一升瓶依存からの脱却!補助金活用で考える容器の見直し
「今、一升瓶が足りない…」
皆さん既にご存知のとおり、2022年の年末頃から、日本酒製造・販売事業に欠かせない一升瓶不足が業界内外で問題になっています。
日本酒といえば「一升瓶」。
しかし今、「一升瓶が売れない」「一升瓶が足りない」といったいわゆる「一升瓶問題」が起きており、日本酒製造・販売事業者としては、いろいろと考えさせられるところです。
今回は、一升瓶問題が話題になってる今、あえて一升瓶から脱却するという選択肢を考えてみたいと思っている方に向けて、一升瓶依存から脱却するための1つの選択肢として、容器の見直しを図るのはどうかということについて考察してみようと思います。
また、容器の見直しを図る上で必要な瓶詰機等の設備投資に必要な資金を補助金で賄うことも併せて検討してみましょう。
一升瓶が売れないに加えて一升瓶が不足
先日のコラムでもご紹介させて頂きましたとおり、「一升瓶が売れない」という傾向がみられます。
コロナ禍での業務用ニーズの落ち込みや消費者の嗜好の多様化や生活スタイルの変化、保管のしやすさから大容量の紙パックを選ぶ人が増えたことなどが影響しているようです。
この「一升瓶離れ」に加えて問題となっているのが、一升瓶不足です。
ここでは、最近問題となっている「一升瓶不足」について探っていきます。
※「一升瓶が売れない」についてさらにくわしく知りたい方はこちら!→「補助金で「酒屋飲み」はじめませんか?」
一升瓶不足という不測の事態
全国的な酒瓶不足、特に一升瓶の不足が、各メディアのニュースとしても取り上げられるほど、深刻な様相を呈しています。
全国の多くの日本酒製造関係者からも、「こんなことは過去に経験がない」といった声が聞かれ…。
輸出などの出荷の際に、これまで使っていた一升瓶が不足し、仕方なく色違いの瓶などで代用することも…。
一升瓶不足の原因としては主に2つ。
1つは、コロナ禍で一升瓶の出荷本数が落ち込んだあと、ポストコロナで需要が急激にV字回復し、一升瓶の製造が間に合わないことです。
もう1つは、もともとガラス瓶の市場がペットボトルへの転換などにより縮小傾向にあったことやロシアによるウクライナ侵攻で燃料価格が上昇したこと等の影響で、国内大手瓶メーカーの一部が製造工場を閉鎖し、瓶の市場への供給量が減っていることが挙げられます。
今後一升瓶不足はどうなるのか?
日本ガラス瓶協会によれば、酒瓶の市場への供給にはまだまだ時間がかかるとのことから、一升瓶不足はすぐには解消しない見通しのようです。
個々の酒蔵さんの営業努力等により、消費者への酒瓶の回収の呼びかけ等の工夫で現状はなんとかしのいでいるものの、今後、本格的な出荷シーズンを迎えたときには、酒瓶不足に対応できるかという不安は消えません。
引き続き、貴重な資源のリサイクルやリユースを継続していきながら、酒瓶不足への対応に関しては、別の方法を考える必要も生じてきています。
今後一升瓶は売れるの?
仮に、一升瓶不足が収束したとしても、果たして今後、一升瓶は売れるようになるのでしょうか。
ここでは、一升瓶問題に関して、将来も含めて考察していくことにしましょう。
一升瓶問題が解決しても
今後、酒瓶の製造体制が整い、市場への供給が回復したり、酒瓶のリサイクルやリユースのしくみがより社会に浸透したりして、なんとか一升瓶問題が解決したと仮定します。
コロナ前のように、一升瓶を含めた酒瓶が酒造・酒販事業を行う上で問題なく確保できるような体制に戻ったときに、次に考えなければならない事業課題は、「いかに消費者のニーズに対応していくか」ということではないでしょうか。
一升瓶問題が解決しても、酒造・酒販事業を安定して継続させていくためには、容器を含めた消費者ニーズへの対応にどう向き合っていくかに焦点が当てられます。
一升瓶の将来を考察する
一升瓶の将来を考察する上で、一升瓶に対する消費者ニーズの現状把握をしておく必要があるでしょう。
現状把握として、一升瓶の最新の出荷数量を見てみると、令和3年度(2021年度)では、前年度比で16%減、直近10年間で50%減、直近20年間で80%減となっており、急速な「一升瓶離れ」が加速していることがわかります(1.8L壜再利用事業者協議会の統計参照)。
これは、コロナ禍で飲食店等の業務用ニーズが冷え込んだことに加えて、消費者ニーズが徐々に変化してきたことに大きな影響をうけているようです。
消費者ニーズとしては、違う種類のお酒を少しずつ楽しむために少量の容器を欲する傾向や、冷蔵庫での保管に一升瓶が適さないことから四号瓶やもっと小さいサイズを求める傾向などなど。
日本酒はどうしても一度開栓してしまうと、日ごと風味が落ちてしまうため、一升瓶だと料飲店や消費者的には取扱いに困るといった声も聞こえてくるのです。
以上のとおり、一升瓶に対する消費者ニーズは、長期的に減少傾向が見てとれます。今後、酒造業・酒販業の将来を考える上で、これまでの一升瓶依存の経営方針を考える時期に来ているのではないでしょうか。
一升瓶依存から脱却するという選択肢
「一升瓶が売れない」「一升瓶が足りない」
これらの一升瓶問題に端を発して、一升瓶を前提とした一升瓶依存の経営方針を考え直す事業者も出てくることが予想されます。
ここでは、一升瓶依存から脱却するという選択肢について、深掘りしていきましょう。
なぜ一升瓶に依存するのか?
日本酒といえば一升瓶という時代から、現在では、多様な消費者ニーズに対応すべく、市場には四号瓶(720㎖)や300㎖、180㎖などの小型容量の瓶やペットボトル、紙パックなどのお酒が出回っています。
それでもなお、一升瓶を前提とした一升瓶依存の経営方針をとる事実業者が多いのはなぜでしょうか。
一升瓶依存は、昔からの経営慣習によるところが大きいのですが、酒造業者としては、小容量商品を製造するための手間が大きいことや、利益率が下がってしまうということから、一升瓶を製造したいというのが本音でしょう。
また、酒販事業者としても、同様に小容量商品を販売する上では、売上減少を避けるために、薄利多売のマーケティング戦略をとらざる得なくなるので、やはり売上高が大きい一升瓶依存のマーケティング戦略をとる酒販事業者も多くなります。
一升瓶依存からの脱却はあり?なし?
多様な消費者ニーズに対応するべく、小容量商品の販売に舵を切る一升瓶依存からの脱却の経営戦略はありかなしか、検討していきましょう。
確かに、一升瓶依存を継続すれば、目先の売上や利益をある程度は確保できるかもしれません。
しかし、「一升瓶離れ」「小容量商品志向」という消費者ニーズを軽視すれば、長い目で見れば、売れる日本酒の提供を継続していくのは難しくなってしまうかもしれません。
消費者ニーズを重視したマーケティング戦略をとることで、経営継続ができていくなら、一升瓶脱却もやむなしという意味では、一升瓶依存からの脱却はありと言えるのではないでしょうか。
容器の見直しという選択
一升瓶依存からの脱却をありと考えるならば、一升瓶依存でなく、容器の見直しを図るのも打開策の1つでしょう。
一升瓶を前提とせず、四合瓶・紙パック・缶充填・ペットボトル充填など、消費者ニーズに合致したさまざまな容器への変更を検討するという選択肢があります。
当然、容器を見直す上では、ただ単に一升瓶依存から脱却するということではなく、自身の蔵や店の顧客はどのようなニーズを持っているのかということをマーケティングする必要があるでしょう。
自社の顧客のニーズを前提としたマーケティング戦略を考慮した上で、戦略に合致した容器の見直しを選択することになります。
また、顧客のニーズを重視したマーケティング戦略を選択する中で、利益率の高い高付加価値商品を販売するのか、利益率が低くても薄利多売で勝負するのかなどもマーケティング戦略として考慮していく必要があることは言うまでもありません。
自社に合ったマーケティング戦略を前提とした容器の見直しを選択していきましょう。
補助金活用による瓶詰機導入事例
「瓶詰機を導入したいけれど、資金が…」
「瓶詰機等の設備投資に補助金て活用できるの?」
ご安心ください。
瓶詰機等の導入には、補助金が活用できるんです。
ここでは、補助金を活用した瓶詰機の導入事例をご紹介していきましょう。導入事例は、以下のとおりです。
【補助金を活用した瓶詰機の導入事例】
事業者 | 活用補助金 | 導入した充填設備 | 導入目的 |
関西/老舗/日本酒メーカー | ものづくり補助金 | 充填ライン(充填機・専用コンベア装置など) | 瓶詰工程の高度化による生産性向上と衛生面改善による高付加価値商品開発 |
九州/老舗/焼酎メーカー | ものづくり補助金 | 紙パック充填機 | 生産性・作業負荷・品質劣化の改善、各種サイズへのフレキシブル対応 |
山陰/老舗/日本酒メーカー | ものづくり補助金 | フィラ式充填機 | 搾りたてのフレッシュな生酒の量産体制確立と中国・台湾への輸出の展開のため、生産性・作業負荷・品質劣化の改善、動線改善により洗瓶~ラベル貼りまでの一貫生産を実現 |
九州/老舗/焼酎メーカー | ものづくり補助金 | 充填ライン(充填機のほか、殺菌装置プレートヒーター、キャッパーなど) | 「焼酎の製造高度化」を達成するため、課題である加熱殺菌工程と充填・打栓工程を高度化(充填〜打栓の作業を一貫全自動化) |
東北/老舗/日本酒メーカー | ものづくり補助金 | エアーピストン式充填機 | 消費者ニーズを意識した200ml「飲みきりサイズ」の製造、充填とキャップ締め(打栓)工程の1ライン化 |
四国/老舗/日本酒メーカー | ものづくり補助金 | フレキシブル充填機 | 「搾りたてフレッシュな地酒の安定供給体制の構築」を達成するため瓶詰工程の高度化による生産性向上による高付加価値商品の安定供給と海外日本酒市場への販路拡大 |
中部/老舗/日本酒メーカー | 事業再構築補助金 | 充填機 | 高品質な生酒の提供(フレッシュローテーション)を実現するため、一時間に600本/720mlビンへの充填が可能な充填機を導入 |
関西/老舗/日本酒メーカー | ものづくり補助金 | ウェイト式充填機 | 「製造工程改善による競争力強化とフレッシュ地酒のグローバル展開」を達成するため、新規設備導入と動線改善により、これまで独立していた一連の瓶詰め工程(洗瓶~打栓)の一貫生産を実現 |
関東/スタートアップ/日本酒メーカー | ものづくり補助金 | 充填・瓶詰ライン(簡易充填機、半自動PPキャッパーほか) | 清酒輸出事業を展開するため、機械化による工程の効率化、人員削減、異物混入リスクの削減、生産性向上 |
九州/老舗/焼酎メーカー | 県の独自補助金 | 簡易充填機 | 巣ごもり需要を狙ったオンライン営業の強化による焼酎ミニボトルの製造・販売展開 |
ご覧のとおり、ものづくり補助金を活用した事例が多いことがおわかりいただけるかと思います。
充填機は、数百万円から1,000万円を超えるものもあることから、充填機を導入する際には、補助金額が大きい「ものづくり補助金」や「事業再構築補助金」の活用事例が多いようです。
まとめ
ここまで、一升瓶問題に端を発して、一升瓶依存からの脱却の選択肢の1つとして、「容器の見直し」を考察してみました。
容器の見直しは、瓶詰機等の設備投資資金を補助金で賄うこととセットで考える必要があります。
今後さらに多様な消費者のニーズに応えていくために、日本酒製造・販売事業者にとっては、容器の見直しを含めたマーケティング戦略の見直しや事業再構築が必要になってくることでしょう。
容器の見直しに伴う設備投資等の資金を補助金で賄おうと思ったときは、お気軽にアンカーマンの補助金サポートをご利用ください。
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