妥協は禁物、徹底的に考え抜け!
※2018年1月23日更新
“顧客の顧客”第一が成功につながる!
今月は、“顧客の顧客”が本当に望んでいることを見極め、全社を挙げて実現し売上を伸ばした、スバルのインプレッサの事例を見てみましょう。あなたの酒蔵の“顧客の顧客”が本当に望んでいるものは何か、それを実現するために何をしたらよいか。ぜひ参考にしてみてください。
~ スバルのインプレッサの事例 ~
2012年前半には国内での納車に3か月以上の待ちが生じるほどの人気を博していたスバルのインプレッサ。しかし2007年に市場導入された3代目インプレッサの当時の売上は惨憺たる結果であった。
満を持して市場に投入された3代目インプレッサの敗因は以下の3点であると考えられる。
①市場が省エネ志向の時代に突入する中、3代目インプレッサは燃費面での改善が見られなかった点、
②従来のインプレッサは荷室が広いことが評価されていたが、3代目はコンパクト化を推し進めたため、荷室が狭くなってしまった点、
③当時の円高の影響でコスト削減を迫られたことにより、デザインや内装といった品質面で妥協した点である。顧客志向を忘れ、必要なところに必要な予算を割けず、安くても品質が高くない自動車は支持されなかった。
4代目インプレッサは3代目の教訓が活かされた。自社の都合、既存の意識で製品中心のマーケティングを行っていた3代目に対し、4代目は「顧客の声」を聞くことに徹した。例えば、従来であれば車の荷室にはスペアタイヤがついていたが、日本や欧州向けのモデルでは、パンク修理キットの採用を前提としてスペアタイヤを外した。格納スペース分を荷室の容積に向けられないかと考えたからだ。スペアタイヤがあることと、荷室が広くて多くの荷物を積めること、どちらが顧客にとって嬉しいだろうか。多くの顧客はスペアタイヤよりも荷室の広さを選んだ。もちろん、一部の海外市場によってはスペアタイヤが義務となっているため、そうした市場では床面を下げることで対応した。
顧客が本当に望んでいることは何か。営業、企画、製造がそれぞれの部署の都合ではなく、顧客満足を第一にして行動しているか。本当の顧客は販売会社でも他部署の人間でもない。その車に乗る人々なのである。