食品衛生責任者になるためには?資格取得の流れと必要な知識を解説

酒蔵や酒販店などへの就職の準備を進めるにあたって、唎酒師酒造技能士などと同様、取得しておくと役立つ資格の1つに、「食品衛生責任者」という資格があります。

食品衛生責任者とは、食品を扱う事業に必要な資格であり、酒蔵や酒販店など食品関係施設において1人は設置しなければならない資格者です。

酒蔵など食品を取り扱う事業所では、HACCP(ハサップ、食品の安全性を確保するため、国際基準に基づく従来よりも高度な衛生管理手法)義務化による食品衛生管理の徹底により、「食品衛生責任者」の資格ニーズが高まっています。

食品衛生責任者の資格を取得していれば、酒蔵や酒販店などへの就職活動や入社後働く上で有利になるでしょう。

今回は、食品衛生責任者に関して、どのような資格なのか、資格取得のためにはどのような知識や手続きが必要なのかをくわしく解説します。

食品衛生責任者とは

酒蔵や酒屋でも、食品衛生責任者の設置が義務づけられているので、資格を持っていると重宝されるでしょう。

はじめに、食品衛生責任者とはどのような資格なのかについて確認していきます。

【食品衛生責任者とは】

  • 食べ物を扱うお店に必ず置く決まりがある
  • 食中毒を防ぎ安全な食事を提供する役割がある
  • 開業時に必ず届け出が必要になる

食べ物を扱うお店に必ず置く決まりがある

食品衛生責任者は、食品衛生法(飲食による健康被害の発生を防止するための法律)に基づき、食品営業施設の許可や届出の対象となるすべての食品取扱施設ごとに設置が義務づけられている資格です。

原則として、「食品営業施設の許可や届出」を取得する必要がある施設には、食品衛生責任者を設置する義務があると考えていいでしょう。

酒蔵や酒造メーカーなどの酒類製造事業者や、酒屋など酒類販売事業者、飲食店など、食べ物を扱うお店には、食品衛生責任者を必ず置く決まりがあるということです。

食中毒を防ぎ安全な食事を提供する役割がある

食品衛生責任者は、食中毒を防ぎ、安全な食事を提供するために非常に重要な役割を果たします。

食品衛生責任者の具体的業務は、以下のとおりです。

【食品衛生責任者の具体的業務】

  • 衛生管理:食品の取り扱いや調理に関して厳格な衛生基準を守り、施設内を清潔に保つ
  • 従業員の教育:食品衛生に関する知識や技術を従業員に教育し、衛生的な取り扱いを指導する
  • 食材の管理:食材の入荷から調理、保存までの過程を管理し、食中毒の原因となる雑菌の繁殖を防ぐ
  • 監査と検査:定期的な衛生チェックや検査を実施し、衛生状態を確認し改善策を講じる
  • 法令遵守:食品衛生法や関連規制を遵守し、安全な食品提供を確保する

このように、食品衛生責任者は、消費者に安全で健康的な食事を提供するための重要な責任を担っています。

開業時に必ず届け出が必要になる

食品営業施設の営業者は、食品衛生法に基づき、施設ごとに自ら食品衛生責任者となるか、従業員の中から食品衛生責任者を選任しなければなりません。

また、食品営業施設の営業者は、開業時など食品衛生責任者を設置した場合には、食品営業施設の許可や届出のほか、管轄の保健所に対して食品衛生責任者の届出も行うことが必要になります。

食品衛生責任者の届け出を怠ったり、食品衛生責任者不在のまま営業したりすると、行政処分の対象となりますので注意しましょう。

食品衛生責任者がいないといけない店や場所

食品営業施設の営業者は、食品取扱施設ごとに食品衛生責任者の設置が義務づけられていますが、食品取扱施設とはどのような施設を指しているのでしょうか。

ここでは、食品衛生責任者がいないといけない店や場所について解説します。

【食品衛生責任者がいないといけない店や場所】

  • 酒蔵も製造業として設置が義務付けられている
  • 酒造メーカーの試飲コーナーや直売所でも必要になる
  • 酒屋も酒販事業として設置が必要である
  • レストランなどの飲食店はほぼすべて対象になる
  • コンビニやスーパーなどでも必要になる

酒蔵も製造業として設置が義務付けられている

食品衛生責任者の設置が義務づけられている食品取扱施設には、食品製造業の製造施設も含まれます。

したがって、酒蔵も酒類製造業として、製造場ごとに食品衛生責任者の設置が必要です。

例外的に、「食品や添加物の輸入業」「食品や添加物の貯蔵や運搬のみを行う営業(冷凍・冷蔵業は除く)」「常温で長期間保存しても腐敗・変敗の恐れがない包装食品の販売業」など公衆衛生への影響が少ない業種の場合は、食品衛生責任者を設置する必要はありません。

酒造業や酒販事業など酒類関連事業の場合には、このような例外的なケースには該当しないため、食品衛生責任者の設置が義務づけられているものと考えておきましょう。

酒造メーカーの試飲コーナーや直売所でも必要になる

食品衛生責任者の設置が義務づけられている食品取扱施設には、食品の販売場も含まれます。

したがって、酒造メーカーの試飲コーナーや直売所でも、食品の販売所として、食品衛生責任者の設置が必要です。

酒蔵で、製造場と直売所が同じ敷地内で隣接しているケースなど、各施設ごとに食品衛生責任者の設置が必要かどうかの個別具体的な判断は、管轄の保健所に確認することをおすすめします。

酒屋も酒販事業として設置が必要である

酒屋も酒販事業として、食品の販売場であるため、食品衛生責任者の設置が義務づけられている食品取扱施設に該当します。

本店と支店がある酒販店の場合には、各店舗ごとで食品衛生責任者の設置が必要です。

また、酒類販売店舗の一角で、「角打ち」などの飲食を提供している場合ケースで、各施設ごとに食品衛生責任者の設置が必要かどうかは、管轄の保健所によって判断が異なりますので、事前に確認するようにしましょう。

レストランなどの飲食店はほぼすべて対象になる

食品衛生法で、食品取扱施設に食品衛生責任者の設置を義務づけている趣旨は、施設や食材を衛生的な状態に保ち、食中毒など飲食による健康被害の発生を防止するためであることからレストランなどの飲食店はほぼすべて対象になることは言うまでもありません。

最近では、酒蔵や酒販店でも、自社の銘柄を味わえる飲食店を併設しているケースが増えています。

どの施設に何人の食品衛生責任者の設置が必要かは、管轄の保健所と入念に打ち合わせすることが必要です。

コンビニやスーパーなどでも必要になる

食品衛生責任者の設置が必要な食品取扱施設には、コンビニやスーパーなども含まれます。

コンビニやスーパーなどの店舗では、多種多様な食品を取り扱い、消費者に提供するため、適切な衛生管理が必要になるためです。

食品衛生責任者は、食品の取り扱い、衛生管理、従業員の教育、監査と検査、法令遵守などの役割を果たしながら、消費者に安全な食品を提供しています。

食品衛生責任者になるための手続きと方法

食品衛生責任者には、どのようにしたらなれるのでしょうか。

ここでは、食品衛生責任者になるための手続きと方法について解説します。

【食品衛生責任者になるための手続きと方法】

  • 都道府県が開く講習会を受けて資格を取れる
  • 1日で資格が取得できる
  • インターネットで受講できる地域も増えている
  • 申し込みから取得までは1ヶ月以上かかる場合もある
  • 受講料は10,000円前後

都道府県が開く講習会を受けて資格を取れる

食品衛生責任者の資格は、各都道府県の食品衛生協会や保健所が実施する講習会を受講することで取得できます。

講習会で取り上げられる内容は、以下のとおりです。

【講習会で取り上げられる内容】

  • 食品衛生に関する基本知識:食品の安全性を確保するための基礎的な知識
  • 食品の取り扱い方法:衛生的な取り扱い方法や保存方法
  • 施設の衛生管理:店舗や施設の清掃、消毒、保管の方法
  • 法規制の理解:食品衛生法や関連規制に関する知識

講習会を修了すると、食品衛生責任者としての資格を取得することができ、資格取得後は全国どこでも有効ですので、どの地域で働く場合でも役立ちます。

講習会の詳細や日程については、各都道府県の食品衛生協会や保健所のウェブサイトで確認することが可能です。

1日で資格が取得できる

食品衛生責任者の資格は、通常1日で取得可能です。

各都道府県の食品衛生協会や保健所が実施する講習会に参加し、講習を修了することで資格を取得できます。

一般的には、「会場集合型養成講習会(1つの会場に集合して講習を受ける形式)」を一日約6時間受講し、講習会終了時に受講修了証を受け取ることが可能です。

講習内容は、「食品衛生学」「公衆衛生学」「食品衛生法」などとなります。

受講資格は、17歳以上であれば経歴・学歴は問われませんが、高校生は受講できません。

インターネットで受講できる地域も増えている

食品衛生責任者の資格を取得するための講習に関しては、一般的には「会場集合型」ですが、最近ではインターネットで受講できる地域も増えています。

たとえば、東京都であれば、「 eラーニング型養成講習会」と呼ばれるオンライン講座の受講が可能です。

ビデオ動画を24時間いつでも閲覧することができ、受講終了後、受講基準を満たしていれば、10営業日以内にレターパックにて受講修了証が郵送されます。

申し込みから取得までは1ヶ月以上かかる場合もある

講習会の日程に関しても、各都道府県ごとに違いますが、「会場集合型」の場合には、月間10回近く実施されているところもあります。

ただし、申し込み時点で希望の日程が満員のケースもあり、申し込みから取得までには一ヶ月以上かかる場合もあることを押さえておきましょう。

インターネットでの受講は、24時間いつでも受講可能ですが、受講修了証の郵送期間もあり、結局のところ日数がかかってしまいます。

受講料は10,000円前後

受講料は、各都道府県によって異なりますが、概ね1万円前後とされています。

受講料の内訳は、受講料と教材費等であり、受講料の支払い方法も各都道府県により違いがあり、現金、クレジット、コンビニでの前払いなどがあるようです。

なお、講習会を受けるために用意するものは、以下のとおりとなります。

【講習会を受けるために必要なもの】

  • 受講者本人を確認できる公的書類(運転免許証、マイナンバーカード、健康保険証。社員証や学生証は不可)※外国人の方は、在留カードまたは特別永住者証明書
  • 受講料(金額や支払い方法は各都道府県によって異なる)

受講申込方法に関しては、受講の地域や形態によって異なるので、事前に確認しておきましょう。

食品衛生責任者のよくある質問

食品衛生責任者に関して、資格取得に関すること以外でも、押さえておいたほうがいいポイントがあります。

ここでは、食品衛生責任者のよくある質問について解説していきましょう。

【食品衛生責任者のよくある質問】

  • 酒蔵など季節営業の場合でも常時配置が必要ですか?
  • 食品衛生責任者の資格は全国どこでも使えますか?
  • 複数の店舗や施設を兼任することはできますか?
  • 食品衛生責任者と食品衛生管理者にはどのような違いがありますか?

酒蔵など季節営業の場合でも常時配置が必要ですか?

寒造りを行っている酒蔵では、食品製造を1年の中でも特定の時期にしか行いません。

寒造りの製造時期外、酒蔵が稼働していない場合や製造活動が行われていない期間には、常時、食品衛生責任者の設置が必要ばないのではないかという疑問が生じます。

しかし、このような季節営業の場合でも、営業期間中は食品衛生責任者の配置が求められます。

理由は以下のとおりです。

【季節営業でも食品衛生責任者の配置が必要な理由】

  1. 別途、酒類製造業に必要な「食品営業施設の許可」に関して、「食品等事業者は、営業する施設に『食品衛生責任者』を設置することが義務づけられているため
  2. 酒類の保管中の衛生管理、施設の清掃と維持、貯蔵中の製品や施設の衛生状態を定期的な検査に対応するための衛生管理が必要であるため
  3. 特定の期間だけではなく、通年で施設を管理することが品質管理と安全性の確保につながるため

食品衛生法に基づく規制により、食品を取り扱う事業所は営業中に適切な衛生管理を確保するために食品衛生責任者を配置する必要があります。

これにより、季節営業であっても営業期間中は常に衛生管理が行き届くようにすることが求められるからです。

もし、対外的にも営業が終了し、施設を閉鎖し、食品営業許可も返納するなどの特殊な事情がある場合には、食品衛生責任者の配置は必要ありませんが、再び営業を開始する際には、再度、食品衛生責任者の設置も含めた許認可を取得することが必要となります。

食品衛生責任者の資格は全国どこでも使えますか?

食品衛生責任者の資格が全国どこでも使えるかという点に関しては、全国どこでも有効です。

食品衛生責任者の資格は、各都道府県の食品衛生協会や保健所で実施される講習会を受講することで取得できますが、一度取得すれば全国どこでも認められます。

食品衛生責任者の資格には有効期限がなく、更新手続きも義務づけられていません。

ただし、自治体ごとに若干の違いがある場合もあるため、特定の地域で働く場合には、その地域の保健所や食品衛生協会に確認することをおすすめします。

複数の店舗や施設を兼任することはできますか?

食品衛生責任者が、複数の店舗や施設を兼任することが可能かどうかという点に関しては、原則として複数の店舗や施設を兼任することはできません。

ただし、同じ建物内で施設が隣接している場合や衛生上支障がないと認められる小規模施設などでは、兼任が認められる場合があります。

しかし、以下のような点に留意する必要があるでしょう。

【複数の店舗や施設兼任の留意点】

  • 施設ごとの状況把握:各店舗や施設の衛生状況を把握し、定期的に巡回して管理することが求められる
  • 従業員の教育:各店舗や施設の従業員に対して、適切な衛生管理の教育や指導を行うことが必要となる
  • 法的要件:兼任する場合でも、食品衛生法や関連規制に基づき、適切な衛生管理を行うことが求められる
  • 管理の効率化:複数の店舗や施設を効率的に管理するために、衛生管理システムや記録のデジタル化などを導入することが有効となる

食品衛生責任者が、複数の店舗や施設を兼任できるかどうかは各自治体の判断になりますので、具体的な事例の場合には管轄の保健所に相談することをおすすめします。

食品衛生責任者と食品衛生管理者にはどのような違いがありますか?

「食品衛生責任者」と類似する資格として、「食品衛生管理者」という資格があります。

両者とも、食品衛生法に基づく資格であり、食品の安全を確保するために重要な役割を果たしますが、役割や資格要件には以下のような違いがあるので押さえておきましょう。

食品衛生責任者食品衛生管理者
役割飲食店や食品を扱う事業所で衛生管理を担当し、衛生的な食品の取り扱いを指導・監督する大規模な食品製造業や加工業で、より高度な衛生管理を行い、HACCP(危害分析重要管理点)に基づく管理を実施する
資格取得方法各都道府県市の食品衛生協会や保健所で実施される講習会を受講することで取得可能国家資格として指定されており、指定された大学や専門学校で所定の課程を修了するか、厚生労働大臣が認定する講習会を受講し試験に合格することで取得可能
対象施設一般的な飲食店、小売店、加工施設など大規模な食品製造工場や加工工場、特定給食施設など

このように、「食品衛生責任者」は、比較的小規模な施設での衛生管理を担当し、比較的簡易に資格取得が可能であるのに対し、「食品衛生管理者」は、大規模な施設での高度な衛生管理を担当し、取得には専門的な教育や訓練が必要です。

食品衛生責任者のまとめ

ここまで、食品衛生責任者について、資格取得の流れや必要な知識などをご紹介させていただきました。

本記事のポイントは、以下のとおりです。

【食品衛生責任者のまとめ】

  • 食品衛生責任者とは、酒蔵や酒販店など食品関係施設において1人は設置しなければならない資格であるため、資格を持っていると就職に有利となる
  • 食品衛生責任者の資格は、各都道府県の食品衛生協会や保健所が実施する講習会を受講すれば、最短1日で取得でき、全国どこでも働ける
  • 食品衛生責任者の資格は、複数の店舗や施設では原則兼任禁止である

酒造業や酒販事業など酒類事業への就業を志している方にとって、役立つ資格の1つとして食品衛生責任者があります。

酒造業界への就業の準備として、資格取得を目指してもいいのではないでしょうか。

役立つ資格の取得など、自身の将来のキャリアに役立つ準備を早めに行うことは重要です。

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