国際唎酒師とは?資格を取得するメリット、必要な知識や学習方法を解説

酒造業、酒販業といった酒類関連事業に携わっている人やこれから携わりたいと考えている人にとって、関連資格を取得することは、就業やキャリア形成にとって有利に働きます。
「日本酒ソムリエ」=「日本酒の提供・販売のプロフェッショナル」として知られる「唎酒師(ききさけし)」と同様、「国際唎酒師」という資格も、世界という市場を意識したときに必要な資格の1つでしょう。
今回は、国際唎酒師について、国際唎酒師とはどのような資格か、資格を取得するメリット、取得方法、必要な知識やスキル、学習方法などを解説します。
■唎酒師についてくわしく知りたい方は「唎酒師とは?仕事内容や資格取得のメリット、試験概要から費用まで詳しく解説」をご覧ください。
■日本酒に関する資格についてくわしく知りたい方は「日本酒の資格の種類とは?取得するメリットや効果的な勉強方法を解説」をご覧ください。
- 1. 国際唎酒師とは
- 1.1. 多言語での日本酒紹介
- 1.2. 国際イベントでの日本酒プロモーション
- 1.3. 海外レストランとの協力
- 1.4. 日本酒を通じた文化交流
- 2. 国際唎酒師の資格を取得するメリット
- 2.1. 飲食業界や酒販店でのキャリアアップに繋がる
- 2.2. 国際的な活躍の場が広がる
- 2.3. 日本酒輸出ビジネスやセミナー開催などのビジネスチャンスに繋がる
- 2.4. より深く日本酒を楽しめるようになる
- 3. 国際唎酒師の資格を取得する方法
- 3.1. 受験資格
- 3.2. 受験方法
- 3.3. 費用
- 3.4. 試験内容
- 4. 国際唎酒師に必要な知識やスキル
- 4.1. 日本酒に関する深い知識
- 4.2. テイスティング技術
- 4.3. プレゼンテーションスキル
- 4.4. コミュニケーション能力
- 4.5. 日本文化全般の知識
- 5. 国際唎酒師になるための学習方法
- 5.1. 公式テキストの活用
- 5.2. Webやアプリを使った補助教材の利用
- 5.3. 異なるタイプの日本酒を用意した実践的なテイスティング訓練
- 5.4. 多言語で日本酒の説明をするための語学力の向上
- 6. 国際唎酒師のまとめ
国際唎酒師とは
「国際唎酒師」は、「唎酒師(ききさけし)」の「外国語版」、日本酒の提供・販売のプロフェッショナルとして、日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)が認定する民間資格です。
ここでは、国際唎酒師とはどのような資格か、資格取得した後の活躍する場面をご紹介しましょう。
【国際唎酒師とは】
- 多言語での日本酒紹介
- 国際イベントでの日本酒プロモーション
- 海外レストランとの協力
- 日本酒を通じた文化交流
多言語での日本酒紹介
国際唎酒師は、外国語で認定試験を実施しており、多言語能力と日本酒の特徴や歴史、料理とのペアリングなどの知識と技術を持つ人が認定される資格です。
国際唎酒師を取得することで、外国人の方に対しても多言語での日本酒紹介が可能になります。
訪日するインバウンド客に対して接客したり、海外で日本酒を提供・販売するための戦略・戦術の企画立案や実施に携わることが可能です。
国際イベントでの日本酒プロモーション
国際唎酒師として、国際イベントでの日本酒プロモーションで活躍することができます。
国際唎酒師は、日本酒の商品特性の理解に基づいた消費者のニーズを見抜く洞察力により、消費者に対して適切で的確な日本酒の提案、提供、販売が可能です。
また、国際唎酒師の持つテイスティング能力とサービス技術により、日本酒の特徴を表現し、消費者の好みやさまざまな料理とのペアリングを考慮して日本酒を提供できます。
そのほか、国際唎酒師の情報発信能力やセールスプロモーションの企画立案、実施能力など国際唎酒師の能力をフル活用することで、国際イベントでの日本酒プロモーションにおいて重要な役割を果たすことが可能です。
海外レストランとの協力
国際唎酒師は、多言語能力を有し、「Sommelier of Sake(日本酒ソムリエ)」として、世界を舞台にして活躍する可能性を秘めています。
たとえば、国際唎酒師として、酒蔵や酒販店が海外で自社の商品を展開する場合、海外レストランとの協力を必要とする場面でも、資格を背景にした説得力ある日本酒の特性の解説や提案などができるでしょう。
日本酒を通じた文化交流
国際唎酒師として、日本酒を通じた文化交流の場面で活躍することが想定されます。
国際唎酒師は、ツーリズムやメディアなどで、日本酒やそれにまつわる情報をさまざまな場面で発信することが可能になるからです。
たとえば、訪日したインバウンド客や海外での日本酒イベントなどでも、イベントやツーリズムなど日本酒を通じた文化交流が期待できるでしょう。
また、各種SNSの動画配信や記事投稿で、国際唎酒師として、日本酒の魅力を発信するなどの文化交流も可能です。
国際唎酒師の資格を取得するメリット
国際唎酒師の資格を取得することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。
ここでは、国際唎酒師の資格を取得するメリットについて解説します。
【国際唎酒師の資格を取得するメリット】
- 飲食業界や酒販店でのキャリアアップに繋がる
- 国際的な活躍の場が広がる
- 日本酒輸出ビジネスやセミナー開催などのビジネスチャンスに繋がる
- より深く日本酒を楽しめるようになる
飲食業界や酒販店でのキャリアアップに繋がる
国際唎酒師を取得すれば、飲食業界や酒販店でのキャリアアップに繋がる可能性があります。
国際唎酒師を取得すれば、飲食業界や酒販店で外国人のお客さまへの対応が可能になり、顧客満足度がアップするでしょう。
顧客満足度アップし、お店の評判や売上が上がれば、国際唎酒師を保有していることで、キャリアアップが期待できます。
国際的な活躍の場が広がる
国際唎酒師の資格を取得するメリットの1つに、国際的な活躍の場が広がるということがあります。
国際唎酒師の多言語能力、日本酒の商品特性の理解力・表現力・提案力、テイスティング能力やサービス技術、情報発信力やセールスプロモーションの企画立案・実施能力などさまざまな能力を生かして、国内での活躍だけでなく、国際的なさまざまな場面で活躍できるでしょう。
日本酒輸出ビジネスやセミナー開催などのビジネスチャンスに繋がる
国際唎酒師の資格を取得すれば、日本酒輸出ビジネスやセミナー開催などのビジネスチャンスに繋がる可能性が期待できます。
たとえば、国際唎酒師として、国内や海外の日本酒イベントでのセミナー講師や案内役、プロジェクトの立案・提案などを依頼されたり、日本酒輸出に関するコンサルティングを委託されたりと、さまざまなビジネスチャンスが想定できるでしょう。
より深く日本酒を楽しめるようになる
国際唎酒師の資格を取得することで、より深く日本酒を楽しめるようになることもメリットの1つです。
国際唎酒師の資格を取得するには、日本酒に関する専門知識、歴史、造りなどさまざまなことを学ばなければなりません。
国際唎酒師の資格を取得する過程で身につけた知識や技術により、今よりも深く日本酒を楽しめるようになるでしょう。
国際唎酒師の資格を取得する方法
国際唎酒師の資格を取得するためには、SSIインターナショナルが主催する「酒のソムリエ遠隔学習コース」または「日本酒ソムリエ検定コース」に申し込んで、最終的には指定の試験を受験し、合格する必要があります。
ここでは、国際唎酒師の資格を取得する方法として、受験資格、受験方法、費用や試験内容などを解説します。
【国際唎酒師の資格を取得する方法】
- 受験資格
- 受験方法
- 費用
- 試験内容
受験資格
国際唎酒師試験の受験資格は、「申込時点で、試験会場の法令により飲酒が可能な年齢に達している方」となっています。
ちなみに、日本で受験する場合には、20歳以上であればどなたでも受験可能です。
ただし、「オンデマンド受講コース」を選択した場合の受験資格は、20歳以上かつFBO認定会員である必要があります。
受験方法
国際唎酒師になるための受験方法は、「東京」「大阪」「その他日本地域」の会場で試験を受験する方法と、自宅で受験する方法の2つです。
国際唎酒師になるための試験を受験するためには、SSIインターナショナルが主催する会場受験を前提とした「検定コース」に申し込むか、時間や場所を選ばずに学習でき、最短3ヶ月で資格取得を目指せる「遠隔学習コース」に申し込んで、自宅で課題を提出して合否判定を受けるかどちらかを選択できます。
試験会場から遠くにお住まいの方や、自分のペースで資格を取得したい方には、「遠隔学習コース」が選ばれているようです。
また、FBO認定会員であれば、動画を視聴しながら時間や場所を選ばず学び、会場受験、または在宅試験で資格取得を目指せる「オンデマンド受講コース」も選択できます。
言語に関しては、「検定コース」を選択し、日本で受験する場合には、英語または中国語、提携校での受験に関しては、英語または中国語、一部の提携校では、韓国語とスペイン語です。
「遠隔学習コース」の言語に関しては、英語または中国語、「オンデマンド受講コース」の言語は、受講が英語と日本語(講義は日本語主体で進行)、受験が英語となっています。
費用
検定費用に関しては、以下のとおりです。
※金額はすべて税込み、()内はFBO認定会員の料金、料金には認定料5,000円が含まれています。
【検定コース・遠隔学習コース】
公式テキストなし | 公式テキスト付(英語) | 公式テキスト付(中国語) | |
検定コース | 33,000円 (16,500円) | 36,300円 (19,470円) | 39,050円 (22,550円) |
再受験 | 14,000円(7,000円) | ||
遠隔学習コース | 70,180円 (35,090円) | 73,480円 (38,060円) | 76,230円 (41,140円) |
【オンデマンド受講コース】FBO認定会員のみ
会場受験 | 在宅試験パーソナル方式 | |
受講受験料 | 30,580円 | 48,620円 |
再受験料 | 7,000円 | 25,040円 |
試験内容
試験内容に関しては、以下のとおりです。
【会場受験】
試験時間 | 12時30分~15時20分 |
1次試験 | 【ライティング】選択型(一部記述型)12時30分~13時20分(50分) ・日本酒に関する専門知識 ・酒類を含む飲食に関する基礎知識 |
2次試験 | 【記述式】記述式(一部選択型)13時30分~14時20分(50分) ・日本酒のサービスや販売促進に関する設問 (季節ごとの味覚特性による企画も含む) |
3次試験 | 【テイスティング】記述式(一部選択型)14時30分~15時20分(50分) ・日本酒のテイスティングによる品質評価、個性の抽出(香味特性による分類を含む) |
合格基準 | 各試験の正答率70%以上 |
【遠隔学習コース】自宅での課題
第1回 |
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第2回 |
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第3回 |
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国際唎酒師に必要な知識やスキル

国際唎酒師になるためには、さまざまな知識やスキルが必要不可欠です。
ここでは、国際唎酒師に必要な知識やスキルについて解説します。
【国際唎酒師に必要な知識やスキル】
- 日本酒に関する深い知識
- テイスティング技術
- プレゼンテーションスキル
- コミュニケーション能力
- 日本文化全般の知識
日本酒に関する深い知識
国際唎酒師は、外国語でお客さまに日本酒を適切かつ正確に提供する「日本酒のスペシャリスト」です。
当然のことながら、国際唎酒師は、消費者以上の日本酒に関する深い専門知識を習得していなければなりません。
さらに、日本酒の商品特性に関する知識と併せて、日本酒とのペアリングの提案を行う上で、日本酒のみならず、すべての飲料、食品の特性にも精通している必要があります。
テイスティング技術
国際唎酒師が、「Sommelier of Sake」として日本酒を適切かつ正確に提供するには、高度なテイスティング技術が必要不可欠です。
日本酒には、さまざまな種類がありますが、お客さまにそれぞれの商品特性を伝えるためには、それぞれの商品の特徴をつかんで表現しなければなりません。
日本酒以外の酒類との比較や、味わいや風味など日本酒の商品特性に関するセールスポイントや留意点などを正確に伝えられるような高度なテイスティング技術が必要となります。
プレゼンテーションスキル
国際唎酒師は、日本酒のテイスティング能力を生かして、お客さまのニーズや料理とのペアリングに応じた日本酒を提供しなければなりません。
消費者に適切かつ正確に日本酒を提供するには、お客さまが理解できるようなプレゼンテーションスキルも必要になってくるでしょう。
消費者のニーズを見抜く洞察力やお客さまを思うおもてなしの心、消費者への企画、外国語による提案力などを含めたプレゼンテーションスキルは、国際唎酒師に必要な能力の1つです。
コミュニケーション能力
国際唎酒師としては、コミュニケーション能力も欠かせないスキルの1つとなります。
多言語能力はもちろんのこと、お客さまのニーズは何なのか見抜くためには、お客さまとのコミュニケーションは欠かせません。
また、日本酒の商品特性を正確に伝えるためには、プレゼンテーションスキルと併せて、コミュニケーション能力も必要になってきます。
日本文化全般の知識
国際唎酒師は、お客さまに日本酒を適切かつ正確に提案・提供するプロフェッショナルです。
日本酒の商品特性を踏まえ、テイスティング能力とプレゼンテーションスキル、コミュニケーション能力を駆使して、その場に応じた日本酒を提供するためには、日本酒以外にも日本文化全般の知識も必要です。
日本文化の中で培われた日本酒の歴史や造りを意識した日本酒を提案できてこそ、国際唎酒師としての真価が発揮できるでしょう。
国際唎酒師になるための学習方法
国際唎酒師の資格を取得するためには、どのような学習をすればいいのでしょうか。
ここでは、国際唎酒師になるための学習方法について解説します。
【国際唎酒師になるための学習方法】
- 公式テキストの活用
- Webやアプリを使った補助教材の利用
- 異なるタイプの日本酒を用意した実践的なテイスティング訓練
- 多言語で日本酒の説明をするための語学力の向上
公式テキストの活用
国際唎酒師の資格を取得するためには、公式テキストを活用して、学習するとよいでしょう。
SSIインターナショナルが使用する国際唎酒師の資格取得用の公式テキストは、『日本酒の基(NIHONSHU-NO-MOTOI) 国際利器酒師のためのテキスト』(非営利団体FBOにて販売)です。
公式テキストは、2巻に分かれ、1巻(173パージ)では、「酒類の基礎知識」「主な酒類&嗜好食品の商品特性、日本酒の基礎知識・ 原材料」「製法」「効能」「歴史」など、2巻(136ページ)では、「風味特性による分類(4種類)」「テイスティング」「サービス」「日本酒の販売促進」などが掲載されています。
Webやアプリを使った補助教材の利用
国際唎酒師の資格を取得するためには、公式テキストを活用するほか、Webやアプリを使った補助教材なども利用するとよいでしょう。
「国際唎酒師 学習」などとインターネットで検索すれば、資格取得のためのアプリや補助教材が探せます。
たとえば、国際唎酒師に合格した方が提供しているアプリや補助教材などがあるので活用することをおすすめします。
異なるタイプの日本酒を用意した実践的なテイスティング訓練
国際唎酒師の資格を取得するためには、テイスティング訓練も必要です。
国際唎酒師のテストには、第三試験として、「日本酒のテイスティングによる品質評価、個性の抽出(香味特性による分類を含む)」があります。
テイスティング能力を磨くためには、異なるタイプの日本酒を用意した実践的なテイスティング訓練が欠かせません。
ちなみに、SSIインターナショナルが紹介している試飲教材としては、「受験生応援企画対象者限定試飲教材酒類」(300ml×4本、180ml×2本のセット、NPO法人FBOが窓口)などもあります。
多言語で日本酒の説明をするための語学力の向上
国際唎酒師は、日本語が話せない外国人に対して、英語や中国語など多言語で日本酒を紹介する「日本酒のスペシャリスト」です。
日本で行われる試験でも英語や中国語で実施され、海外の提携校では、英語・中国語・韓国語・スペイン語などで試験が実施されます。
国際唎酒師として活躍するためには、日本酒の説明をするための語学力の向上が必須となるので押さえておきましょう。
国際唎酒師のまとめ
ここまで、国際唎酒師について、国際唎酒師とはどのような資格か、資格を取得するメリット、取得方法、必要な知識やスキル、学習方法などをご紹介させていただきました。
酒造業・酒販業といった酒類関連業界で活躍したいなら、「Sommelier of Sake(日本酒ソムリエ)」としての「唎酒師」や「国際唎酒師」を取得することをおすすめします。
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