事業再構築補助金では事業化状況報告が必須!報告のポイントと流れを徹底解説
事業再構築補助金の申請手続きが終わり、「やっと補助金が受け取れた」と安心したのもつかの間、「え!?補助金を受け取った後にも手続きが必要なんだ…」と思う方も多いようです。
補助金の原資は税金等であることから、補助金が正しく活用されているかを把握するために、補助金交付を管轄している事務局は、補助金交付後数年間、「事業化状況報告」義務を申請者に課しています。
今回は、事業再構築補助金の手続きの中で、補助金を受け取った後の重要な手続きである「事業化状況報告」について、報告のポイントや手続きの流れなどをくわしく解説します。
- 1. 事業再構築補助金の事業化状況報告とは
- 2. 事業再構築補助金の事業化状況報告で必要な書類
- 2.1. 損益計算書・貸借対照表
- 2.2. 労働者名簿・賃金台帳
- 2.3. 製造原価報告書・販売費及び一般管理費明細表(内訳)
- 2.4. 事業化状況・知的財産権報告に必要な追加報告用エクセル
- 3. 事業再構築補助金の事業化状況報告を行う流れ
- 3.1. 報告開始日の案内
- 3.2. システムへ「事業化状況報告」を登録
- 3.3. 報告内容の精査
- 3.4. 報告内容の修正
- 3.5. 収益納付・補助金返還の有無の確認
- 3.6. 納付・返還の実施
- 4. 事業再構築補助金の事業化状況報告システム使用方法
- 4.1. ログイン
- 4.2. 事業化状況
- 4.3. 知的財産権等
- 4.4. 現在の取組状況
- 4.5. 製品等情報
- 4.6. その他
- 5. 事業再構築補助金の事業化状況報告を行う時のポイント
- 5.1. PCから登録することと郵送での登録不可
- 5.2. 報告期限を確認する
- 5.3. 報告を行わない場合の加算金の可能性
- 6. 事業再構築補助金の事業化状況報告のまとめ
事業再構築補助金の事業化状況報告とは
事業再構築補助金の「事業化状況報告」とは、事業者が補助金を受領後、適正に活用しているかどうか事務局が把握するために、補助事業の成果(事業化や知的財産権の譲渡)の状況などに関して行う報告のこと。
補助金受領後、補助事業完了日の属する年度の終了後を初回として、以降「5年間、合計6回」事業化状況報告を行う必要があります。
事業再構築補助金の事業化状況報告で必要な書類
「事業化状況報告」は、「事業化状況・知的財産権報告書」「事業化状況等の実態把握調査票」のほか、指定の必要書類のシステムへの登録が必要となります。
必要書類は、以下のとおり。
【事業化状況報告で必要な書類】
- 損益計算書
- 貸借対照表
- 労働者名簿
- 賃金台帳(大規模賃金引上枠の補助事業者のみ)
- 製造原価報告書
- 販売費及び一般管理費明細表(内訳)
- 事業化状況・知的財産権報告に必要な追加報告用 エクセル
以下、順に解説します。
損益計算書・貸借対照表
「事業化状況報告」には、損益計算書や貸借対照表など決算書類を添付します。
決算書類は、各年度の確定した書類を提出することが必要です。
ちなみに、個人事業主の場合には、青色申告決算書や収支内訳書(白色)を添付します。
労働者名簿・賃金台帳
「労働者名簿」も添付書類の1つです。
なお、大規模賃金引上枠の補助事業者のみ、「賃金台帳」を添付する必要があります。
事業計画終了時点を含む決算年度の終了時点において、賃金引上要件や従業員増員要件を満たしているかどうかを審査するためです。
製造原価報告書・販売費及び一般管理費明細表(内訳)
決算書類の付属書類として、「製造原価報告書」や「販売費及び一般管理費明細表(内訳)」なども添付します。
補助対象経費の裏付けや補助対象事業の成果などを測定する上で必要な書類です。
事業化状況・知的財産権報告に必要な追加報告用エクセル
2023年6月15日以降、「事業化状況・知的財産権報告」に関して、補助事業実施による効果をより正確に把握するため、報告事項の追加が実施されることになりました。
システムより、別途エクセル文書をダウンロードして、追加報告が必要です。
「追加報告用エクセル」は、システムログイン⇒メインメニュー⇒「インフォメーション」⇒「事業化状況・知的財産権報告の追加報告用エクセル」より、「事業化状況・知的財産権報告の追加報告用エクセル.xlsx」をダウンロードして取得します。
事業再構築補助金の事業化状況報告を行う流れ
事業再構築補助金の事業化状況報告を行う流れは、以下のとおりです。
【事業化状況報告の流れ】
- 報告開始日の案内
- システムへ「事業化状況報告」を登録
- 報告内容の精査
- 報告内容の修正
- 収益納付・補助金返還の有無の確認
- 納付・返還の実施
- 報告完了
以下、順に解説します。
報告開始日の案内
毎年度「事業化状況報告」に関して、報告開始日以降に、事務局からメールで案内が届くのでチェックしましょう。
報告期限などの詳細に関して、自社の認識と異なるところがあれば、事務局に事前確認を行うなどの配慮が必要です。
システムへ「事業化状況報告」を登録
補助事業者サイトで、入力期間中に「事業化状況報告」の報告内容をシステムに登録します。
具体的には、事業化状況報告システムにログインし、報告内容である①「事業化状況・知的財産権報告書」②「事業化状況等の実態把握調査票」などの必要事項の入力と必要書類の添付を行いましょう。
報告内容は、システムへ登録すること(入力状況が「完了」となること)で、事業化状況報告が完了します。別途、添付書類の郵送等は必要ありません。
報告内容の精査
システムへ「事業化状況報告」を登録すると、事務局による「報告内容の精査」が実施されます。
「報告内容の精査」とは、事業化状況報告システムに登録されている事業化状況報告の内容に問題がないかを事務局が確認することです。
報告内容に問題があれば、補助事業者に差戻しされます(差戻しとなった旨をメールで通知)。
報告内容の修正
事務局による「報告内容の精査」によって、報告内容に問題があった場合には、「報告内容の修正」が必要です。
具体的には、事務局からの指摘事項(事業化状況・知的財産権報告書の画面の「差戻しコメント」)について、訂正入力を行います(入力完了後、再度「完了」を実行)。
収益納付・補助金返還の有無の確認
事務局での「事業化状況報告書の内容の確認」完了後は、「収益納付」や「目標未達による補助金返還」の有無の確認が行われます。
「収益納付」とは補助金の交付を受けて補助事業を行った結果、補助金交付額以上に利益を出した場合、交付額を限度として収益の全部又は一部を国庫に返納する制度で、「目標未達による補助金返還」とは補助金申請要件のうち、事業計画等で各種目標を設定した場合、当該目標に達成しなかった場合には補助金の返還(全部または一部)が必要といった制度です。
収益納付や補助金返還が必要な補助事業者には、事務局よりその旨が通知されます。
※「収益納付」についてもっとくわしく知りたい方はこちら→「事業再構築補助金の採択後の手続きや流れとは?補助金を受け取るための方法をわかりやすく解説」
納付・返還の実施
事務局より、収益納付や補助金返還が必要の旨の通知を受けた補助事業者は、納付・返還を実施する必要があります。
システムで金額、振込先等を確認し、速やかに事務局の指定口座宛てに納付しましょう。
事業再構築補助金の事業化状況報告システム使用方法
ここでは、事業化状況報告システムの具体的な使用方法について解説します。
事業化状況報告システムへの登録の流れに関しては以下のとおりです。
【事業化状況報告システムへの登録の流れ】
- ログイン
- 「事業化状況・知的財産権報告書」の「事業化状況」の登録
- 「事業化状況・知的財産権報告書」の「知的財産権等」の登録
- 「事業化状況等の実態把握調査票」の「現在の取組状況」の登録
- 「事業化状況等の実態把握調査票」の「製品等情報」の登録
- 「本年度の納付額」の確認
- 「損益計算書等」の登録
- 「文書発信年月日」の登録・報告書のダウンロード
- 「経営課題アンケート」への回答
- 報告完了
以下、順に解説します。
※参照:事業再構築補助金「事業化状況報告システム操作マニュアル」
ログイン
「事業化状況報告システム」を利用するには、システムログインページにアクセスして、ログインするところからスタートします。ログインするには、GビズIDのアカウント(プライム、メンバー)が必要です。事前に準備しておきましょう。
なお、システムは常時アクセス可能ですが、「事業化状況・知的財産権報告」は、報告期間内のみ登録・編集が可能なこと(報告期間前の登録不可)、事務局への報告「完了」後は、不備等があり、差戻しとなる場合以外は入力ができないことなどに注意しましょう。
事業化状況
「事業化状況登録」をしていく中で、補助事業の実施成果の「事業化の有無」を入力し、「事業化有り」を選択したら、事業化がどの段階にあるかの「事業化の段階」登録が必要です。
「事業化」とは、たとえば、補助対象事業で開発したお酒の販売に関する宣伝等を行った段階、あるいは設備投資のみの場合には、生産を開始した時点で「事業化」となり、「事業化の段階」とは事業化の進捗状況のことで、全部で5段階あります。
【事業化の5段階】
- 「第1段階」~お酒の販売に関する宣伝等を行っている状態
- 「第2段階」~契約や注文が取れている状態
- 「第3段階」~お酒が1つ以上販売されている状態
- 「第4段階」~継続的にお酒の販売実績はあるが利益が出ていない状態
- 「第5段階」~継続的にお酒の販売実績があり利益が出ている状態
なお、補助事業に関わる知的財産権等(酒蔵さん自身で出願したものおよび他社から取得したものを含む)を譲渡したり、知的財産権等を活用して収入や売上が発生したりしたことがあったかどうかについては、事業化状況で別途報告することになっていますので注意しましょう。
具体的には、補助事業終了後から報告対象年度末までの期間における「知的財産権等の譲渡又は実施権の設定」の有無を選択します。
知的財産権等
「知的財産権等」の取得状況について登録が必要で、補助事業で開発した造りの技術や他社から取得した知的財産権等を活用して、酒蔵さん自身が出願(取得)した知的財産権等がある場合には報告が必要です。
なお、前回までの報告で「出願中」となっていたものを取り消した場合も報告しましょう。
現在の取組状況
事業化状況報告と併せて登録する「損益計算書等」をもとに、資本金や従業員数、売上、営業利益等、会社全体の財務状況など「現在の取組状況」を登録します。
報告対象期間内に確定した直近の決算数値(個人事業主の場合は、「総売上高」は「雑収入」を含めた金額)を用いての入力です。
そのほか、「今後の事業化の見通し」や「事業化に関する状況」なども入力が必要となります。
製品等情報
「補助事業の実施成果の事業化」を「事業化有り」(第1段階~第5段階)」とした場合や「知的財産権等の譲渡又は実施権の設定」を「有」とした場合は、「製品等情報」の入力が必要です。
損益決算書等をもとに、商品ごとに「製品等情報登録」と「原価算出表」を入力しますが、製品等情報として「商品の名称」「販売金額(売上額)」「販売数量(売上数量)」「原価算出表」等を入力します。
「原価算出票」に関しては、原価算出票の作成の有無を入力し、原価報告書等を作成している場合は、「労務費」「製造経費(販売費及び一般管理費を除く)」「期首仕掛品棚卸高」「期末仕掛品棚卸高」などの項目に数値を入力し、備考欄にその算出根拠の入力が必要です。
その他
「製品等情報」の入力まで完了すると、「本年度の納付額」の確認が可能です。
その後、準備していた必要書類として「損益計算書等」を登録(製造原価報告書を作成していなくとも、未作成である旨を記した書類を添付すれば可)し、「事業化状況・知的財産権報告書」の画面に戻って「完了」をクリックします。
なお、「文書発信年月日」までの入力が完了すれば、「完了」のクリックが可能です。「完了」の押し忘れにはくれぐれもご注意ください。
登録時の日付を入力の上、報告書のダウンロードへと移行し、最後に、「経営課題アンケート」へ回答して「登録」を押せば完了です。
事業再構築補助金の事業化状況報告を行う時のポイント
ここでは、事業再構築補助金の事業化状況報告を行う時のポイントについてご紹介します。
PCから登録することと郵送での登録不可
「事業化状況報告」は、事業化状況報告システムを利用してPCから登録することが必須です。
必要書類等を郵送して、登録する等の例外は認められていませんので注意しましょう。
報告期限を確認する
「事業化状況報告」には期限が定められています。各年度の報告時期に関しては、以下のとおりです。
【事業化状況報告の時期】
- 「初回」~補助事業終了年度の決算日の3か月後まで
- 「2回目以降」~毎年度の決算日の3か月後まで
なお、実績報告により、補助事業完了日が変更になった場合などは、報告年度が変更になることもありますので、事務局への確認など配慮する必要があります。
また、毎年度、事務局から「事業化状況報告」の案内メールが届きますので、報告期限などの詳細をチェックしておきましょう。
報告を行わない場合の加算金の可能性
事業化状況報告を行わない場合には、受け取った補助金の返還を求められるだけでなく、「加算金の納付」まで必要となる場合がありますので注意しましょう。
「補助金の交付を受けた事業者は、補助事業の成果の事業化状況等について報告する義務がある」こと、「事業化状況等の報告が行われない場合には、交付規程第22条に基づき、補助金の返還及び加算金の納付が必要となる」旨が規定されているのです。
事業再構築補助金の事業化状況報告のまとめ
ここまで、事業再構築補助金の手続きの中で、補助金を受け取った後の重要な手続きである「事業化状況報告」について、報告のポイントや手続きの流れなどをご紹介させていただきました。
「もう、補助金を受け取ったから大丈夫!適当に報告しておけばいいんでしょ?」などと思って適当に処理しようものなら、大変なことに…
最悪の場合、「補助金返還」なんてこともあります。
報告のポイントや手続きの流れなどを理解した上で、きっちりと「事業化状況報告」義務を遂行してください。
「本業が忙しくて、報告書類の作成を行う時間がないんだよなぁ…」
「なんとか報告書類を作成したけれど、これで合っているのだろうか…」
など、不安な酒類事業者さんもいらっしゃるのでは?
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