【酒蔵ツーリズム】インバウンド対策〜具体的に何をすればいい?
政府公表のデータ※によれば、直近(2024年1月)の訪日外客(インバウンド)数は、2,688,100人となり、前年同月比79.5%増、コロナ前(2019年同月比)とほぼ同数となっています。
■参照:JNTO(日本政府観光局)2024年2月21日公表「2024年1月推計値」
インバウンドの訪日目的が体験重視のニューツーリズムに変わってきている今、酒蔵ツーリズムを成功させるためには、インバウンドニーズに対応する必要があります。
では、実際、インバウンドニーズに対応するため、酒蔵ツーリズムでは具体的にどのようなことを行えばいいのでしょうか。
今回は、酒蔵ツーリズムのインバウンド対策について、現状の課題や具体的に行うべき対策、活用できる補助金などを解説します。
酒蔵ツーリズムでのインバウンド対策の課題とは
日本における酒蔵ツーリズムについて、観光庁の調査結果を見るとインバウンド対策の課題がいくつか見受けられます。
■参照:観光庁「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート結果」
ここでは、酒蔵ツーリズムでのインバウンド対策の課題について確認していきましょう。
ゴミ箱が不十分
訪日旅行中に「困ったことはなかった」が約4割いる中で、困ったこととして「ゴミ箱の少なさ」と回答した方が2割を超えていました。
街中のゴミ箱の減少は、テロへの警戒やゴミ処理コストの問題等から、「ゴミを持ち帰る」という習慣を浸透させるための措置。
社会が成熟する過程での不可避の事情とはいえ、インバウンドでも課題の1つとなっています。
外国語対応が不十分
訪日旅行中に困ったこととして、「施設等のスタッフとのコミュニケーションがとれない」「多言語表示の少なさ・わかりにくさ(観光案内板・地図等)」などを挙げている人も、一定数いらっしゃいます。
ただし、調査を重ねるごとに回答者は減少の傾向にあることから、徐々に対応されてきているものと考えられるのですが…。
ちなみに、JNTO(日本政府観光局)のデータによれば、直近(2024年1月)の国・地域別の訪日外客数では、韓国、台湾、中国、香港、米国、豪州、タイの順になっています。
インバウンドニーズとして、「多言語対応」を求められるということを認識しておきましょう。
旅行者が訪日旅行の行く先々の観光施設で、多言語対応のポスターやパンフレットなどが不十分であったり、外国語に対応できるスタッフが少なかったりということが、インバウンドの課題になっているようです。
■参照:JNTO(日本政府観光局)2024年2月21日公表「2024年1月推計値」
通信環境が不十分
観光施設で「無料公衆無線LAN環境」が整備されていないなど、通信環境が不十分と回答している方もいらっしゃいます。
都市部では、「無料公衆無線LAN環境」は、ここ数年で急激に進歩してはいるものの、地方では都市部に比べると普及率は低いようです。
海外では、公共施設だけでなく物販の店舗や飲食店など、店舗ごとに「無料公衆無線LAN環境」を整備しているのが当然という国や地域から訪日している外国人旅行者にとっては、店舗ごとに通信環境を整備していない環境は不便を感じるかもしれません。
決済方法が不十分
インバウンドの課題の1つとして、「決済方法の不十分さ」もあるので押さえておきましょう。
アンケートの回答では、「クレジット/デビットカードの利用」「ATMの利用」「両替」「その他決済手段(モバイルペイメント等)」など決済関連の不満も見受けられます。
近年、キャッシュレス決済の導入も進んできているとはいえ、整備が進んでいる海外と比べれば、まだまだ普及率が高いとは言いがたい状況であることは念頭に置いておくべきでしょう。
酒蔵ツーリズムで行うべき具体的なインバウンド対策とは
酒蔵ツーリズムを推進していく中で、インバウンド対策の課題を把握し、課題解決に向けた具体的な施策を講じていく必要があります。
ここでは、酒蔵ツーリズムで行うべき具体的なインバウンド対策とは何かについて解説しましょう。
外国語対応策
外国語対応策としては、具体的に以下のようなことが考えられます。
【酒蔵ツーリズムにおける外国語対応策】
- 多言語対応のパンフレットの作成・配布
- 多言語対応の看板やポスターの掲示
- 多言語併記のPOP・タブレット・デジタルサイネージや、動画・画像などの活用
- 多言語対応可能なスタッフの設置
- 多言語対応のホームページの作成
酒蔵ツーリズムにおける多言語対応に関しては、いわゆる一般的な小売店や飲食店と同様の対応に加え、日本酒の歴史や、醸造についてや味わいの説明、楽しみ方などを解説する多言語対応の文章などを準備するようにしましょう。
さまざまなツールを使って、外国語を併記したり、動画・画像などにより視覚的に表示したりすることもコミュニケーションを円滑にする上では効果的です。
また、多言語対応可能なスタッフに関しては、蔵人で対応することができない場合でも、ボランティアやオンラインなど外部の協力者をツアーガイドとして準備するなどの工夫をしている事例などもありますので参考にしてください。
酒蔵のホームページに、多言語対応可能だということがアナウンスしてあると、ツアー参加者も安心してツーリズムに参加できるのでおすすめです。
さらに、「試飲できますか?」「有料・無料どちら?」など、インバウンドならではのよくある質問を準備したり、日本酒をお土産にする場合の保存方法や持ち帰る際の注意点などを案内したりすることもときには必要になるかもしれません。
ゴミ箱や通信環境の整備
酒蔵ツーリズムへの参加者に対して、酒蔵が心地よい空間であり、有意義な観光コンテンツであることをアピールするためには、ゴミ箱や通信環境を提供するための整備も必要でしょう。
酒蔵ツーリズム参加中に、たまってしまったゴミを捨てたかったり、スマホを使い、醸造用語や商品に関するリサーチ、宿泊施設や次に行く観光施設の予約、SNSでのシェアなど、通信環境を求めたりする機会は多いはず。
酒蔵独自にゴミ箱やWi-Fi環境を整備することはもちろん、Googleマイビジネスやホームページでゴミ箱やWi-Fi環境があることをPRすることも大切です。
決済システムの整備
酒蔵ツーリズムにおいては、インバウンド向け決済システムを整備しておくことも具体的な対応策の1つです。
外国のクレジットカードなどの利用やキャッシュレス決済の導入など豊富な決済方法も、多言語対応と同様に整備しておく必要があるでしょう。
また、「Tax Free(消費税のみ免税)」や「Duty Free(消費税のほかに関税や酒税も免税)」など、免税に関する案内(免税対応の可否、パスポートの確認、免税計算、証明書類など)も重要な決済システムの1つなので、外国語対応のパンフレットやポスターで表記するようにしておきましょう。
免税対応店の場合には、免税対応POS端末を導入すれば、多言語対応や免税手続きの効率化が図れますので、検討してもいいかもしれません。
インバウンド対策に活用できる補助金
酒蔵ツーリズムを推進する際に、インバウンド対策を具体的に行おうとすれば、費用が必要です。
インバウンド対策費用を賄うためには、返金不要の補助金を活用しましょう。ここでは、インバウンド対策に活用できる補助金についてご紹介します。
観光庁補助金
インバウンド対策に活用できる補助金として、観光庁が所管する各種補助金があります。
現在募集中または今後公募予定の観光庁補助金として、インバウンド対策に活用できる補助金は、以下のとおりです。
【酒蔵ツーリズムのインバウンド対策に活用できる観光庁補助金】
- 地域観光新発見事業
- サステナブルな観光コンテンツの高度化モデル事業
- 地域一体型ガストロノミーツーリズムの推進事業
- 観光振興事業費補助金(歴史的資源を活用した観光まちづくり推進事業)
- 特別な体験の提供等によるインバウンド消費の拡大・質向上推進事業
■参照:観光庁補助金公募情報2024年
観光庁補助金の詳細をお知りになりたい方や活用をご検討したい方は、お気軽にアンカーマンまでご連絡ください。
地方自治体が主管するインバウンド対応補助金
酒蔵ツーリズムのインバウンド対策に活用できる補助金の中には、地方自治体が主管するものもあります。
現在募集中で比較的知名度のある補助金としては、東京都および東京観光財団が主管する「インバウンド対応力強化支援補助金」が一例です。
■参照:公益財団法人東京観光財団「インバウンド対応力強化支援補助金」
今後、各自治体で募集されるインバウンド対応補助金があるかもしれませんので、随時アンテナを張っておくのもいいでしょう。
アンカーマンからも、事前にご要望いただければ、事業者さま所在地の地方自治体所管の公募開始などの最新情報をお知らせいたします。
まとめ
ここまで、酒蔵ツーリズムのインバウンド対策について、現状の課題や具体的に行うべき対策、活用できる補助金などをご紹介させていただきました。
酒蔵ツーリズムを成功させるためには、インバウンドニーズに対応していくことが不可欠です。
インバウンド向けに、酒蔵をより魅力的な観光コンテンツとして訴求するためには、インバウンド対応策を講じ、都市部の一般の店舗よりも一段上のインバウンド向けサービスを提供する必要があるのではないでしょうか。
インバウンド対応策の費用に関しては、補助金の活用がおすすめです。
アンカーマンでは、常に補助金の最新の公募情報や公募要領にキャッチアップしておりますので、補助金に関するご質問、ご相談はお気軽にアンカーマンまでご連絡ください。
また、アンカーマンは、日本酒蔵ツーリズム推進協議会の会員としても、酒蔵ツーリズムのさらなる発展を後押しするとともに、酒類事業に特化したコンサルティングファームとして、酒類事業者さまの酒蔵ツーリズムへの取組みを含めた個別の課題解決をサポートいたします。
酒蔵ツーリズムを含めた事業課題に関するお悩みやご質問についても、お気軽にアンカーマンまでご連絡ください。
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