賃上げ誓約書の作成方法から、賃上げを徹底解説!

※最終更新日:2022年6月27日

ものづくり補助金の賃上げ要件が必須になって、早くも2年が経とうとしています。
その間、アンカーマンでは、50蔵以上の申請をサポートしてきました。

ですが、「賃上げ要件」を一度で正しく作成できた蔵元さんは、わずか数社に留まります。
税理士さんに聞いても、ベテラン経理の方であっても、なかなかすぐに理解することが難しいのが、「賃上げ要件」というものです。

人は、よくわからないものに対して、恐怖を感じます。
「賃上げ、怖い」という方にとっては、「賃上げ」について、まずは、正しい理解を深め、そのうえで、対策を練っていきましょう!

賃上げ要件とは?

※このコラムでは、令和元年度補正・令和三年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金11次締切における、賃上げ要件に基づいて解説します。
他補助金の賃上げ要件や、公募回の異なるものづくり補助金の場合、要件詳細が異なる場合がありますので、必ず、公募要項を熟読のうえ、不明点は事務局へ問い合わせる等のご対応をお願いいたします。

ものづくり補助金11次締切の公募要項内≪4. 補助対象事業の要件≫、および、ものづくり補助金総合サイトが公開する「よくある質問」に記載された「賃上げ」について、要点を抜粋します。

≪4. 補助対象事業の要件≫
○以下の要件を全て満たす3~5年の事業計画を策定していること。
・事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加。(被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合は、年率平均1%以上増加)
・事業計画期間において、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にする。
・事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加。

※付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものをいいます。
※給与支給総額とは、全従業員(非常勤を含む)及び役員に支払った給与等(給料、賃金、賞与及び役員報酬等は含み、福利厚生費、法定福利費や退職金は除く)をいいます。

11次締切ではこれまでの「通常枠」に加え、「回復型賃上げ・雇用拡大枠」「デジタル枠」「グリーン枠」「グローバル展開型」がありますが、すべて賃上げが要件となっています。

いずれの枠でも、申請時点の直近月の事業場内最低賃金及び直近決算における給与支給総額が明記され、引き上げの旨が書かれた「賃金引き上げの誓約書」を提出します。また、賃金引上げ幅の大きい事業者は、加点措置が講じられます。 

具体的には、以下のいずれかを満たす事業者に対して、従業員数の規模に応じた加点がされます。

・事業計画期間において、給与支給総額を年率平均2%以上増加させ、かつ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+60円以上の水準にする計画を有し、事務局に誓約書を提出している事業者

・事業計画期間において、給与支給総額を年率平均3%以上増加させ、かつ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+90円以上の水準にする計画を有し、事務局に誓約書を提出している事業者

なお、新しい枠のなかでも特に賃上げと密接に結びついているのが、「回復型賃上げ・雇用拡大枠」です。この枠では、「前年度の事業年度の課税所得がゼロである」「常時使用する従業員がいる」「補助事業を完了した事業年度の翌年度の3月末時点において、その時点での給与支給総額、事業場内最低賃金の増加目標を達成する」という3つを満たさなくてはなりません。

また、従業員に対する賃上げ等を前提としているため、事業場内最低賃金の増加目標が未達の場合または補助事業を完了した事業年度の翌年度の3月末時点において、給与支給総額又は事業場内最低賃金の増加目標のいずれか一方でも達成できていない場合には、補助金交付額の全額の返還を求められます。

「よくある質問」
Q7.どういった雇用形態の人も地域別最低賃金+30円を満たしている必要がありますか?
A7.満たしている必要があります。ただし、都道府県労働局長から最低賃金の減額特例の許可を受けている労働者は地域別最低賃金+30円を満たしている必要はありません。

Q8.給与支給総額に役員報酬は含まれますか?
A8.含まれます。

Q9.給与支給総額にはどんな経費が含まれますか?
A9.従業員や役員に支払う給料、賃金、賞与のほか、各種手当(残業手当、休日出勤手当、職務手当、地域手当、家族(扶養)手当、住宅手当等)といった給与所得とされるものが含まれます。ただし、退職手当など、給与所得とされないものは含まれません。福利厚生費も含まれません。

Q12.「事業計画終了時点において、給与支給総額の年率平均1.5%以上増加目標が達成できていない場合は、導入した設備等の簿価又は時価のいずれか低い方の額のうち補助金額に対応する分(残存簿価等×補助金額/実際の購入金額)の返還を求めます(P12)」とありますが、この「事業計画終了時点」とは、いつのことを指しているのでしょうか?
A12.「事業計画終了時点」とは、3年の事業計画であれば3年後、5年の事業計画であれば5年後を指します。3年の事業計画の場合、3年後の給与支給総額が基準年度の給与支給総額と比較して4.5%(年率平均1.5%×3)以上増加していれば、仮に2年後の給与支給総額が基準年度の給与支給総額と比較して3.0%(年率平均1.5%×2)以上増加していなくても、返還を求めません。

Q16.事業場内最低賃金の「事業場」とは、具体的にどこを指すものでしょうか?
A16.応募申請書に記載された補助事業の実施場所となります。事業場内最低賃金とは、補助事業実施場所で働く従業員に適用する時給額(月給制などの場合は時給換算した額)のうち最も低い額となります。また、地域別最低賃金とは、補助事業実施場所が所在する都道府県に適用される最低賃金となります。

Q23.賃金引き上げによる加点を希望する場合、どのような書類を提出すればよいですか?
A23.「様式1 従業員への賃金引上げ計画の誓約書」に、給与支給総額を年率平均何%増加させ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+何円の水準とする計画であるかを記載して、添付してください。なお、被用者保険の適用拡大の場合でが51名以上のときは、特定適用事業所該当通知書を添付してください。また、従業員数が20名以下の場合は、申請入力にあたり労働者名簿を登録(応募申請システムにおいて入力)してください。応募申請時点では21名以上で、従業員数の確認資料における期末の従業員数は20名以下となっているようなケースでは、21名以上であることが確認できる労働者名簿(様式は任意)を添付してください。従業員数の確認資料における期末の従業員数においても21名以上であれば添付不要です。

「もうこれ、読んでるだけで胃が痛いです…」という方も少なくないことでしょう。

ですが、これは必須要件であり、必要書類のうちのひとつに過ぎません。
補助金有効活用のためにはこれを理解し、「賃上げ誓約書」を作成しなければならないのです。
(そのために、アンカーマンがいますので、頼ってくださいね)

「賃上げ誓約書」の作成方法

ものづくり補助金公式サイトより、Excelのひな型をダウンロードし、セルに必要事項を入力していきます。

1 当社は、直近月において事業場内最低賃金が法令上の地域別最低賃金1,041円以上
  であることを宣言します。
 ・直近月(当月又は前月)の事業場内最低賃金           1,050円

→こちらは、ほとんどの方が迷わず作成されていますので、割愛します。

2 当社は、 令和4年10月 ~ 令和7年9月 の事業計画期間において、
  給与支給総額を年率平均 1.5%以上増加させるとともに、事業場内最低賃金を
  毎年3月時点に地域別最低賃金 +30円以上とすることを表明いたします。

→事業計画期間は、「基準年度」の翌月から開始し、3~5年のいずれかに設定します。
 こちらは、「会社全体の事業計画」の事業計画期間と同じ年数にする必要があります。

「基準年度」とは、申請締切日から6か月前の日以降の決算年度です。

例えば、申請締切日が、3/1の公募回に申請する場合で、前回の決算が9月の事業者の場合は、
前回決算が申請締切日から6ヵ月以内ですので、前回の決算の確定値を用います。
前回決算が4月の事業者の場合は、次に迎える4月の決算の見込み値を算出する必要があります。

注目!「給与支給総額」の算出方法

・基準年度     令和4年9月期 (※)の給与支給総額  40,000,000円
・事業計画終了時  令和7年9月期 の給与支給総額     41,800,000円 (4.5%増加 )

「賃上げ表明書」内のこちらの部分の算出方法です。

①前回決算の実績値での算出の仕方

「よくある質問」を参照すると、給与支給総額には「従業員や役員に支払う給料、賃金、賞与のほか、各種手当(残業手当、休日出勤手当、職務手当、地域手当、家族(扶養)手当、住宅手当等)といった給与所得とされるものが含まれます。ただし、退職手当など、給与所得とされないものは含まれません。福利厚生費も含まれません。」と記載があります。

決算書内の「お給料」に該当する項目を、すべて足し算します。

役員報酬 **円 + 給与手当 **円 + 賞与 **円 + 雑給 **円・・・

忘れがちなのが、「製造原価報告書」内「労務費」の、「賃金給与」です。「製造」と「詰め」で、製造原価報告書が分かれている場合もありますので、「販管費内訳書」内の項目だけでなく、「給与」に関する項目が他にもないか、決算書を隅まで確認しましょう。

また、「法定福利費」「賄費」などに関しては、いわゆる給与のように支払っている場合は、加算する必要があります。「外注費」は加算の必要はありません。

上記で算出した額が、「基準年度」における「給与支給総額」となります。

②翌年決算の見込み値の場合の算出の仕方

・前回決算値の分を算出し、翌年は増えそうなのか?減りそうなのか?で算出する
・次回決算が間近であれば、試算表などから、着地の数値を予測し、算出する

などの方法が考えられますが、いずれにしても、公募申請時に見込み値で表明した給与支給総額であっても、期が締まり、決算が確定した後には、確定値での給与支給総額の提出を求められます。
その際に、概算より大きく上振れてしまった、といったことが起こらないように、決算書の作成を依頼している税理士や会計士と連携をとるのがおすすめです。

上記で計算できた給与支給総額が4000万円の場合、下記のように記載します。

・基準年度   令和4年9月期 (※)の給与支給総額 40,000,000円

給与支給総額が算出できたら、「賃上げ後」の給与支給総額を算出します。

事業計画が3年の場合、年率平均1.5%×3年ですので、基準年度の給与支給総額×1.045で算出できます。

事業計画が5年の場合は、年率平均1.5%×5年ですので、基準年度の給与支給総額×1.075で算出できます。

(いずれも、複利ではなく単利での計算です)

基準年度の給与支給総額が、4000万円で、1.5%の賃上げの場合は

4000万 × 1.045 = 4180万円 となります。

下記のように記載します。

・事業計画終了時 令和7年9月期 の給与支給総額 41,800,000円 (4.5%増加 )

具体的な数値が算出できたら、給与の増額分についての取り扱いを考えます。

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