日本酒の麹造りの仕事とは?仕事内容やきつさ、キャリアを徹底解説

日本酒造りに関心があり、酒造業界に就職したいと考えている人にとって、日本酒造りの要である「麹(こうじ)造り」の現場でどのような作業が行われているのか、興味深いのではないでしょうか。

他の業界からの転職者も少なくない酒造業界では、未経験でも挑戦できる道があり、手仕事の魅力と職人技の継承が共存しています。

今回は、日本酒の麹造りの仕事について、仕事内容から「きつさ」のリアル、キャリアの可能性までを徹底解説しましょう。

【この記事でわかること】

  • 日本酒の麹造りの仕事内容は、蒸米の引き込みから約48時間かけて、日本酒の味の方向性を決める麹を造ること
  • 麹の仕込み期間中は、高温多湿の麹室で、24時間体制で麹を監視し、力仕事もあり、酒質を左右する責任感もあるなどきつい仕事であること
  • 麹師など下積みを経験すれば責任者である杜氏(とうじ=酒造りの現場の最高責任者)を目指せたり、女性杜氏として活躍できたりといったキャリアや将来性があること
  • 「未経験」「お酒が苦手」「異業種」でも日本酒の麹造りの仕事ができるのかということ

日本酒の麹造りの仕事内容

日本酒の麹造りの現場では、どのような仕事をしているのでしょうか。

ここでは、日本酒の麹造りの仕事内容について解説します。

【日本酒の麹造りの仕事内容】

  • 日本酒の味の方向性を決める麹を造るのが主な仕事
  • 蒸米の引き込みから約48時間かけて麹を完成させる

日本酒の味の方向性を決める麹を造るのが主な仕事

日本酒における「麹」とは、蒸した米に麹菌を繁殖させて作る発酵素材で、米のデンプンを糖に分解する酵素を生み出し、酵母によるアルコール発酵を可能にする重要な役割を担っています。

麹の質や造り方によって、日本酒の甘味・酸味・旨味・香りなどの酒質が大きく左右されるため、「酒の味を決める心臓部」ともいわれる存在です。

「麹造り」とは、日本酒の味の方向性を決める麹を造るのが主な仕事であり、麹室(こうじむろ)と呼ばれる専用の空間で、温度・湿度・時間を細かく管理しながら、繊細な手作業が求められます。

麹造りとは、まさに「酒の設計図」を描く、酒蔵の味づくりの中核を担うポジションといえるでしょう。

蒸米の引き込みから約48時間かけて麹を完成させる

麹造りは、日本酒の味を左右する繊細かつ重要な工程です。

以下のように、蒸した米を麹室に引き込むところから始まり、約48時間かけて麹菌を育て、麹を完成させます。

工程名内容の概要所要時間の目安備考
米の準備洗米・浸漬・水切りを行い、麹用の米を整える数時間吸水率の調整が重要
蒸し蒸気で米を蒸す。麹菌が繁殖しやすい硬さに仕上げる約1時間蒸し加減で麹の質が変わる
放冷蒸米を冷却し、麹菌が生育しやすい温度(約30℃)まで下げる約30分急冷しすぎると菌が働きにくい
種麹の接種麹菌(種麹)を均等に振りかける数分〜30分手作業で丁寧に行う
盛り麹室に移し、麹蓋や床に広げて育成開始約6〜8時間初期の菌繁殖を促す
切り返し麹の塊をほぐし、温度・湿度を均一に保つ数回に分けて発熱状況を見ながら調整
仲仕事麹の状態を確認し、再度切り返しや盛り直しを行う約12〜24時間麹の香りや色もチェック
仕舞仕事最終調整。乾燥気味に仕上げ、麹菌の働きを止める約12時間酒母や醪に使える状態にする
出麹完成した麹を麹室から出し、次工程へ数分〜1時間酒母や醪造りに使用される

この間、温度・湿度の管理はもちろん、米の状態や菌の繁殖具合を五感で見極めながら、数回にわたる手入れ(切り返しや盛り)を行うのです。

初日は麹菌を均等に散布し、翌日以降は菌の働きを促すための環境調整が続きます。

最終的には、糖化酵素を十分に含んだ麹が完成し、酒母(しゅぼ=日本酒の土台となる液体)や醪(もろみ=日本酒になる前段階の発酵中の液体)の仕込みへとつながっていきます。

日本酒の麹造りはきつい?

日本酒造りの工程の中で、「麹造りはきつい」と耳にすることがあります。

どのような点が「きつい」と思われているのでしょうか

ここでは、日本酒の麹造りのきつさのリアルについて解説します。

【日本酒の麹造りはきつい?】

  • 仕込み期間中は泊まり込みで昼夜問わず麹を見る
  • 麹室は高温多湿で力仕事もあるが機械化も進んでいる
  • 酒質を左右するため責任感がある

仕込み期間中は泊まり込みで昼夜問わず麹を見る

日本酒造りの中でも麹造りは特に繊細で、仕込み期間中は蔵人(くらびと=酒造りの仕事を担う職人)が泊まり込みで昼夜を問わず麹の状態を見守ることが一般的です。

麹菌は温度・湿度・時間のわずかな違いで繁殖の仕方が変わり、酒の味に大きな影響を与えるため、数時間おきに「切り返し」や「手入れ」と呼ばれる作業を行います

麹室では、蒸した米に麹菌をまぶし、約48時間かけて育てますが、その間は発熱や菌の活動を五感で見極めることが必要です。

夜中でも麹の様子を確認し、必要に応じて作業を行うため、蔵人は仮眠を取りながら交代で対応します。

麹造りは、昼夜問わず気の抜けない作業であるため、きつい作業と思われているのかもしれません。

麹室は高温多湿で力仕事もあるが機械化も進んでいる

麹室は麹菌の繁殖に適した環境を保つため、室温は30〜35℃、湿度は60〜70%以上に設定されており、作業者にとっては過酷な環境です。

蒸した米を運び入れたり、麹蓋(こうじぶた)に均等に広げたりする作業は力仕事であり、特に冬場の仕込みでは体力が求められます。

一方で、近年は麹造りの工程も機械化が進んでおり、温度管理や切り返し作業の一部を自動化する蔵も増えている状況です。

これにより、作業負担の軽減や品質の安定化が図られていますが、最終的な判断は人の目と経験に委ねられることが多く、職人の技術は依然として重要となっています。

機械と人の協働によって、伝統と効率の両立を目指す酒蔵が増えているのが現状です。

酒質を左右するため責任感がある

麹は「酒の味の設計図」ともいわれ、日本酒の香り・旨味・酸味・余韻など、あらゆる要素に影響を与える重要な存在です。

麹菌が米のデンプンを糖に分解することで、酵母がアルコール発酵を行える環境が整うため、麹の出来が酒質を大きく左右し、蔵の個性やブランド価値にも直結します。

麹造りを担当する蔵人には、酒造り全体の成否を担うという強い責任感が求められるため、それなりにプレッシャーもかかるでしょう。

わずかな温度差や湿度の変化、菌の繁殖具合を見極める力は一朝一夕では身につかず、経験と勘が必要とされる仕事です。

日本酒の麹造りのキャリアと将来性

日本酒の麹造りにはどのようなキャリアや将来性が期待できるのでしょうか。

ここでは、日本酒の麹造りのキャリアと将来性について解説します。

【日本酒の麹造りのキャリアと将来性】

  • 下積みから麹師を経て蔵全体の責任者である杜氏を目指す
  • 近年は機械化も進み多くの女性杜氏が活躍している

下積みから麹師を経て蔵全体の責任者である杜氏を目指す

酒造りの現場では、米洗いや蒸し作業など酒造りの根幹を支える下積みの仕事として、肉体労働や単純作業などを任されることが一般的です。

日々の作業を通じて、米の扱いや温度管理の感覚を身につけることが求められ、下積み経験を重ねてからは、麹造りの中心を担う「麹師」へとステップアップし、麹菌の繁殖を見極めながら酒質の根幹を支える役割を果たします。

麹師は蔵の信頼を背負う重要なポジションであり、技術と責任感が問われる存在です。

さらにその先には、蔵全体を統括する「杜氏」という道があります。

酒の設計から人材育成、品質管理までを担う杜氏は、蔵の顔ともいえる存在です。

麹造りはキャリアの中核に位置し、酒造りの本質を理解するための重要な工程となっています。

近年は機械化も進み多くの女性杜氏が活躍している

かつて麹造りは重労働とされていましたが、近年は機械化が進み、作業環境が大きく変化しています。

温度管理や切り返しの一部が自動化され、体力的な負担が軽減されたことにより、女性や若手の参入が増え、酒蔵の風景も多様化しているのが現状です。

特に女性杜氏の活躍は目覚ましく、女性ならではの繊細な感性や丁寧な仕事ぶりが高く評価されるようになりました。

国内外の品評会で受賞歴を持つ女性杜氏も多く、酒造りの枠を超えた発信力を持つ存在として注目されています。

SNSやイベントを通じて蔵の魅力を伝える姿も見られ、伝統と革新が交差する現場に新しい風を吹き込んでいるといった状況です。

日本酒の麹造りの仕事に関するよくある質問

日本酒の麹造りに携わりたいと思っている人は、どのような疑問を抱くのでしょうか。

ここでは、日本酒の麹造りの仕事に関するよくある質問について解説します。

【日本酒の麹造りの仕事に関するよくある質問】

  • 未経験でも日本酒の麹造りの仕事はできますか?
  • お酒が飲めなくても麹造りの仕事はできますか?
  • 異業種からでもこの仕事に転職できますか?

未経験でも日本酒の麹造りの仕事はできますか?

未経験でも、日本酒の麹造りの仕事に挑戦することは可能です。

実際、多くの酒蔵では未経験者を受け入れており、現場でのOJTや先輩職人の指導を通じて、麹造りの技術や感覚を1から学べる環境が整っています。

麹造りは、日本酒の味や香りを決定づける重要な工程であり、温度・湿度管理や米の状態を見極める繊細な作業が求められます。

経験がなくても、ものづくりへの興味や丁寧な手仕事を大切にする姿勢があれば、十分に活躍できる分野です。

こうした未経験者の挑戦を後押ししてくれるのが、アンカーマンが運営する酒造業・酒販事業など酒類業界に特化した人材紹介サービス「酒蔵エージェント」です。

酒蔵エージェントの特徴・メリットや利用の流れは、以下のとおり。

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ただし、酒蔵の求人を探している方も多く、人気の求人は、早期に締め切りとなることもあるのでご注意ください。

あなたも、早めに酒蔵エージェントに相談して、未経験でも活躍できる自分に合った酒蔵を見つけましょう。

お酒が飲めなくても麹造りの仕事はできますか?

お酒が飲めなくても、麹造りの仕事を行うことは可能です。

麹造りは日本酒の製造工程の中でも「発酵の土台」を作る専門的な作業であり、味見や試飲よりも、温度・湿度管理や麹菌の働きを見極める観察力、丁寧な手作業が重視されます。

酒蔵では、体質的に飲めない方や、飲酒を控えている方が麹造りに携わっている例もあるようです。

また、麹造りは日本酒だけでなく、味噌や甘酒、発酵食品全般にも応用される技術なので、飲酒とは切り離された「発酵のプロフェッショナル」としてのキャリアも築けます

麹造りの仕事に就くうえで、お酒が飲めないことをハンデと感じる必要はまったくありません。

異業種からでもこの仕事に転職できますか?

異業種からでも、麹造りの仕事を含む酒造業界に転職することは可能です。

実際に、飲食業界や製造業、農業、さらにはオフィスワークなど、まったく異なる分野から酒蔵に転職した人も少なくありません。

麹造りを含む日本酒造りの仕事は、高度な専門性を求められますが、未経験者を受け入れて育成する酒蔵も多く、丁寧な研修やOJTを通じて技術を身につけることができます。

季節や気候に左右される繊細な工程だからこそ、観察力や感覚を磨く楽しさがあり、異業種出身者ならではの視点が活用できる場面もあるでしょう。

異業種からでも日本酒造りの仕事に転職するためには、お酒造りへの情熱と1から学ぼうという意欲が必要です。

【まとめ】麹造りの仕事は日本酒造りの土台となる専門職

ここまで、日本酒の麹造りの仕事について、仕事内容、「きつさ」のリアル、キャリアと将来性、よくある質問などを解説してきました。

本記事のポイントは、以下のとおりです。

  • 日本酒の麹造りは、日本酒の味の方向性を決める麹を造ることであり、蒸米の引き込みから約48時間の時間を要する
  • 日本酒の麹造りの仕事がきついのは、①24時間体制での麹の監視、②高温多湿の麹室での力仕事などの作業、③酒質を左右するプレッシャーがあること
  • 日本酒の麹造りのキャリアとして、麹師などの下積みを経験し、責任者である杜氏を目指せる(女性にも女性杜氏として活躍できるチャンスがある)
  • 「未経験」「お酒が苦手」「異業種」でも日本酒の麹造りの仕事はできる

麹造りの仕事は、日本酒の味や香りを左右する「麹」を育てる専門職であり、酒造りの土台を支える重要な工程です。

温度・湿度管理や繊細な手作業を通じて、麹菌の働きを最大限に引き出す技術と感覚が求められます。

酒蔵の個性を形づくる要でもあり、未経験からでも挑戦できる奥深い職種です。

あなたも、今回の記事を参考にして、発酵文化の中心で、ものづくりの醍醐味を味わえる麹造りの仕事を自分に合った酒蔵で体験しましょう。

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