酒造りの担い手を探せ!酒蔵の人手不足を解消する方法とは?
2022年11月7日更新
「新たな機械を導入しても使いこなす若い人手がいないんだよね…」
「ハローワークで求人を出してもなかなか採用できなくて…」
あなたの蔵でも、人材に関するこんなお悩みありませんか?
伝統ある日本酒文化を次世代、次々世代に承継していくためにも、酒造りの担い手を確保していくことは、酒蔵にとって重要な経営課題の1つです。
しかし、現状では、酒蔵が安定して経営を継続していくための若年層の人材確保ができているかといえば、残念ながら答えはNOです。
どのようにすれば、酒蔵の人材不足を解消していけるのか、課題解決に向けた有効な手段はないものか、蔵元さんにとっては気になるところ。
今回は、酒蔵の人手不足を解消する方法を深掘りしていきましょう。
なぜ酒蔵は人手不足になるの?
酒蔵が人手不足の状況になるのには、いくつかの原因が考えられます。
1つには、少子化を背景とした若年世代の働き手不足。
他の業種も含めて小さいパイを取り合っているような状況です。
働き方改革やワークライフバランスなどを重視した志向が社会に浸透している現代では、若い人たちは、仕事を決定するプロセスの中で、入念に労働条件をチェックする傾向にあります。
このような環境の中、酒造業の仕事が、若い人たちから、「朝早くから寒い職場で働かなければならない」「酒税法を理解していなければ務まらない」「休みもとれず給料も安い」「若い職場仲間が少ない」「非近代的で業務効率化が図られていない」などと思い込まれていることも、若年層の人材が酒造業に集まらない原因の1つでしょう。
かつて、酒造りの労働力として、農業従事者の農作業ができない冬場の出稼ぎに依存していたこともありました。
しかし、テクノロジーの進歩により冬場も農作業ができるようになったこと、農業に大手資本が参入してきて農業も人手が余らなくなってきたこと、インターネットなど副業の形態も多様化してきて出稼ぎの必要性がなくなったことなどから、酒造りの労働力としての出稼ぎ者は期待できなくなったのです。
以上のような背景から、酒蔵での人手不足が恒常化するような現状になっています。
人手不足を解消するには?
酒蔵での人手不足を解消するには、以下のような方法が考えられます。
- 酒蔵の労働環境を見直すこと
- 採用方法を見直すこと
- 外部リソースの活用を検討すること
以下、順に解説していきましょう。
酒蔵の労働環境の見直し
労働条件や職場環境など酒蔵で働く人を取り巻く労働環境全般を見直すことは、人手不足を解消するのに直接的に寄与します。
酒蔵の労働環境の見直しには以下のようなことが考えられます。
- 給与・職務内容・福利厚生など労働条件の見直し
- 業務量の見直し
- 職場環境の見直し
労働条件を見直すポイントとしては、「実際の職務内容と条件面が働く人にとって本当にマッチしているか」「昇給制度や人事評価制度が明確で公平か」「各種手当など本当に必要で自社特有の魅力的な福利厚生は何か」などです。
業務量の見直しのポイントは、人的リソースと業務量を比べて業務過多に陥らないこと。
適正な人的リソースと業務量のバランスチェックを常に行えるようにするためには、生産性と業務効率を可視化して、蔵内共有を図ることが大切です。
職場環境の見直しのポイントは、「人間関係の良好さ」「働きやすさ」など、働く人にとって魅力的な環境の職場であるかどうかです。
あいさつの奨励、整理整頓の遂行、悪口禁止など蔵内改善のルールの徹底はもちろん、変形労働時間制の採用で繁忙期と閑散期の労働時間の調整により休日の確保や長時間労働削減など工夫できることは多いかもしれません。
採用方法の見直し
酒蔵の採用方法の見直しには、次の3つの方向性が考えられます。
- 若年層の酒造りの担い手を確保するために、他の業種に勝てる採用活動を工夫すること
- 採用ミスマッチを回避し、採用できた人材を定着させること。
- 多様な人材を獲得すること
採用方法の工夫としては、ハローワークに求人を出すだけでなく、転職サイトや転職エージェントの活用、求人募集・広告の出し方の見直しなどを検討しましょう。
また、採用ミスマッチをなくして、採用できた人材を定着させるためには、蔵のホームページの「採用ページ」を工夫して、蔵で働くイメージがつくような詳細な情報を掲載したり、「自社に合う人材」を再度深掘りして採用要件を見直したりしましょう。
さらに、女性、障害者、外国人、高齢者などの多様な人材の採用や、「リファラル採用(社員からの紹介制度、紹介者にインセンティブを支給するのが一般的)」の活用などを検討してみるのもおすすめです。
外部リソースの活用
一般的に外部リソースの活用といえば、アウトソーシング(外注)があります。
一定の業務を外部の委託業者にアウトソーシングすることにより、人手不足を解消できるだけでなく、人件費の削減や業務効率化などが期待できます。
酒造業でアウトソーシングといえば、「杜氏集団(杜氏制度)」でしょう。
杜氏集団は、「南部杜氏(岩手)」「越後杜氏(新潟)」「丹波杜氏(兵庫)」の三大杜氏をはじめ、全国に散在し、それぞれ造りの方針(流派)が異なり、「酒屋万流(日本酒の多種多様な個性)」の源となっています。
伝統的な杜氏は、寒造りのシーズンだけ酒蔵に赴き、酒蔵とは独立した形でお酒を造るというものでした。しかし、今では、従来の「短期労働型杜氏」に加えて、「社員型杜氏(杜氏を正社員として雇用)」「蔵元杜氏(オーナー型杜氏、蔵元兼杜氏)」と3つのスタイルに多様化しています。
しかし、杜氏集団にも造り手の高齢化、後継者・人手不足といった課題がある現状は同じです。
杜氏集団の供給地であった農村共同体が崩壊してきたこと、若年層の働き手の供給が追いつかないことなどが原因でしょう。
このような背景を踏まえて、門外不出の技術を他県の蔵人にも開放して認定制度を創ったり、各地で地元杜氏として若手を育成しようという動きが出たり、杜氏制度も新たな局面を迎えています。
他方、酒蔵のコア業務(核となる酒造り業務)以外の業務をアウトソーシングするという選択肢もあるのではないでしょうか。
たとえば、蔵の決算申告などを税理士さんにお願いするのと同様に、補助金の申請業務を申請代行業者に依頼したり、採用活動などを専門会社に相談したりすることで人手不足を解消することが可能です。
まとめ
ここまで、酒蔵の人手不足を解消する方法についてご紹介させていただきました。
「人手不足を解消するといっても具体的施策がなかなか思いつかないんだよね…」
「お酒造りってこういうものなんじゃないの?」
「人のことは、難しいねぇ…」
おいしいお酒を造るためにはいくらでも努力できるのに、後継者や蔵人など、お酒造りの担い手の話になると、ついつい腰が引けてしまいますよねぇ…
人がいなければおいしいお酒が造れない…担い手を確保していかなければ、お酒造りの文化を後世に残していくことも難しい…
酒造業だけでなく、どの業界でも頭を悩ませている人手不足の課題ではありますが、今回の記事でご紹介したように、課題解決の方法はあるんです!
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