都市部と地方の酒蔵分布からわかる就職・転職事情を解説

全国の酒蔵の分布を調べてみると、地方に酒蔵が多いことがわかります。

なぜ、酒蔵は地方に多いのでしょうか。

酒蔵で働きたい人にとって、酒蔵が地方にある理由や地方で働くことの魅力を理解することで、酒蔵への就職・転職事情が理解できます。

今回は、都市部と地方の酒蔵分布からわかる酒蔵への就職・転職事情についてくわしく解説しましょう。

酒蔵の数から見る都市部と地方の違い

酒蔵は、地方に多いと言われていますが、酒蔵の分布を分析することで、都市部と地方の違いがわかります。

ここでは、酒蔵の数から見る都市部と地方の違いについて解説しましょう。

【酒蔵の数から見る都市部と地方の違い】

  • 都道府県別酒蔵の数
  • 酒蔵の数は地方が多く都心部が少ない

都道府県別酒蔵の数

都道府県別の酒蔵の数は以下のとおりです。全国合計で1,635蔵です。

なお、今回の集計における酒蔵の定義は、清酒または焼酎を製造している蔵としています。

都道府県 酒蔵の数都道府県 酒蔵の数都道府県 酒蔵の数都道府県 酒蔵の数
北海道21東京都20滋賀県20香川県7
青森県17神奈川県13京都府22愛媛県35
岩手県24新潟県90大阪府10高知県22
宮城県31富山県21兵庫県43福岡県61
秋田県38石川県39奈良県21佐賀県24
山形県52福井県36和歌山県9長崎県24
福島県65山梨県10鳥取県12熊本県40
茨城県39長野県84島根県27大分県37
栃木県33岐阜県50岡山県33宮崎県39
群馬県27静岡県30広島県41鹿児島県116
埼玉県34愛知県50山口県29沖縄県47
千葉県34三重県38徳島県20  

※都道府県別の酒蔵の数は、国税庁など政府の資料として公表されているデータがありませんので、各国税局が公表している「酒蔵マップ」のデータを参考に筆者が独自で集計・作成したものです。

酒蔵の数は地方が多く都心部が少ない

都道府県別の酒蔵の数を見てみると、地方が多く都心部が少ないということがわかります。

たとえば、都心部の酒蔵は、東京20蔵、大阪10蔵、合計でも30蔵であるのに対して、地方の酒蔵は、新潟90蔵、長野84蔵、合計174蔵などといったような具合です。

特に、鹿児島県など九州地方の酒蔵は、焼酎蔵が多く、沖縄県は泡盛製造の酒蔵がほとんどです。

地域によって、製造している酒類などの特徴はあるものの、酒蔵は、都心部よりも地方のほうが数が多く、酒蔵の製造場の立地が、地方に偏っている傾向があります。

酒蔵はなぜ地方に多いのか

酒蔵は、なぜ地方に多いのでしょうか。

ここでは、酒蔵が地方に多い理由を探っていきましょう。

【酒蔵はなぜ地方に多いのか】

  • 良質な水と米がすぐ近くで手に入る
  • 広い土地で製造と貯蔵ができる
  • 自然環境や気候も酒造りに適している
  • 代々受け継がれる伝統の技がある
  • 地域の人々と協力して酒造りができる
  • 原料の仕入れコストを抑えられる

良質な水と米がすぐ近くで手に入る

酒蔵が地方に多い理由はいくつかありますが、その中で特に重要なのが、地元で良質な水と米が手に入りやすい点です。

日本酒の醸造には、清らかでミネラル豊富な水が欠かせません。地方では、地元の良質な水を使い、酒造りが行われてきました。

日本酒の原料の1つである米の品質も酒の味を大きく左右するので、地方の酒蔵は、地元の農家と密接に連携し、米の栽培から酒造りまで一貫したプロセスを築くことができます。

こうした地域密着型の取り組みは、品質の高い日本酒を生み出すための重要な要素となっています。

日本酒の原料である米や水は、地域によって異なり、地元の米や水を使用することで、地域ならではの個性豊かな地酒が製造可能です。

そのため、酒蔵はこれらの条件が揃う地方に多く見られます。

広い土地で製造と貯蔵ができる

酒蔵が地方に多い理由の1つとして、地方には、酒類の製造と貯蔵ができる広い土地が多いということがあります。

日本酒や焼酎など酒類の製造を行うためには、製造や貯蔵の設備を設置する広いスペースが必要であり、特に、タンクの設置には、十分な用地が不可欠です。

地方には広大な土地が多く、都市部と比べて土地の価格も比較的低いため、大規模な醸造施設を建設しやすいという利点があります。

酒蔵の用地としては、酒類製造・貯蔵ができる広い用地が必要であるため、地方には酒蔵が多いといったことが言えるでしょう。

自然環境や気候も酒造りに適している

酒蔵が地方に多いのは、地方の自然環境や気候が、酒造りに適しているからという理由もあるでしょう。

酒造りに適した自然環境や気候といった条件が揃う地方では、伝統的な酒造りが発展してきました。

そのため、地方の酒蔵では、豊かな自然環境を活かして、じっくりと時間をかけておいしい酒造りが行われてきたのです。

代々受け継がれる伝統の技がある

地方には、酒造りに関して、代々受け継がれる伝統の技が根づいてきたということも、酒蔵が地方に多い理由の1つです。

酒造りに関する地方の伝統技術は、杜氏集団や蔵人たちが長年の経験に基づいて築き上げてきた技術で、日本各地の気候風土に合わせて発展してきました。

各地域で長年にわたって培われた技術と知識は、地域ごとの気候や風土に合わせた独自の酒造りを可能にします。

その結果、各地で個性豊かな日本酒が生まれてきたのです。

伝統的な酒造りの技術を代々受け継ぎながら、地域の特産品としてのブランドを築いてきた背景もあります。

地域で、代々受け継がれてきた酒造りの伝統技術を生かして製造された銘柄や酒蔵のブランドを守り続けてきた酒蔵が地方に多いのは、こうした背景からです。

地域の人々と協力して酒造りができる

酒蔵が地方に多い理由の1つには、地域の人々と協力して酒造りができるといったことも挙げられます。

地方の酒蔵は、地元の農家と連携して米を育てたり、地域社会と密接に結びつきながら酒造りを行ってきました。

こうした協力体制は、品質の高い日本酒を造るために欠かせないものとなっています。

地域の人々と協力することで、地元の風土や気候に適した米の栽培が可能になり、それが独自の日本酒を生み出す土台となり、地域の祭りや行事などにも積極的に参加し、地域社会との絆を深めることで、酒蔵は地域に根づいた存在であり続けるのです。

原料の仕入れコストを抑えられる

地方に酒蔵が多い理由の1つとしては、原料の仕入れコストを抑えられるといったことも考えられます。

酒造りには米と水が必要不可欠であり、これらの原料が地元で手に入ると、輸送コストを大幅に削減することができるからです。

さらに、地元の農家と協力することで、原料の品質管理も容易になり、安定した供給が確保されます。

地元の原料を使うことで、仕入れコストを抑えつつ、高品質な日本酒を生産することが可能になるため、おのずと酒蔵が地方に増えていったのでしょう。

酒蔵で働くなら地方移住も考えよう

地方に多い酒蔵ですが、酒蔵で働きたいと考えるなら、地方への移住を考えることも必要です。

ここでは、「酒蔵で働くなら地方移住も考えよう」ということについて解説します。

【酒蔵で働くなら地方移住も考えよう】

  • 酒造りから営業まで好きな仕事が選べる
  • 移住支援制度を使って引っ越しができる
  • 住まいのサポートが手厚く安心できる
  • 地域の誇る日本酒文化を守る仕事ができる

酒造りから営業まで好きな仕事が選べる

地方へ移住して、酒蔵に就職・転職する際に、どのような職種になるかは求職者にとって非常に重要です。

酒蔵のことを、あまり知らない方にとっては、酒蔵での仕事は、酒造りの仕事しかないと考えているかもしれませんが、そんなことはありません。

酒蔵には、製造部門以外にも、商品開発、営業、流通、総務、財務・経理、給与・労務、人事・採用・教育、経営管理などさまざまな職種があります。

地方へ移住して、酒蔵で働きたいと考えている方にとっては、自身が希望する職種を募集している酒蔵に応募し、好きな仕事を選ぶことが可能です。

移住支援制度を使って引っ越しができる

地方の酒蔵で働くことを考えると、移住支援制度を活用するのは非常に有益です。

日本の多くの地方自治体では、人口減少や地域活性化を目的として、さまざまな移住者への支援制度を設けています。

移住者への支援制度には、主に、「住宅補助」「仕事紹介」「生活サポート」などがありますが、たとえば、移住支援制度として、「住宅補助」を受けることができれば、引っ越し費用の一部や、住居の提供・補助が受けられ、引っ越しする際にも心配いりません。

具体的な支援内容は自治体によって異なりますので、興味のある地域の移住支援制度について調べてみるとよいでしょう。

住まいのサポートが手厚く安心できる

地方へ移住して酒蔵で働く際に、はじめに心配なのは、住居がどうなるのかといったことでしょう。

多くの酒蔵では、都心部から地方へ移住して酒蔵で働いてくれる従業員向けに、寮を完備していたり、住宅手当の支給があったり、行政の移住支援制度を紹介してもらえたりと、住まいのサポートが手厚く安心できるといったことがあります。

地方にある酒蔵の多くは、採用活動する際に、都心部から地方への移住者のことも想定しているので、住まいのサポートに関する労働条件はしっかりと整備されているものと考えていいでしょう。

地域の誇る日本酒文化を守る仕事ができる

地方へ移住して、酒蔵で働くことで、地域の誇る日本酒文化を守る仕事ができるといった魅力があります。

地域ごとの独自の酒造り技術や知識を学び、次世代に伝えていくことにより、地域の伝統文化を守り続ける重要な役割を果たすことができるのです。

また、酒蔵の活動を通じて、地域経済の活性化にも貢献でき、地元の農家や企業との連携を深めることで、地域全体の発展に寄与できます。

さらに、酒蔵見学や試飲イベントを企画することで、観光客を呼び込み、地域の魅力を広く発信することができ、地域の知名度アップの一助を担うことも可能です。

地方へ移住して酒蔵で働くということは、地域の人々との絆を深めながら、誇りある日本酒文化を守り育てることができる素晴らしい機会となるでしょう。

地方の酒蔵で働くことによる暮らしの魅力

地方にある酒蔵で働きながら暮らすことには、さまざまな魅力があります。

ここでは、地方の酒蔵で働くことによる暮らしの魅力について解説しましょう。

【地方の酒蔵で働くことによる暮らしの魅力】

  • 家賃が安く都会の3分の1程度で暮らせる
  • 子育てサポートが手厚く安心できる
  • 地域ならではの食文化を楽しめる

家賃が安く都会の3分の1程度で暮らせる

地方の酒蔵で働くために、地方へ移住して、地方で暮らすことに関して不安を覚える方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、地方での暮らしのメリットの1つに、「家賃が安い」といったことが挙げられます。

一般的に、地方の家賃は、都会の3分の1程度で暮らせるとも言われるほどです。

また、「家賃が安い」ということは、同じ予算でもより広く快適な住まいを手に入れることもできるでしょう。

さらに、住居費用が少ないぶん、他の生活費や趣味・レジャーに使えるお金に余裕ができ、生活の質を高めることができるので、豊かな暮らしが実現できるといったメリットがあります。

子育てサポートが手厚く安心できる

地方の酒蔵に就職して、地方の暮らしを送る上で、子育てサポートが手厚く安心できるといったメリットも見逃せません。

酒蔵の中には、地方へ移住して酒蔵で働いてくれる従業員向けに、保育施設を整備していたり、地域活性化の一環として、子育て支援プログラムを提供していたりする蔵もあります。

また、地方での子育ては、都会に比べて保育園の充実など、行政による子育てサポートも手厚く、安心して子育てができる環境です。

さらに、新鮮な空気と自然豊かな環境で子育てできたり、田畑での体験や地元の食文化に触れる機会も多く食育につながったり、犯罪率も低く、子どもたちが安心して遊べる環境が整備されていたりと、地方での子育ては安心感があるでしょう。

こうした酒蔵のある地方の自然豊かな環境は、理想的な子育て環境を提供してくれます。

地域ならではの食文化を楽しめる

酒蔵で働くための地方での暮らしは、地域ならではの食文化を存分に楽しむことができるのが魅力の1つです。

たとえば、地元の農家や漁師から直接新鮮な野菜や魚介類を手に入れることができ、その地域でしか味わえない新鮮な食文化を堪能することが可能です。

また、各地域には伝統的な郷土料理があり、地域ごとの特色ある料理を楽しめるのも、地方での暮らしの醍醐味でしょう。

そのほか、四季折々の旬の食材を楽しんだり、地元の祭りやイベントで、地域の食文化に触れたりと、地域ならではの食文化を楽しめることは、地方での暮らしの大きなメリットです。

都市部と地方の酒蔵事情のまとめ

ここまで、都市部と地方の酒蔵分布からわかる酒蔵への就職・転職事情について 、酒蔵の数から見る都市部と地方の違い、酒蔵が地方に多い理由、酒蔵で働くための地方移住、地方の酒蔵で働くことによる暮らしの魅力などをご紹介させていただきました。

酒蔵が地方に多いのには、それなりの理由があることがおわかりいただけたと思います。

酒蔵が地方に多いのであれば、地方への移住も含めて考えておく必要があるでしょう。

酒蔵に就職・転職する上で何よりも大切なことは、自身に適した酒蔵を見つけることです。

そのためには、酒造業に特化した人材紹介サポートを活用することをおすすめします。

アンカーマンでは、酒蔵や酒販店など酒類事業に携わりたい人と酒類事業者をマッチングする酒類事業に特化した人材紹介サポート「酒蔵エージェント」サービスを提供しています。

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