炭酸水から学ぶリブランディング|商品コンセプトは顧客価値から
「どうしたら売れるお酒が造れるのか」
「ファンを増やして選ばれる『ブランド』『1本』になりたい」
酒造業や酒販業を営む経営者なら誰しもが日々考えているのではないでしょうか。
ブランドを再活性化させる「リブランディング」や、誰のためにどんなメリットのあるどんな商品を作り出すのかという「商品コンセプト」など、酒類事業者の課題は、業界や商品が変わっても同じです。
今回は、リブランディングや商品コンセプトの作り方を、とある「炭酸水」の事例から学んでいくことにしましょう。
炭酸水ってどれも同じじゃない?への挑戦
近年、無糖炭酸水市場が活性化しています。各社ともさまざまな商品を市場へ投入しています。本来、割り材としての使用がメインだったはずの無糖炭酸水の市場競争が、なぜこれほど激化しているのでしょうか。
他方、消費者としては、ふと「炭酸水ってどれも同じじゃない?」と思ってしまうことも…
ここでは、「炭酸水ってどれも同じじゃない?」へ挑戦したサントリー「THE STRONG 天然水スパークリング」にフォーカスします。
「バキバキ天然水」現る
サントリー「THE STRONG 天然水スパークリング」は、「バキバキ強刺激の天然水(無糖強炭酸水)」=「バキバキ天然水」のキャッチコピーで、2021年6月29日に発売されました。
「刺激なき人生はなき」というキャッチコピーと、元サッカー日本代表「本田圭佑氏」をCMキャラクターとして起用し、「五感で感じる強刺激」とい商品コンセプトを全面に押し出した戦略により、成長カテゴリーの炭酸水市場で一定の成功を収めています。
中身で大差を出すのは難しい
炭酸水市場が好調の要因は、コロナ禍で家飲み需要が増加し、割り材用途としての利用が増えたということもありますが、巣ごもりでのストレス解消ツールとしての飲用や、外出自粛による運動不足で健康志向の高まりなどにより無糖の炭酸水が求められるようになったことも影響しています。
いつしか、各社とも差別化を図る方向は、充填するガス圧のレベルを上げる強炭酸の度合いを競うことになっていきました。
とはいえ、炭酸水は水と炭酸だけなので、開発者側でも、「中身で大差を出すのは難しい」ということから、レモンなどのフレーバーを加えるなどの工夫もある中、閉塞感は否めない状況まで来ていたことは確かなようです。
飲み物ではなくリフレッシュツール
サントリーの開発チームは、プレーン炭酸水の愛飲者からアンケートを採る中で、消費者は「炭酸水に味(フレーバー)はいらない」「炭酸水にはおいしさでなく刺激を求めている」ということに気づきます。
「炭酸水ってどれも同じじゃない?」へ挑戦するために、どのように商品コンセプトを作っていくかといった場面で、消費者は炭酸水を「飲み物ではなくリフレッシュツール」と考えているというところからスタートしようと考えたのです。
五感に訴える強刺激
「炭酸水はリフレッシュツール」からスタートして、中身は「天然水」ブランドに「強炭酸」を加えた路線を維持しつつも、競合との差別化を図るため、五感、特に「視覚」と「触覚」に訴求するための「バキバキボトル(バキバキ形状のボトル)」と、「聴覚」に訴求するための「爽快な開栓音」を採用したのです。
強炭酸の可視化を意識した商品コンセプトを中身ではなくボトルやキャップといった容器で表現した点、「かっこいい炭酸水」を訴求するためのスタイリッシュなプロモーションを展開した点が功を奏し、メインユーザーの30代後半~40代だけでなく、20代のユーザーを獲得できました。
炭酸水から学ぶリブランディングの重要性
無糖炭酸水市場において、強炭酸のレベルや価格競争による差別化に閉塞感が出ていた頃、「THE STRONG 天然水スパークリング」の五感に訴えるという商品コンセプトやマーケティング戦略の変更が、新たなファン層を増やし他社との差別化に成功した要因です。
炭酸水のケースのように、競合との差別化ポイントが希薄化し、価格競争が起こってしまうようなケースでは、商品・サービスや既存のブランドを再構築する「リブランディング」を行うことで、商品・サービスやブランドの魅力を蘇らせ、消費者に訴求することができるようになります。
リブランディングは、ブランドが新鮮さを失って消費者に飽きられてしまったケースや、時代や社会が変化し、消費者の価値観が変わっていく中で、訴求のポイントや方法がずれてきたケースなどにも有効です。
商品コンセプトの設定の大切さ
炭酸水の事例からもわかるように、「どんな商品を」「誰に向けて」「どんなニーズに応えるように」訴求していくのかを設定することが大切です。
これを「商品コンセプト」といい、たとえば、酒蔵さんが「売れるお酒を造りたい」と考えたとき、「売れるためにはどんなお酒を造るのか」ということが、「商品コンセプト」を設定するということになります。
商品コンセプトは、商品開発のスタートであり、リブランディングを実施する際にも重要です。
商品コンセプトの作り方
商品コンセプトを作る上では、さまざまなポイントを押さえて、一定のプロセスに従って作り上げることが重要です。
ここでは、具体的な商品コンセプトの作り方について解説します。
顧客価値からスタート
商品コンセプトを作るとき、どうしても、開発側からすれば、「こんなお酒を造りたい」「他の蔵(店)と差別化を図りたい」などの想いが、先に来てしまいがちです。
しかし、重要なのは、開発者視点を顧客価値に変換することです。つまり、「どんなお酒を造るか(売るか)」を「お客さまにとってどんな風に喜んでもらえるお酒にできるか」という視点に変えていくこと。
商品コンセプトは、顧客価値からスタートしないと成功が望めないのです。
必要な3つの要素
商品コンセプトを作る上で、欠かせない3つの要素があります。
「誰に」「何を」「どのように」の3つです。
- 「誰に」=ターゲット=どんなお客さまに向けて販売するのか
- 「何を」=どんなニーズを満たせるのか、どんなメリット(ベネフィット)があるのか
- 「どのように」=どんな方法・技術で顧客価値を実現するのか
これら3つの要素が、市場の中で価値を見出せれば売れる商品になります。
コンセプトシートの作成
商品コンセプトを具体的なプロセスの中で作成していく場合、「コンセプトシート」を作成することをおすすめします。
以下は、コンセプトシートの一例です。炭酸水の事例を当てはめてみることにしましょう。
コンセプト | 五感に訴える強刺激の炭酸水 | ||
ベースライン | プログレス | ||
ターゲット&シーン | 割り材&直飲み プレーン炭酸水 | 認識変化 | リフレッシュツール 刺激が重要 |
インサイト | (市場規模) | RTB | 五感に訴求 |
(競合)強炭酸、低価格 | ベネフィット | 強刺激の可視化 気分転換できる |
コンセプトシートを作成するときのポイントは、顧客の価値を考える際に、現状として、どのような状況にある人(ベースライン)に対して、どんな進歩が見込めるものを提供できるのか(プログレス)ということを考えてみることです。
コンセプトシートは、このように作成すべきというものはありませんので、今回ご紹介した事例も絶対的なものではありません。
あなたの蔵や店に適したコンセプトシートを作成しましょう。
まとめ
ここまで、リブランディングや商品コンセプトの作り方について、サントリー「THE STRONG 天然水スパークリング」という「炭酸水」の事例からご紹介させていただきました。
かつてのように、「造れば売れる」という時代は終焉を迎え、「売れるお酒を造る」には、リブランディングを行ったり、商品コンセプトを明確にしたりといったことが重要になっています。
むろん、「お酒を造る」というだけでなく、「お酒を売る」というフェーズでも、同様にリブランディングが必要なケースもあるでしょう。
アンカーマンでは、酒造業・酒販業の方に向けて「リブランディングサポート」をご用意しています。
消費者に選ばれる『1本』『ブランド』『酒蔵』『酒屋』を目的にした戦略の構築などのお手伝いが可能です。
また、「売れる仕組みづくり」などの「マーケティングサポート」もあります。
「売上アップを図りたい」
「売れるお酒を造りたい」
「リピート客を増やしたい」
などのご要望があれば、アンカーマンまでお気軽にご連絡ください。
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