ビアテイスターとは?資格を取得するメリットや、試験合格のための勉強方法を解説

ビールに関する資格には、さまざまなバリエーションがあります。

ビールを取り扱っている酒屋さんの経営者やスタッフがビールに関する資格を保有していることで、経営上さまざまなメリットがあるので、気になっている方も多いのではないでしょうか。

中でも、最近注目されているのが「ビアテイスター」という資格です。

今回は、ビアテイスターという資格に関して、資格を取得するメリットや、資格を取得するために必要な基礎知識、試験合格のための勉強方法、試験の概要などを解説します。

また、ビアテイスター資格と類似した酒類の資格についてもご紹介しましょう。

ビアテイスターとは

「ビアテイスター」は、クラフトビア・アソシエーション(日本地ビール協会、CBA)が主催する「テイスティングによってビールの出来の良し悪しや劣化の進行状態を客観的に鑑定し、その理由を理論的に説明できる人」に対して与えられる資格です。

「ビアテイスター認定セミナー(講義)」を受講して、指定の認定試験に合格すると「ビアテイスター」の資格が取得できます。

ビアテイスター資格を取得するメリット

ビアテイスター資格を取得すると、次のようなメリットがあります。

【ビアテイスター資格を取得するメリット】

  • お客さまに説得力のある提案ができる
  • ビールのよりおいしい味わい方を説明できる
  • 顧客満足度アップ及びリピーター増加により、売上アップが期待できる
  • ビールの劣化を判別し品質維持をサポートできる

以下、順に解説していきましょう。

お客さまに説得力のある提案ができる

ビアテイスターの資格を取得すれば、お客さまに提案する際、説得力が増します。人は、資格を持っている人の話に納得感を抱きやすいといった傾向があるからです。

ビアテイスターの資格を取得することにより、ビールに関する基礎知識を蓄えられるだけでなく、ビールの出来の良し悪しや劣化の進行状態を客観的に鑑定し、理由を理論的に説明できるようになるので、知識に裏付けされた提案ができます。

ビールのよりおいしい味わい方を説明できる

ビアテイスターの資格を取得するメリットの1つに、お客さまに商品説明する際に、どのようにしたらおいしく味わえるかなどを説明できるということがあります。

お客さまは、どんなビールなのか、どんな料理とのペアリングが合うのか、温度管理はどうしたらいいかなど、おいしい味わい方の説明を求めているのです。

顧客満足度アップ及びリピーター増加により、売上アップが期待できる

ビアテイスターとして、説得力のある提案ができたり、おいしい味わい方を説明できたりすることにより、来店したお客さまの顧客満足度がアップします。

顧客満足度がアップすることにより、「あの店に行けば自分に合った商品を選んでもらえる」「ビールを買うならあの店に行こう」といったふうに、リピーターも増加するでしょう。

リピーターが増加することにより、売上アップや安定した経営も期待できます。

ビールの劣化を判別し品質維持をサポートできる

酒販店の経営者やスタッフがビアテイスターの資格を取得することにより、商品の劣化を判別し、品質維持をサポートできるようになります。

定期的に商品をテイスティングすることにより、ビールの出来の良し悪しや劣化の進行状態を客観的に鑑定することができるので、品質管理の点でも役立つ資格です。

ビアテイスター資格を取得するために必要な基礎知識

ビアテイスター資格を取得するために必要な基礎知識としては、以下のようなものがあります。

【ビアテイスター資格を取得するために必要な基礎知識】

  • ビアテイスターの役割
  • ビールの基礎知識(ビールの色度数、アルコール度数、モルト・アロマ、ホップ・アロマ、エステル・アロマ、苦味、甘味、酸味、ボディなど)
  • 官能評価の方法と手順
  • オフフレーバー(あってはならない匂いと味)
  • 主要なビアスタイルのアウトライン(ドイツ・チェコ・オーストリア発祥、イギリス・アイルランド発祥、ベルギー発祥、アメリカ発祥)「ビアスタイル・ガイドライン」~「色と泡もち」「アロマとフレーバー」、「バランスとアフターテイスト」、「鮮度と状態」、「ボディとマウスフィール」などがビアスタイルごとにどのように違うかを鼻と舌で体験

ビアテイスターの役割について学習するほか、ビールの基礎知識一般を学び、さらに、鑑定評価するために官能評価の方法と手順、オフフレーバー(あってはならない匂いと味)などの基礎知識も必要となります。

なんといっても特徴的なのは、世界各地域の主要なビアスタイルのアウトラインを学習した上で、実際に数十種類ものビールの試飲などテイスティングを体験することです。

ビアテイスター試験に合格するためのおすすめの勉強方法

ここでは、ビアテイスター試験に合格するための下記のおすすめの勉強方法についてご紹介します。

  • 認定セミナーの受講をする
  • 認定セミナーと試験の日程を把握する
  • 過去問を解く

認定セミナーの受講をする

ます、押さえておいていただきたいのが、ビアテイスター試験に合格したければ、独学ではなく、必ず認定セミナーを受講しましょう。

ビアテイスター試験は、認定セミナーの受講後に実施され、希望者には講義を受講せずに認定試験のみ受けることも認められています。

だからといって、独学で認定試験を受けても、試験はセミナーの内容から出題されるので、1回で合格することはできないと考えたほうがよいでしょう。

認定セミナーと試験の日程を把握する

認定セミナーと試験は丸1日かかります。

認定セミナーは、午前・午後と講義があり、講義終了後に認定試験を行い、夕方にはすべて終了です。

1日は長いかもしれませんが、逆に考えると1日がんばれば、酒販店の事業に有益な資格が取得できると考えれば頑張れますよね。

過去問を解く

資格試験で、合格のために1番大切なことは、効率的に学習することです。そのためには、どんな試験が出題されるのかを事前にわかっておいたほうがよいでしょう。

そのためには、日本地ビール協会公式ホームページに掲載されているビアテイスター認定試験の例題の一部(過去問)を解いてみることをおすすめします。

出題の形式・傾向を把握できるだけでなく、時間配分などの練習にもなるからです。

ビアテイスター試験の難易度

ここでは、ビアテイスター試験の難易度に関して、下記事項について見ていくことにしましょう。

  • 試験範囲・出題形式
  • 合格基準
  • 合格率

試験範囲・出題形式

ビアテイスターの認定試験では、筆記試験55問に加え、官能評価(テイスティング)試験が6問実施されます。

試験時間は45分間です。

試験範囲は、すべてビアテイスター認定セミナーで学習する内容となっていますので、まじめに受講していれば問題なく合格できるでしょう。

筆記試験の出題範囲は、ビールの色度数・アルコール度数・原料や醸造による香り・味・コク・オフフレーバー(あってはならない匂いと味)などビールの基礎知識などとなっています。

他方、官能評価試験の出題範囲は、約40種類のビールを試飲しながら、ビアスタイルによって、主要なビアスタイルの概要(色と泡もち、香りと風味、ビール全体のバランスと後味、鮮度と状態、コクと口当たりなど)がどのように違ってくるのかを体験する中から出題されます。

官能評価試験の出題形式は、利き酒に近いスタイルで、出題されたビールが該当するビアスタイル等を判定する形式です。

合格基準

ビアテイスター試験の合格基準は、筆記試験と官能評価試験ともに75点以上が合格ラインとなっています。

それほど難易度は高くなく、認定セミナーをしっかりと聞いて、テイスティングの実技なども難なくこなせば問題なく合格できる試験です。

合格率

資格ガイドによると、ビアテイスター試験の合格率は約80%です。

試験結果の通知は、試験後2〜3週間以内に通知され、合格すると認定証が発行されます。

ただし、いずれかの試験が75点未満だと不合格になるので注意しましょう。仮に不合格になったとしても、認定試験のみ再試験が受けられる制度もあります。

ビアテイスター試験の申し込み方法や試験会場

ここでは、ビアテイスター試験に関する下記事項についてご紹介します。

  • 費用
  • 試験会場
  • 申込み方法
  • 日程

費用

ビアテイスター試験にかかる費用に関しては、概ね以下のとおりです。

【ビアテイスター試験にかかる費用】

会員の別内容費用
新会員新規に研究会員で入会し、受講・受験する場合39,000円
新規に個人正会員で入会し、受講・受験する場合55,000円
既会員受講料・認定試験料17,000円
認定試験のみ5,000円
シニア・ビアテイスター受講17,000円
非会員受講料28,000円

上記の金額には、すべて「合格時の認定料・認定書」を含んだ金額となっています。また、合格発表後のビアテイスター資格呼称認定バッジ代に関しては、別途3,000円(送料別)が必要です。

「シニア・ビアテイスター」とは、ビアテイスターの上位資格で、ビアテイスター取得後3年以上経過した方が、任意で受けられる認定試験に合格すれば取得可能となっています。

試験会場

ビアテイスターセミナーの受講場所(試験会場)は、日程により異なりますが、東京、札幌、大阪、埼玉など各主要都市で実施されています。

その都度、日程や会場が変わるので、受講希望の方は、事前にクラフトビア・アソシエーション(日本地ビール協会、CBA)のホームページで確認しておくことをおすすめします。

申込み方法

主催しているクラフトビア・アソシエーション(日本地ビール協会、CBA)のホームページよりオンラインにて申し込みが可能です。

オンライン申し込みできない場合には、所定の≪入会申込書及び受講・受験申込書≫を印刷し、FAXにて申し込むこともできます。

日程

ビアテイスターセミナー(認定試験含む)は、毎月開催されています。

ビアテイスターセミナー(認定試験含む)の日程は公式ホームページで確認してください。

ビアテイスター資格と類似した酒類の資格

ビアテイスター資格と類似した酒類の資格には、主に以下のような資格や検定があります。

【ビアテイスター資格と類似した酒類の資格】

  • ビアコーディネイター
  • 日本ビール検定
  • ビアアドバイザー
  • 唎酒師

以下、順に解説していきます。

ビアコーディネイター

ビアコーディネイター」は、「適切なビールと料理の組み合わせを指導、アドバイスができる人」に付与され、クラフトビア・アソシエーション(日本地ビール協会、CBA)が主催する資格です。

「ビアコーディネイター」の資格を取得するには、「ビアコーディネィター講習会(ビールと料理のマリアージュ講習会)」を受講して、指定の認定試験に合格する必要があります。

なお、「ビアコーディネイター」の資格を取得するために、ビールと料理のマリアージュという観点から、ビールと料理を合わせて「フレーバーの相互作用(シナジー効果)」を引き出し「第3のフレーバー」を作り出すといったことを学習するので、酒販店のお客さまに、ビールと相性のいい料理などを提案することが可能です。

日本ビール検定

日本ビール検定」は、通称「びあけん」と呼ばれ、日本のビール文化の発展や普及を目的に実施されており、一般社団法人 日本ビール文化研究会が主催している検定です。

検定は難易度順に1級、2級、3級の3段階となっており、ビールの歴史や製法、原料などの基礎から、より専門的な知識まで幅広い分野の検定となっています。

ビアアドバイザー

ビアアドバイザー」とは、ビールに関する正しい知識・サービスノウハウを有し、お客さまへ提供するビールをコーディネートやアドバイスできる資格で、NPO法人FBO(料飲専門家団体連合会)が主催しています。

「ビアアドバイザー」を取得するには、「ビアアドバイザー通信コース(3〜5ヶ月間・自宅で受講可能)」の受講、添削課題(3回)の提出が必要です。

唎酒師

「ビアテイスター」が、ビールの基礎知識を有し、テイスティングによってビールの出来の良し悪しや劣化の進行状態を客観的に鑑定し、理由を理論的に説明できる資格だとすると、「唎酒師」は、酒類全般の基礎知識やもてなしの心と技術、提供方法を身に付け、飲み手に「日本酒」をおいしく飲んでいただくための資格です。

「ビアテイスター」が、ビールのテイスティングのプロだとすると、「唎酒師」は、日本酒のソムリエであり、日本酒の提供・販売のプロと言えるでしょう。

「ビアテイスター」「唎酒師」などの資格を取得すれば、酒販店で扱うビールや日本酒の提案に説得力を持たせることが可能です。

まとめ

ここまで、ビアテイスターという資格に関して、資格を取得するメリットや、資格を取得するために必要な基礎知識、試験合格のための勉強方法、試験の概要などをご紹介させていただきました。

酒販店を経営するにあたって、経営者やスタッフが商品に関する資格を保有していることでさまざまなメリットがあることをおわかりいただけたのではないでしょうか。

ご紹介した以外にも、さまざまな資格や検定があるので、自身に合った資格や検定の保有を検討してみるのもいいかもしれませんね。

仮に資格や検定が取得できなかったとしても、取得するために学習したことで身につく知識は、酒販店事業に活かされるはずです。

簡単に受講でき、資格取得できるものもありますので、ぜひチャレンジしてみてください。

アンカーマンでは、酒販店さまの売上アップのためのマーケティング戦略の策定など、マーケティングサポートを実施しています。

また、選ばれるお店・選ばれる1本を実現させるためのリブランディングサポートもご用意しているので、「売上アップを図りたい」「リブランディングしたい」などのご希望があればお気軽にアンカーマンまでご連絡ください。

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