【令和7年度】国税庁補助金公募開始!酒類業振興支援事業費補助金とは

※2025年1月24日更新

「待ってました!」の高揚感とともに、いよいよ【令和7年度】国税庁補助金の公募がスタートしたとの朗報です!!

令和6年度に国税庁所管の補助金制度の大幅変更が実施され、「海外展開・酒蔵ツーリズム補助金」と「フロンティア補助金」が「酒類業振興支援事業費補助金」に一本化されました。

今回は、令和7年度の国税庁補助金として、令和6年度補正予算および令和7年度予算(案)を原資とした「令和7年度酒類業振興支援事業費補助金(第1期・第2期)」の公募要領が公表されたので、酒類事業者の皆さんに、どこよりも早くお伝えいたします。

国税庁所管の補助金の活用を検討しておられた酒類事業者様は、要チェックです。

本記事では、国税庁の補助金制度に関して、概要を解説します。

1.補助金の概要

補助金の概要は、以下のとおりとなっています。

【国税庁所管補助金の概要】

補助金              酒類業振興支援事業費補助金
支援枠     【新市場開拓支援枠】               【海外展開支援枠】    
補助対象事業     ・商品の差別化による新たなニーズの獲得
・販売手法の多様化による新たなニーズの獲得
・ICT技術を活用した、製造・流通の高度化・効率化  
・海外販路拡大や商品等の高付加価値化、インバウンドによる海外需要の開拓等の取組
・リソース不足に対応するため上記取組について、複数(3者以上)の酒類事業者が集まって推進する取組
補助率1/2
※小規模酒類事業者は2/3
1/2
補助金額50万円~500万円※
※給与支給の増加計画を達成できない等の場合、補助金額の一部を返還
50万円~1,000万円※
※複数(3者以上)の酒類事業者の場合の上限額は1,200万円~1,500万円      
補助対象者酒類事業者酒類事業者または酒類事業者を1者以上含むグループ
補助対象経費(例)設備等費、展示会等出展費、通訳・翻訳費、マーケティング調査費、謝金、旅費等※
※通常業務に要する費用は補助対象外
(例)展示会等出展費、通訳・翻訳費、マーケティング調査費、謝金、旅費等※
※通常業務に要する費用は補助対象外
公募期間            【第1期】令和7年1月23日~2月27日
            【第2期】令和7年2月28日~4月24日

なお、「新市場開拓支援枠」で申請する場合にのみ、以下のような申請要件があることを押さえておきましょう。

【新市場開拓支援枠で申請する場合の申請要件】

以下の内容をすべて盛り込んだ3~5年の事業計画の策定
1.給与支給総額を年率平均1.5%以上増加
2.売上額または付加価値額を年率平均3%以上増加

なお、「新市場開拓支援枠」で補助金の採択を受け、事業計画終了時点において、給与支給総額の年率平均1.5%以上の増加目標が達成できていない場合は、補助金額の一部返還を求められる場合がありますので注意が必要です。

2.令和7年度国税庁補助金で押さえておくべきポイント

ここでは、令和7年度の国税庁補助金に関して、押さえておくべきポイントをご紹介します。

補助金原資

国税庁補助金の原資は、令和6年度補正予算と令和7年度予算(案)となっています。

「令和7年度酒類業振興支援事業費補助金(第1期・第2期)」の公募要領の公表時点(令和7年1月23日)では、国会での令和7年度予算が未成立のため、今後、補助金の内容等が変更される可能性があることを押さえておきましょう。

補助金の申請手続き

補助金の申請手続きに関しては、令和7年1月以降の公募開始分から、jGrants(Jグランツ)による運用に移行することになりました。

つまり、今後、国税庁補助金を申請する際には、これまで認められていたメールや郵送申請の方法は利用できず、jGrantsを利用しなければならないため、事前にGビズIDの取得が必要になるということを押さえておきましょう。

GビズIDの取得には時間がかかるため、早めの準備をおすすめします。

補助対象事業

酒類業振興支援事業費補助金には、「新市場開拓支援枠」と「海外展開支援枠」があります。

各支援枠の補助対象事業の概要は以下のとおりです。

【補助対象事業】

  枠      対象事業                       対象取組例
  新
  市
  場
  開
  拓
  支
  援
  枠
      
商品の差別化による
新ニーズ獲得
・食品とのペアリングに特化した商品や、地方産品の特性を生かした商品、地元・活用した休耕田の収穫物を原材料とした商品等の開発
・個人に対するオーダーメイド商品の開発体制の構築
・「新たな原材料等を使用し、これまでにない特性を持たせた」または「『伝統的酒造り』を差別化のポイントとした」高付加価値商品の開発
販売手法の多様化による
新ニーズ獲得
・商品情報の充実による販売促進(QRコード等を活用した取扱商品のブランドストーリーの提供や消費者が求める情報を記載した裏ラベルの活用等)
・テイスティング等の顧客体験を重視した販売形態の確立
・データ分析等を用いた、顧客の嗜好に合致した商品の販売手法の導入
ICT技術の活用による製造・流通の
高度化・効率化
・製造:AI技術等を活用した品質管理システムの導入
・流通:RFIDやAIカメラ等を活用した管理システムの導入
  海
  外
  展
  開
  支
  援
  枠
日本産酒類の海外販路拡大や商品等の高付加価値化・海外ニーズを踏まえ、強みを活かした海外展開をするための現地調査及びブランド戦略の構築 
・ 海外の嗜好に即した新商品開発、新規ブランドの立ち上げ、調査研究 
・海外で新規に製品を取り扱う事業者の開拓、新たな販売手法の試行
 ・ 海外の有名レストラン等の協力による認知度向上に向けた情報発信 
・地理的表示(GI)やテロワール等の海外向けブランド化への活用 
・農商工連携や異業種連携等による新たな価値創造
酒蔵の観光化や地域における
酒蔵ツーリズムプラン策定
・酒蔵を観光化するための観光客の受け入れ整備や消費拡大への取組 
・観光客の高付加価値体験(酒造りや宿泊等)を可能にする酒蔵での受け入れ環境整備 
・地域連携の機運醸成や、酒類を含む地域の価値創造につながる酒蔵ツーリズムの実施へ向けた取組 
・ガイド育成や他の観光資源の組合せによる滞在時間の拡大や宿泊を通じ、消費拡大を促す商品開発

補助対象経費

補助対象経費は、以下のとおりです。

【補助対象経費】

 1.設備等費
 2.謝金
 3.旅費
 4.借損料 
 5.通訳・翻訳費
 6.会議費 
 7.マーケティング調査費
 8.産業財産権等取得等費 
 9.展示会等出展費
 10.雑役務費 
 11.原材料等費
 12. 設計・デザイン費
 13.広報費 
 14.委託費
 15. 外注費
 16.出演料
 17. 運営費

他の補助金との違いとしては、「設備費等」として、「事業遂行に必要な設備等(機械装置・器具備品・情報システム等)の購入、制作、構築、改良、据付、検査、実験等を行うために支払われる経費」に関して、土地の取得等は含まれないものの、施設の改装費等は対象となる点です。

この点、酒類事業者として、大いに活用できる補助金となっています。

その他、補助対象経費で注意すべき点は、事業の経費がすべて設備投資である場合において、設備の導入のみで完結する事業については、審査に際し評価が劣後してしまう規定が設けられたため、補助事業の一環として設備の導入以外の取組を行う場合、経費の発生有無にかかわらず、当該取組を確実に「補助事業計画書」に記載することをおすすめします。

【審査における評価の劣後事由】

  • 事業の経費がすべて設備投資(補助対象経費すべてが設備費等の場合)であり、かつ、設備の導入のみで完結する事業 (新商品開発のためのタンクや冷蔵設備等の導入のみを行う事業や、システム等の導入のみを行う事業など)については、 審査に当たって評価が劣後する 
  • 交付決定後、事業者の都合により補助事業を廃止した場合、今後、国税庁が実施する補助事業の審査において、当該事業者の評価が劣後する可能性あり

補助対象経費で、審査における評価の劣後事由に該当しないための工夫として、「設備の導入のみで完結する事業」でなく、補助事業の一環としての設備投資であるということを強調するために、以下のような記載方法が望ましいです。

  • 補助事業の一環として、導入したタンクや冷蔵設備等を活用して新商品開発に着手している
  • 設備の導入の他にマーケティング調査等の取組を実施する
  • 導入したシステム等をテスト運用(導入システム等の実用化に向けた一定期間の運用のこと。単なる検収等は含まないことに注意)して改善点の把握まで行う

3.採択事例

なお、ご参考として、これまでの国税庁所管の旧フロンティア補助金の採択事例を以下にご紹介します。

採択事例①「新品種米を用いた定番シリーズの新商品開発」

交付申請額500万円
事業概要市場の需要変化を取り込むべく、2020年に別拠点に直売所を開店。清酒市場のプレミアム化とコロナ禍の影響による巣ごもり需要の拡大を機に、地酒ブランドシリーズの新商品開発を行う。
新規性・革新性     原料米には酒造好適米の品質に匹敵する新品種米を用いた新商品を開発。同品種は2022年までに酒造好適米として品種登録予定。さらに搾りたてのフレッシュさを残しつつ、常温流通が可能な商品の製造高度化によって他社との差別化を図り経営革新を実施する。
主な経費機械装置・システム構築費:プレートヒーター急冷却装置(696万5千円)SFC-8型王冠供給機(308万円)設計・デザイン費:新商品ラベルデザイン費(77万円)原材料等費:原料米(45万3千円)

採択事例②「搾りたて×伝統製法「生酛造り」によるペアリング商品の開発」

交付申請額500万円
事業概要清酒市場のプレミアム化とコロナ禍の影響によって生じた巣ごもり需要を機に、しぼりたて×伝統製法「生酛造り」による、肉料理やバターを使った洋食とよく合う、高い競争力を持った日本酒を開発する。女性や若年層といった新たな需要を取り込み、他の酒類事業者のモデルとなる。
新規性・革新性     フレッシュローテーションの実現により、発酵中に生じた炭酸ガスを含んだ新感覚の日本酒を供給。従来からの強みである低アルコール原酒造りといった高度醸造技術の融合と、食中酒として最適な原料米「春陽」「亀の尾」の使用によって差別化と売り上げ拡大を図る。
主な経費機械装置・システム構築費:自動温度制御タンク密閉3000型(1180万円)

採択事例③「地元産新品種米による伝統製法生酛の低アルコール日本酒の開発」

交付申請額230万4千円
事業概要昨今の日本酒市場の需要変化、特に家飲み需要・巣ごもり需要の拡大を機に、それらの需要に応じる商品として地元産新品種米2種類を原材料に、長年培った高い醸造技術を活かし、日本酒業界では希少性の高い「地元流生酛造り×低アルコール」と「地元流生酛造り×ハーブ」日本酒2点の新商品を開発する。
新規性・革新性      設備投資により日本酒業界では希少性の高い「地元流生酛造り×低アルコール」と「地元流生酛造り×ハーブ」日本酒2点の新商品を開発する。また、原料となる酒米に地元産新品種米を用いる。また、製造設備の新規導入による品質向上と、製造量の小ロット化による3期醸造への転換とフレッシュローテーション体制を実現する。
主な経費機械装置・システム構築費:電気式釜(138万8千円)醸造用及び酒母用ステンレスタンク(322万円)

採択事例④「肉料理や洋食とのペアリングに特化した熟成酒の開発」

交付申請額500万円
事業概要清酒市場ではプレミアム化が進んでいること、またコロナ禍で巣ごもり需要が拡大したことを機に、肉料理や洋食とのペアリングに特化した熟成酒の新商品開発。肉料理や洋食にマッチする新しい商品を生み出すことで、市場に合わせたプレミアム志向の商品を提供し、低アルコール酒を求める顧客ニーズも満たす。
新規性・革新性     設備投資により特許システムを搭載した低温熟成冷蔵庫を導入し、0℃〜5℃の低温かつ温度ブレの少ない熟成環境を整備。当社の強みである酸味を活かした醸造技術を活用し、熟成による深いコクや旨味を創出する。これにより、女性や若年層といった新たな需要を開拓できる。
主な経費低温熟成冷蔵庫(1,000万円)

採択事例⑤「小ロット商品の需要に応じる商品改良と増産・販売体制の構築推進事業」

交付申請額350万円
事業概要近年のプレミアム商品の人気や家飲み需要の拡大を受け、既存商品のリサイズ及びリデザイン、QCR (品質管理の信頼度)向上、販路拡大に対する安定供給・増産化を果たす補助事業を実施する。これまでは一升瓶形状の商品が多かったが、新たにリンサーを導入することで約5倍の量の小型ボトル洗浄ができるようになり、安定的な量産が可能となる。
新規性・革新性      市場分析及び弊社実施のアンケート調査によると、清酒に対して試しやすい小サイズへのニーズが高まっている。小型ボトルで提供する商品の開発は、こうした需要を満たす。また、商品開発の幅を広げることで当社ブランドの認知度向上や、雇用拡大による地域社会への貢献につながる。
主な経費リンサー700万円

採択事例⑥「洋食とのペアリングのための『白麹×伝統製法で醸す生酒』の開発」

交付申請額500万円
事業概要清酒市場のプレミアム化とコロナ禍で生じた巣ごもり需要を背景に肉料理や洋食とのペアリングに特化したフレッシュ生酒の新商品開発を行う。
新規性・革新性      洗瓶工程の高度化により、品質劣化の原因である火落ち菌を除去、お酒をその場で絞る「直汲み」を実現。生酒の安定増産・供給体制を強化。爽やかな酸味を生む「白麹」と伝統の「生酛造り」により、酸味と旨みを併せ持つ生酒を開発。デザイン豊かな瓶とラベルで、視認性を高め、洋食に合う酒質とのコラボで商品競争力を高め、女性・若年層など新たな需要を掘り起こし、販路拡大を図り、他の酒類事業者のモデルケースとなる
主な経費高性能ボトルリンサー(1,770万円)

採択事例⑦「家飲み需要を狙った『フレッシュな生酒の供給体制の構築』」

交付申請額400万円
事業概要家飲み需要拡大により、720㎖以下小容器・多品種出荷の需要が増えたことに対応するため、搾りたてフレッシュな生酒を供給できる体制を構築する。
新規性・革新性      機械の導入により、瓶詰め(打栓)と箱詰めの両工程を自動化し、作業効率化で余剰が出る人員と時間を有効に使うことにより、箱詰め後の日本酒を速やかに冷蔵庫に保管するフレッシュローテーション体制を構築。生酒の品質を強化するとともに、高付加価値商品の多品種少量出荷を実現。フレッシュな商品を武器に、既存EC事業の強化と併せて、オンライン・オフラインの販路展開を行うことにより、他の酒類事業者のモデル事業となる。
主な経費キャッパー、全自動高速製函機(1,047万5千円)

採択事例⑧「多彩な試飲×記念ボトルにより顧客体験を提供する販売形態の確立」

交付申請額341万600円
事業概要セルフ式の多彩な試飲体験と、記念写真やイラストをプリントしたオリジナルボトルの提供サービスを導入し、顧客体験を重視した新たな販売形態を確立する。さらに、WEBサイトに新たにランディングページを構築し、新サービスをPRして、オンラインでの観光誘致とオリジナルボトルの販売促進を図る。
新規性・革新性      ①「非接触(ウィズコロナ/ポストコロナに対応)」×「高品質な生酒」の試飲提供による高付加価値な顧客体験(酒蔵見学サービス)を通じた販売②ラベルまで顧客の要望を反映するサービス提供(家族写真や似顔絵などをプリントした唯一無二なオリジナルボトルとして販売)③業務のDX化により生産性向上・人的ミス・機会損失を改善④SNSとランディングページを連携させるなどデジタル技術を駆使したサービスPR
主な経費ボトルプリンター、コイン式ワイン・SAKEサーバー、WEBサイトのランディングページ構築(6,821,200円)

採択事例⑨「日本唯一の伝統技術・焼酎製法を用いたスピリッツ新商品の開発」

交付申請額308万6,666円
事業概要焼酎製法に基づく高アルコール度数のスピリッツ新商品開発(シリーズ化)・販売
新規性・革新性   「伝統的酒造り」を差別化のポイントとした高付加価値商品の開発~日本で唯一の常圧2回蒸留製法とスピリッツ商品の開発・販売の新規事業を行う
主な経費冷水式ブラインクーラー設備、温水高圧洗浄機、貯蔵庫出入り口のコンクリート補修(4,630,000円)

4.まとめ

ここまで、令和7年度の国税庁補助金に関して、「令和7年度酒類業振興支援事業費補助金(第1期・第2期)」の公募要領の速報や補助金の概要、注意すべきポイントや採択事例をご紹介させていただきました。

採択事例も弊社が実際に「受かる事業計画書」の作成をサポートさせていただいた事例です。

補助金の活用をご検討されている酒類事業者さまは、令和7年度の国税庁補助金「第1期」「第2期」の公募要領を確認の上、自身に適した補助金を選択しましょう。

特に、令和7年度の国税庁補助金は、制度内容も整備され、酒類事業者さまにとって使い勝手のいい内容となっています。

採択を勝ち取るためには、補助対象事業に沿う、実現可能性の高い事業計画づくりと、補助対象経費の妥当性と整合性が採択のカギです。

特に、補助対象経費に関する経費すべてが設備投資の場合、設備の導入のみで完結する事業が劣後評価を受けないように、「事業計画書」の書き方が重要となってくるでしょう。

酒類事業者さんのサポートに特化して、採択実績も多いアンカーマンなら、蔵やお店の将来の事業計画まで一緒に考えて、国税庁補助金の採択を勝ち取ることが可能です。

国税庁補助金の採択を本気でお望みならアンカーマンまでご連絡ください。

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