日本酒の海外輸出を成功させるポイントとは?必要な準備や注意点を解説

日本酒の海外輸出が堅調です。

輸出実績が13年連続で過去最高を更新しているというニュースを耳にする方も多いのではないでしょうか。

国内の日本酒消費量が年々減少傾向であることから、新規の販路を求めて、海外展開にチャレンジする酒販店、酒造メーカーなどが増加しているためです。

新規販路を求めて海外展開にチャレンジといっても、誰もが失敗したくないはず…どうしたら日本酒の海外輸出を成功させられるのか、輸出を検討している酒類事業者さんにとっては気になるところでしょう。

そこで今回は、日本酒の海外輸出を成功させるためのポイント、輸出に必要な準備や注意点などを解説します。

日本酒の海外輸出が注目されている背景

日本酒の海外輸出が、今なぜ注目されているのでしょうか。

ここでは、具体的に下記事項について確認しましょう。

【日本酒の海外輸出が注目されている概要】

  • 日本酒が海外で人気の理由
  • 酒類メーカーの努力
  • 和食が世界的に注目
  • 国家レベルでの日本酒推し

それぞれについて見ていきましょう。

日本酒が海外で人気の理由

なぜ日本酒が海外で人気があるのかといえば、以下のような理由が考えられます。

【日本酒が海外で人気の理由】

  • 酒類メーカーの努力
  • 和食が世界的に注目
  • 国家レベルでの日本酒推し

以下、順に解説していきましょう。

酒類メーカーの努力

酒類メーカーの努力として挙げられるのは、以下のようなことです。

  • 造っているお酒の品質が高いこと
  • 高付加価値商品を開発していること
  • マーケットインの考え方で、海外の市場を入念に調査してから、輸出先に適した日本酒を供給していること

日本の文化を世界に届けるといった、酒類メーカーの熱意と努力があったからこそ、海外における現在の日本酒人気が定着しているといっても過言ではありません。

和食が世界的に注目

「和食」が世界に注目されたからこそ、「和食」に合うお酒として「日本酒」も注目を集めるようになりました。

そもそも、「和食」が世界から注目を集めたのは、2013年、ユネスコの世界遺産に「和食」が登録されたことがきっかけです。

世界中の人たちが、「和食を食べたい」「日本酒を飲みたい」と思ってくれていることが、日本酒が海外で人気を博している理由の1つでしょう。

国家レベルでの日本酒推し

世界での日本酒の人気は、国家レベルでの日本酒推しがあったことも要因の1つとして考えられています。

「酒蔵ツーリズム」「ビジット・ジャパン」「國酒プロジェクト」など、国家レベルでの日本酒の後押しが長年行われてきたことが海外に浸透してきた成果として、現在の日本酒人気につながっているでしょう。

なお、令和5年3月28日には、日本酒、焼酎、泡盛等の文化資源のユネスコ無形文化遺産登録に向けてユネスコ事務局に提案書を再提出するなど、引き続き日本の魅力を世界に発信する取組みが行われています。

日本酒輸出の現状と今後の展望

日本酒輸出の現状に関しては、財務省貿易統計によると、2022年の実績は474億9千219万円(前年比18.2%増)に達し、13年連続となる過去最高を更新して、拡大傾向が続いています。

特に直近2年での輸出拡大が目覚ましく、輸出額は2020年の241億円から約2倍に伸長しました。

また、輸出金額の伸びに関しては、2022年12.0%増となっており、伸び率は輸出数量の伸び率を大きく上回っており、各国で高品質なプレミアム酒の人気が高まっていることがわかります。

輸出概況については、各国で日本食レストランの拡大を背景に、冷蔵輸送や冷蔵管理による品質の安定化も図られ、メーカー・流通ともプレイヤーが増えている状況です。

日本酒輸出の今後の展望に関しては、中国、シンガポールなどを中心に、日本酒の単価アップが顕著であり、円安の効果もある中で、富裕層を中心に高級酒が好まれていることを背景に、さらなる日本酒の高付加価値化が進んでいくだろうと言われています。

日本酒の国内市場は約4千億円と言われてる中、輸出比率は既に1割を超え、今後、酒造メーカーがさらに輸出に注力していくことが見込まれています。

日本酒を海外に輸出するために必要な準備

日本酒を海外に輸出するためには、次のような準備が必要です。

【日本酒を海外に輸出するために必要な準備】

  • 市場調査
  • 必要な免許
  • 運送・物流
  • コスト計算

以下、順にくわしく解説します。

市場調査

日本酒を海外に輸出するために必要な準備として、入念な市場調査をする必要があります。

輸出先が決定していない場合には、日本酒の輸出先である国や地域の特徴や輸出状況、現地のマーケットなどに関して事前調査をして決定しましょう。

輸出先が決定しているならば、輸出先の国や地域に関して、国税庁やジェトロ、インターネットなどを活用して情報を取得したり、オンラインや現地に赴き、説明会やセミナーに参加したり、バイヤーを紹介してもらい現地のマーケット情報を教えてもらったりして、市場調査を行います。

市場調査は、自社で行う方法、市場調査会社に依頼する方法、アンカーマンなどマーケティングサポート会社に支援してもらう方法などがあるので、自社に適した方法を検討しましょう。

必要な免許

本来、日本酒を海外に輸出するためには、「輸出酒類卸売業免許」を取得する必要があります。

しかし、酒蔵さんなど酒造メーカーが、自社で製造したお酒を輸出するケースや、酒販会社など「酒類卸売業免許」を持った酒類卸業者は、免許を受けている酒類を輸出するケースでは、「輸出酒類卸売業免許」は必要ありません。

ただ、酒販店が自社で取り扱っている日本酒を輸出するケースや、酒造メーカーが、他社から仕入れ(OEM含む)、輸出するケースでは、原則どおり「輸出酒類卸売業免許」が必要となるので注意しましょう。

運送・物流

日本酒の海外輸出の準備として、運送・物流の手配や手続きをしておく必要があります。

フォワーダー(貨物代理店=国際物流における各種手続きや輸送手配など一括で請け負ってもらえる専門業者)に輸送依頼するとよいでしょう。

酒類の梱包は、温度管理ができる「リーファーコンテナ」の利用もおすすめです。

「貨物の搬入」⇒「通関手続き」⇒「輸出許可」⇒「出港」⇒「輸送」⇒「入港(現地到着)」⇒「保税地域搬入」「審査・検査・税金徴収」⇒「輸入(納税)申告・輸入許可」⇒「現地での流通」といった流れとなります。

コスト計算

日本酒の海外輸出の準備として、輸出にかかるコストの計算も必要です。一般的に輸出にかかるコストとは、貨物を運送人に引き渡すまでの費用のことで、輸出者が負担することになっています。

事前に輸出コストを把握しておかないと、コスト削減ができなかったり、輸出事業計画が立てられません。現地のパートナーなどと連絡を取り、輸出にかかるコストをすべて把握した上で、海外展開に踏み出しましょう。

なお、貿易を行う際には、通関費用や輸送費などさまざまな費用や、輸送中の貨物の損傷などのリスクに関して、輸出者・輸入者どちらが負担するのかなどを、「インコタームズ」と呼ばれる国際取引ルールにより事前に細かく決めておくことが必要になります。

日本酒を海外に輸出するメリット

日本酒の海外輸出には、さまざまなメリットがあります。

日本酒を海外に輸出するメリットは、以下のとおりです。

【日本酒を海外に輸出するメリット】

  • 新規販路を獲得でき収益機会が増える
  • 売上・利益アップにつながる
  • リブランディングにつながる

以下、順に解説します。

新規販路を獲得でき収益機会が増える

日本酒を輸出して海外展開することにより、新規販路を獲得でき、収益機会が増えます。

輸出先の消費者が、現地での購入だけでなく、ECサイトで直接購入してくれることも増えるかもしれません。

現地代理店の協力により、現地での取引先も増えて収益アップも期待できます。

売上・利益アップにつながる

売上・利益アップにつながることが、日本酒を海外に輸出する最大のメリットです。

収益機会の増加により売上アップが期待できます。

また、一般的に、日本国内で流通させるよりも、輸出したほうが利益率が高いです。海外の酒販店は、一般に定価の7割程度で購入してくれるため、純米酒以上の高級な日本酒を製造・輸出する蔵元にとっては、海外市場では大幅な利益アップにつながります。

リブランディングにつながる

日本酒を輸出することによって、世界的に知名度もアップし、世界の消費者から選ばれる蔵や店として、リブランディングにつながります。

現地販売やEC販売が強化できるだけでなく、インバウンド客にも「あの蔵(店)に行ってみたい」と思われるようになり、酒蔵ツーリズムによる集客なども期待できるでしょう。

日本国内でも、世界的にSNSなどで話題になったり、インバウンド客が増えたりするなど、情報の逆輸入により注目され、認知度がアップした事例もあります。

日本酒を海外に輸出するデメリット

日本酒の海外輸出には、メリットだけでなく、デメリットもあるということを認識しておきましょう。

日本酒を海外に輸出するデメリットは、以下のとおりです。

【日本酒を海外に輸出するメリット】

  • マンパワーが必要になる
  • 品質管理が難しくなる
  • コスト高になる

以下、順に解説します。

マンパワーが必要になる

日本酒の海外輸出には、さまざまな手続きが必要になります。社内に、輸出業務に対応するための人材が必要になり、人材不足となるリスクが出てくるので注意しましょう。

日本酒の輸出を行う際には、輸出先での法律や規制に違反しないように、事前に対策しなければならないこともあり、輸出業務に対応する人材はどうしても確保しなければなりません。

社内で、輸出担当人材が確保できない場合には、フォワーダーやコンサルティング会社など代行業者に業務委託することも選択肢の1つです。

品質管理が難しくなる

日本酒を海外に輸出するデメリットの1つに、輸出商品の品質管理が難しくなるといったこともあります。

一般的に、日本酒の輸出に関しては、輸送時間が長くなるため、温度・湿度などの品質管理が難しくなり、風味や味わいを損ねてしまうといったリスクもあるので、リーファーコンテナの使用など工夫する必要があります。

コスト高になる

日本酒を輸出する際に、輸送コストが上昇するなど、コスト高になってしまうケースも考えられます。

輸出に関するコストが上昇してしまうと、コストがそのまま現地での販売価格に反映されてしまうので、「おいしいけれど少し高いお酒」となり、売れ行きが悪くなり、輸出が失敗するといったこともデメリットの1つです。

日本酒の海外輸出を成功させるためのポイント

日本酒の海外輸出を成功させるには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。

日本酒の海外輸出を成功させるためのポイントは、以下のとおりです。

【日本酒の海外輸出を成功させるためのポイント】

  • ブランディング
  • マーケティング戦略
  • 品質を高める
  • 海外で注目されている日本酒の調査

以下、わかりやすく解説していきましょう。

ブランディング

日本酒の海外輸出を成功させるには、ブランディングをすることもポイントの1つです。

「選ばれる酒蔵」「選ばれる日本酒」として、現実のPR、SNSの活用、試飲会や展示会、見本市など、あの手この手で、「あぁ、あの有名な蔵のお酒か!」「この銘柄、入手したい!」と思わせるような意識づけが重要となってきます。

ブランディングするための「ブランド・ストーリー」「日本らしさ・歴史の深さ」「ペアリング」などを消費者に対して積極的に訴求していくことが大切です。

「ブランディングなくして、輸出の成功なし」というくらいの熱意で、輸出の際には、ブランディングに注力しましょう。

マーケティング戦略

日本酒の海外輸出を成功させるには、現地でのPR戦略や販売価格、ターゲットや市場など入念なマーケティング戦略を策定することが必要です。

現地パートナーや酒類業に特化したコンサルティング会社などと入念な打ち合わせを行い、自社に適したマーケティング戦略で望みましょう。

品質を高める

輸出商品の品質を高めることも、輸出を成功させるための重要なファクターの1つです。

海外では、日本酒は高品質のお酒として人気を博しています。かつての日本国内での「酔えればいい」といった大量消費を目的とした安価なお酒のイメージではありません。

輸出先の消費者は、和食と合う「おいしいお酒」としての日本酒を求めているのです。品質を高めることが輸出成功のキーポイントの1つであることを、常に念頭に置いておきましょう。

海外で注目されている日本酒の調査

日本酒の輸出を成功させるためには、海外で注目されている日本酒の調査も欠かせません。

常に現地の消費者を意識して、「今、注目されている日本酒は何なのか」「どんな日本酒ならうけるのか」といったことを考えて輸出商品を選定しましょう。

海外で注目されている日本酒の調査は、自身で現地に赴くか、現地のパートナーに頑張ってもらうか、国税庁やジェトロ、インターネットなどを活用して情報を集めるかなど工夫する必要があります。

日本酒の海外輸出先3選

日本酒の海外輸出を成功させるためには、適した輸出先を選別する必要があります。

参考までに、以下に示した表が、財務省貿易統計の資料に基づく2023年7月31日付け農林水産省公表・輸出入の動向によりアンカーマンが独自に作成した「2022年日本酒の国別輸出金額・数量順位上位5ヶ国」のまとめです。

【日本酒の国別輸出金額・数量順位上位5ヶ国(2022年)】

順位輸出金額輸出数量
1位中国アメリカ
2位アメリカ中国
3位香港韓国
4位韓国台湾
5位シンガポール香港

なお、日本酒の海外輸出の際には、国税庁「日本酒輸出ハンドブック」などを参考に、輸出先ごとの注意点などを確認して取引しましょう。

ここでは、上記に紹介した「日本酒の国別輸出金額・数量順位上位5ヶ国」の中から、日本酒の輸出先として注目されている以下の3つの国・地域をご紹介させていただきます。

【日本酒の海外輸出先】

  • アメリカ
  • 中国・香港
  • 韓国

以下、順を追って解説していきましょう。

アメリカ

アメリカは、日本酒の輸出数量で1位、輸出金額でも2位の最大の輸出国です。

アメリカでは、日本食レストランの数も多く、日本酒の大型イベントもよく開催されるなど、人々のくらしに日本酒が定着しています。

販路開拓のための流通ルートも、日本との取扱い実績も長い日系・アジア系の食品取扱い卸業者や、現地のアルコール取扱い卸業者が多く、はじめてでも輸出しやすい環境が整っていると考えていいでしょう。

ただし、人々が日本酒を口にするのは、日本食レストランがもっとも機会が多く、日本酒の購入に関しては、オンラインショップでの購入や、日系・アジア系スーパーに多くの銘柄が陳列されているものの、現地の人が利用する地元のスーパーには、限られた種類の銘柄しか陳列されていないのが現状です。

中国・香港

中国・香港もアメリカに次いで日本酒の主要な輸出先の1つです。特に中国は、輸出金額でも1位、輸出総量でも2位の日本酒輸入大国です。

中国では、「高いお酒がいいお酒」といった文化があり、プレミアムなお酒として日本酒も好まれています。

中国における酒類の販売チャネルは、以下のとおり「従来型チャネル」「ECチャネル」「O2Oチャネル」の3つです。

【中国における酒類の販売チャネル】

チャンネル名内容
従来型チャネル銘酒ブランド専売店や飲食店、スーパー、酒類専門などのチェーン店などの実店舗販売のことで、現在でも主流の販売方法
ECチャネルEC販売をベースに、物流コスト削減と配送効率アップを図った「オンライン×オフライン」の複合型流通モデル
O2Oチャネルオンラインショップで注文を集計後、消費者の居住地周辺のオフライン実店舗に商品を発注して、消費者に届けるシステムのことで、近年、急速に需要拡大している販売方法

輸出する際の参考にしてください。

他方、香港でも、お酒に対するプレミアム志向は中国と同じで、男性は大吟醸、女性は梅酒や果実などを好む傾向にあります。

香港での酒類の販売チャネルの特徴は、卸売業者を介さず、現地の小売業者が、輸入業者に発注や通関手続き・運搬などの業務を一任して輸入・小売するケースが多いようです。

韓国

韓国も、日本酒の輸出先としては歴史があり、主要輸出国の1つとなっています。

韓国では、日本食のレストランも多く、日本食は定着していると言えるでしょう。反日不買(ノージャパン)運動や、コロナの影響で韓国から消えた日本酒が、近時、円安の波に乗って戻ってきているといった現状です。

韓国での日本酒の主な販路は、日本食レストランで、日本式居酒屋や「おまかせ」形式の高級飲食店などで、高級料理に合わせて高価な日本酒を飲む文化が定着しています。

日本酒を海外に輸出する際の注意点

日本酒を海外に輸出する際には、いくつか気をつけなければならないことがあります。

ここでは、日本酒を海外に輸出する際の下記の注意点について解説していきます。

【日本酒を海外に輸出する際の注意点】

  • 輸出先の法律や規制に注意
  • 「危険物扱い」に注意
  • 特別な証明書の添付が必要な場合に注意

それぞれについて見ていきましょう。

輸出先の法律や規制に注意

日本酒を海外に輸出する際、輸出先の法律や規制に注意することが重要です。

日本とは異なったお酒に関する法律や規制があるので、現地のパートナーに任せるだけでなく、自社でも弁護士やコンサルタント会社などを関与させるなどして、輸出前にチェックしておく必要があります。

輸出先の法律や規制に違反してしまうと、現地で販売できなくないので注意しましょう。

「危険物扱い」に注意

お酒によっては、国際輸送法上の「危険物扱い」になるものもあります。

「危険物扱い」になってしまうと、提出書類の増加や輸送料アップなどの不利益な取り扱いをされてしまうばかりでなく、そもそも危険物の輸送を取り扱ってくれない輸送業者もいるので注意が必要です。

日本酒を輸出する際には、「危険物扱い」にならないかを事前にチェックしておきましょう。

なお、「危険物扱い」とされるのは、アルコール度数が70%超のお酒や、アルコール度数24%超かつ250㎖超の容器のお酒ですので、一般的に日本酒は「危険物扱い」されないとは思うのですが、念のため輸出商品の事前チェックをおすすめします。

特別な証明書の添付が必要な場合に注意

日本酒の輸出の際、「特別な証明書」が必要になってくることもあります。

たとえば、輸出先によっては、東日本大震災の影響による制限があるので、要注意です。

韓国・中国・ロシアへの輸出酒類には、国税局発行の「特別の証明書」が必要ですので、輸出先に制限等があるかを確認することをおすすめします。

日本酒の海外輸出成功事例

実際に、他の酒蔵さんでは、日本酒の海外輸出をどのように成功させているのでしょうか。

ここでは、下記の日本酒の海外輸出成功事例をご紹介させていただきます。

【日本酒の海外輸出成功事例】

  • 未経験で海外輸出を成功させた老舗酒蔵の事例
  • 代理店との協力で輸出を成功させた酒蔵の事例
  • FTA活用により輸出を成功させた酒蔵の事例

それぞれについて見ていきましょう。

未経験で海外輸出を成功させた老舗酒蔵の事例

九州地方の老舗酒蔵A酒造は、2011年頃から、輸出販路の開拓にチャレンジしてきました。

A酒造は、輸出未経験だったため、まずは日本とは異なる海外の流通形態や商習慣を学ぶことからスタートし、ジェトロ主催の国内での食品輸出商談会や、海外でのビジネスセミナーや商談会、見本市などにも積極的に参加して、販路開拓へ取り組んだのです。

当初、韓国や香港への輸出成功を足がかりに、今では韓国、香港、北米、カナダ、タイなど日本酒取引が盛んな主要国との取引を成功させています。

A酒造の事例は、輸出未経験でも、伝統の味を守るために、熱意を持って柔軟に適応していけば、道は開けるといった成功事例の1つです。

代理店との協力で輸出を成功させた酒蔵の事例

東北地方にある老舗酒蔵B酒造は、2012年頃から、本格的に海外展開をはじめ、現在はアメリカ、中国、香港など計18ヶ国・地域と取引できるまでになりました。

B酒造は、海外展開を成功させるためのポイントは、「どのような現地代理店と組むか」にかかっていると考えています。また、自社が取り扱う日本酒について、代理店に正しく理解してもらうことも重要とのこと。

B酒造は、国民の平均年齢が若く、親日国であるベトナムの市場に高いポテンシャルを感じ、輸出をはじめたものの売上が伸び悩んでいたときも、新しい代理店担当者に、自社商品をレクチャーし、直接熱意を伝えられたことで潮目が変わり、代理店の営業も熱を帯びて、売上も伸ばすことができました。

B酒造の事例は、代理店との協力で輸出を成功させた酒蔵の事例の1つです。

FTA活用により輸出を成功させた酒蔵の事例

関東地方の老舗酒蔵C酒造は、コロナ前から、海外展開のため、約20ヶ国へ足を運び、現在は北米、南米、アジア、オセアニア、ヨーロッパなど計14ヶ国へ純米酒や純米大吟醸酒を輸出し、売上全体の約3割を海外売上が占めるまでになりました。

C酒造は、関税や輸送費、仲介手数料などの輸出コストが現地小売価格に反映され、日本での小売価格よりも高価になってしまう輸出時の課題を解決するため、商社を通さない直接貿易、FTA(自由貿易協定)の活用などの工夫をした結果、輸出コストの削減、現地小売価格の抑制を実現できたのです。

初回輸出時の「原産地証明書」の取得には苦労しますが、2回目以降の輸出に関しては、HSコードを使いスムーズにFTAを活用でき、市場競争力を高められるメリットを享受できています。

C酒造の事例は、輸出先の人々が求めやすい価格で販売するために、FTAの活用などにより価格競争力を高めるといった工夫をしたことで、日本酒の輸出を成功させた典型例と言っていいでしょう。

まとめ

ここまで、日本酒の海外輸出を成功させるためのポイント、輸出に必要な準備や注意点などをご紹介させていただきました。

日本酒の海外輸出を成功させるためのポイントを把握して、他社の成功事例を参考にするなど、自社に適した方法で海外展開にチャレンジしましょう。

アンカーマンでは、日本酒の海外輸出を検討している酒類事業者さまに向けて、酒類の輸出を含めたマーケティングサポート、海外展開の取組に活用できる補助金に関する補助金サポートなどをご用意してます。

海外展開に必要な販路開拓、マーケティング、補助金などに関するご不明点やご興味があれば、お気軽にアンカーマンまでご連絡ください。

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