【酒類事業者必見】お酒の価格はどう決める?プライシングの正解とは


「お酒の価格?他の蔵や店と比較して決めてるけど…」

「うちは、昔からこれくらいの価格で…」

こんなふうに、お酒の価格をなんとなくで決めていませんか?

安定した売上や利益を確保して、経営を継続していくためには、価格戦略はとても重要です。

今回は、店舗小売の酒販店さんや、直売所併設の蔵元さん、自社ECサイトでお酒を通販している酒類事業者さんに向けて、お酒の価格戦略や価格設定(プライシング)の正解について考察します。

価格戦略へのアプローチ

お酒の価格戦略へのアプローチ(考え方)には、いくつかの種類があります。

ここでは、重要な価格戦略とは何か、価格戦略や価格設定の考え方の種類について解説します。

価格戦略とは

「価格戦略」とは、プライシング(価格設定)を軸とするマーケティング戦略であり、マーケティングにおける4P戦略の重要な1つの要素(Price)です。

市場シェアの獲得や十分な利益確保には、価格戦略を慎重かつ丁寧に練ることが重要であり、具体的には「競合他社の動向から、消費者にとって適正で利益のある価格を設定すること」を「価格戦略」といいます。

消費者は商品の購入に際し、「価格」を重視し、自身の購入しようとする価値に見合った「価格」の商品を購入しようとしますが、予算の都合で妥協して低価格な商品を選ぶこともあります。

反面、「安い=低品質」「安かろう悪かろう」という誤解をすることもあり、価格設定を間違えると、ブランドの価値の低下を招くリスクも内在しています。

このように「価格戦略」とは、利益や経営を左右する重要な要素の1つです。

価格戦略の考え方

価格戦略の考え方にはいくつか種類があり、自社のポジションや目的に合った価格戦略を選択することが重要です。

価格戦略には以下の7つの考え方があります。

【価格戦略の7つの考え方】

価格戦略の考え方の種類内容
スキミングプライス製品の市場投入時・導入期に高価格を設定し、高収益力を確保して、商品が市場で普及していくにつれて商品価格を徐々に下げていく価格設定
→高価格でも価値を認識・購入してもらい開発コストの早期回収を狙う
ペネトレーションプライススキミングプライスとは逆に、市場投入時に低価格を設定(コスト以下またはコストと同等)し、市場シェアを早期に獲得することを狙う価格戦略
コストプラス原価に利益を加算する価格設定で、最もシンプルな価格設定方法
高価格戦略高品質商品を市場に投入し、質に見合う高価格を設定し、利益確保やブランディングを目的とする価格戦略
ダイナミックプライシング市場導入期やシーズンで変わる消費者ニーズや需給バランスに合わせて市場価格を調整する価格戦略
キャプティブプライシング商品価格を抑え、付属品の価格を高く設定することで、消費者の確保、長期的・安定的な利益確保を狙う価格戦略
ラグジュアリー価格戦略宝石、高級時計、高級車などハイブランド商品、ステータスとなる商品の価格を高く設定する価格戦略

実際に価格設定(プライシング)する際には、自社に適した価格戦略の考え方に基づいて、それぞれの商品について具体的な価格を決めていくことになります。

価格設定の考え方

価格戦略の考え方にも種類があるように、具体的な商品の価格設定(プライシング)の考え方にも以下のような種類があるのでご紹介しておきましょう。

【価格設定の考え方】

種類内容メリットデメリット
コストプラス型原価に利益を加算する価格設定消費者が商品を購入すれば確実に利益を得られる消費者が納得する価格になるとは限らない
需要志向型消費者の価格に対する意見をもとに適正価格を見極める方法高価格で商品が売れないリスクを最小限に抑えられる消費者の意見で価格が左右するため利益減少のリスクあり
競争志向型競合他社の価格を参考に同等または低価格にする方法低価格を消費者にアピールできる利益圧迫のリスクあり

最終的には、自社に適した価格戦略の考え方に基づき、プライシングの方法を選択し、商品ごとに価格設定をすることになります。

価格決定の要素

お酒の価格を決定する際に、酒類事業者さまが最低限押さえておくべき要素があります。

ここでは、価格決定の要素について解説します。

コストの確認

お酒を販売するためのコストの確認が必要です。

価格決定をする際に、利益率の算出や損益分岐点を把握する意味でも、コストの確認は最低限必要となってきます。

コストの確認は、商品ごと、単価ごとに明確に行いましょう。また、原価の変動があるごとに、コストの確認をしておくことも重要です。

ターゲットの確認

自社が販売するターゲットとなる「顧客は誰か」について確認しておく必要があります。

一般消費者か料飲店か、のほか、性別・年齢・職業などターゲットとなる顧客の属性によって適切な価格が変動するので、どの価格帯がもっとも受け入れられやすいのか常に検討しておくことが重要です。

競合商品の価格

競合他社の商品の価格を把握しておくことも、価格決定をする際には重要となるでしょう。

競合商品との差別化が図れるのか、競合商品に比べてクオリティや付帯サービスはどうかなど、競合商品の価格と自社商品の価格を比べることで、自社商品の相対的な価値を把握した上で、適正価格を設定することが可能だからです。

低価格実現へのアプローチ

消費者は、商品を購入する際、「価格」を重視しますが、商品を数多く販売するために、できる限り低価格でプライシングしようとすれば、酒類事業者として2つのアプローチが考えられるでしょう。

「できるだけコストを抑えて低価格にする方法」と「売場でお客さまに『お得感』を感じてもらう方法」です。

コストを抑えて低価格にする方法としては、酒類販売事業者さんサイドの努力で、仕入価格や商品管理コストなどを削減することが考えられます。

他方、お客さまに『お得感』を感じてもらう手法にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、『お得感』について考察していきましょう。

なぜ『お得感』を感じるのか?

『お得感』は、学問的には「知覚価値」と呼ばれ、「知覚価値=知覚ベネフィット÷知覚コスト」で算出できます。

「知覚ベネフィット」とは商品の性能や品質、付属物など購入するメリットで、「知覚コスト」とは商品に支払う金額、購入の手間など購入のためのデメリットになります。

つまり、お得感(知覚価値)を感じるのは、デメリット(知覚コスト)が少ないか、メリット(知覚ベネフィット)が多いか、どちらかが原因なのです。

デメリットの抑制

来店したお客さまに『お得感』を感じさせるために、デメリット(知覚コスト)を少なくする方法を検討していきましょう。

たとえば、定価からの「値引き」ということが考えられます。「値引き」を考えるとき、「攻めの作戦」と「守りの作戦」の2つのアプローチがあることを押さえておきましょう。

【値引き表示へのアプローチ】

値引き表示『お得感』を感じさせる具体的な表示の仕方
攻めの作戦をとりたいとき(値引き額が中程度など)は「値引き金額のセット表示」が有効<値引き額が中程度のとき>
実際の値引き額を加えると消費者はより『お得感』を感じる
<値引率が極端に大きい・小さいとき>
実際の値引き額を示さないほうが『お得感』を感じる
守りの作戦をとりたいとき(反動の抑制など)は「値引き率表示」が有効特売(値引き)期間終了後の買い控えなどの反動を抑えたいケースでは、値引きの絶対金額表示よりも値引き率表示のほうが有効

「○%OFF △円」など値引き率と値引き後の金額をセットで表示する「値引き金額のセット表示」の特売表示では、中程度(10~20%)の値引きでは、「○%OFF(■円引き) △円」などのように「実際の値引き額」を加えるほうが、消費者はより『お得感』を感じやすいとされています。

逆に値引き率が極端なとき(5~10%、40~50%)は、実際の値引き額を示さないほうがいいようです。

また、値引きの表示方法で、「絶対金額表示(■円引き)」と「値引き率表示(○%OFF)」の違いについては、値引き率表示をしたほうが、特売後の買い控えなどを抑える効果があります。

メリットの増加

メリット(知覚ベネフィット)を増やすには、どんな作戦があるのでしょうか。

たとえば、商品の性能や品質、付属物などを増やす、つまり「おまけ」を付けたり、内容を増量したりする方法が考えられます。

「おまけ」は売上アップには効果的ですが、「見せ方」が重要です。おまけの見せ方には、「加算型(1本購入で1本無料でおまけ)」と「減算型(3本購入で1本無料)」の2つがあります。

減算型表現のほうが、消費者にとって『お得感』を感じられるでしょう。

「増量」に関しては、商品自体の売上アップに効果的であるものの、増量なしの競合商品からの乗り換えが多く、カテゴリー自体の売上アップには効果的とはいえないようです。

増量の「見せ方」も重要であり、「加算的表示(○g増量)」と「非加算的表示(○%増量)」を比べると、『お得感』には加算的表示が効果的である反面、実質値上げに伴う減量による『損した感』の抑制には「非加算的表示」が効果的だと言われています。

メリット増加とデメリット抑制どちらが有効?

メリット増加とデメリット抑制、消費者はどちらの方法が、『お得感』を感じるのでしょうか。

デメリット抑制の「値引き」とメリット増加の「ポイント付与」を比べると、値引き率やポイント付与率が低い場合には、ポイントのほうが『お得感』が強く、値引き率やポイント付与率が高い場合には差がないという調査結果があります。

お酒の価格をあまり値引けない場合には、ポイント付与などをするほうが効果があるということも押さえておきましょう。

まとめ

ここまで、お酒の価格戦略や価格設定(プライシング)の方法についての考察をご紹介させていただきました。

お酒のプライシングに関しては、店舗小売の酒販店さん、直売所併設の蔵元さん、自社ECサイトでお酒を通販している酒類事業者さんによって、コスト違えば、目標とする利益率やブランディングなど目的によって価格戦略も変わってくるでしょう。

重要なのは、自社に適したマーケティング戦略やブランド戦略、中期経営計画等に基づき、蔵や店の将来を踏まえた長いスパンの中でプライシングをすることです。

アンカーマンでは、これまで酒造業・酒販業に特化したサポートを200社以上の酒類事業者の皆さまに提供してきた実績があります。

補助金サポートだけでなく、売れる仕組みづくりをサポートするマーケティングサポートや、リピーターを増やすためのリブランディングなど各種サポートをご用意して、少しでも酒類事業を運営している皆さまのお役に立てれば幸いです。

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