酒造業特化の補助金申請代行コンサルタントが、「採択を勝ち取る補助金申請のリアル」を、初心者にもわかりやすく徹底解説!
※2023年2月13日更新
「補助金」と聞いて、事業者の皆さまはどのようなイメージをお持ちでしょうか。
「ハードルが高くて自社(自身)には関係ない」「もらえれば助かる」「種類が多く要件や手続きが複雑でよくわからない」などのお声をよく耳にします。
しかし、補助金は、補助金事業者から公表されている「申請するための概要(公募要項)」を把握して、きちんとした手続きを踏めば、受給できる可能性のある資金です。
そのためには、補助金の基本知識を把握しておく必要があります。
そこで今回は、補助金について、補助金の概念や助成金・給付金とのちがい、メリットなどをご紹介するとともに、補助金を獲得する上で押さえておかなければならない専門用語や重要な手続きなどの基本知識について解説します。
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- 1. 1.補助金とは?
- 1.1. 1-1 補助金とは
- 1.2. 1-2 補助金・助成金・給付金のちがい
- 1.3. 1-3 補助金のメリット
- 1.3.1. ★事業資金の支援を受けることで経済的負担を軽減できる
- 1.3.2. ★融資と異なり返済不要である
- 1.3.3. ★事業者の信用が向上する
- 1.3.4. ★事業者として成長できる手段やきっかけになる
- 1.3.5. ★事業計画を客観視できる
- 1.3.6. ★適用範囲が広い・補助額が多い
- 1.3.7. ★種類が豊富である
- 2. 2.補助金の基本知識
- 2.1. 2-1 「公募要項」と「補助対象経費」
- 2.2. 2-2 「公募期間」と「補助事業実施期間」
- 2.3. 2-3 「補助率」と「最大補助額」
- 2.4. 2-4 補助率「定額」とは
- 2.5. 2-5 遡及措置とは
- 2.6. 2-6 「必須要件」と「加点要件」
- 2.7. 2-7 最近よく聞く「賃上げ要件」とは
- 2.8. 2-8 「交付申請」と「交付決定」
- 2.9. 2-9 「実績報告」と「事業化状況報告」
- 3. 2.まとめ
- 4. 3.補助金申請を実現するための具体的な流れ
- 4.1. 3-1 補助金を選択する
- 4.1.1. 3-1-1 毎日の情報収集を欠かさない
- 4.1.2. 3-1-2 常に申請締切から逆算したスケジューリングをする
- 4.1.3. 3-1-3 補助金の要件を確認する
- 4.1.4. 3-1-4 加点要件をどこまで積み上げて申請するか決める
- 4.1.5. 3-1-5 不明点を事務局へ問合せ、申請可否の確証を得る
- 4.2. 3-2 補助金申請の準備に取りかかる
- 4.2.1. 3-2-1 補助対象経費の予算組みと見積書の取得
- 4.2.2. 3-2-2 必要書類の準備
- 4.2.3. 3-2-3 事業計画書の作成
- 4.2.4. 3-2-4 加点資料の作成
- 4.2.5. 3-2-5 申請手続き
- 5. 3章まとめ
- 6. 4.補助金申請代行を依頼する場合
- 7. まとめ
1.補助金とは?
事業を行っている事業者であれば、「補助金」という言葉を一度はどこかで耳にしたことがあるのではないでしょうか。
補助金は、事業者にとって、事業を継続・発展させる上でとても有益な制度です。
この機会に、補助金のいろはの”い”に触れてみてください。
ここでは、「補助金とは」「補助金・助成金・給付金のちがい」「補助金のメリット」などを解説します。
1-1 補助金とは
補助金制度とは、国や地方自治体または民間団体が、決められた予算の範囲内で、公益性のある目的や政策を実現するために、特定の事務や事業を補助し、当該事務や事業を実施する者(自治体、特殊法人、企業や個人事業主などの民間団体、独立行政法人など)に対して「補助金」と呼ばれる応援・サポートするための給付金を交付する支援制度です。
補助金制度は、制度を運営する主体によってさまざまな趣旨や目的があり、対象分野も幅広いのが特徴です。
補助金は、公共の政策のために支援される資金なので、補助金を受給した企業や個人事業主(事業者)は、補助金を自由に使ってよいわけではなく、定められた目的以外には使うことができません。
また、補助金は、補助対象経費(事業資金)の全部または一部が支援され、原則として、融資などと異なり返済する必要がないので、事業を営む事業者にとっては助かる制度ですが、政策に沿った事業に合致しているか申請要件などに関して厳しい審査があります。
さらに、補助金の原資である予算には限りがあり、公募期間も決まっていて、期限内に応募しても、予算の上限に達すれば、先着順などにより受給できないケースも考えられます。
補助金は、申請すれば必ず受給できるというものではないことを理解しておきましょう。
他方、企業や個人事業主が補助金を受給するまでには、交付申請して補助金の交付決定を受けた後に、費用を自身で立て替えて(先払い)対象事業を実施し、報告・審査など一定の手続きが必要となります。
すなわち、補助金は原則として「後払い」ということです。
他方、補助金制度は、事業者にとって有益な制度である反面、「申請すれば必ずもらえる資金」と勘違いをした事業主が、不正に受給したり、決められた目的以外に使用したりすると、補助金適正化法(補助金の適正な活用を定めた法律)により厳しい罰則を受けます。
補助金の全額返還はもとより、最悪の場合、事業主名の公表や刑事罰があり、社会的信用を失ってしまうので注意しましょう。
厳しいペナルティが用意されているのは、補助金の原資が国民の血税である税金だからです。
1-2 補助金・助成金・給付金のちがい
「補助金」と類似した「助成金」や「給付金」などは、すべて事業目的に合致すれば、国・地方自治体・民間団体からサポートを受けることができ、返済をする必要がないなどの共通点がありますが、以下のようにそれぞれ特徴が異なります。
給付金 | 原則として一定の条件を満たしていれば給付 |
補助金 | 審査を経て、事業を実施した後に交付(審査で落ちるケースあり) |
助成金 | 主に働き方改革関連・厚生労働省管轄が多い・社会保険労務士のサポート分野 |
「給付金」は原則として、一定の条件を満たしていれば給付される支援金です。
「助成金」も、一定の要件を満たしており、決められた申請手続きをすれば受給できる可能性が高い支援金です。
また、助成金は、研究開発の助成金など経済産業省管轄のものもありますが、働き方改革に関連する雇用関係の助成金など厚生労働省管轄のものが多いです。
さらに、助成金は、雇用関連のものが多いことから社会保険労務士のサポート分野でもあります。
他方、「補助金」の定義は、そもそも「特定の事務・事業に対して、補助事業者の観点から公益性を認め、当該事務・事業の実施に資するため、反対給付を求めずに交付される金銭的給付である」とされています。
つまり、「補助金」の要件として、「補助事業者から見て公益性が認められること」「補助対象事務・事業の実施に役立つこと」「財政サポートの役割があること」の3点が挙げられます。
しかし、「補助金」の定義や要件を反映せず、「補助金」「助成金」「給付金」などの文言をあいまいに使用しているケースが多く見られます。
たとえば、本来は補助金であるのに、助成金という名称だったり(その逆もあります)、「○○戦略資金」など補助金と勘違いしてしまいそうな融資(返済が必要です)だったりするケースがあり要注意です。
また、「補助金」は、種類も多く、主に新規事業・新規サービスの導入、新政策の促進・サポートなどの政策実現のために補助金事業が行われます。
そのため、厳密な審査があり、審査に落ちて受給できないケースや、予算の範囲内で行われる事業であるため、公募方法によっては早い者勝ちとなり受給できないケースもあります。
以上のように、「補助金」「助成金」「給付金」は、わかりにくい部分はありますが、それぞれの特徴やメリットを把握した上で、事業者としてチャレンジしてみる価値はあります。
そのためには、最新の公募要項などを定期的にチェックして、決められた申請手続きを行いましょう。
1-3 補助金のメリット
補助金には以下のようなメリットがあります。
- 事業資金の支援を受けることで経済的負担を軽減できる
- 融資と異なり返済不要である
- 事業者の信用が向上する
- 事業計画を客観視できる
- 事業者として成長できる手段やきっかけになる
- 適用範囲が広い
- 種類が豊富である
- 補助額が多い
★事業資金の支援を受けることで経済的負担を軽減できる
企業や個人事業主は、営む事業が補助金の対象事業に認定されれば、事業資金の全部または一部の支援を受けることができるので、経済的負担を軽減することができ、業績アップにつながります。
★融資と異なり返済不要である
また、補助金は、融資と異なり返済不要なので、利益が出れば事業資金に回すことができ、財務状況もよくなります。
★事業者の信用が向上する
さらに、補助金が交付されれば、事業者が行っている事業が国や地方自治体などに認められたことになり、信用度がアップし、ステークホルダー(顧客や株主などの利害関係者)にも好印象を与えたり、融資やリースが受けやすくなったりというメリットもあるのです。
企業イメージもアップし、さらなる事業の発展が期待できます。
★事業者として成長できる手段やきっかけになる
補助金は、大きな視野で見てみると、補助金を活用することで、企業や個人事業主の事業者としての競争力を高め、成長するための手段やきっかけになるものです。
★事業計画を客観視できる
他方、補助金申請手続きの際に、事業計画を作成していく中で、対象事業の事業計画を客観的に見られるというメリットもあります。事業者として、自身の事業の強み・弱みを洗い出し、今後の事業の更なる発展につなげられるとてもいい機会になるでしょう。
★適用範囲が広い・補助額が多い
ここで、補助金を助成金と比べてみると、適用範囲が広く、種類が豊富で、補助額が多いというメリットが挙げられます。
★種類が豊富である
補助金は、数千種類以上あるとも言われていますが、種類が多ければ、自社(自身)の事業に最適な補助金を見つけやすくなり、補助額が大きければ財務状況を改善でき、適用される事業経費の範囲も広くなります。
これらのメリットは、新規事業の開始時や事業の拡大時に補助金を検討している事業者にとって、補助金受給の可能性が広がり、補助額も増えるため、とても有益です。
補助金には、メリットだけでなく、申請しても受給できない可能性があることや、後払いであることなどのデメリットもありますが、前述したようなデメリットを上回るメリットがありますので、ぜひ補助金の獲得に挑戦してみてはいかがでしょうか。
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2.補助金の基本知識
事業を継続・発展させたい企業や個人事業主にとって、補助金制度はとても魅力のあるものです。しかし、補助金を受給するためには、専門的で複雑な手続きが必要となります。そのためには、まずは基本知識から理解しておく必要があるのです。
ここでは、補助金を獲得する上で押さえておかなければならない専門用語や重要な手続きなどの基本知識について解説します。
2-1 「公募要項」と「補助対象経費」
公募要項 | 補助金に関するルールや規則 |
補助対象経費 | 補助金事業の対象となる経費(事業用支出) |
「公募要項」とは、補助金を一般の企業や個人事業主から公募する際の、ルールや規則を定めたものです。
補助金によって、「公募要領」「募集要領」「交付要綱」「公募案内」などの呼称もあります。
公募要項は、補助金事業運営主体のホームページなどで、公募期間の数ヶ月前などに公表されることが多いです。
補助金を受給しようとする事業者は、公募要項にしたがって申請手続きをしますので、補助金を受給するためにはとても重要なものとなります。
公募要項には、一般的に、事業概要・公募期間・申請方法・注意事項・問い合わせ先などとともに、事業の目的・補助対象者・補助対象事業・補助率・申請要件・事業スキーム・応募手続き・補助対象経費・補助事業者の遵守すべき事項・申請の留意点などが記載されます。
また、併せて、申請書や添付書類の様式やひな形なども提示されることが一般的です。
公募要項は、補助金事業運営者のホームページで公表され、応募者がダウンロードできたり、窓口で冊子を受け取ったりできるようになっています。
補助金の申請要件等は、詳細な上に、社会の政治・経済動向に合わせて予告もなしに更新されることもありますので、補助金受給を検討している事業者は、最新の公募要項をしっかりとチェックして申請するように心がけましょう。
他方、補助金事業における「補助対象経費」とは、読んで字のごとく補助金事業の対象となる経費(事業用支出)のことで、補助対象経費に認定された金額に補助率を乗じて得た金額の合計額が受給できる補助金額となります。
一般的に、補助金事業の事業主体(補助金事業実施者・運営者=補助事業者)が、補助事業に関する詳細なマニュアル等を作成し、補助金の経理処理に関する基本的なルール等を規定します。
そのルールの中に、補助金の交付対象となる経費(補助対象経費)に関する規定も設けられています。
補助金対象経費の正確な把握は、補助金を受給する上でとても重要です。
なぜなら、補助金を申請する事業者が、補助対象経費に該当すると思い込んで事業を進めても、補助事業者の審査により、補助対象経費に該当しなければ補助金を受給できないからです。
補助対象経費は、各種補助金の制度により異なるため、補助金申請手続きをする前に、公募要項に記載されている補助対象経費の区分や事例をしっかりとチェックしてから申請手続きを開始するようにしましょう。
2-2 「公募期間」と「補助事業実施期間」
公募期間 | 補助金の応募申請書を提出できる応募期間 |
補助事業実施期間 | 補助対象事業を実施する期間 |
補助金を受け取るための手続きは、公募手続き・交付手続き・補助対象事業の実施/完了・補助金の交付となります。
補助金における「公募期間」とは、補助金の公募手続きの期間、つまり補助金の応募申請書を提出できる応募期間(募集期間)のことです。
公募期間は、補助金の制度によって期間の長さが異なります。また、1次募集・2次募集など公募期間が細切れに分かれているケースもあります。
原則として、公募期間を1日でも過ぎてしまうと、補助金の応募申請を受け付けてもらえなくなり、補助金を受給することができなくなってしまうので、補助金受給を検討している事業者は、必ず補助事業者のホームページや公募要項等で、公募期間を確認しておきましょう。
他方、補助金の「補助事業実施期間」(「補助対象期間」「補助事業期間」と呼称されることもあります)とは、補助対象事業を実施する期間のことであり、補助事業者により公募要項で規定されています。
補助事業実施期間も、補助金の制度によって期間の長さが異なります。
補助事業実施期間の開始前や終了後に発生した発注や支払いなどの補助対象事業に関する取引については、たとえ補助対象経費に認定されている経費だとしても、補助金の対象から外れてしまいますので要注意です。
補助金の種類によっては、補助事業実施期間とは別に「補助対象事業の終了期限」が設定されているケースもあります。
補助対象事業の終了期限があるケースでは、事業の終了期限までに事業自体だけでなく、検収や支払い等経理上の手続きまでも完了している必要がありますので押さえておきましょう。
必ず、申請前に補助事業実施期間や補助対象事業の終了期限についても、補助事業者のホームページや公募要項等で、確認しておくことをおすすめします。
2-3 「補助率」と「最大補助額」
補助率 | 補助金を交付する際の補助金額を決定するために使用される比率 |
最大補助額 | 補助対象事業に対して交付される補助金の最大額 |
補助金における「補助率」とは、補助金を交付する際の補助金額を決定するために使用される比率のことです。
補助金額については、補助対象経費に補助率を乗じて得た金額の合計額により算出されることになります。
補助率は、補助金事業の制度により異なります。
たとえば、「補助率1/2(1/3、8/10、9/10など)」「購入価格の2/3を補助します」「補助金額の算定は設備投資金額の8/10」などと表示されます。
補助率は、補助対象者(補助金を受給しようとする事業者)の条件(業種や規模など)、社会状況の変化による補助金事業の緊急性・重要性などによって変わることがあります。
たとえば、直近の事例で見れば、新型コロナウイルス感染症の影響に関連する補助金事業については、補助率が「9/10(一部補助)」であったものを「10/10(全額補助)」に緩和するなどの緩和措置が採用されています。
他方、「最大補助額」(「補助額上限」「補助限度額」などの呼称もあります)とは、補助対象事業に対して交付される補助金の最大額(上限額・限度額)のことです。
補助金事業は、割り当てられた予算の範囲内で実施されますので、補助金には限度額が設定されています。それが「最大補助額」ということです。
「補助率」と「最大補助額」の関係については、補助対象経費に補助率を乗じて得た金額の合計額が最大補助額を超えても、補助金は最大補助額までしか交付されません。
「補助率」と「最大補助額」の関係について、わかりやすくするために具体例を挙げますと以下のようになります。
ある会社が、「補助率3分の2、最大補助額1,000万円」である補助金を活用して、総額1,800万円の設備投資を行うケースでは、補助率の計算は1,800万円×2/3=1,200万円となりますが、最大補助額が1,000万円なので、補助金額は1,000万円です。つまり、この会社は、1,800万円の設備投資資金のうち、補助金で賄うことができるのは1,000万円であり、残りの800万円は自己資金を準備する必要があります。
このように、予算の範囲内で行われている補助金事業には、「補助率」や「最大補助額」というリミッターが存在します。
そのため、補助金を受給しようとする際には、「必ず全額を補助してもらえるわけではなく、一部の費用負担を自社(自身)で行うケースがある」ということを念頭に置いておきましょう。
2-4 補助率「定額」とは
補助率「定額」とは | 補助率が定額である補助金事業(定額補助)10/10・○万円など |
補助金事業における「補助率」とは、補助金交付額を決定するための比率であることは説明のとおりですが、補助金事業の制度によっては、「補助率が定額」という種類の補助金事業も存在します。
補助率が定額である補助金事業は、「定額補助」ともいいます。
定額補助のケースでは、公募要項に「補助額:110万円/1㎡」「定額補助(10/10)とし、○円を上限とする」「補助率:定額」などの形式で表示されることが多いです。
定額補助は、補助対象経費によって補助金額が算出されるわけではなく、補助金事業の目的など他の観点から決定された一定金額を交付するという補助金制度です。
定額補助と類似した補助金の交付方法に、一定金額を一律に交付するなどの補助金事業も存在します。
たとえば、「当補助金事業は、補助対象事業に関して、補助対象経費の金額にかかわらず、一律金○万円を補助します。」などの形式で表示されるものです。
「定額補助」に対して、通常の「補助率:1/3」など比率表示の補助金を「定率補助」といいます。
算定基準の分類である「定率補助」と「定額補助」の具体例は以下のとおりです。
定率補助のケース
「補助率:2/3(ただし、最大補助額100万円)の補助金」を活用して、補助対象経費180万円の事業を行った場合、180万円×2/3=120万円(補助率での算出)で最大補助額をオーバーしているので、補助されるのは最大補助額100万円までということになります(自己負担金80万円)。
定額補助のケース
「補助率:10/10(ただし、最大補助額100万円)の補助金)」を活用して、補助対象経費100万円の事業を行った場合、100万円×10/10=100万円となり、最大補助額100万円(事業費全額)の補助が受けられることになります(自己負担金なし)。
補助金事業の制度によっては、定額補助と定率補助が組み合わせて制度設計されるケースもあります。
たとえば、以下のような2つのパターンです。
補助対象経費が一定金額(事例:1億円)までは定額(補助率:定額)、一定金額を超えた場合は定率(補助率:補助対象経費の3/4)特定区分の補助対象経費は定額(補助率:定額)、特定区分以外の補助対象経費は定率(補助率:補助対象経費の3/4)このように、補助金の交付方法には、さまざまな分類があることを押さえておきましょう。
2-5 遡及措置とは
遡及措置 | 本来、補助対象経費には該当しない「補助事業実施期間外(交付決定前や事業完了後など)に支払われた事業に要する経費」を、遡って補助対象経費とする補助金の特例的な措置 |
補助金の経費処理にはルールがあります。
補助事業者が各々、補助金の事務処理に関するマニュアルや手引きを作成しており、その中で補助金の経費処理の基本ルールやポイントを定めているのです。
経費処理の基本ルールやポイントに関しては概ね同じような内容ですが、補助金の交付対象経費(補助対象経費)を明確に区別して処理することが原則となっています。
補助対象経費の妥当性に関しては、補助金の交付決定の事前審査や補助対象事業完了後の実績報告などを受けての確定検査などを通して厳密に審査されますが、審査内容は、主に「補助事業実施期間内に支払われた事業経費か」「補助対象事業の目的に合致する内容の経費か」の2点です。
このうち、「補助事業実施期間内に支払われた事業経費」とは、原則として交付決定後、補助事業実施期間内に発生(発注)・終了(支払い)した事業経費が対象となります。
しかし、この規程には例外規定があり、補助事業実施期間外(交付決定前や事業完了後など)に支払われた事業経費であっても、相当事由があれば補助の対象となるのです。
この、特例的な措置のことを、補助金の「遡及措置」「遡及適用」といいます。
遡及措置の具体例には、以下のようなケースがありますのでご参考になさってください。
事例1
補助対象企業のホームページ作成の際に、事業の受発注システムや見積り依頼システムなど補助事業を行う上で欠かせないシステムを盛り込む場合、採択前または交付決定前に経費前払いでも、補助事業期間中も継続して事業経費として認定されるものただし、継続して事業に必要な経費の場合でも、内装工事など採択前や交付決定前に工事が完了してしまうような場合には、補助対象経費とならない
事例2
補助対象企業のホームページ作成の際に、事業の受発注システムや見積り依頼システムなど補助事業を行う上で欠かせないシステム災害復旧関連事業など緊急性があり、交付決定を待てない事業
事例3
月末締め翌月払いの人件費など、事業完了までの支払いが困難で、補助事業期間中に発生して経費の額が確定していて、支払いのみが事業完了後になり、かつ経理処理の都合など支払い遅延に関して相当の理由がある経費
事例4
新型コロナウイルス感染症の影響の長期化による事業活動の影響に鑑み、早期の事業再構築に必要な交付決定前の経費で、補助事業者の事務局から事前着手の承認を受け一定期間以降に発注した事業経費
以上のように、補助対象経費のルールには、発生・終了の時期によって、原則と例外があるので、事前に公募要項でしっかりと確認しておくことをおすすめします。
2-6 「必須要件」と「加点要件」
必須要件 | 申請する上で必要不可欠な申請要件 |
加点要件 | 必要不可欠ではないが要件を満たしていれば採択されやすくなる申請要件 |
補助金事業において、補助金の原資は税金であるため、補助金を誰彼かまわず交付することはできません。
そのため、補助金を申請するために必要な条件(申請要件)が存在し、補助事業者による厳格な審査がなされ、補助対象者を限定しています。
補助金を受給するために必要な申請要件は、公募要項に記載されていますので、補助金申請をする事業者は必ずチェックしておくことが必要です。
申請要件には、いくつかの種類があり、申請する上で必要不可欠な「必須要件(必須項目)」と、必要不可欠ではないが要件を満たしていれば採択されやすくなる「加点要件(加点項目)」があります。
「必須要件」は、補助金を受給するための審査項目であり、要件を満たしていないと審査に通らず補助金を受給できない項目であるのに対して、「加点要件」は審査項目ではないものの要件を満たしていれば、審査上加点され有利になるという項目です。
補助金交付のための審査は、補助金を受給しようとする事業者が提出する申請内容や事業計画書などの添付書類から総合的に判断して行われます。審査のポイントは、「必須要件を満たしているか」に加えて、「加点項目がどれくらいあるか」などです。
補助金ごとに、公募要領などで「審査項目・加点項目」について詳細な記載があるので、応募申請前に必ず確認することをおすすめします。
このように、補助金の申請要件には、「必須要件」と「加点要件」があることを理解して、「必須要件」を満たした上で、どれだけ「加点要件」を積み上げられるのか見極めた上で、補助金の応募申請を行うようにしましょう。
2-7 最近よく聞く「賃上げ要件」とは
賃上げ要件 | 「従業員の給与や賃金を引き上げる」旨の申請要件(必須要件または加点要件、給与支給総額や事業場内最低賃金の増加など)補助金事業運営主体側が求めている水準の従業員給与や賃金の引上げ(賃上げ)を計画・実行した事業者に対して、補助金を交付するという制度 |
最近よく耳にする「賃上げ要件」とは、読んで字のごとく従業員の給与や賃金を引き上げることを、補助金の申請要件の1つに加えることです。
補助金の申請要件に「賃上げ要件」が盛り込まれることになったのは、補助金事業者が、補助金を活用して事業者が生み出した利益(付加価値)を、従業員の給与や賃金へ還元させることを考えているからでしょう。
つまり、「賃上げ要件」とは、補助金事業者側が求めている水準まで従業員給与や賃金の引上げ(賃上げ)を計画・実行した事業者に対して、補助金を交付するための申請要件となります。
逆に、補助事業の採択後に、申請時点で提出した賃上げ計画を従業員へ表明していなかったり、計画通りに賃上げを実行していなかったりする事業者に対しては、補助金の全額または一部の返還を求めるなどのペナルティが課せられるのです。
「賃上げ要件」の態様は、補助金事業の制度によって異なり、必須要件または加点要件とされています。
また、「賃上げ要件」の内容は、一定期間における従業員に対する給与支給総額の増額を年率平均○%以上アップとするケースや、一定期間における事業場内最低賃金を地域別最低賃金に○円以上プラスの水準とするケース、一定の時期に給与支給総額や事業場内最低賃金の増加目標を達成していることとするケースなどさまざまです。
さらに、「賃上げ要件」に関しては、補助金事業の制度によって、給与支給総額や事業場内最低賃金の増加だけでなく、賃上げ対象の従業員数の全従業員数に対する割合を一定割合以上にすることや、従業員の雇用を創出するために、従業員数の年率平均○%以上アップなどの従業員数の増員をすることなども申請要件に盛り込まれている補助金事業もあります。
補助金の「賃上げ要件」を最近よく耳にすることからも、補助金が、社会情勢による国や地方自治体の公益性のある目的や政策を反映している制度であることがよくわかります。
2-8 「交付申請」と「交付決定」
交付申請 | 公募手続きで採択となった事業者が補助金の交付を受けるための申請手続き |
交付決定 | 交付申請した事業者が補助対象経費の精査等の審査を受け認定される手続き交付決定を受けると補助対象事業の実施が可能 |
補助金を受給するためには、補助金の標準的な手続きの流れを押さえておく必要があります。
補助金の標準的な手続きの流れは以下のとおりです。
- 公募開始
- 応募申請
- 採択結果の発表
- 交付申請
- 審査
- 交付決定
- 補助対象事業実施
- 遂行状況報告・中間監査・実績報告
- 確定検査(交付額の確定)
- 補助金の請求
- 審査
- 補助金受給
- 事業化状況報告等
補助金を受給するための手続きは、公募開始後、公募締切までの期間内に、応募手続きを行うことでスタートします。
その後の手続きは、応募申請書の提出後、補助金受給の「内定」の位置づけとなる「採択」結果の発表です。
めでたく「採択」となった事業者は、補助金の交付(=「交付決定」)を受けるための「交付申請」という申請手続きが必要となります。
この「交付申請」から「交付決定」までの手続きが交付手続きです。
採択となった事業者は交付申請書を作成して、補助対象事業の計画書等の必要書類と共に補助事業者の事務局に提出し(=「交付申請」)、補助対象経費の精査等の審査を受け、認定されれば「交付決定」がなされます。
近時、従来の紙ベースでの交付申請方法から、電子申請方法に移行している補助金制度も多いです。
電子申請については、行政サービスにログインしやすい法人・個人事業主向け共通認証システム「GビズID」のプライムアカウントを使用して、デジタル庁が管理する補助金管理システム「jGrants(ジェイグランツ)」から行います。
なお、応募申請書に記載された補助対象経費は、採択によって承認されるわけではありません。
交付手続きの中で補助対象経費について審査され、交付決定時に事務局より補助対象経費の修正・削除を依頼されることもありますので、その旨念頭に置いておきましょう。
「交付決定」がなされると、事業者は交付決定日以降より採択された補助対象事業を開始することができます。
補助対象事業を実施する期間(補助事業実施期間・補助対象事業の終了期限)が決まっているため、交付申請に時間がかかってしまうと、交付決定が遅れる結果を招き、補助対象事業の実施期間が短くなってしまうケースもあるため、交付申請の準備は早めに行うことをおすすめします。
仮に、交付決定を受ける前に、契約・発注・支払い等を行った場合には、補助金の交付を受けることができなくなりますので、必ず交付決定後に補助対象事業を開始するよう注意しましょう。
2-9 「実績報告」と「事業化状況報告」
実績報告 | 補助対象事業完了後の補助対象事業の成果報告 |
事業化状況報告 | 補助対象事業完了・補助金受給後に数年間行う事業成果報告 |
補助金の標準的な手続きの中で、補助金を受給しようとする事業者から、補助事業者の事務局に対して補助対象事業に関する報告を行う場面がいくつかあります。
1つは、交付決定がなされた後、補助事業実施期間内に行うべき報告です。
事業者は、交付決定後に補助対象事業を実施できますが、補助対象事業を遂行していく中で、事務局に対して、事業に関する「遂行状況報告」をする必要があります。
この遂行状況報告がなされると、事務局の担当者による中間監査が行われ、この中間監査の一環として、担当者による現地調査も実施されることがあるので押さえておきましょう。
また、補助対象事業の完了後、一定の期日までに補助対象事業の成果を報告するための「実績報告」をしなければなりません。
実績報告の内容は、主に事業内容と収支の報告です。
具体的な内容は、補助対象事業名や事業期間、補助対象事業の概要、事業成果の概要、事業経費の状況、事業がもたらす効果の実績、事業を推進する上での改善点や意見などとなります。
実績報告がされた後、事務局は「確定検査」を実施します。
確定検査とは、補助対象事業完了後、補助金の支払い前に必ず実施される検査で、最終的な補助金の支払額を確定させるための検査です。
事業者からの実績報告に基づき、「採択内容どおりに事業が実施されたか」「経費の支出は適切か」などに関して、提出された資料などと照合して、事務局が確認するための検査となります。
ここでも中間監査と同様に、担当者による現地調査が行われることがありますので覚えておきましょう。
確定検査が完了すると、事務局から事業者宛に書面ないしはメールやシステム通知等にて「確定検査終了及び補助金額確定のお知らせ通知」が届きます。
これを受けて、事業者は精算払い請求(補助金の入金を希望する銀行口座を連絡すること)を実施し、書類に不備等がなければ、晴れて補助金を受給できるのです。
もう1つは、補助対象事業が完了し、補助金を受給した後に数年間行う事業成果などの「事業化状況報告」があります。
補助金を受給すればそれで終わりと勘違いしている事業者も多いと思いますが、補助金がしっかりと活用されているかなどの報告を数年間にわたり行う義務があるのです。
事業化状況報告を行う年数に関しては、補助金事業の制度によって異なりますが、5年程度の期間の補助金事業が多いようです。
事業化状況報告を行う理由は、補助金の原資が税金であることからも、「補助金がしっかりと活用されているか」をチェックするだけでなく、「補助金が補助対象事業にどれだけ役に立ったか」について補助事業者としてきちんと後追いする必要があるからです。
補助金は原則として返済不要ですが、補助対象事業が軌道に乗って利益が多く出ているケースでは、例外的に「収益納付」といって、「補助金額の限度で返還してください」という制度もあります。
ただし、よほどの利益が出ない限りは、返還の必要はありませんが、返還を避けるために虚偽の報告をしてしまうと、ペナルティがあることも念頭に置く必要があるでしょう。
2.まとめ
ここまで、補助金の概念、助成金・給付金とのちがい、メリット、専門用語や重要な手続きなどの基本知識についてご紹介させていただきました。
補助金制度は、貴社(貴殿)が行っている事業が、国や地方自治体が推奨しようとしている公共性のある事業目的に合致すれば、事業資金の全部又は一部を支援してもらうことができ、融資などと異なり返済が不要なため、企業・個人事業主にとっては有益な制度です。
しかし、内容が複雑で、種類も多く、対象となる補助金の判断も困難です。
複雑な受給要件があり、要件を1つでも満たしていなかったり、申請期限が1日でも過ぎたりすると受給できないばかりか、不正受給と判断された場合には、ペナルティを受けることもあります。
3.補助金申請を実現するための具体的な流れ
補助金の交付を受けるためには、補助金申請手続きをする必要があります。
補助金の申請手続きには、情報収集や必要資料の準備などやるべきことが多く、手間と時間が必要です。
補助金の公募期間は決められているので、公募期限までに補助金申請ができるように、計画を立てて準備を行いましょう。
補助金を申請するための準備としては以下のようなことが考えられます。
ここでは、補助金申請を実現するための具体的なステップについて確認していきます。
3-1 補助金を選択する
補助金申請するためのはじめの具体的なステップは、自社(自身)の推進する事業に適した補助金を選択することです。
そのためには、最適な補助金を選択するためのいくつかのポイントがあります。ここでは、補助金を選択するためのポイントについてご紹介しましょう。
3-1-1 毎日の情報収集を欠かさない
自社(自身)の推進する事業に適した補助金を選択するためのポイントの1つとして、毎日の情報収集を欠かさないことが挙げられます。
補助金は種類が多く、少額のものや助成金まで含めると、数千種類以上あるといわれています。
補助金は、補助金を受給しようとする事業者が申請して審査を受けないと受給できない制度であり、補助事業者が、広報活動を除けば、補助対象事業者に直接案内してくれるのは極めてまれなケースです。
したがって、補助金を受給するためには、多くの種類の補助金の中から、自社(自身)の事業に活用できる最適な補助金を選択するために、情報収集をする必要があるのです。
補助金の交付を受けるための条件である公募要項や公募期間などの情報は、社会情勢や予算配分の変化などに対応して随時更新されます。
これは、補助金が補助事業者の政策目的達成のために税金などを使った補助対象事業者の支援制度となっているためです。
年度が変わり予算の増減があったり、社会情勢の変化により緊急性・必要性が高まったりしたケースでは、補助金の公募要項や公募期間が更新されます。
たとえば、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う補助金交付条件の変化などがいい例でしょう。
特に、地方自治体などの補助金は、公募開始から締切りまでの期間が約1ヶ月程度のものが多く、補助金の情報を収集して、いざ自社(自身)に適した補助金として申請しようと思ったら、締切りまで時間がなく、準備が間に合わないということも考えられます。
申請するための時間が足りず、満足な準備ができなければ、必要書類の不備による不採択、質の悪い事業計画書の作成による採択率の低下だけでなく、そもそも物理的に申請ができずに、せっかく準備した時間をすべて無駄にしてしまうことなども起こるかもしれません。
このような残念な結果を招かないためにも、補助金に関しては、日頃から情報収集を欠かさず、最新情報を常にチェックしておくことをおすすめします。
補助金の情報収集をするためには、インターネットを活用して、自社(自身)の事業に関する補助金がないか官公庁のサイトや補助金に関するまとめサイトをチェックしたり、自社(自身)の所在地の役所などでパンフレットを閲覧したり、信頼のおける補助金のコンサルティング会社など専門家を活用したりする方法があります。
アンカーマンへのお問い合わせはこちら。
インターネットで補助金の情報収集をする際に注意するポイントは、インターネットで検索される情報は、新旧入り乱れているので、必ず情報に関する掲載日や更新日をチェックして、最新の情報かどうかを確認することです。
また、補助金を選択する際には、必ず情報元の官公庁のサイトの最新情報をチェックして、申請するまで情報の更新がないかも日々の確認を怠らないようにしましょう。
なお、近時、デジタル庁が管理する補助金管理システム「jGrants(ジェイグランツ)」の中にも、「補助金を探す」ページで検索機能を利用して、目的の補助金を探すことも可能となっているので活用してみましょう。
キーワード検索や、業種、対象の都道府県、募集期間内の補助金など細かな絞り込み検索を使うこともできて便利に使用できます。
さらに、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する中小事業者支援のポータルサイト「J-Net21」の中で中小事業者向け施策の情報が毎日更新される「支援情報ヘッドライン/補助金・助成金・融資」の補助金情報が充実しているので活用してみてください。
3-1-2 常に申請締切から逆算したスケジューリングをする
自社(自身)の推進する事業に適した補助金を選択した後、十分な準備をして補助金申請を実現するためには、常に申請締切から逆算したスケジューリングをすることが重要です。
補助金は、公募期間が決まっていて、補助金の交付を受けようとする事業者が申請しても、申請締切(申請期限)を1日でも過ぎてしまえば、補助金の交付を受けることができなくなってしまいます。
また、補助金の申請には、自社(自身)に最適な補助金を選択するための作業や申請の準備作業などやるべきことが数多くあり、準備に思っている以上に時間がかかることを念頭に置いておきましょう。
補助金の申請準備を時間的余裕を持って行うためには、常に申請期限から逆算してスケジュール管理(スケジューリング)をするべきです。できれば、申請期限から1〜2か月前には準備のために動き出すようにしましょう。
特に、補助金をはじめて申請するようなケースでは、最適な補助金の選択、公募要項の確認、事業計画書の作成や必要書類の準備などが思うように進まない可能性を考えて、申請準備の期間を多めにとるとよいです。
スケジューリングする上では、補助金の申請準備に関する詳細で具体的な「To Do リスト(やるべきことリスト)」を作成しましょう。
To Do リストにはやるべきこと以外に、項目ごとの課題や具体的な日程も盛り込み、予定と実績を記入できるようにしておくと便利です。
さらに、To Do リストは、補助金に関与している役員や従業員、外部コンサルタントなどで情報共有できるようにしておくことをおすすめします。
他方、申請準備のスケジュールを作成する際には、予定どおりに準備が進まないことも考慮して、予備日などを盛り込むようにすると、計画の修正なども容易に行えるのでお試しください。
そして、補助金によっては、申請前に事前相談や事前エントリーをするように求めていたり、申請書の提出日を事前に予約するような手続きとなっていたり、関連する手続きの認可をとることを条件としていたりすることがあるので、申請手続きだけでなく、細かな補助金の日程に関する指示を把握して、スケジュールに盛り込むように準備しましょう。
加えて、補助金の申請要件、必要書類、提出方法などもスケジュールに大きく関係してくるので要チェックです。
特に提出方法は、印刷した紙を窓口へ持参・郵送で提出するケースとデータをメール・電子申請で提出するケースとでかかる期間が大きく変わってくることも想定されます。
自社(自身)が申請しようとしている補助金の提出方法のルールをしっかりと確認して、スケジューリングしましょう。
3-1-3 補助金の要件を確認する
自社(自身)の推進する事業に適した補助金を選択する際に、候補の補助金が出てきたら、補助金の申請要件を確認しましょう。
補助金の申請要件の確認には、2つの目的があります。
1つは自社(自身)が活用できる補助金かどうかを判断するため、もう1つは申請手続きを無駄にしないためです。
補助金の申請要件には、必須要件と加点要件がありますが、どちらの要件も確認することで、自社(自身)で当該補助金が申請可能かどうかを判断します。
必須要件に関しては、補助対象者に該当するのかという「適格要件」と、補助対象事業の数値目標などを含んだ「補助対象事業の要件」とがあります。
どちらも補助金によって内容は異なりますが、詳細は条件が公募要項などに掲載されていますので、しっかりと確認しましょう。
補助金の申請要件を満たしていれば、補助金の交付を受けられる可能性が高くなります。
逆に、申請手続き前に「補助金の申請要件を満たしていないために補助金の受給の可能性がない」との判断ができれば、無駄な申請手続きの作業をすることなく、すぐに別の補助金を探すことに注力できるでしょう。
補助金の申請要件の確認が重要なのは、せっかく自社(自身)が推進しようとしている事業の補助を受けられそうな補助金を探し出せたとしても、補助金の申請要件をしっかりと確認せずに申請した結果、審査に通らず、補助金の交付を受けられずに申請の準備のために要した手間と時間が無駄になってしまうということがあるからです。
補助金の申請要件を確認するために、早めに公募要項を補助事業者のホームページからダウンロードしておき、補助金に関与している社内・社外の関係者で情報共有できるようにクラウド上などで管理して、いつでも閲覧できるようにしておきましょう。
3-1-4 加点要件をどこまで積み上げて申請するか決める
自社(自身)の推進する事業に適した補助金を選択するために、補助金の申請要件の確認は、必須要件と加点要件の双方を確認することが求められていますが、加点要件に関しては、どこまで積み上げて申請するのかを決めることが重要です。
補助金の審査は、一般的に申請時点で提出された事業計画書に基づき、必須要件に関して審査項目で採点された得点と加点項目の得点の合計得点で採否が決定されます。
したがって、加点項目が多ければ多いほど、審査の得点がアップする仕組みです(ただし、加点の程度は公表されていません)。
この点を裏付けるデータとして、ものづくり補助事業公式ホームページ「ものづくり補助金総合サイト/データポータル」(これまでの申請及び採択状況を集計したデータを公表)の中に、加点項目の数と採択率の関係について集計したデータがあります。
このデータによれば、加点項目がまったくないケースでは採択率が低い数値であるのに対して、加点項目が1個・2個・3個・4個と増えていくごとに、採択率が右肩上がりに増えていくのです。
このことからも、加点項目が多ければ、補助金の採択率がアップして、補助金の交付を受ける可能性が高くなるということがわかります。
(参照:「ものづくり補助金総合サイト/データポータル」加点項目の数https://portal.monodukuri-hojo.jp/dataportal.html)
もちろん、審査のメインは、事業計画書に基づく書類審査ですが、洗練された事業計画に基づく申請が多く、採否に関して他の申請者との差別化が図れないようなケースにおいては、加点項目が採否に大きく影響することが考えられます。
加点要件に関しては、審査の加点項目となるので、取れる加点要件はすべて取れるように確認しましょう。
ただし、注意しなければならないのは、審査の加点を積み上げたいということで、いたずらに加点要件を積み上げることはおすすめしません。
なぜなら、申請段階で盛り込んだ加点要件に関して採択された場合には、加点要件の内容について、いずれは実施しなければならないからです。
申請した加点要件の項目を決められた期限内に実施できない場合には、最悪のケースでは補助金の返還を命じられてしまうこともあります。
このようなことが起こらないように、加点要件を盛り込む場合には、自社(自身)で実施することが可能な項目かどうかをきちんと確認することをおすすめします。
たとえば、ものづくり補助金を申請しようとしている企業が、加点要件を積み上げて申請書に盛り込もうとしているケースでは、政策加点(創業または第2創業後5年以内の事業者)や災害等加点(自然災害の被災事業者や新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者で事業継続力強化計画の認定を受けた事業者)は比較的取り組みやすい加点要件です。
しかし、さらに賃上げ加点(給与総支給額の年平均を一定割合以上増やすこと、事業場内最低賃金を地域別最低賃金に一定金額以上上乗せすること)や成長性加点(経営革新計画の承認を取得した事業者)などは一定期間での具体的に実現しなければならない数値目標があるので、しっかりと自社(自身)で実現可能かどうかを検討して申請書に盛り込むかどうかを検討する必要があるでしょう。
3-1-5 不明点を事務局へ問合せ、申請可否の確証を得る
補助金の申請前には、不明点を事務局へ問い合わせて、申請可否の確証を得ることが大切です。
補助金の申請を実現させるためには、申請前に公募要項やよくある質問などをチェックして申請に関する重要事項をチェックしておくべきです。
しかし、公募要項などを熟読しても申請に関する不明点や疑問点がある場合には、必ず事務局へ問い合わせて、不明点や疑問点を明確にしておき、申請の可否に関して確証を得ておくことが必要になってきます。
なぜなら、事務局への問い合わせを怠り、不明点や疑問点を明確にしておかなかったばかりに、書類不備や申請要件に当てはまらないことによって不採択になることが、もったいないと考えられるからです。
また、地方自治体が補助事業者となっている補助金のケースでは、補助金の申請要件や必要書類の細かな取扱いなど公式ホームページに掲載されている情報がすべてではないという理由もあります。
このようなケースでは、補助事業者の事務局へ連絡してはじめて、追加の必要書類が判明したり、書類のひな型がもらえたりすることもあるので、事務局への問い合わせは重要です。
さらに、補助金によっては、本申請前に事前エントリーの手続きが必要なものもあります。
事前エントリーは、エントリー期限が決まっていて、補助事業者のホームページなどからエントリーフォームを利用してエントリーを行うなどの手続きが必要なケースが多いようです。
事前エントリーの手続きが必要な補助金の場合、「問い合わせ(事前相談)=事前エントリー」の意味合いを含んでいるケースもあります。
問い合わせをすることで、補助事業者と補助金を申請しようとしている事業者の間で、申請しようとしている企業の情報(会社情報)が共有されるだけでなく、相談している間にその他必要な有力情報の共有につながるケースも想定されるので問い合わせが重要になってくることもあるのです。
問い合わせは少しの時間と手間が必要ですが、補助金を申請する上では大きなメリットがある場合がありますので、積極的に事務局への問い合わせを活用するようにしましょう。
なお、事務局など問い合わせ窓口への連絡先は、インターネットで検索したり、デジタル庁が管理する補助金管理システム「jGrants(ジェイグランツ)」の中のトップページ「補助金を探す」から申請対象の補助金名を選択して補助金詳細情報内から検索したりして調べることができます。
3-2 補助金申請の準備に取りかかる
補助金申請するために、自社(自身)の推進する事業に適した補助金を選択することができたら、次の具体的なステップとして、補助金申請の準備に取りかかる必要があります。
ここでは、補助金申請の準備に関するいくつかのポイントを解説していきましょう。
3-2-1 補助対象経費の予算組みと見積書の取得
補助金申請の準備として、必要書類の準備や補助対象経費の確定を目的として、補助対象経費の予算組みと見積書の取得を行いましょう。
補助金申請を行うためには、自社(自身)が推進しようとしている事業に関して、事業経費がどの程度かかるのか確定させる必要があります。
事業経費を確定させることにより、補助金で補助してもらえる金額と自社(自身)で準備しなければならない金額を算出することができるからです。
補助金の応募申請前に補助対象経費の予算組みと見積書の取得を行う理由は、いざ事業を遂行する段階になって補助対象経費に変動を生じさせないためです。
予算組みをしっかりと行っていないと、見積りの変更による資金不足で事業が遂行できなくなったり、変更手続きに手間がかかったりしてしまいます。
原則として、最初に申請した補助金額から見積りに変更があっても補助金が増えることはありませんので注意をしましょう。
このような不測の事態を生じさせないためにも、事前に補助対象経費の予算組みと見積書を取得しておくことによって、事業予算を確定させておくことが重要なのです。
補助金申請の準備として、補助対象経費の見積書を取得する必要がありますが、どうしても見積書の取得が申請までに間に合わないケースでは、概算でも大丈夫な補助金と、見積書の添付が必要な補助金と2つのタイプがあります。
自社(自身)が申請する補助金はどちらのタイプの補助金なのか、申請前に必ず必要書類の確認をしておきましょう。
補助金により導入したい設備などの価格が適性であることを証明するために、複数社からの相見積もりの取得を要請されることもあります。
見積書の取得には時間がかかる場合がありますので、早めに依頼することをおすすめします。
3-2-2 必要書類の準備
補助金を申請するためには、準備しなければならない必要書類について把握しましょう。
補助金の交付を受けようとする事業者は、補助金の公募手続きに従い、応募申請が必要となりますが、応募申請には、申請書と添付書類の提出が欠かせません。
必要書類は、申請する補助金の型や枠ごとに詳細に定められており、公募要項などで必ず案内される事項です。
必要書類の準備には、時間がかかりますので、補助金の申請をスムーズに進めるために、必要な書式をダウンロードしたり、公募要項で必要書類のチェックリストを確認したり、必要書類に関しては早めに準備に取りかかることをおすすめします。
補助金申請のための主な必要書類は以下のとおりです。
主な必要書類
- 事業計画書(Word 5ページ~10ページ程度)
- 決算書(2期分ないしは3期分)
- 見積書(相見積もりが必要なケースもあり)
- GビズID(電子申請用にプライムアカウントが必要、未取得の場合は、申請書・印鑑証明書を郵送し、新規発行をしておくこと)
- 会社概要
- 株主一覧表(補助金によっては、株主の住所・氏名(企業名)・出資比率のほか、株主が企業の場合には、大企業・中堅企業の別などを記載しなければならないケースもあります。)
- 役員一覧表(補助金によっては、役職名・氏名・生年月日・性別のほか、他社と兼業の場合には会社名などを記載する必要もあります。)
- 履歴事項全部証明書
- 労働者名簿 等
上記に掲載した書類以外にも、補助金の採択を得るための審査に必要な書類は数多くあり、内容も補助金ごとに詳細に決まっています。
審査を通過するためには、申請書とともに提出する必要書類に不足があってはいけません。
必要書類に関しては、早めの準備と念入りな確認をして、補助金申請の準備に万全を期すように心がけましょう。
3-2-3 事業計画書の作成
補助金の採択率をアップさせたければ、事業計画書の作成に時間を惜しまず「わかりやすく質の高い事業計画書の作成」を目指しましょう。
補助金の申請において、事業計画書の作成は必須となります。
なぜなら、補助金の採択を得るために、事業内容が補助金の目的に合致しており、適切であるということを事業計画書によって明らかにする必要があるからです。
補助金は、申請すれば誰でも受給できるわけではなく、補助金の原資が税金であることから、予算が限定されており、厳格に審査され、補助金の採択を得なければ受給できません。
補助金の審査のメインは、事業計画書に基づく書類審査となりますが、審査員は税理士や中小企業診断士など複数の外部有識者ですので、自社(自身)が推進しようとしている事業について業界経験や知識がなくてもわかりやすく洗練された事業計画書に仕上げる必要があります。
ものづくり補助事業公式ホームページ「ものづくり補助金総合サイト/データポータル」では、令和元年度補正予算事業・令和2年度補正予算事業のこれまでの申請及び採択状況を集計したデータを見ることができます。
そのデータによれば、ものづくり補助金を申請する際、事業計画書の作成に90時間以上120時間以内の時間を費やしている事業者が、採択率56.3%と一番高くなっているのです。
(参照:「ものづくり補助金総合サイト/データポータル」事業計画書の作成時間https://portal.monodukuri-hojo.jp/dataportal.html)
このデータから、ものづくり補助金を申請する際、申請準備期間が30日であれば、1日平均3〜4時間程度の作業時間を、事業計画書を作成するために確保している計算となります。
これらのことからも、「わかりやすく質の高い事業計画書」を作成できるかが補助金を受給できるかのキーポイントになることは間違いありません。
わかりやすく質の高い事業計画書を作成するためには、時間を確保するだけでなく、リソース(作成者、人材)の確保にも注力しましょう。
事業計画書に基づき、事業に関して、主に技術面・事業化面・政策面の3つの観点で審査され、それ以外に「基本要件」や「補助金ごとの型・枠独自の要件」なども審査され、補助要件に該当するかどうかと併せて補助金の採否が判断されます。
補助金に盛り込む内容としては、審査項目・加点項目、自社や環境の現状分析、事業に関する市場や競合の分析、自社の優位性、実現可能な営業戦略、スケジューリングと推進体制、収益計画、資金計画などです。
事業計画書の内容の1つとして、補助金を申請する事業者が推進しようとしている事業に関する説明の項目があります。
わかりやすく質の高い事業計画書を作成するには、事業のストーリーを考えることも大切です。事業のストーリーには、補助金の申請理由や具体的な使い道、補助を受けることの効果なども盛り込みましょう。
事業のストーリーを書き出して、第三者にチェックしてもらいながらブラッシュアップしていくことをおすすめします。
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3-2-4 加点資料の作成
補助金を申請するためには、加点要件(加点項目)を確認するための加点資料を把握しておきましょう。
補助金の加点要件を確認する資料(加点資料)は、補助金ごとに異なります。
各補助金の公募要領で事前に「加点項目」「加点資料」を確認して、加点項目の選択、必要資料の作成を行うようにしましょう。
加点項目は多ければ多いほど、審査で有利に働くので、できる限り加点項目を増やすことが大切です。
加点項目に対応する資料(エビデンス)は、公募要領に記載されていることもあれば、後から追加で要請されるものもあります。
できれば、事前にすべての加点項目に対して準備するようにしましょう。加点資料が不明な場合には、事務局に確認するなどして調べます。
補助金ごとに加点項目はさまざまありますが、「今から取得に着手した場合、公募申請時に取得できるのか?」ということに着目して、スケジューリングを実施しましょう。
3-2-5 申請手続き
補助金の申請手続き(申請書類の提出方法)には、「電子申請」「印刷した紙の書類での申請(郵送・窓口持参)」などの方法があります。
補助金の申請には、公募手続きにおける「応募申請(最初の申請=補助金制度への応募)」と交付手続きにおける「交付申請(2回目の申請=補助金の交付申込み)」の2種類があります。
応募申請と交付申請では、提出書類に違いがあったり、申請書類の提出方法がそれぞれ指定されていたりするケースがあるので、しっかりと補助金制度全体についてのフロー(手続きの流れ)だけでなく、ステップごとの手続きについて確認しておきましょう。
補助金交付のための手続きでは、公募手続きで採択された事業者は、すぐに交付手続きに進むので、補助金ごとの公募期間にもよりますが、応募申請から公募申請までの期間はそれ程長くはありません。
応募申請の段階から、自社(自身)が採択された場合の交付申請の申請手続きまでチェックしておくことをおすすめします。
ここでは、主に公募手続きにおける応募申請の申請手続きについて解説していきましょう。
なお、申請手続き(申請書類の提出方法)については、補助金ごとに公募要項などで提出方法が指定されており、「電子申請」「印刷した紙での申請(郵送・窓口持参)」を選択できるケースと、電子申請のみ受付が認められているケースなどがあります。
3-2-5-1 電子申請の場合
電子申請の場合には、補助金ごとに指定されている電子システムへの登録という方法で申請を行うことになります。
電子システムへの登録は、一般的には、補助金の公式ホームページを経由して、指定の電子システム上で必要な情報を手順に沿って入力する形式です。
入力手順としては、会社情報・役員情報・労働者名簿などと併せて、事業計画書などの提出データをアップロード(データを転送すること)して、最後に申請ボタンをクリックする手順となります。
「ものづくり補助金」や「事業再構築補助金」などは電子申請が必須です。
応募を検討されている場合には、必ずチェックしておくことをおすすめします。
電子申請を行う場合には、以下のようなことに注意しましょう。
電子申請の注意点
- 入力作業に手間どってタイムアウト(システムの強制終了)されないように、必要な情報を手元に準備してから入力作業を行いましょう。
- 入力途中でしかたなく作業を中断する場合には、小まめに一時保存することをおすすめします。
- 電子申請の場合には、各種行政サービスにログインしやすい法人・個人事業主向け共通認証システム「GビズID」(デジタル庁管轄)のプライムアカウント(有効期限なし・年度更新の必要なし)を使用する必要があります。ID取得には、相当の時間が必要ですので、1か月以上前などから早めに取得手続きをしておきましょう。
- 補助金申請のための必要書類に関しては、提出のためのアップロードに備えて、早めにスキャンしてPDF化しておくとよいでしょう。
- 補助金によって、提出書類のフォーマットが指定されているケースや文書のファイル形式が指定されているケースがありますので事前に確認しておきましょう。たとえば、PDFファイル形式での提出を指定されている場合には、Wordで作成した文書を・PDFに変換してアップロードするなどの作業が必要になるケースがあるということです。
- 添付書類にパスワードがかかっていたり、ファイルが破損していたりすると補助金の申請要件を満たしていないとして不採択となってしまうので注意しましょう。
他方、「電子申請」「印刷した紙の書類での申請(郵送・窓口持参)」以外に、補助金によっては、「電子データをメールに添付して送信する申請」が認められているものもあるので、参考程度にご紹介しましょう。
メールによる申請の場合には、指定された事務局等の提出先メールアドレス宛てに、指定された件名(「補助金申請(申請者名)」など)を付して、申請書や添付書類等の電子データをメールに添付の上、送信します。
提出データの作成方法、ファイル形式やサイズなどが指定されていますので確認しましょう。
また、メールを送信して事務局にメールが到達した場合には、事務局より確認メールが届きますので、提出データのサイズオーバーやメールアドレスの間違いなど何らかのトラブルで事務局にメールが到達せず、確認メールが届かない場合には、事務局に直接連絡して確認することをおすすめします。
3-2-5-2 郵送・窓口持参の場合
印刷した紙の書類で申請(提出)する場合には、「郵送での申請」と「窓口へ持参する申請」の2つの申請(提出)方法があります。
近時は、新型コロナウイルス感染症の影響で、窓口へ持参して申請する方法を控える補助事業者が多くなっているため、郵送申請や電子申請を採用しているケースがほとんどです。
しかし、補助金ごとに独自の詳細なルール(たとえば「社長面談・事前相談・担当者の事前チェックが必須」「商工会などで事前確認の上、証明書類を発行してもらい提出書類と併せて郵送」など)が設けられています。
そのため、申請前には必ず公募要項などで詳細な提出に関するルールをチェックしておきましょう。
わずかでも不明点や疑問点があれば、事務局に直接問い合わせをして確認することをおすすめします。
なお、それぞれの方法の注意点は以下のとおりです。
郵送
- 印刷した紙の書類を郵送するケースと提出書類のデータをUSBメモリやCD-Rに保存して郵送するケースがあります。
- 郵送申請は早めに投函することをおすすめしますが、万が一の場合に備えて、申請締切日の取扱いは、「必着」か「当日消印有効」かどちらなのかを必ず確認しておきましょう。
窓口への持参
- 持参する日(提出日)の事前予約または事前エントリーが必要かについては、早い段階で確認しておきましょう。
- 提出日の事前予約が必要なケースでは、早めに枠を確保することをおすすめします。
3章まとめ
ここまで、補助金申請を実現するための具体的なステップについて紹介させていただきました。
補助金制度は、事業者にとっては有益な制度ですが、誰でも受給できるわけではありません。
補助金の交付を受けるためには、補助金申請手続きをする必要があります。
補助金の申請手続きには、情報収集や必要資料の準備などやるべきことが多く、手間と時間が必要なので、計画を立てて早めに準備に取りかかるようにしましょう。
4.補助金申請代行を依頼する場合
申請書類の作成や受給要件の確認をはじめとした補助金の申請手続きは専門的な知識も必要で、手続きも煩雑で手間がかかります。
自社(自身)だけで手続きしようとすると、時間や手間をとられてしまい、コア事業に影響を及ぼすリスクもあります。
本業に専念しながら、補助金の交付も受けたいのであれば、信頼できるパートナーを探し、タッグを組んで補助金受給に向けて手続きを行うことも一つの解決策です。
例として、株式会社アンカーマンに申請サポートをご依頼された場合の、標準的な流れをご紹介します。
Step.1 オンラインミーティング
「どんな補助金がうちに合うのか教えてほしい」「そもそもこの設備は補助金の申請対象なの?」といったご相談ベースのケースであっても、コンサルタントとオンラインミーティングを実施し、導入を検討している経緯、現状での課題感、今後の目指す姿などをお伺いし、造りや申請のタイミング、ご希望や諸条件を汲みながら、「ものづくり補助金/事業再構築補助金、どちらの補助金に申請するのが適切なのか?」といった最適な補助金のご提案よりスタートいたします。
「この補助金でこういったことがやりたい」という明確な展望のあるケースの場合、「申請要件は満たしているか?」「多くの蔵元様が抱える申請へのネック事項」「加点資料のご取得」などについて、ご案内します。
Step.2 お申込み
申請される補助金が決まったら、お申し込みをいただきます。申込書を記入し、メールもしくはFAXにてご返送いただきます。同時に、着手お預り金のお振込み手続きをお願いいたします。完全成功報酬のため、いわゆる「着手金」とは異なり、採択後に領収させていただきます。
Step.3 ヒアリング
具体的にどのような事業内容にするか、詳細を伺います。
導入予定設備はなにか、要件に沿った計画になっているか、補助額や補助率との兼ね合いなどをポイントに、申請枠を確定させます。また、製造現場目線で現状の課題を整理し、実施スケジュールや体制まで一緒に考えます。
生産性向上における具体的な数値も盛り込みながら、「製麹」「生酛」「火入れ」など、数多く存在する酒造業界ならではの専門用語を用いながらも、かつ、造りの専門家ではない審査員にわかりやすく、響く事業計画書にするため、細かな点までぜひお聞かせください。
Step.4 応募書類と申請の準備
申請に必要な各種書類を準備いただきます。申請する補助金によって詳細は異なりますが、一般的に下記の書類が必要です。
一部、電子申請システムへの直接ご入力をいただく書類もございます。
- 決算書(2期分)
- 見積書
- GビズID(未取得の場合は、申請書・印鑑証明書を郵送し、新規発行)
- 会社概要
- 株主一覧
- 労働者名簿
Step.5 賃上げ表明書の準備
補助金によっては、「賃上げ誓約書」「賃上げ表明書」の提出が必須です。他の書類と比較し、とりわけ制度理解や数値計算の難易度が高い書類のため、きめ細かな作成サポートを実施しています。事前に共有する作成方法に沿って、税理士などのご相談を交えながら、計算、作成をいただきます。数値の整合性に関して、場合によってはお電話でのサポートも実施させていたします。
会社の数年後の給与支給総額へのご納得も含め、作成完了後、印刷・押印の上、スキャンしてPDF化し、作成完了です。
Step.6 加点資料の準備
よって、加点措置の内容に変更が発生するため、都度、公募回や申請枠、申請者の状況を踏まえ、取得をおすすめする加点措置のご案内をしています。
作成スケジュールやデメリットなどを社内で協議のうえ、対応の可否をご判断ください。取得のための資料作成も、私たちがサポートします。
Step.7 事業計画の作成
ご依頼の混雑具合により前後しますが、Step.3のヒアリングより1週間~2週間お時間をいただき、取り組み内容(設備導入や販路開拓)をもとに、弊社コンサルタントが事業計画書の草案を作成します。
草案完成後、内容をご確認いただき、最終調整を行います。手作業の削減などによる生産性の向上や、成果である酒質の向上の内容など、具体的な数値を文章にします。採択に直結する重要なパートのため、現場の実情に沿わない点は遠慮なくご指摘ください。
Step.8 申請
すべての書類が整い次第、申請します。申請締切日当日は混雑が予想されるため、前日までに申請が完了できるように進めていきます。電子申請やメール、郵送など、補助金ごとに申請方法は異なりますが、実申請業務を弊社が代行可能な場合は、実申請までサポートいたします。
事業者でなければ実施できないケースもあるため、その場合はどのような事務手続きが必要かお伝えし、申請完了までサポートいたします。
まとめ
株式会社アンカーマンは、日本で唯一「蔵元の経営支援に特化したコンサルティングファーム」として、180社以上の実績があり、補助金活用のご提案から採択後のフォローまでフルサポートしています。
補助金を獲得するためには、申請する会社の事業内容や特徴を申請書類等に反映させる必要があります。長い歴史のもと、製造過程においても複雑で専門用語の多い「造り」や、伝統的な商習慣など、蔵元さまの事業内容や特徴を把握しており、業界特化だからこその、的確で丁寧な補助金申請支援が可能です。
ものづくり補助金事業再構築補助金フロンティア補助金ブランド化・酒蔵ツーリズム補助金JAPANブランド育成支援等事業費補助金小規模事業者持続化補助金経営改善計画策定支援事業 など他、地域別の補助金など、40種類以上の補助金申請サポート実績がございます。
蔵元さまをはじめとした酒造業のみなさま(日本酒蔵、焼酎蔵、ワイナリー、ブリュワリー、ウイスキー醸造所)、酒類事業者のみなさま(酒販店、用品店)の各種補助金の申請サポートに加え、補助金の活用事例もご紹介しております。みなさまからのご相談は、下記お問い合わせフォームより随時受け付けております。
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