【ニーズ把握で売る】話題の『日本酒ペアリング』を押さえよう!
本来、お酒はそれ自体で楽しむものと思われています。
ところが最近、『日本酒ペアリング』というキーワードが、日本酒の楽しみ方を極める日本酒愛好家の中で注目されています。
日本酒ペアリングとは、日本酒と料理の組み合わせを楽しむもの。

これまで、「お酒のつまみ」としての料理とのマッチングはありましたが、「日本酒ペアリング」は、つまみを超えた新たな楽しみ方。
話題の「日本酒ペアリング」を押さえることで、消費者のニーズを探り、酒蔵のマーケティングに活かせれば、売上アップも期待できるのでは?
今回は、『日本酒ペアリング』に関して、「なぜ造り手が押さえておく必要があるのか?」「日本酒ペアリングとは」「おすすめの日本酒ペアリング」などを解説していきます。
造り手がペアリングを押さえる理由
造り手である酒蔵が、なぜ「ペアリング」を押さえる必要があるのでしょうか?
「お酒をどう楽しむかは、飲む人がそれぞれで考えること」と思われる蔵元さんもいるかもしれません。
はじめに、造り手がペアリングを押さえる理由について考えていきましょう。
理由①消費者ニーズを把握してマーケティングに活かすため
酒蔵として、考えなければならないのは、「どうしたら蔵のお酒が売れるのか?」ということ。
お酒を売るために必要なことは、「消費者がどのようなお酒を求めているのか?」「お酒をどのように楽しんでいるのか?」を把握して、消費者ニーズに合ったお酒を市場に供給することです。
近時、消費者が「ペアリング」に注目していることから、酒蔵が「ペアリング」を押さえることで、消費者ニーズを把握して、蔵のマーケティングに活かすことで、売上アップにつながります。
理由②造り手から情報発信していくため
近時、D2Cビジネスが酒蔵でも求められるようになってきたので、お酒を売るためには、造り手側から消費者に対して直接、情報発信していくことが求められています。
酒蔵でも「ペアリング」にキャッチアップしていくことで、ラベルの裏書きや自社のECサイトなどで、情報発信することで、売上向上が期待できるでしょう。
理由③商品開発に活かすため

「ペアリング」を押さえて、消費者がどのようなお酒を求めているのかを把握することで、酒蔵としては商品開発に活かすことができます。
消費者ニーズを把握して、ニーズに合ったお酒を製造していなければ、新たな商品として市場に投入するために、新商品開発に活かしたり、既存の商品を改良したりしてニーズに合わせられるのです。
ペアリングとは
酒蔵がペアリングを押さえる意味合いがわかったところで、いよいよペアリングとはどのようなものか深掘りしていきましょう。
ここでは、ペアリングの定義やマリアージュとの関係、ペアリングが注目されている理由などについて解説していきます。
ペアリングってなに?
ペアリングとは、「お酒と料理を組み合わせること」「お酒と料理の相性」などの意味合いがあります。
お酒と料理をうまく組み合わせることで、それぞれ単体で味わうよりも、より旨味のある第三の味わいを引き出すことが「ペアリング」です。
たとえば、「ビールと枝豆、ワインとチーズのペアリングは普通だよね。日本酒とクッキーなんて、意外なペアリングでおもしろいよね。」などのように使われています。
ペアリングとマリアージュ
ペアリングと似た言葉で「マリアージュ」があります。
マリアージュとは、もともとはワイン用語で、お酒とお料理をペアリングして、最高にマッチした状態が「マリアージュ」です。
お酒と料理を組み合わせた「ペアリング」の先に、1つの結果として、「マリアージュ」があるということになります。
たとえば、日本酒と和食をペアリングしたら、マリアージュしたというように使うのです。
日本酒ペアリングが注目されている理由

なぜ、今、「日本酒ペアリング」が注目されているのでしょうか?
そもそも、ワインを中心としてお酒と料理の組み合わせを追求することからはじまった「ペアリング」。
ペアリングの裾野が広がっていることが「日本酒ペアリング」に影響しています。
フレンチのコース料理では、魚料理には白ワイン、肉料理には赤ワインなど相性のよいお酒と料理のペアリングが一般的。
ペアリングをより幅広くするためには、食材とお酒の産地を合わせたり、塩味の強い料理と甘口のお酒など対照的なものを組み合わせたりすることもあります。
その試みの中で、爽やかな味わいで癖の少ない日本酒は数多くの料理とマッチするということで、「日本酒ペアリング」が注目されているのです。
日本酒のペアリングのポイント
ペアリングとは、お酒と料理を組み合わせて、「第三の味を引き出す」ことです。
「日本酒と料理を組み合わせて第三の味を創作する『日本酒ペアリング』って、難しそう…」こんな意見も聞こえてきそうですね。
でも、安心してください。
「日本酒ペアリング」は、ポイントを押さえれば、それほど難しくはありません。
「日本酒ペアリングのポイント」とは、ズバリ「日本酒の香味(香りと味わい)」を軸にして、ペアリングを考えることです。
また、産地や季節感もペアリングに影響してきます。
ここでは、日本酒ペアリングの押さえておくべきポイントとして、「日本酒の4つのタイプとペアリング」「産地を合わせてペアリング」「季節ごとの日本酒のペアリング」について解説していきます。
日本酒の4つのタイプとペアリング
本来、日本酒は、軽快でクリアな水のようなお酒として、料理の邪魔をしないものがよいとされてきました。
そのため、日本酒独自の楽しみ方として、「大吟醸」「本醸造」などタイプの違う日本酒を味わったり、「熱燗」や「冷や」など温度の違いで味わったりしてきたのです。
しかし、日本酒と料理が口の中で引き立て合い、新しい第三の味を引き出す「日本酒ペアリング」が注目されるようになってきました。
マリアージュを目指して、最適な日本酒ペアリングをするためには、日本酒のタイプを把握していなければなりません。
日本酒は、香味によって、大まかに以下の4つのタイプに分けることができます。
- 薫酒(くんしゅ)~香り高いタイプ「大吟醸酒系」「吟醸酒系」
- 熟酒(じゅくしゅ)~熟成タイプ「長期熟成酒系」「古酒系」
- 爽酒(そうしゅ)~スッキリタイプ「普通種系」「本醸造酒系」「生酒系」
- 醇酒(じゅんしゅ)~コクありタイプ「純米酒系」「生酛系」
香味によって日本酒を分類すると、以下の図のようになります。
ベストマッチングな日本酒ペアリングをするには、日本酒と料理の香味に気をつけて組み合わせを考えることが大切です。
タイプごとの日本酒と料理のペアリングをまとめると以下のようになります。
日本酒のタイプ | 料理の相性 | おすすめ料理・食材 |
薫酒 | ○:あっさり、素材が活かされているもの×:風味がつよいもの | サラダ・フルーツ・蒸し鶏・白身の刺身など |
熟酒 | ○:濃い味付けのもの×:生の魚介類 | チーズ・珍味・中華料理など |
爽酒 | ○:広範囲の料理×:脂っこいもの | 魚介・サラダ・山菜・海藻・豆腐・フレッシュチーズなど |
醇酒 | ○:しっかりした味付けのもの、深い旨味とコクのあるもの | 肉料理・赤身のお刺身・煮物・焼き鳥・シチューなど |
産地を合わせてペアリング
日本酒と料理の産地を合わせてペアリングするということもアリです。
たとえば、北海道の焼きホタテに北海道の日本酒のペアリング、北陸のカニと地酒、岩手のカキと地酒のペアリングなど、和のマリアージュが期待できるでしょう。
日本酒は、地元の水と米を使って作られていることが多いので、産地が同じ日本酒と料理の相性がいいのも納得です。
季節ごとの日本酒のペアリング
ペアリングには、季節も関係してきます。
お酒も料理も旬のものがおいしいのは同じこと。
日本酒には季節限定の「冬酒(しぼりたて新酒~あらばしり・中取り・責め)」「春酒(花見酒)」「夏酒(生酒)」「秋酒(ひやおろし・秋上がり)」があります。
それぞれの限定酒の特徴とペアリングの相性がいい料理は以下のとおりです。
香味の特徴 | ペアリングの料理例 | |
冬酒(あらばしり) | アルコール度数が低く、フレッシュな香りで切れ味がある | 淡白な味付けの料理、白身の刺身など |
冬酒(中取り) | 味と香りのバランスが良く飲みやすい | 味と香りのバランスが良い料理、関西風おでんなど |
冬酒(責め) | アルコール度数が高く、濃醇な味わい | 苦味のある料理、ピーマンの炒め物など |
春酒(花見酒) | 上品な甘味で飲みやすい | フレッシュな食材、春が旬の食材、タラの芽の天ぷら、あさりの酒蒸しなど |
夏酒(生酒) | フレッシュな香りと味わい | 清々しい味わいの料理、お造りや野菜スティックなど |
秋酒(ひやおろし・秋上がり) | まろやかで濃醇な味わい、旨味が強い | 旬な魚介や野菜など |
日本酒のおすすめのペアリング
ここでは、日本酒と料理の香味に焦点を絞ったおすすめの日本酒ペアリングを紹介していきましょう。
基本はやはり魚介とのペアリング

日本酒といえば、やはり魚介とのペアリングが基本です。
寿司や刺身、焼き魚など淡白で味付けがマイルドな魚介には、すっきりとした後味とキレのある味わいの「淡麗辛口」などの日本酒ペアリングがベストマッチです。
心地よい「マリアージュ」が期待できるでしょう。
少し冒険!お肉とのペアリング

日本酒ペアリングで、少し冒険したいなら、こってりした味付けの多い肉料理には、やはりこってりしてコクのある「純米酒」がおすすめです。
「純米酒」は、水と米のみを使用しており、香りは穏やかですが、濃醇な味わいが特徴的な日本酒。
ステーキや焼肉などの肉料理に合わせることで、意外なマリアージュが楽しめるでしょう。
やっぱり合うね!和食とのペアリング
日本酒といえば、やはり和食とのペアリングが最高です。
特に肉や野菜の「煮込み料理」には、「醇酒」を合わせるのがベストマッチング。
和食の煮込み料理は、肉や野菜に出汁が染み込み、旨味がたっぷり感じられる料理。
合わせる日本酒は、旨味たっぷりタイプの「醇酒」がピッタリです。
肉じゃがやもつ煮込み、野菜の煮物などの油分を「醇酒」のアルコール感が洗い流してくれて、旨味だけが残る最高のマリアージュとなるでしょう。
応用編①洋食とのペアリング
日本酒ペアリングの応用編として、日本酒と意外に合うのが洋食とのペアリング。
「洋食は油を多く使っていて、こってりした料理が多いので、日本酒ペアリングは難しそう…」と思いがちですが、濃醇タイプで、酸味があり甘口の日本酒が洋食とのペアリングには向いています。
洋食とのペアリングでも、香味を意識したペアリングを心がければ、それほど苦にする程ではありませんよ。
応用編②チーズとのペアリング

チーズとのペアリングといえば、ワインが代表的ですが、日本酒とのペアリングもマリアージュを生み出すことが可能です。
チーズに合わせたい日本酒が、「熟酒」!
「熟酒」は、酸味のある白ワインのような味わいのお酒。
旨味がずっしり感じられるチーズには、どっしりと旨味の後味を感じられる「熟酒」とのペアリングが最高のマリアージュを生み出します。
たとえば、甘口古酒にブルーチーズなど最高のペアリングでしょう。
新発見!「日本酒」×「スイーツ」
新発見が楽しめるのが「スイーツ」と日本酒のペアリング。
「え?スイーツにお酒?」と意外に思われるかもしれませんが、欧米では、チョコレートやフルーツにシャンパンや白ワインを合わせるのが普通です。
ワインのような甘さのある超甘口の日本酒や、香り高く芳醇な味わいの「熟成古酒」がスイーツとのペアリングに向いています。
「純米酒」と「和菓子」などもマリアージュのような組み合わせが期待できます。
日本酒のコクや絶妙な苦味がより豊かな風味を生み出すでしょう。
きっと思いがけない新たな日本酒の世界が見えるはず!ぜひ、お試しあれ!!
まとめ
ここまで、「日本酒ペアリング」について、造り手が日本酒ペアリングを押さえておく理由、日本酒ペアリングの概要やおすすめの日本酒ペアリングなどをご紹介させていただきました。
これまで、料理の邪魔をせず料理の味を引き立てる脇役だった日本酒が、「日本酒ペアリング」の出現によって、食卓や宴席で一躍スポットライトを浴びるようになったのです。
日本酒ペアリングなど消費者ニーズの変化を造り手が把握することで、蔵のマーケティングやブランディングに活かせることをわかっていただけたのではないでしょうか?
日本酒ペアリングをどのように蔵のマーケティングやブランディングに活かしていくのかは、蔵によって違うところ。
アンカーマンは、補助金申請代行サポートだけでなく、酒造業に特化したマーケティングやブランディングのトータルサポートを行っています。
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