酒蔵の繁忙期はきつい?スケジュールや働き方を徹底解説

「酒蔵で働いてみたい」──そんな想いを抱いた瞬間から、あなたの中には伝統と情熱が息づいているのかもしれません。

けれど、いざ現場に飛び込むとなると、「繁忙期ってどれくらい大変なの?」「体力的にやっていけるかな…」と不安になるのも自然なこと。

酒造りのピークは、まさに人と時間と気力の総力戦。

だからこそ、そのリアルなスケジュールや働き方を知っておくことは、夢を現実に変える第一歩です。

今回は、酒蔵の繁忙期の実態を徹底解説しながら、あなたの「やってみたい」を「やってみよう」に変えるヒントをお届けします。

【この記事でわかること】

  • 酒蔵の繁忙期は12月から3月頃までで、2月にピークを迎える蔵が多い
  • 酒蔵の繁忙期には、体力的にも精神的にきつい作業がある
  • 繁忙期には、早朝から深夜まで作業が続く
  • 繁忙期には月収30万円以上も可能で、家賃や食費が支給されることもある

酒蔵の繁忙期はいつからいつまで?

酒蔵の繁忙期は、いつからいつまでなのか気になる人もいらっしゃると思います。

ここでは、酒蔵の繁忙期に関する期間や休日などについて解説しましょう。

【酒蔵の繁忙期に関する期間や休日など】

  • 12月から3月頃の冬が寒造りの最盛期
  • 2月は鑑評会用の酒造りでもっとも緊張感が高まる
  • 休日は仕込みの合間に交代で取る

12月から3月頃の冬が寒造りの最盛期

酒蔵の繁忙期は、一般的に12月から3月頃の冬季に集中しており、「寒造り」と呼ばれる酒造りの最盛期にあたります。

寒造りとは、気温が低く雑菌の繁殖が抑えられる冬の時期に、酒の品質を安定させるために行われる伝統的な製造方法です。

この時期、蔵人(くらびと=酒造りの仕事を担う職人)たちは早朝から深夜まで、米の洗浄・蒸し・麹(こうじ)造り・醪(もろみ)管理などの工程を連日繰り返し、緻密な温度管理と手作業によって酒を仕上げていきます。

作業は重労働かつ繊細で、体力と集中力が求められるため、まさに蔵の総力戦ともいえる期間です。

寒造りは酒の味わいを左右する重要な工程であり、蔵人の技術と情熱が凝縮される季節でもあります。

2月は鑑評会用の酒造りでもっとも緊張感が高まる

酒蔵の繁忙期の中でも、特に2月は、全国新酒鑑評会などの品評会に向けた酒造りが本格化する時期であり、蔵人たちの緊張感がもっとも高まる季節です。

鑑評会用の酒は、香り・味・見た目すべてにおいて最高品質が求められ、蔵の技術力と美意識を結集した「顔」ともいえる存在で、通常の製造工程以上に繊細な温度管理や麹造りが必要とされ、わずかなミスも許されないため、蔵内の空気は張り詰めたものになります。

特に吟醸酒や大吟醸酒など、香味のバランスが評価の鍵となる酒では、経験と勘、そして蔵人同士の連携が重要です。

この時期に仕込まれた酒が高評価を得ることで、蔵の名声や販売にも大きく影響するため、まさに蔵の威信をかけた勝負の時期といえるでしょう。

2月は、酒造りの技術と情熱がもっとも研ぎ澄まされる瞬間なのです。

休日は仕込みの合間に交代で取る

酒蔵の繁忙期には、仕込み作業が連日続くため、蔵人たちの生活は非常に多忙になります。

酒の品質を左右する重要な工程が集中し、早朝から深夜まで緊張感のある作業が続く中でも、蔵人の体調管理や集中力維持は欠かせないため、休日は仕込みの合間を縫って交代で取るのが一般的です。

仕込みのタイミングや発酵管理の都合上、完全な休業日は設けにくく、蔵の状況に応じて柔軟にシフトを組み、蔵人同士が連携して休みを確保します。

休みの日も、気になるタンクの様子を見に来る蔵人もいるほど、酒造りへの責任感と情熱が根付いています。

繁忙期の休日は、束の間の休息であると同時に、次の仕込みへの英気を養う大切な時間でもあるのです。

酒蔵の繁忙期の仕事内容ときつい点

酒蔵の繁忙期は、どのような点がきついのでしょうか。

ここでは、酒蔵の繁忙期の仕事内容ときつい点について解説します。

【酒蔵の繁忙期の仕事内容ときつい点】

  • 体力的にきついのは米運びと洗い物
  • 精神的にきついのは麹造りと醪管理
  • 寒暖差の激しい環境も体にこたえる

体力的にきついのは米運びと洗い物

酒蔵の繁忙期には、仕込み作業が集中するため、体力的に厳しい工程がいくつかあります。

中でも「米運び」と「洗い物」は、蔵人にとって特に負担の大きい作業です。

米運びでは、1袋30kg前後の米を何度も持ち上げて運搬する必要があり、蒸し場や麹室など、蔵内のさまざまな場所へ移動させ、階段や狭い通路を通ることも多く、腰や膝に大きな負担がかかります。

一方、洗い物は、仕込みに使用するタンクや道具類を衛生的に保つために欠かせない作業です。

寒い時期には冷水を使って長時間洗浄を行うため、手足がかじかみ、立ち仕事による疲労も蓄積しやすくなります。

これらの作業は、酒造りの品質を支える重要な工程であり、蔵人の根気と体力が試される場面です。

表には出にくい裏方の仕事ですが、酒への誇りと責任感を持って、日々丁寧に取り組んでいます。

精神的にきついのは麹造りと醪管理

酒蔵の繁忙期において、精神的な負担が大きい作業として挙げられるのが「麹造り」と「醪管理」です。

麹造りは、温度・湿度の微細な調整が求められる繊細な工程で、麹菌の働きを最大限に引き出すためには、昼夜を問わず経過を見守る必要があります。

わずかな環境変化が品質に影響するため、常に緊張感を持って対応しなければなりません。

一方、醪管理では、発酵の進行状況を日々確認し、温度調整や櫂入れなどの作業を通じて、酒の味わいを左右する重要な判断を迫られます。

発酵は生き物のように変化するため、経験と直感が求められ、プレッシャーも大きくなります。

これらの工程は、酒の個性と品質を決定づける要であり、蔵人の技術と精神力が試される場面です。

肉体労働以上に、集中力と責任感が問われるため、繁忙期の中でも特に精神的に厳しい作業といえます。

寒暖差の激しい環境も体にこたえる

酒蔵の繁忙期において、寒暖差の激しい環境も蔵人の体に大きな負担を与える要因の1つです。

冬場の仕込みでは、外気温が氷点下近くまで下がる一方で、蒸米の作業場や麹室などは高温多湿の状態が保たれており、作業ごとに温度環境が大きく変化します。

たとえば、冷え込む屋外で米を洗った直後に、蒸気の立ちこめる蒸し場へ移動するような場面では、急激な温度変化によって体調を崩すこともあるでしょう。

また、汗をかいた状態で寒い場所に戻ると、風邪や関節痛の原因にもなりかねません。

蔵人は厚着と薄着をこまめに使い分けながら、体温調整に気を配る必要がありますが、繁忙期の慌ただしさの中ではそれも容易ではありません。

このような寒暖差の繰り返しは、体力だけでなく免疫力にも影響を及ぼすため、蔵人にとっては見えないストレスの1つです。

酒蔵の繁忙期の1日のスケジュール

酒蔵の繁忙期の1日は、どのようなスケジュールで仕事をこなすのでしょうか。

ここでは、酒蔵の繁忙期の1日のスケジュールについて解説します。

【酒蔵の繁忙期の1日のスケジュール】

  • 早朝5時の蒸米から仕事が始まる
  • 日中は仕込みと並行して分析や洗浄
  • 深夜まで続く麹の手入れで一日が終わる

早朝5時の蒸米から仕事が始まる

酒蔵の繁忙期には、早いところでは、早朝5時の蒸米作業から1日が始まります

まだ外が暗く、気温も低い時間帯に、蔵人たちは蒸し場に集まり、大量の米を蒸す準備に取りかかるのです。

蒸米は酒造りの基礎となる工程であり、蒸し加減が麹や酒母に直結するため、技術と集中力が求められます。

蒸米が早朝に行われるのは、酒造りの後工程(麹づくりや仕込み)に間に合わせるためと、気温が低く雑菌の繁殖を防ぎやすいからです。

冷却効率も高く、品質管理の面でも理にかなっています。

蔵の作業リズムにおいて、蒸米は1日のはじまりを担う重要な工程です。

日中は仕込みと並行して分析や洗浄

日中は、麹造りや酒母・醪の仕込みが進行する一方、発酵状況の分析や温度管理、使用器具の洗浄なども並行して行われます。

具体的には以下のとおりです。

作業内容説明・ポイント
仕込み作業(麹・酒母・醪)麹造りや酒母の仕込み、醪の温度管理など、酒の品質を左右する中心的な工程が進行し、複数の仕込みが並行するため、段取りと連携が重要
分析(温度・糖度・酸度など)発酵の進行状況を把握するため、醪や酒母の状態を定期的に分析し、数値の変化から微調整を行うため、緻密な判断力が求められる
洗浄(器具・タンク・床など)使用した道具や設備を衛生的に保つため、仕込みの合間に洗浄作業を行い、冷水を使うことが多く、体力的にも負担が大きい工程

作業量が多く、判断力と衛生管理の徹底が求められる時間帯です。

蔵内の寒暖差も激しく、体調管理が重要になります。

深夜まで続く麹の手入れで一日が終わる

麹室では、麹菌の働きを最大限に引き出すため、夜間も温度・湿度の調整や手入れが続きます

発酵の進行は待ってくれないため、蔵人は交代制で深夜まで作業にあたります

静かな緊張感の中で、酒の品質を左右する繊細な工程が行われるのです。

酒蔵の繁忙期の給料と働き方

酒蔵の繁忙期には、どれくらい稼げて、どのような働き方をすることになるのでしょうか。

ここでは、酒蔵の繁忙期の給料と働き方について解説します。

【酒蔵の繁忙期の給料と働き方】

  • 繁忙期手当込みで月収30万円以上も可能
  • 短期の季節雇用か通年雇用の正社員か
  • 住み込みなら家賃や食費が節約できる

繁忙期手当込みで月収30万円以上も可能

酒蔵の繁忙期は、作業量が多く、早朝から深夜までの勤務が続くため、基本給に加えて各種手当が支給されることが一般的です。

以下の表は、繁忙期における蔵人の月収の内訳例となります。

項目金額(目安)説明
基本給約200,000円・日給制または月給制
・経験や地域によって変動あり
時間外手当約40,000〜60,000円早朝・深夜の作業が多く、残業代が加算される
寒冷地・季節手当約10,000〜20,000円冬季の厳しい環境下での勤務に対する特別手当
食事・宿泊補助約10,000円相当・蔵によっては食事提供や宿泊施設の利用が可能
・現物支給の場合もあり
合計月収約300,000円以上

このように、手当込みで月収30万円を超えるケースもあり、繁忙期ならではの高収入が期待できます。

短期の季節雇用か通年雇用の正社員か

酒蔵の繁忙期には、人手が集中するため、短期の季節雇用が活発になる一方で、通年雇用の正社員は、繁忙期以外も含めて製造・管理・営業など幅広く業務を担います。

それぞれにメリットがあり、目的やライフスタイルに応じた選択が可能です。

以下、季節雇用と通年雇用を比較しましたので、参考にしてください。

項目短期の季節雇用通年雇用の正社員
雇用期間約5〜8ヶ月(冬季中心)通年(無期雇用)
主な業務酒造りの現場作業製造管理・営業・企画など
月収の目安約25〜30万円(手当込み)約20〜35万円(賞与あり)
福利厚生食事・宿泊提供(蔵による)社会保険・昇給・退職金など
向いている人短期集中で働きたい人安定して長く働きたい人

短期雇用は、夏期には別の仕事をしたい人や働く時期・休む時期のメリハリをつけたい人におすすめの働き方で、正社員は、業界に長く関わりたい人やキャリア形成を重視する人に向いています。

住み込みなら家賃や食費が節約できる

酒蔵の繁忙期には、住み込みで働く蔵人の募集が多く見られます。

この住み込み勤務には、経済的な利点が大きく、特に家賃や食費を節約できる点が魅力です。

敷地内または近隣に宿泊施設を用意しており、無料または低額で提供され、食事も朝昼晩の3食付き、または食費補助があるなどの酒蔵も多く、生活費の大部分を抑えることができます。

通勤も不要なため交通費もかからず、結果として月々の支出が大幅に減り、手取り額が増えるのです。

たとえば、家賃5万円、食費3万円、交通費1万円が不要になれば、月に約9万円の節約になります。

住み込み勤務は、短期間でしっかり稼ぎたい人や、酒造りの現場を深く経験したい人にとって、非常に合理的で魅力的な働き方といえるでしょう。

酒蔵の繁忙期に関するよくある質問

酒蔵で働きたいと思っている人は、繁忙期に関してどのような疑問を持っているのでしょうか。

ここでは、酒蔵の繁忙期に関するよくある質問について解説します。

【酒蔵の繁忙期に関するよくある質問】

  • 繁忙期だけの季節雇用でも未経験から働けますか?
  • 繁忙期の過酷な仕事に年齢制限はありますか?
  • 繁忙期が終わった後の閑散期は何をしますか?

繁忙期だけの季節雇用でも未経験から働けますか?

酒蔵の繁忙期における季節雇用は、未経験者にとっても門戸が開かれた貴重な機会です。

特に冬場の仕込み時期には、多くの酒蔵が人手を必要としており、未経験者を積極的に採用する傾向があります。

酒造りの現場では、専門的な知識や技術よりも、やる気と体力、そして寒さの中での作業に耐えられる素直な姿勢が重視され、杜氏(とうじ=酒造りの現場の最高責任者)やベテラン蔵人の指導のもと、各工程ごとに丁寧な指導が行われるため、未経験者でも安心して業務に取り組むことが可能です。

また、季節雇用の多くは住み込みでの勤務が可能であり、食事付き・寮費無料といった待遇が整っている場合もあります。

生活費を抑えながら働けるため、地方での暮らしや、この機会にお酒造りへの道を志望したい人にとっては、非常に魅力的な選択肢となるでしょう。

繁忙期の過酷な仕事に年齢制限はありますか?

酒蔵の繁忙期における季節雇用には、法的な年齢制限は設けられていません

厚生労働省の指針により、採用において年齢を理由とした制限は原則として禁止されており、多くの酒蔵が「年齢不問」として募集を行っているため、年齢に関係なく応募することは可能です。

ただし、酒造りの現場は早朝からの作業や寒冷環境での重労働が中心となるため、実務上は体力や持久力が求められる場面が多くあります。

そのため、蔵によっては「体力に自信のある方」や「健康な方」などの条件が暗黙的に重視されることが一般的です。

応募を検討する際には、仕事内容や勤務時間、体力的な負荷などを事前に確認し、自身の健康状態や生活スタイルに合った酒蔵を選ぶことが重要です。

繁忙期が終わった後の閑散期は何をしますか?

酒造りの繁忙期が終わる春以降、酒蔵では一時的に仕込み作業が落ち着きますが、閑散期といえども蔵人たちの仕事がなくなるわけではありません。

むしろ、次の造りに向けた準備や、製品の出荷・販売活動が本格化する重要な時期となります。

酒蔵の閑散期における主な業務一覧は、以下のとおりです。

業務カテゴリ内容の概要
出荷・製品管理瓶詰め、ラベル貼り、箱詰め、火入れ、濾過、在庫管理など
設備メンテナンス機材の点検・修理、蔵内の清掃、導線の見直し、衛生管理
販売・広報活動イベント出展、試飲会対応、SNS発信、販促物の企画・制作
商品企画・準備来期のラベルデザイン、新商品の試作、原料の選定、仕込み計画の立案
教育・研修他蔵の見学、酒質向上の勉強会、社内研修、資格取得支援など
地域・観光対応酒蔵見学ツアーの受け入れ、地域連携イベント、観光客対応

閑散期は、酒造りの裏側を支える静かな時間でありながら、次の造りへの準備と挑戦が始まる、蔵にとっての「助走期間」ともいえるでしょう。

【まとめ】酒蔵の繁忙期を知って自分に合う仕事を見つけよう

ここまで、酒蔵の繁忙期について、時期や働き方、仕事の内容、給料などの待遇面、よくある質問などを解説してきました。

本記事のポイントは、以下のとおりです。

【本記事のポイント】

  • 酒蔵の繁忙期は、12月から3月頃の冬の寒造りの時期で、2月にもっとも緊張感が高まる
  • 繁忙期には、休日も仕込みの合間に交代で取ることが多い
  • 繁忙期の1日は、早朝の蒸米からはじまり、仕込み、分析、洗浄、麹の手入れなどの作業が深夜まで続く
  • 繁忙期には、手当込みで月収30万円以上も可能であり、住み込みなら家賃や食費が節約できる
  • 繁忙期の働き方には、短期の季節雇用と通年雇用の正社員の2種類がある
  • 未経験でも繁忙期だけの季節雇用で働くことが可能
  • 酒蔵の繁忙期における季節雇用には法的な年齢制限はないものの、重労働に耐えられる体力・気力があるかどうかは選考の際に判断材料となる
  • 繁忙期後の閑散期は、次の造りに向けた準備や、製品の出荷・販売活動などを行う

酒蔵で働きたいと思っている人にとって、酒蔵の繁忙期がどのようなものなのかを把握しておくことは、酒蔵で活躍するうえで必要なことです。

今回の記事を参考にして、酒蔵の繁忙期を知って、自分に合う仕事を見つけましょう。

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