蔵人の安全を守れ!酒造工程での労災防止対策のすすめ

「まさか、こんな事故が起こるなんて…」

とある酒蔵の蔵元さんは、自身の蔵のもろみ仕込みタンクにおいて発生した労働災害事故に際して、茫然自失でした。

皆さんも、蔵で事故が起こることなど、あまり想定していないのではないでしょうか。

実は、酒造工程における労働災害事例がいくつか報告されているのです。

蔵人が安心して働けるための職場環境の構築を望んでいる蔵元さんは多いはず。

今回は、酒蔵での蔵人の安全を守るため、酒造工程における労働災害事例や酒造工程での労災防止対策などをご紹介します。

酒造工程における労働災害事例

酒蔵では、どのような事故が起こるのでしょうか。

ここでは、酒造工程における労働災害事例をご紹介します。

【酒造工程における労働災害事例】

  • タンク内での事故事例
  • 貯蔵室での事故事例

それぞれについて見ていきましょう。

タンク内での事故事例

厚生労働省が公表している労働災害事例※の1つに、「もろみ」仕込み準備作業中に、「もろみ」仕込みタンク内で発生した事故があります。

蔵人数百人を抱える酒造メーカーで、季節労働者Aさんは、早朝、1人で「もろみ」仕込み準備作業をしていたところ、誤ってサイクロン(蒸米拡散機)をタンク内に落としてしまいました。

タンクに溜まっていた「もろみ」の深さは30cm程度だったので、1人で落ちたサイクロンを拾おうと、タンク内部の酸素濃度測定も行わず、はしごでタンクの底部に降りていってしまったのです。

実は、タンクの底は、発酵によって酸欠状態となっていたため、Aさんは、酸欠空気を吸引し、「もろみ」の中に倒れてしまい、発見されたときには、既に息をしていませんでした。

※参照:厚生労働省「職場のあんぜんサイト/労働災害事例

貯蔵室での事故事例

次に、ビール製造メーカーの貯蔵室内で起きた死亡事故の事例をご紹介しましょう。

作業員Bさんは、ビール貯蔵室内のタンクの酒出しコックからゴムホースが抜け、貯蔵室内の床に大量に流出しているビールを処理しようと、1人で貯蔵室に入り、ビールから発生した二酸化炭素により倒れ、床面のビールとその泡を吸い込み溺死してしまったのです。

しばらくしてから、異常に気づいた同僚に発見されたものの、時すでに遅しという状態でした。

※参照:厚生労働省「職場のあんぜんサイト/労働災害事例

どうすれば事故が防げたのか?

タンク内での事故や貯蔵室内での事故に関して、何か防ぐ手立てはなかったのでしょうか。

ここでは、どうすれば事故が防げたのか、下記事項について検証していきましょう。

【事故を防ぐための対策】

  • 事故原因を探る
  • 事故を防ぐための対処法

それぞれについて見ていきましょう。

事故原因を探る

ご紹介したどちらの労働災害事例も、以下のような事故に至った共通の原因がありました。

【事故に至った共通の原因】

  • 被災者が1人だけで行動してしまったこと
  • 事前に危険を察知し、酸素濃度測定器などの確認を怠ったこと
  • 空気呼吸器等の保護具を着用せず、無防備なまま作業を行ったこと
  • 労働者に対する職場の安全確保等の教育研修が充分に行われていなかったこと

事故に遭う被災者の特徴として、単独行動、状況の確認不足、装備等の準備不足、企業全体での教育研修不足などが挙げられます。

人命に関わる事故に関しては、起きてしまってからでは取り返しがつきません。二度と同じ過ちを犯さないためにも、事故原因を探り、対処方法を探すことはとても重要です。

事故を防ぐための対処法

事故に至った共通の原因を見てみると、事前に対策していれば防げた事故だったのではないでしょうか。

事故を防ぐための対処法としては、次のようなことが挙げられます。

【事故を防ぐための対処法】

  • トラブルが起こったときは、必ず2人以上で対処に当たる
  • トラブル対応する前に正確な状況把握を行う
  • トラブルに対応する際には安全を確保するための器具備品などを活用する
  • 労働者に対する職場の安全確保等の教育研修を充分に行う
  • ヒヤリハット(重大な災害や事故に直結する一歩手前の出来事)が起きたときには報告書等に記録しておく

トラブルに対応する際には、単独行動を避け、複数で行動するなどをマニュアルで徹底することも大切です。

酒造工程では、酸欠危険場所や高所危険場所など作業において危険な場所や危険な作業があります。

重要なことは、危険場所を明確にしておくこと、危険場所での作業を行う際には、事前の正確な状況把握を行うこと、危険作業主任者の指示に従い、酸素濃度の測定や確認、充分な換気を行う、空気呼吸器等の保護具を使用するなど必要な処置を行うことなどです。

そして、酸素欠乏症の防止に関する教育、労働災害訓練など労働者に対する職場の安全確保等の教育研修を常日頃から充分に行うことが何より大切になってくるでしょう。

また、ヒヤリハット事案が起きたときには、社内で共有できるように、報告書等を作成し情報共有の徹底を図ることも必要です。

労災防止対策の一環としての職場環境の整備

労災防止対策には、労災を防ぐための教育研修や危険作業を行う際のマニュアルの作成などソフト面での対策のほか、蔵の建屋や醸造設備など職場環境を整備するハード面での対策があります。

ここでは、職場環境を整備する、下記のようなハード面での対策について解説しましょう。

【職場環境を整備するハード面での対策】

  • 職場環境の整備
  • 補助金の活用

それぞれについて見ていきましょう。

職場環境の整備

労災防止対策の一環としての職場環境の整備には、以下のような事例が考えられます。

【職場環境の整備事例】

  • 酸素濃度測定器の増設
  • 換気設備の充実
  • 高所危険場所の補強
  • 空気呼吸器等の保護具の増設
  • 建屋の改築
  • 醸造設備機器の更新

酸素濃度の確認を行いやすくするために、酸素濃度測定器の設置場所を増やしたり、空気呼吸器等の保護具を増やして、すぐに装備しやすくしたりすることは、比較的すぐにでも対処できることではないでしょうか。

他方、改築工事や醸造設備機器の更新など設備投資費用がかかるものに関しては、充分に事業計画を検討した上で費用対効果を見極めることが大切です。

補助金の活用

労災防止対策の一環としての職場環境の整備にかかる費用に関して、補助金を活用することも検討してみましょう。

補助金は、金融機関からの融資とは異なり、返済の必要もなく、一部の自己資金を充当するだけでよいので、財務状況を悪化させることもありません。

酒蔵が労災防止対策の一環としての職場環境の整備に活用できる補助金には、以下のような補助金があります。

【労災防止対策の一環としての職場環境の整備に活用できる補助金】

  • ものづくり補助金
  • 事業再構築補助金
  • 小規模事業者持続化補助金
  • フロンティア補助金

「ものづくり補助金」「事業再構築補助金」「小規模事業者持続化補助金」「フロンティア補助金」は、酒造業での活用事例も多く、使い勝手のいい主要補助金です。

補助金は申請すれば必ずもらえるというわけではありませんが、アンカーマンの補助金サポートをご利用いただければ、採択率もアップし、補助金を獲得しやすくなります。

労災防止対策の一環としての職場環境の整備に活用できる補助金にご興味がある方は、お気軽にアンカーマンまでご連絡ください。

まとめ

ここまで、酒蔵での蔵人の安全を守るため、酒造工程における労働災害事例や酒造工程での労災防止対策などをご紹介させていただきました。

今回ご紹介した労災事例は、ほんの一部です。数多くの労災事例が、酒蔵でも起きている現状を踏まえて、皆さまには取り返しのつかない事故を防止するために充分な対策を講じてほしいものです。

大切な蔵人を守るための労災防止対策には、これで充分ということや、これはやり過ぎということはありません。

充分な労災防止対策を講じるためにも、蔵の事業計画や財務状況にとって有利な補助金を活用することをおすすめします。

補助金の申請は専門的で煩雑な手続きを要しますが、専門業者に申請代行を依頼するなど本業に集中できる方法はたくさんありますので、補助金に興味がおありの方は、アンカーマンにお申し出ください。

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