大手小売りチェーン店に対抗する方法について、売り場づくりのポイントも含めてご紹介させていただきました。

チェーン店にはなく、酒屋にはある商品、チェーン店でできないサービスでも、酒屋ではできるサービスなど、アイディアや工夫次第でチェーンに対抗する方法はたくさんあります。

重要なのは、マーケティング戦略と自身の顧客のニーズをしっかりと把握しておくことです。

アンカーマンには、日本で唯一、酒造業、酒類卸売業や酒類小売業などを手がける酒類事業者さまへのサポートに特化したコンサルタントとして、180社以上の酒類事業者さまに各種サポートを提供してきた実績がございます。

アンカーマンでは、マーケティングサポートも実施しています。大手小売りチェーン店への対抗方法をはじめとして、どうしたらもっと売上が伸びるかなど、各種マーケティングのお悩みなどございましたら、お気軽にアンカーまでご連絡ください。

お役立ち資料はこちらから!

設備導入事例集やアフターコロナの今取るべき戦略、働き方チェックシートまで

知りたいことが一式揃うお役立ち資料一覧はこちらから!

補助金診断はこちらから!

おすすめの補助金がすぐに分かる補助金診断を試してみませんか?

1分で完了する補助金診断はバナーをクリック!

補助金申請無料モニター募集中!

株式会社アンカーマンで補助金申請サポートをまだ受けたことがない方を対象に、
補助金申請無料モニターを不定期で募集しています!
応募にご興味をお持ちの方は、下記をチェック!

無料相談はこちらから!

以下の専門フォームに「酒屋 マーケティング」と必要事項を記入して、「送信する」ボタンをクリック!