事業計画と経営計画の違いを理解すれば成長できるってほんと?
「『事業計画』と『経営計画』って違うの?知らなかったなぁ…」
大丈夫、安心してください。「事業計画」と「経営計画」の違いについて明快に説明できる人は、そんなに多くはないからです。
しかし、「事業計画」と「経営計画」の違いを理解すれば、企業が成長できるとしたら、知りたくないですか?
今回は、事業計画と経営計画について、2つの計画の違い、計画策定のメリット、計画の作り方、酒類事業者の経営計画の他社事例などをご紹介させていただきます。
事業計画と経営計画の違い
ここでは、事業計画、経営計画について内容を確認し、2つの計画の違いについても解説します。
事業計画とは
「事業計画」とは、経営目標を達成するための事業運用に必要な数字を中心とした具体的な行動計画(アクションプラン)のこと。
数年後の企業のあるべき姿や未来像(経営目標)を達成するために、短期的かつ戦術的な視点から、資金運用計画、利益計画、商品別販売計画などのプランを練っていきます。
事業計画を書面に落とし込んだ「事業計画書」は、経営に活用できるだけでなく、補助金申請や金融機関に融資を申し込む際などに関係機関に提出する書面です。
経営計画とは
「経営計画」とは、企業のあるべき姿と現在の姿のギャップを埋めるため、事業計画を包括しつつ、企業のあるべき姿・目標・方針・経営理念・未来像などを含み、それらを達成するための具体的な戦略を策定した計画のこと。
経営計画は、「経営理念」「経営戦略」「事業戦略」「数値計画」の4要素で構成されます。
【経営計画の4要素】
- 「経営理念」~企業の存在意義や価値観、長期的なビジョンなど
- 「経営戦略」~長期的な目標を達成するための大局的な方針
- 「事業戦略」~「各事業や製品群の目標設定」「競争戦略」「市場セグメントの選定」など
- 「数値計画」~「収益予測」「コスト予算」「キャッシュフロー計画」など
経営計画には、期間によって「長期経営計画(5〜10年)」「中期経営計画(3〜5年)」「短期経営計画(1年以内)」の3つの種類があります。
「長期経営計画」は、5年以上先の将来を見据えた経営理念やビジョン、未来像にもとづき、今後の経営方針や展開する事業分野を定めたもの。経済や市場環境の不確実性などから、未来像やあるべき姿を明確にするだけにとどまることも少なくありません。
3年から5年といった中期的に目指す事業の方向性や具体的な行動計画や数値を定めた「中期経営計画」は、市場状況や競合環境の変化に対応しながら、戦術的な経営アプローチを行うことができるため、活用する事業者が最も多いようです。
対象期間を数ヶ月から1年とした「短期経営計画」で、プロジェクト実施計画や人員配置などの具体的な目標や行動スケジュールを明確にします。中期経営計画を業務レベルまで落とし込み、年間の販売数・売上・仕入数・経費・人件費など細目を決めていきましょう。
2つの計画の違い
事業計画と経営計画の位置づけに関しては、下の図のように、事業計画が経営計画の一部となっています。
2つの計画の違いに関しては、「経営計画」が、組織全体の方針や目標・具体的な戦略を明確にする計画であるのに対して、「事業計画」は、経営目標を達成するための具体的な事業活動における実行プラン(市場分析・販売戦略・リソース配分・収益予測などを詳細に計画)であるという違いがあります。
2つの計画は、異なる点はあるものの、密接に関連しながら、組織全体の目標と個別の事業活動を結びつけるためには不可欠の計画です。
事業計画・経営計画のメリット
事業計画・経営計画を立てるメリットには、以下のようなものがあります。
【事業計画・経営計画のメリット】
- 組織全体の成長
- 目標・道筋の明確化
- 課題・現状の把握
- 信頼性の向上
- 資金調達に有利
- 計画的な事業活動
事業計画や経営計画を作成することにより、組織全体の目標や目標達成までの道筋が明確になり全社で共有でき、計画的な事業活動を通して、組織全体が成長することにつながります。
また、計画作成の段階で、組織や事業の現状を分析し、課題を把握することも可能になり、計画を作成・公表することで、外部からの信頼性も向上し、補助金や金融機関からの融資も受けやすくなる等のメリットもあるでしょう。
事業計画・経営計画の作り方
ここでは、事業計画・経営計画の作り方について解説します。
「経営計画⇒事業計画」の順に作成
事業計画は、経営計画の一部であるので、企業のあるべき姿や未来像を先に形づくり、後から目標を達成するための行動計画を作成するのが望ましいという意味で、経営計画を作成した後に事業計画を作成するほうがよいでしょう。
経営計画作成の3ステップ
経営計画の作り方として、以下の3段階を経ることが必要です。
【経営計画作成の3ステップ】
- 現状分析
- 目標設定
- 行動計画
まず、「市場動向・外部環境の変化」「競合状況」「組織の強み弱み」「リソースの現状」「過去の業績や財務状況の振り返り」「事業上の課題と収益機会の洗い出し」などの現状分析を行います。
次に、「売上」「利益」「市場シェア拡大」「新製品開発」などの明確な数値目標を設定しましょう。
最後に、目標を達成するために、「戦略的なアプローチ」「必要なリソース」「予算」「スケジュール」「スタッフの役割分担や連携方法」「事業リスク」などを考慮に入れつつ、具体的なステップやタスクを立てながらアクションプランを作成します。
酒類事業者の経営計画
経営計画のメリットなどに関してご理解いただけたところで、いざ自社で経営計画を作成しようと思っても、実際、どのように作成すればいいのか迷うところではないでしょうか。
そこで、ここでは、酒類業界の経営計画について、他社事例を参考としてご紹介させていただきます。
宝酒造のケース
業界大手の宝酒造のケースについてご紹介します。
宝酒造は、親会社に宝ホールディングス株式会社を持つ、業界大手の酒造メーカーです。宝酒造は、事業方針を次のように定めています。
【宝酒造の事業方針】
「グローバル和酒No.1」の源泉として、伸長領域を中心に、高い技術力と「NIPPON品質(日本において「安全・安心で信頼できて高品質である」と評価され、世界中の人々にも同様の価値を提供できる「宝が約束する日本発・世界標準のグローバルな高品質レベル」のこと)」に基づいた新たな市場を創造する商品の開発・育成やブランド価値の向上に注力するとともに、宝酒造インターナショナルグループとの協業も加速させ、社会課題の解決に貢献しながら、利益額・率を大きく向上させる。
「宝ホールディングス株式会社IR資料」より引用
ちなみに、宝ホールディングス株式会社は、2020年5月14日に、会社創立100周年となる2025年(2026年3月期)に向けた6年間の長期経営構想「TaKaRa Group Challenge for the 100th」に基づき、3年ごとの「宝グループ中期経営計画」や「宝グループ・サステナビリティ・ポリシー」作成しています。
中期経営計画では、「成長・強化領域への投資を加速させ企業価値を高める」ことを経営方針とし、社会課題の解決に資するバリューチェーンを強化しながら商品・サービスを通じた社会課題の解決と、長期的かつ持続的な成長原資を生み出す「稼ぐ力」の向上を統合した経営を推進していくことを定めました。
宝酒造としては、安全・安心な生産体制の強化、ヒット商品の開発・育成、重点ブランド育成を成長・強化領域として、具体的な定量目標を作成。
実現のための事業戦略としては、国内の和酒No.1メーカーのポジションを活用した付加価値経営への変革により、着実に利益成長できる事業基盤を再構築し、企業イメージを向上させてグローバル和酒No.1企業としての根幹を支えていく戦略を打ち出しています。
旭酒造のケース
「獺祭」で著名な旭酒造のケースもご紹介しましょう(旭酒造の経営計画は公表されていませんが、メディア掲載の会長インタビュー等から経営に関するトップの考え方をご紹介)。
旭酒造は、国内外で高評価を受ける純米大吟醸「獺祭」のメーカーで、海外展開、データや機械による数値管理、社員だけの「四季醸造」など新しい酒造りに挑戦していることでも有名です。
桜井博志会長が酒蔵を継承した1984年当時の旭酒造は、山口県岩国市でも4番手メーカーで、売上は急減。「小さな酒蔵の強みをどうしたら活かせるか」「地元で勝てないなら、もっと大きな市場で戦おう」と、6年かけて開発した「獺祭」を、全国、海外へと展開。
売上は、2013年度の39億円から22年度の165億円へ、輸出先は30ヶ国以上と急成長を遂げた背景には、「市場が大きければ大きいほど生き残れる可能性が広がる」「現状維持では生き残れない=成長を続ける」「おいしい日本酒を造る=当たり前のことを当たり前にやる」など強い思いがあったからこそでしょう。
強い思いのほか、経営戦略として、製造に関する指標は、可能な限り数値化し、手作業よりも品質が安定するのであれば、製造工程では機械も使用。
機械化は、単なる効率化だけではなく、酒づくりにおいて、伝統的な手法にこだわらず、杜氏などの一部の技術者だけしか知らないブラックボックス化した技術を「見える化」し、品質を安定させ、再現性を高めるための工夫とのこと。
ただし、フルオートメーション化は、急成長や日々の工夫・改善に機械が対応できないとの理由で採用していません。機械でできない特殊な製造手法には手間と時間を惜しまないため、製造スタッフは、同規模の酒蔵の約4倍となる200人超。2~3人のチームで、酒造りの匠としてのプライドを持って、仕事ができるように職場環境の整備にも注力しています。
製造チームは、10〜13チーム編成で、それぞれが個性を出すことによって「獺祭」の付加価値をより一層高めていく戦略をとっているとのこと。
世界の酒類市場の中で、ワインに勝つために必要なのは、酒造りの技術というより、日本の伝統・文化に加え、造る人のプライドや哲学、工夫による付加価値だと考えるからこその戦略といえるでしょう。
まとめ
ここまで、事業計画と経営計画について、2つの計画の違い、計画策定のメリット、計画の作り方、酒類事業者の経営計画の他社事例などをご紹介させていただきました。
「今まで一度も計画らしきものを作成したことはない」
「企業理念は既にある」
「事業計画書は、銀行に言われて作成したことも…」
「補助金申請時に事業計画書を作成した」
など、酒類事業者さんによって状況は各々かと思います。
まずは、自社の現状分析からはじめましょう。
アンカーマンでは、あなたの経営計画が簡単に作成できる「経営計画テンプレート」をご用意させていただきました。
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